既に深夜、ストライフトリガー号のキッチンには総長ホーマーを除いた喧嘩屋一行が揃う。全員妙に訝しげな表情である。いや、ただ警戒しているだけなのだが。
一行が身構える中一人腰を掛けてお茶を飲む男。
その姿は不自然に細い、それに不釣り合いなアフロヘア―。
そして何よりその男、骨だけなのである。
骨が服を着て椅子に座ってお茶を飲んでいるのである。
「いや~こんな時間にお邪魔してお茶まで頂いちゃってなんかすいませんねぇ。ヨホホホホ。」
その骸骨男は笑いながらお茶を飲む。
飲んだお茶はいったいどこにいくのか気になって仕方ない。
しかしそれよりもこの骸骨男に対する警戒心は高まるばかりである。
何故ならこんな骸骨でもれっきとした賞金首なのだから。
懸賞金8300万ベリー ソウルキング ブルック。
麦わらの一味だ。
「ソウルキング・・・・」
デラウェアが彼の前に立ち睨み付ける。
単身で喧嘩屋の拠点に乗り込んできた上にお茶を飲みくつろぐこの男の思惑は如何なるものなのか。
「ファンでした。」
「ヨホ!?」
デラウェアがソウルキングに頭を下げ色紙を差し出しサインを要求する。
「シャボンディのコンサート行きました、あんときの引退宣言ショックでした。」
「それはそれはありがとうございます。お名前は?」
「あ、デラウェアでお願いします。」
「デラウェア君へ・・・応援・・ありがとう、またいつか・・・君の前で・・歌える日がくるのを・・楽しみにしています・・君の親友ソウルキングより・・と。これでいかがでしょう?」
ソウルキングはなんの抵抗もなく色紙にメッセージを添えてサインする。
「ありがとうございます!!」
「デリ!!いい加減にしろ!」
ビーフが声をあげデラウェアの襟を引っ張る。
「だってよぉ・・・」
続いてマジックマンがソウルキングの向かいに座る。
「で?ソウルキング、何をしに来たのかね?まさかファン訪問というわけじゃないだろう。」
「ええ、もちろん。私実は皆さんにお願いしたいことがございまして。」
ソウルキングはティーカップをテーブルに置く。
そして静かに威圧感を持たせ喋り始める。
「私達の船長がこの島で行方不明になっておりまして、私達必死になって探しています。ですが体力にも限度がありますので、夜は静かに休息をとらせていただきたい。」
「私達の夜襲を止めに来たってこと?」
ウイが尋ねる。
「その通り。あるいは見張りとでも思っていただいて結構。」
「僕たちがそれを拒んだらどうする気だ?まさか一人で僕達を相手するつもりか?」
「ええ。」
ソウルキングは一言。
臆する様子など微塵もない。
「私は今晩夜警当番ですので、もし夜襲を仕掛けるおつもりならお相手は致します。ですが、その場合互いに無事では済みませんよ。」
「はったりだ。」
マジックマンがハンマーを構えソウルキングに向けた。
「一人で私達に勝てるわけがない。シェフ、このまま彼を拘束し捕虜にしようじゃないか。」
「待て、マジックマン。」
ビーフは彼のハンマーに手を添えて下げさせる。
「僕達も体力は温存したい。この提案乗るべきだ。」
「私も賛成~。」
ブルーレットも賛同する。それを見たマジックマンは武器を下げておとなしく壁際に立つ。
「仕方ない。」
「・・・・あなたですか。私の仲間に怪我を負わせた傭兵とは。」
ソウルキングがマジックマンに問いかける。
「ん?ああ、そうだ。本当は頭を吹き飛ばすはずだったが腕一本しか潰せなかったよ。」
「そうでしたか。」
ソウルキングから発せられる気は鋭く凍えそうなほどだった。
どうやらさっきの言ははったりではないようだ。
「私達の仲間には名医がいますからね。あれくらいの怪我たいしたことありませんよ。でもね・・・もしこれ以上仲間を傷つけられたら私も黙ってはいません。」
ソウルキングは警告を残し喧嘩屋一行に背を向け船の出口へと向かう。
「ではごきげんよう。お茶ご馳走様でした。」
ソウルキングが戸を閉ざす。
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