「えっと、姉さん。
なんで、俺の家にいるんですか」
その日、アグモンは久しぶりに自宅に帰ってくると、そこには死んだ目をしている猫のような存在がビールを片手に飲んでいた。
「夫が浮気した。
あいつ、どっかのキャバクラで遊んでいたのよぉ!!」
そう言いながら、煽るように飲んでいる人物はそのまま自身に起きた事について話し出す。
「それで、もしかしてだけど」
「離婚よ離婚!!
もうあいつの顔なんて見たくないの!!」
という事で、幸一、しばらく居候させて」
「えぇ」
「何、文句ある?」
「ありません」
既に座った目で、こちらに対して身に着けているグローブをこちらに突き出しており、それに対してアグモンは逆らう事ができずに了承する。
彼女の名前は八神輝、アグモンこと本名八神幸一の義理の姉であり、似た個性を持った姉弟である。
「それにしても、あんたのヒーロー人気凄いわね。
なに、あの交通ルール指導」
「子供達の安全の為だよ。
というよりも、姉さんこそ、保育園の先生なのに良いのかよ」
「あら、私こう見えて、子供達に人気なのよ」
そう言いながら、猫を被ったように演技をする姉に対して呆れたようにアグモンはため息を吐く。
「それに、私とあんたは本当に数少ない共通の個性を持っているのだから」
「まぁそうだけど」
そう言いながら、アグモンはそのまま残っていた料理を口の中へとぱくぱくっと食べていく。
「それで、あんたはヒーローを何時まで続けるつもり?」
「しばらくは辞める気はないよ」
「まったく、あんたは生まれた時からそうだったわね」
そう言いながら、輝は呆れたように言う。
「無理するんじゃないわよ」
「分かっている」
そう言いながら、その日からアグモンと姉である輝との奇妙な生活が始まった。
「まったく、アグモンしっかりしなさい」
「いや、お姉ちゃん、なんでついて来てるの」
その日も仕事を行っているアグモンについてくるように輝も同行していた。
キャラを崩さないように苦笑いをしながら言う。
「あんたの仕事を見学したの。
まぁ暇つぶしになったし、後で家にね」
「・・・」
そう言いながら、満足したように輝はその場で去っていった。
「はぁ」
思わず疲れてしまったアグモンはため息を尽きながら歩く。
「とにかく、事件はないと良いけど」
そう言いながら、とぼとぼと歩きながら町をパトロールを行う。
パトロールを行って、数時間、何やら大きな騒ぎが聞こえ、見てみると、車が吹き飛ばされていた。
その事から敵が暴れていると推測したアグモンはすぐに走り出す。
「アグモン進化!!」
その言葉と共に、アグモンの姿は変わっていく。
姿はグレイモンによく似ていたが、身体の大きさはグレイモンに比べれば細いが、その分筋肉質になっており、身体の様々な部分が尖って攻撃的なイメージを持たせる。
敵とぶつかると同時に、完全に敵を持ち上げ、咆哮する。
「ジオグレイモン!!」
そうジオグレイモンを宣言すると共に、目の前にいる敵の特徴を見つめる。
脳だと思われる部分は剥き出しになっており、グレイモンを思わせる牙と身体をしているが、その身体は黒く染まっている。
「俺と同じ?」
そう疑問に思っている間にも、目の前にいる敵はジオグレイモンに考える時間を与えないように、次々と火球を口から吐き出す。
ジオグレイモンはそれに対して、真っすぐと突っ込みながら、全ての攻撃を受け止めながら、腹部に向けて角で吹き飛ばす。
「はぁ!!」
同時に空中に吹き飛ばされた敵に向けて尻尾を振り下ろし、地面に叩きこむ。
大きなダメージを与えたはずの敵だが、まるで痛みを感じないようにジオグレイモンの尻尾を噛みつく。
「ぐぅ!!」
尻尾から感じる鋭い痛みに一瞬だけ悲鳴を出しそうになるが、瞬時に口の中に貯め込んだ炎を敵に向ける。
「メガフレイム!」
その咆哮と共に敵に向けて炎が襲い掛かる。
だが、次の瞬間、敵の身体は一瞬で光り輝くと共に、その姿は変わった。
「なっ!!」
そこに現れたのは青い身体により大型になった機械の腕、未だに目立つ脳以外はメタルグレイモンと瓜二つの姿へと変わっていた。
「こいつ、まさか進化をっ!!」
そう言っている間にメタルグレイモンはその爪でジオグレイモンを吹き飛ばす。
「がはぁ!!」
圧倒的な力の差で吹き飛ばされたジオグレイモンはそのまま建物にぶつかり、自身を起こすが、その隙を見逃さないようにメタルグレイモンは襲い掛かる。
「ぐるるるぅ!!」
襲い掛かるメタルグレイモンは持っている力をそのまま発散するように襲い掛かり、ジオグレイモンはその動きを先読みをしながら、なんとか攻撃を避ける。
だが、先程の攻撃が原因で疲労が見え始める。
「ぐっ」
決して油断できない状況の中で
「まったく、何をしているの!!」
同時に聞こえてきた姉の声にジオグレイモンは見つめると
「猫パンチ!」
突然現れた姉のその一撃がメタルグレイモンを吹き飛ばす。
「姉さん、なんでここに」
「晩飯の買い出しよ。
たくっ、さっさと終わらせて、カレー食べるわよ」
そう言いながら、姉の背中に背負っている買い物バックを見せながら、ジオグレイモンに語り掛ける。
「・・・あぁ」
帰りを待ってくれる人がいる。
それを聞くと、これまで守る為に出ていた力以上に、姉の為にも負ける訳にはいかない。
「うおおおぉ!!」
同時にジオグレイモンの身体は光始め、その姿はさらに変わる。
そこに現れたのは、メタルグレイモンの特徴的な機械の腕は巨大な銃へと変わり、蝶を思わせる羽は巨大な機械の翼へと変わる。
そして、その身に纏っている鎧は赤く光り輝いており、鋭い目は真っすぐとメタルグレイモンを睨みつける。
「ライズグレイモン!」
同時にライズグレイモンはその腕に装着されている銃を構えると共にメタルグレイモンと激突する。
「ぐっ!!」
力任せな攻めを構わず続けるメタルグレイモンだが、ライズグレイモンは後ろに下がりながら、その羽は光り輝く。
「ライジングデストロイヤー!」
同時に放たれる光のミサイルがメタルグレイモンに向かって襲い掛かる。
背中から迫りくるライジングデストロイヤーに気付いたメタルグレイモンはすぐにライズグレイモンを蹴り上げ、その手に装着されている腕で次々と撃ち落としていく。
「っ!!」
同時に胸のハッチが開くと共に、そこからギガデストロイヤーが放たれ、それに対して、ライズグレイモンはその腕を構える。
「トライデントリボルバー」
その言葉と共に放たれた3つの弾丸はギガデストロイヤーを二つ撃ち落とし、メタルグレイモンに当たり、地面へと叩きつける。
「がぁ」
その威力によって、完全に力尽きたのか、メタルグレイモンの身体は光り、そこに現れたのはアグモンと似た黒いアグモンだった。
未だに脳ははみ出た状態だが、紛れもなくアグモンだった。
「僕とそっくりの」
同時にライズグレイモンはアグモンへと戻り、もう一体のアグモンへと近づく。
「おっと、ここで彼を連れていかれては困りますね」
「なに!?」
同時にもう一体のアグモンの前に現れたのは黒い霧だった。
光り輝く目がなんとか人だと認識できるが、それ以外は未だに謎に包まれている。
「お前は一体」
「そうですね、あえて名乗るならば黒霧。
そして、ここにいるのはコマンドドラモン。
あなたをいずれ倒す存在です。
それでは」
「待てっ!」
その言葉と共に消える黒霧を追おうとしたが、一瞬で姿が消えてしまう。
「くそっ」
「落ち着きな、とりあえず避難誘導するわよ」
「あぁ」
姉からの言葉に落ち着きを取り戻したアグモンは大きく息を吸いながら、すぐに誘導しようとしたら
「テイルモンだ!!」
「??」
突然聞こえた声に疑問に思うと、女の子が姉を向けて、聞き覚えのない名前で言う。
「あぁ、言ってなかったわね。
私、サイドキックをやっていたから、あんたの所の事務所で今日から働く事になったから」
「はああぁ!!!」
そう、姉からの突然の一言にアグモンは叫んでしまう。
アグモンの進化系統は
-
ウォーグレイモン
-
シャイングレイモン
-
ビクトリーグレイモン
-
ブリッツグレイモン
-
エンシェントグレイモン