Fate/Serving with Smile   作:コント黄色信号

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アイディア自体は2年近く温め続けたもの。筆者のレンジが爆発しそうだったので、そろそろ放流します。


序章「これが聖杯戦争、多分」
某所にて No.1


降り注ぐ粉雪。駅前通りを地吹雪が駆け抜ける。強い西高東低の気圧配置と上空を覆う寒気で、日本列島は凄まじい風雪に見舞われていた。

『⋯⋯交通情報です。国道8号線は、福井県付近で大雪による大規模な立ち往生が発生しており⋯⋯』

地方放送局のラジオ放送を聴きながら、少女、ルカ・レインフィールドは過去に想いを馳せていた。苦難は、今も絶えることなく、また、逃避行も終わることはない。閉店後のスーパーの駐車場に停めたワゴン車の中、とはいえ、ワゴン車のフロントガラスはほとんど雪に覆われているので、外の様子を伺う事は出来ない。

『⋯⋯続いては、先月惜しくも亡くなったレオン・ラッセル、数多のアーティストにカバーされた1970年のナンバーです。“A Song for you”⋯⋯』

ラジオの電源を切り、外に出る。ラジオでアナウンサーが言っていた通り、数メートル先も見えない様な猛吹雪が吹き荒れていた。真正面から容赦なく吹き付ける粉雪が顔に当たる度、刺すような痛みが走る。普通なら眼も開けられない程の風と雪に、ルカは臆する事なく前に進む。彼女が目指す場所は遠く、行路は今まで以上に険しい。だが、究極的に言えば、彼女は全て知っていた。これから起こるであろう事、そして、自分が辿るであろう過酷な運命を。

 

懐から取り出した輸血パックを放り投げると、それは空中に見えない力で固定され、破裂した。血が撒き散らされ、雪面が紅く染まる。

「⋯⋯素に銀と鉄、礎に石と契約の大公。祖には我が大師カルデック⋯⋯」

ただ、ワゴン車のヘッドライトだけが、駐車場に於ける唯一の光源である。しかし、それとは別に、周囲の空間そのものが光度を持ち始める。

「⋯⋯満たせ。閉じよ。満たせ。閉じよ。繰り返すつどに五度⋯⋯」

雪面に円状の模様が浮かび上がり、更に空間の光度が上昇していく。宙を舞う雪片がきらめき、風が周囲を周り、詠唱が“我は常世総ての悪を敷く者”にまで達した時には、大きな旋風が、ルカを中心として渦を描いていた。

「⋯⋯汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り人よ!」

詠唱が最後に達すると同時に眩い輝きと熱が、円の中央から放たれる。

 

『汝が我が主を名乗るのであれば、問う、汝が願いを』

 

触媒としたのは土、数多の戦地の土を混ぜ、それを袋詰にしたものだ。そして喚び出された者は、“光”。温度も感じられない、朧げな光である。大凡英雄らしくない、いや、英雄かすら判らない、得体の知れない“光”を前に、少女は動じる事なく、寧ろ笑みすら浮かべて言う。

「ならば私も問おうじゃないか、お前の真名を」

少女の問いかけに“光”が脈を打つように点滅し、青白かった光が赤みを帯びたものに変わる。

〈俺らに名前なんてねぇ、俺らが俺らであることに、ソレは必要ねぇ〉

それを俯いて聞いていたルカは一転して無表情になった顔を上げ、そして今度は、満面の笑みで言った。

「――力を、そして安息を。理解出来るんじゃないかな?私の同類さん」

再び“光”が脈動し、紫色の光を放つ。

〔その願い、確かに受け止めた。私たちは君の力となろう、我がマスター〕

“光”が再び青色に戻る。今度は“光”は収縮を始め、そして―――。

 

雪の上には、一丁の拳銃(S&W M19)が落ちていた。

 

 

ヘッドライトを受けて鈍色の輝きを放つ拳銃に、ルカは手を掛ける。しかし、そこで銃を取る手が止まった。後ろから、何者かがルカを見ている。全身を隈なく覆う霊子神経に引っ掛かった視線は、恐らく、自分と同じ魔術師、若しくは先に召喚されたサーヴァントのものであろう。そして、またもう一度、今度は随分と長い。スーパーの裏にあるビルのどこかから、自分を眺めているのだろう。

「不味いな」

確かに今、自分の手には召喚したサーヴァントが握られている。しかし、能力が未知数であるこれで戦闘に突入するのは、余りにもリスキー過ぎる。ただ、悩んでる暇もない。徐に立ち上がり、ルカは車に戻る素振りを見せる。そして、間髪入れずに小瓶を放り投げた。小瓶に勝手にヒビが入り、炸裂する。瓶の中に詰まっていたのは高密度のエクトプラズム、この国で言う人魂である。霊子の塊は、パチパチとラップ音を放ちながら、風に乗って広まって行く。ジャミングがこの爆弾の目的だ。乱れた霊子が彼方此方に飛散する事で、其処彼処に強い魔力が感じられるようになり、魔力探知や霊視を妨害する。また、相手が霊体ならその身体の組成を乱す。通常なら5分ほど効果は持続するが、強風ゆえ、今回は2分と持たないだろう。しかし、それだけあれば十分だ。車に乗り込むと、直ぐにキーを回す。唸りを上げる四駆のワゴン車は、屋根やフロントの雪を振り落とし、あっという間に吹雪の闇に消えていった。

 

 

「あーあ、逃げられちゃったか。でも、あの体格、17、8くらいだよね」

ビルの窓から外を伺っていたが、思いの外ジャミングが厄介だった。霧や雪ならどうにでもなるが、あれは霊体化していては一時的な失明も避けられない代物だ。直ぐさま実体化したので、その事態は避けられたが、漂う霊子が邪魔で、どちらに逃げたか分からない。街を巡回していた矢先、運良く英霊の召喚される現場を押さえたが、あれではクラスすら全くわからない。

「マスターには報告出来ないなぁ、魔力も感じられなかったし、そもそもサーヴァントなの、アレ?」

舌打ちする。が、その顔に溢れ出る光悦を抑えられない。

「でもいいよね、キミもいずれぶち犯してあげるよ、楽しみだなぁ」

口角が歪む。暗闇に浮かぶ輪郭は紛う事無き女体だが、纏う雰囲気は、例えるなら昆虫に似ていた。

 




誰か、三点リーダを真ん中に寄せたいんだ、どうやったらMacでフォント置換ができるのか、詳しい人、教えてくれ!!


Q.戦地の土って、具体的には?

A.ソマリアだとか、旧ユーゴとか、バルカン半島だとか、ノルマンディーとか、硫黄島とかのもの。レインフィールドの前当主が聖杯戦争に参加するために集めていたものですが、当人は数年前に心臓発作でお亡くなりになられました。


Q.最後の奴、誰?

A.キャラ崩壊が著しいですが、彼女は生前娼婦でした。が、彼女は幻霊ほどの知名度もないです。
正体は、現在は皆さんの想像にお任せします。


Q.題名の元ネタは?

A.Happy the Manというプログレグループのアルバム「Crafty Hands」に入ってる曲です。

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