ビート ストローハット   作:Jaycob

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サイカイ

亡国 皇帝の深淵に朝日が昇る。闇は去りジャングルの中にも光が差し込む。

ジャングルを抜けた先には岩場が広がっていた、そこには滝も流れ水の音が心地よい。滝の裏側に一人の女が草を寝具代わりに野営をしている。

衣服は木の枝でこしらえた竿にかけてあり自身は全裸である。

 

「いってて・・・もう朝か・・・・」

 

全裸で野営をする珍妙な女はホーマーだった。

全身傷だらけになりその辺の木から調達した果実をかじる。羞恥心は存在しない。

目は泣き腫らしたのか真っ赤に充血している。

その上まだ涙がにじみ出てくる。

 

「うえ・・なんだこれマズッ!!・・・絶対逃がさねえぞ・・麦わら・・・・」

 

究極の泣き虫は果実を口に頬張りながらつぶやく。

そういえばデラウェア達はどうしただろうか、愛想を尽かしてどこかに行ってしまったか、或いはこの島まで追いかけてきてるか。

 

「みんなに会いたい・・」

 

ホームシックにかかっていた。我先にと戦場へ繰り出した割にはその心細さには耐えきれず喧嘩屋クルーを想い浮かべては泣いていた。

ホーマーは涙をぬぐい服を着て野営地を後にする。

辺りを見ればまるで隕石でも落下したかのような窪みがそこら中の岩に空いている。

彼女は昨晩麦わらと交戦していた。

この岩場の有様はその名残である。

今一度自分が喧嘩を売った相手の異質さを実感する。

ならば泣いてはいられない、気を引き締め麦わらの追跡を再開しなければ。

次こそは必ず捕まえると拳に誓い、走り出す。

 

 

 

所変わり同じく朝を迎えたストライフトリガー号。

結局ソウルキングの提案をのんだ彼らはおとなしく船で一晩休息をとった。

大きくダメージを受けた訳ではなかったが疲労は大きく一晩寝たのは正解だったと言えよう。

それぞれ目を覚まし支度を整え甲板に集合する。

全員手にビーフが用意したサンドイッチとコーヒーを持っている。

 

「食べながらでいい、聞いてくれ。」

 

「ビーフ俺のピクルス入ってない・・・」

 

「あ、兄さん。ピクルス無し私のだ。」

 

「・・・さて、とりあえず今日中に事態は終息させるつもりで全員動いてくれ。」

 

「具体的に目的は?」

 

マジックマンが問う、彼だけはコーヒーにお酒を混ぜながら飲んでいる。

 

「ホーマーとの合流、そして・・・・」

 

ビーフが一旦溜息をつく。

表情からして不本意ということが伝わってくる。

 

「・・麦わらを倒す。」

 

「あはっはははっは!いいねシェフ、そうこなくては。」

 

「もう隠密行動しても意味ないもんね。」

 

「こっちから仕掛けない限り攻撃されない可能性は?」

 

デラウェアが不安そうに問いかける。

 

「半々だ、どこかの誰かが麦わらの一味のクルーを手負いにしたからな。その報復だけは十分に警戒してくれ。」

 

全員がマジックマンを睨み付ける。

 

「ちょっとちょっと何故私を見る、一番最初に戦闘開始したのはブレンザー君じゃないか?」

 

「デラウェアだ!・・・まあでもお前の言う通りだけどよ・・・」

 

「それで~?私たちはどう動くの~?」

 

ブルーレットが問う。

 

「班分けで行動しよう。麦わら拠点襲撃班、ホーマー捜索班、ストライフトリガー号防衛班。僕とデリでホーマーを捜索する。そのまま可能なら麦わらを探す。ウイが手に入れてくれたこのビブルカードを頼りにね。」

 

「わーった。」

 

「後の班分けだが希望はあるか?」

 

その瞬間凄まじい覇気がびりびりと伝わってくる。

甲板から下を見ると一人の男がこちらに向かって歩いてくるのが見える。

男はタバコをくわえ、鬼の様な形相でこちらを睨み付ける。

そして男は立ち止まり口を開く。

 

「ナミさんに怪我させた下衆野郎に用がある。」

 

その男、黒足のサンジが問いかけてくる。

早朝先手を打たれるとは迂闊。一行はまだ会議の途中、どうすべきか。

 

「私だ、黒足君。」

 

誰かが何かを言う前にマジックマンが一人甲板から飛び降り黒足の前に立つ。

 

「てめえ、ナミさんに何をした?」

 

「泥棒猫かね?頭を吹き飛ばしてやろうと思ったんだがね?なんと腕一本で防がれてしまったんだ、まあ腕の骨を折るくらいはできたからまあ良いとして―」

 

マジックマンが早口で喋る中、唐突に衝撃音が轟く。

黒足の回し蹴りがマジックマンの頭部めがけて繰り出された。

 

「だったら今度は俺がてめえの頭ぶっ飛ばしてやろうか。」

 

「マジックマン!!」

 

しかし、マジックマンはその場からピタリと動かずにいる。

そして笑みを黒足へと返す。

彼の頭部は武装色の覇気で黒く硬化され黒足の攻撃を見事受け止めている。

 

「では、船の防衛は私で構わないかな?」

 

マジックマンのその一言が行動開始の合図だった。

喧嘩屋対麦わらの一味の戦争が再開される。

ビーフとデラウェアは甲板から飛び降りジャングルの中へと消えていく。

それを追うようにウイとブルーレットも行動を開始する。

 

黒足は構えなおし、タバコの煙を吐く。

 

「彼らを追わないのかね?」

 

「ああ、用があんのはてめえだ下衆野郎。女に怪我させるような奴ぁ俺が許さねえ。」

 

「変な奴だ・・・!」

 

マジックマンが笑いながらも闘気を剥き出しにしてハンマーを黒足に向ける。

 

「私も仕事だからね、悪く思わないでくれるかな?・・・黒足君!!」

 

マジックマンは一瞬で黒足の懐に潜り込みハンマーを振り上げる。

黒足は軽く体を反らしその一撃をかわした。ハンマーが黒足のタバコをかすめる。

 

「ちっ、肩ロースッ!!」

 

黒足のカウンター蹴りが放たれる。マジックマンはハンマーの柄でそれを防ぐが一撃が重い、鉄人フランキーよりは軽いがこの男の蹴りは鋭く研ぎ澄まされている。覇気で防がずにくらえばただでは済まないだろう。しかし覇気も無限に使えはしない。その事は互いに覇気使いとして分かっているはず。

ならば覇気を使うタイミングを見極めた方がこの勝負を制する。

故にマジックマンは勝算有りと不敵に笑む。

 

「腰肉ッ!!」

 

黒足の二発目の蹴りが撃たれる。目いっぱい覇気を込めた蹴りをマジックマンはハンマーの先端で弾く。

 

「後バラ肉ッ!!」

 

更に三発目。蹴りの軌道を読みハンマーで打ち返す。

 

「あははっははははっは!黒足君!そんなに熱くなると覇気がもたないんじゃないかな!?」

 

「腹肉!!上部もも肉!!尾肉!!もも肉ッ!!すね肉!!」

 

次々と繰り出される黒足の蹴りをマジックマンは的確にハンマーで弾いていく。

 

「・・・・こいつ・・・」

 

余裕の表情だったマジックマンの顔が曇り始める。有利なのに変わりはないこのまま黒足が蹴り続ければ彼の覇気は尽きるだろう。黒足とてそのことを知らないわけではないはずだ。

そう知らないわけではない。

マジックマンは気づく、黒足はそのことを知った上で覇気全開で蹴りを撃っている。

この男は馬鹿なのかと思うと同時に何か底知れないものを感じる。

 

「仔牛肉ショットォッ!!!」

 

黒足が飛び込むと同時に渾身の後ろ蹴りを撃つ。

マジックマンはそれを難なくガードする、しかしその衝撃は全身を駆け巡りガードに成功したとは言い難い。

 

「ぐっ・・・・ぬうっ・・!!!」

 

「どうした下衆野郎、俺の覇気がどうしたって?」

 

黒足は余裕の表情でタバコを一服しマジックマンを睨みつける。

 

「おもしろい・・・!!」

 

マジックマンはハンマーを両手で持ちながら目を見開き歪んだ笑みを見せる。

 

「これで終いじゃねえぞ、次は頭だ下衆野郎。」

 

「やってみろ黒足ッ・・・!」

 

二人同時に駆け出す。マジックマンの突き出したハンマーと黒足のミサイルの様な飛び蹴りがぶつかり合う。衝撃波が辺りに飛ぶ、互いにすぐさま後ろに飛ぶ。

そしてマジックマンが先に次の手を打つ。

 

「Hellva Odin!!」

 

マジックマンのハンマーから覇気が溢れる。ハンマーは溢れ出た覇気を纏う、その姿はまるで巨大な塔の様。彼はそれはそのまま黒足めがけて振り下ろす。

圧倒的な質量と威力が黒足を襲う。

その一撃は地面を抉り凄まじい衝撃と煙を辺りに散らした。

 

「クソでけえ技いきなりかましやがる・・!」

 

黒足が煙の中から飛び出す。

その身に傷はない。

 

「Hellva Odin・・・二発目だ。」

 

黒足を待ち構えていたマジックマンが先の大技を再び繰り出す。

彼のどこにこれだけの覇気があるというのか。

黒足はここにきてやっとこの男がとんでもない敵だと認識する。

 

ToBeContinued

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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