アグモンのヒーロー生活   作:ボルメテウスさん

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新たに対決など希望がある方はぜひお願いします。
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炎の対決!フレイドラモン!

「お久しぶりです叔父様!!」

 

「えぇ」

 

アグモンこと、八神幸一はその日の仕事を終えて、帰ってくると、なぜかピンク色の髪の少女が玄関で待ちかまえていた。

 

何が起きているのか分からずにいるのは隣にいる輝も同じだが、そんな彼女に電話がかかってくる。

 

「ちょっと待っててね。

もしもし、えっ叔母様?!

明ちゃんが、えっとまぁ、分かりました」

 

何やら気まずい話をしているが、明はキラキラとした目でこちらを見ており、輝を見つめていた為、そのまま電源を切る。

 

「明ちゃん。

あなた、家出してきたの」

 

「はい!!」

 

「元気が良いなぁ」

 

そう、元気の良い声で宣言した事に対して呆れるようにため息を出しながら

 

「とりあえず、家に入ろうか。

事情は聞くから」

 

「ありがとうございます叔父様!叔母様!!」

 

そう言いながら、遠慮無く、ドアを開いて、家の中へと入っていった。

 

「それで、えっと、なんで家出を?」

 

「実は私、雄英に入学しようと考えております」

 

「えっ!」

 

その言葉に思わず幸一と輝の2人はお互いに見合わせる。

 

発目明は2人の親戚の子であり、その個性も勿論把握している。

 

だが、その個性はズームと呼ばれる個性であり、遠くを見たり近くの物の分析などでは役に立つ個性だが、ヒーロー向きかと聞くと違う。

 

仮にズームをヒーローに使うとしても、強靱な身体での格闘又は遠くの的を射抜く射撃の技術が必要だが、彼女にはそれがとても感じられない。

 

「明ちゃん。

その、私が言うのもなんだけど、ヒーローには「えっ私ヒーローになるつもりはありません」えっ?」

 

「雄英は私が知っている中でもサポートアイテムの開発が行いやすい学園です!

だからこそ、私はその学園に入り、様々な技術を習得したいと考えております」

 

「あぁ、サポートアイテムか。

あれ、それは叔母さん達には?」

 

「雄英に入りたいと言ったら駄目だと言われました」

 

((あぁ、ヒーロー希望と間違えられたパターンか))

 

そう思うと少し納得したように頷く。

 

「それで、既に雄英に提出する為のサポートアイテムも完成しておりますので、叔父様、ぜひ試着してください」

 

「えぇ、良いよ。

俺は進化でだいたいは邪魔になるし、メタルグレイモンやライズグレイモンになれば、自分の身体でなんとかできるから」

 

「大丈夫です!!

それを考慮したアイテムです!!」

 

その言葉と共に、発目が取り出したのは赤い刃がついた卵だった。

 

「これは」

 

「これは私が考えたベイビー、その名もデジメンタル!

伸縮自在の素材でできており、頭から被る事により、スーツへと早く変わります。

これで、叔父様の姿が変わったとしても、スーツは対応します!!」

 

「いや、だから」

 

「叔父様でもやはり私のベイビーを使ってくれないんですね」

 

そう言い、明らかに落ち込んだ明の姿を見て

 

「はぁ、分かったよ」

 

「ではさっそくやりましょう」

 

「この子、将来大物になるわね」

 

泣き落としからすぐに切り替わるその動作を見た輝は思わず呟いてします。

 

幸一はそのままデジメンタルを頭から被ってみると、赤いマスクに刃のような角が生えただけになっていた。

 

「どうですか」

 

「いや、少し蒸し暑い程度で性能もなにも」

 

「では、さっそく実践を「辞めなさい」ぎゃふ」

 

明が何かを行おうとした瞬間、輝は素早く彼女の頭を叩き、止めさせる。

 

「何をするですか叔母様」

 

「一応はこいつもプロヒーローよ。

怪我でもしたら、あなたの入学自体はなくなるわ」

 

「そうだ、んっ?」

 

そんな会話をしていると、ふと焦げ臭い匂いがした。

 

何もしていないはずなのに焦げている匂いに幸一はすぐに周りを見渡すが、匂いは家ではなくドアの方からだった。

 

すぐに幸一は外へと飛び出すと、それ程遠くないから匂いと煙が出ていた。

 

「姉さん、明を頼む」

 

「えっ、幸一」

 

何が起きているのか分からず、すぐに止めようとしたが、幸一はすぐに飛び出した。

 

ヒーローとしてアグモンとして活動している幸一の身体能力は高く、煙の元へとたどり着くのにそれ程時間はかからなかった。

 

「そこで何をしている」

 

「んっ」

 

その声と共に煙を出した張本人だと思われる人物はアグモンの方を向く。

 

黒いフードを身に纏っており、顔は分からないが僅かに見える皮膚は焼け焦げたように変色した全身に、皮膚移植をしたような姿だった。

 

「ヒーローか。

こんなに早いとはな、しかもその姿、どっかで見た事あるな」

 

「一応アグモンだ。

このマスクは気にするな」

 

「アグモンへぇ。

アグモンか、だったら丁度良い」

 

そう言い、敵はそのままアグモンに向けて手を構え、そこから青い炎を噴射した。

 

「ベビーフレイム」

 

同時にアグモンもまたベビーフレイムを出し、その炎を相殺する。

 

「荼毘、お前を焼き殺す敵だ」

 

「だったら、お前を逮捕する!!」

 

その言葉と共にアグモンは構える。

 

現場になっている場所はビルの合間で無理な進化は周りに大きな被害が出てしまう。

 

だからと言って、目の前にいる敵はアグモンの奥の手となる姿になるまで時間をくれる可能性は低い。

 

何よりも、荼毘の背後で燃え続ける何かのせいで火災の危険性が高い。

 

よって、アグモンはこの姿のまま倒さなければならない。

 

「どうした、ヒーロー!」

 

その言葉と共に再び青い炎は出すが、アグモンはすぐにベビーフレイムを放ち、相殺させながら、接近する。

 

人よりも小柄な身体のアグモンだが、普段のヒーロー活動での戦闘も多く、戦闘を得意としない姿でもある程度の戦闘は行える。

 

鋭い爪での怪我を当てないように拳での攻撃を行いながら、敵の視界に捕らわれない戦い方を心がける。

 

「ちっ、恐竜にならなくても、そんだけ強いのかよ!!」

 

そう言いながら、荼毘は周りに炎をまき散らす。

 

近接での戦闘がアグモンよりも劣る荼毘だが、彼は被害を少なくしようとするアグモンとは違い、周りの被害など関係なく戦える。

 

それもあって、アグモンを追い詰めるのにはそれ程苦労しなかった。

 

「ぐぅ!」

 

戦いが長くなればなるほど被害が大きくなる。

 

焦りそうな思考を纏めようとするアグモンだが、ふと身体に違和感を感じた。

 

「熱くない」

 

それが大きな疑問だった。

 

アグモンは炎を使うヒーローだが、炎に絶対的な耐性はない。

 

内側から作り出すベビーフレイムなどの技も放つのに失敗すれば火傷もするし、炎の攻撃を受ければそこから火傷もする。

 

だが、先程からわずかに当たった場所も、そのような火傷が見られない。

 

「もしかして、このサポートアイテムのおかげ?

だけど、もしかして」

 

アグモンはそう言いながら身体の変化に対して疑問を思う前に

 

「これで終わりだ」

 

目の前に迫りくる荼毘に対抗する為の賭けを行う事にした。

 

「アグモン、進化!」

 

「なに」

 

突然の出来事に対して少年は驚きを隠せなかった。

 

目の前で確かに燃やされていたはずのアグモンは、青い炎から赤い炎へと変わり、体格は一回り大きくなる。

 

同時に炎の中から現れたのは炎を思わせるグローブとマスクを身に纏い、黄色い身体を持つ、龍人へと変わっていた。

 

「燃え上がる勇気、フレイドラモン」

 

フレイドラモン、これまでのアグモンが行ってきた進化の中でオメガモン以外で初めてグレイモンの名前がつかない身体。

 

身体に違和感を感じながらも、それでも先程よりも全身に力が溢れ出していた。

 

一方、その姿を見た瞬間、荼毘の行動は早く、その手から青い炎をフレイドラモンに向けて放つ。

 

それに対して、フレイドラモンは腕を構えて

 

「ナックルファイア!!」

 

拳から無数の炎を放った。

 

小さな炎は荼毘の炎にぶつかった瞬間、爆散し、その爆風によって、青い炎を消え去る。

 

「ぐっ」

 

一瞬で視界を遮られた荼毘はすぐに次の炎を放つ。

 

だが、煙が晴れた先にはフレイドラモンはいなかった。

 

「なにっ!!」

 

「ファイアロケット!」

 

「がはぁ!!」

 

次に聞こえてきたのは上空から迫り来る炎を身に纏ったフレイドラモンだった。

 

爆風の中で視界が遮られた瞬間、フレイドラモンは一瞬で空を跳び、そのままとどめを指した。

 

その事を理解した荼毘は

 

「くそっ」

 

「っ!!」

 

痛む身体に鞭を打つように放った炎をそのまま近くの建物に向けて放たれた。

 

「お前っ!」

 

「助けにいかなくて良いのか、ヒーロー」

 

そう言いながら、一瞬の隙を見せたフレイドラモンに対して再び炎を放った。

 

その身体には燃えながらも、決してダメージを受けた様子は見られないが離れた所を見た荼毘はそのまま離れていった。

 

「ま「助けてっ!!」っ!あぁもう!!」

 

すぐに追うとしたが、火災した建物の中から聞こえてきた助けを求める声にフレイドラモンはすぐに向かった。

 

「ぐっ」

 

傷ついた身体を引きずりながら、荼毘はその場を後にするように逃げていった。

 

フレイドラモンはその後、火災現場で次々と市民を助け、無事に事件は終わりを迎えた。

 

「それにしても、あんたあの姿はなんなの」

 

「分からないよ。

というよりも、明ちゃんが作ったマスクで変身できたけど、あれは一体なんだったの」

 

「あの姿については私にも分かりません」

 

「「えっ??」」

 

明の言葉に、幸一も輝も思わず叫んでしまう。

 

「私が開発したのは、どのような現場でも火に対応するマスクです。

叔父様のように炎を扱うが、火傷の危険性がある方々に対応するアイテムでしたが、まさか叔父様の姿が変わるとは!!

という事は似た個性を持つ叔母様もまた姿が変わるかもしれません!!」

 

「はぁ、とにかくどうするの?」

 

「火災現場では役に立つし、対人戦でも約に立つから、このアイテムは貰うよ。

一応は申請もしておくし、ありがとう」

 

「いえ、叔父様に役立ってもらえて私も嬉しいです!!

それに叔父様がこれからどのような姿になるのか、楽しみでもあります!!」

 

((あっやっぱりこの子、色々とやばいかも))

 

未だにマッドサイエンティストのような匂いを出している明に対してため息を出しながら、新たな家族にため息を漏らす。

 

「って、あれ、家に住む流れこれ!!」

 

「お世話になります、叔父様!!」

アグモンの進化系統は

  • ウォーグレイモン
  • シャイングレイモン
  • ビクトリーグレイモン
  • ブリッツグレイモン
  • エンシェントグレイモン

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