GATE 黒の騎士団 彼の地にて、斯く戦えり   作:NTK

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気がついたらお気に入り百件超えてたり評価に色付いてたりと本当にありがたいです!

ちなみにゼロの格好ですが、復活のルルーシュ時の格好です。
あと今回思ったより長くなったのでテュカと出会うまでです。


STEGE4 特地 第三 偵察隊

連合諸王国軍が壊滅したという知らせを聞き、モルトはほくそ笑んだ。

彼が連合諸王国軍を糾合した目的はゼロが読んでいた通り、諸王国が帝国に攻め入らないように力を削ぐ為であった。続けてモルトは焦土作戦をマルクスに告げた。が、当のマルクスは渋い表情をした。

 

「焦土作戦ですか…税収低下と内部離反が心配と言ったところです」

 

「と、いうと?」

 

「ガーゼル侯が中心となって元老院で陛下の罷免を企てる動きが見られます」

 

「ふっ、ガーゼル侯らには好きにさせておけ。その件は枢密院あたりに調べさせておくとして、これを機に元老院の整理でもしておくか」

 

その時、扉を開いて一人の少女が中に入ってきた。

彼女はモルトの娘の一人であり、帝国第三皇女であるピニャ・コ・ラーダであった。

 

「陛下‼︎」

 

「何用だ、我が娘ピニャよ」

 

「無論アルヌスの事です!連合諸王国軍は壊滅し、敵は聖地であるアルヌスの丘に居座っているというのに、陛下はこれを静観なさるおつもりですか⁉︎」

 

「いや、殿下、我々は敵がアルヌスに留まってる間に兵を集めて再び奪還作戦を…」

 

「数十万の軍が敗れたのだぞ⁉︎丘を取り戻すだけの兵を集めるのに何年かかると思っているのだ‼︎」

 

マルクスの言葉をピニャが一喝すると、モルトが口を開いた。

 

「ピニャよ、そなたの言う通りだ。余もこの状況をよく思わぬ。しかし、我々は敵の事をほとんど知らぬ。そこでだ、そなたが自身の騎士団を率いて偵察に行ってくれないか?」

 

「妾が…?」

 

「そうだ。そなたの騎士団が兵隊ごっこで無ければだがな」

 

「…ッ!確かに承りました。すぐにでも出発致します」

 

────

 

アルヌスの丘では周辺に敵の動きがない事を確認するとゼロの提案の元、周辺偵察のための部隊を編成していた。仮説テントの中で伊丹は檜垣からの説明を受けていた。

 

「…というわけで今後の方針を決めるためにも我々はこの地の人間やその他の種族、産業・宗教や政治形態、風習などの調査が必要だという結論に達したわけだ」

 

「なるほど、良いかもしれませんね」

 

「良いかもじゃない!君が行くんだ!」

 

「…まさか一人で行けと?」

 

「な訳が無いだろう。まずは六個の深部情報偵察隊を編成する。編成内容等は資料に記載されている通りだ。君の任務はそのうちの一つ、第三偵察隊の指揮だ。担当地域の住民と接触して民情を把握、可能ならば友好的な関係を結んできたまえ」

 

「はぁ、まぁそういう事でしたら」

 

「よろしい!伊丹耀司、これより第三偵察隊の指揮を命ずる‼︎」

 

その後伊丹は装備を整え集合場所に行くと、第三偵察隊のメンバーの桑原、倉田、富田、栗林、戸塚、勝本、東、仁科、笹川、古田、黒川、そして玉城と南の十三名が集まっていた。

 

「ん?玉城さんと南さんもいるの?」

 

「おう!先輩として新任の伊丹隊長の面倒を見てくれってゼロに頼まれてな。俺と南は暁に乗っていくからよろしく、伊丹隊長さん!」

 

(実際はこいつが隊長だと部隊が壊滅しかねないからゼロがうまく言いくるめたんだがな。ちなみに俺は玉城のストッパー役だ)

 

玉城の暁は右手にバズーカ、左手にハンドガンを装備したタイプで、南の暁は右手にハンドガン、左手にグレネードを装備したタイプであった。また、両機ともに飛翔滑走翼を装備していた。

 

「暁が二機も入れば大抵はなんとかなるか。んじゃま、出発しますか」

 

第三偵察隊はアルヌス駐屯地を出発し、コダ村という小さな集落に着き村長らから周辺の地域についての情報を聞き出した。初めこそ警戒されたものの、敵意がないとわかると親切に話してくれた。KMFに対してもオーガーなどの怪異と思っていたそうが、生き物ではなく巨大な鎧のようなものと説明すると警戒を解き近づいて触ってみる者もいた。

それから周辺の村々を回っていき、日暮れへと差し掛かっていた。

 

「おい倉田、この先の小川で右折して川沿いに進め。しばらく行ったらコダ村の村長が言ってた森が見えてくるはずだ」

 

「了解、おやっさん」

 

川が見えたところで桑原はある事を伊丹に提案する。

 

「伊丹隊長、意見具申申します。森の手前で野営にしましょう」

 

「ん、賛成」

 

「あれ?一気に乗り込まないんですか?」

 

「だって今森の中行ったら夜になるでしょ?幾らKMFが居ても危険過ぎるし、集落があるからそこの人たちを威圧することになるしね。俺ら全ての弱きものの味方の黒の騎士団だよ?俺たちの任務は現地の人と交流して情報収集することだし。えっと、確か挨拶は…サヴァール・ハル・ウグルゥー?(こんにちは、ご機嫌いかが?)

 

「棒読みッスね。駅前留学行ってたほうがよかないスか?」

 

うるせー、と伊丹が軽口を叩くと、南がある事に気付いた。

 

「隊長!例の森ですが、燃えてます!それも、かなりの規模です!」

 

見ると確かに森は巨大な黒煙を上げて燃えていた。自然災害かと話していた伊丹だったが、桑原から渡された双眼鏡を見ると、そこには赤く巨大な龍が口から火を吹いて森を焼き討ちにしていた。

 

「あれま!」

 

「隊長、どうしますか?」

 

「栗林ちゃ〜ん、おいら一人じゃ怖いから一緒に着いてきてくれる?」

 

「嫌です」

 

「俺と南ならいつでもいけるけど、ドラゴンと戦うか?」

 

「いや、ドラゴンの情報が少ない。こちらから仕掛けるのはよそう。そういやあの辺りに集落があるって村長が言っていたな…ドラゴンが立ち去って、夜明けになったら森に突入しよう」

 

やがてドラゴンは飛び去っていき、夜明けとともに伊丹達は森─と言ってもほぼ焼けて荒れ地となっているが─へと突入した。

 

「まだ地面が暖かい…」

 

「これで生存者がいたら奇跡ッスよ」

 

集落があったであろう残骸に辿り着くと、黒こげになった死体が幾つか見つかった。

 

「隊長、これって…」

 

「言うなよ…」

 

結局生存者らしきものは見つからず、ドラゴンが戻ってこないか警戒して被害を確認していった。

井戸の端に座っていた伊丹に栗林が報告しに近づいていった。

 

「隊長、この集落には建物のような構造物が三十二軒。確認した遺体は二十七体と少なすぎます。手足のみのものもある事から、大半は瓦礫の下敷きか、あのドラゴンに食われたと思われます」

 

「一軒に数人いたとして、百人近い人数がやられたか…この世界のドラゴンは集落を襲うことがあるって報告しておかないとな」

 

「酷いものです。また、丘で戦った小さなドラゴンでも腹部を12.7mm徹甲弾でどうにか貫通ということでした」

 

「へぇ、ちょっとした装甲車だね」

 

「KMFの通常装備なら対処に問題ありませんが、あのドラゴンが同じ硬さの鱗を持つとは限りませんしね…遭遇した時のために、援軍を要請した方がよろしいかと」

 

「そうだね…本部に連絡すると同時に、ドラゴンの巣と出没範囲を調べておかないとね。コダ村の村長なら何か知ってるかな?」

 

そう言い伊丹は水筒を補充すべく井戸に桶を放り込むが、コーンと空井戸にしては妙な音が聞こえた。不審に思い井戸の中をライトを照らすと

 

「…人だ!生存者がいるぞ!」

 

そこには金髪のエルフらしき少女が気を失って井戸の中に浮かんでいた。




第三偵察隊のメンバーは基本的に原作+玉城と南です。場合によっては追加したり抜けたりします。

次回こそ炎龍戦です。
援軍ですが、結構離れたところにすぐ迎える機体となるとだいたいは予想つくと思います。

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