不定期連載ですみませんが、何卒宜しくお願いします。
今回はイタリカにたどり着くあたりまでです。
元コダ村の人々は今後の生活費をどうするか悩み、最悪身売りを考えていたがレレイが黒の騎士団に仕事がないか尋ねてみたところ、先のアルヌス戦で死んだ大量の翼竜の死骸処理に困っていたので自活に要るなら好きにしていいとのことであった。
それからカトー達は道具を借り、鱗や牙などを採取し水で洗ったあと売り物になるものを選定していった。その結果、鱗二百枚と牙十本という成果が出た。特に牙は死体が落下した時に欠けるものだが斬月やトリスタンなどが撃墜時に首を切り落としたのもあり結構無事なのが残っていた次第である。
鱗一枚で銀貨30枚から最高で70枚で売れる。ちなみに銀貨一枚につき、一般家庭が五日間不便無く生活できる。それを踏まえると働かなくとも十分に暮らせる量が採れたため、いい加減な店で安く買われてはいけないのでイタリカにいるカトーの古い知人の元で売る為、その護衛を黒の騎士団に提案した。
黒の騎士団としてもイタリカなどの交易都市の調査と交流を行う必要があるため、第三偵察隊に道中の護衛と輸送任務を与えた。しかし、KMFは下手に多数出撃させて彼らを刺激するとマズイので南機のみである。どのみち、玉城機は撃墜されて予備機待ちなので都合が良い。炎龍クラスの敵の対処のため、武装はバズーカと、万が一のための対人用にハンドガンである。
アルヌスを出た一行はテッサリア街道を走りつつ、レレイから補足を受けながら地図に情報を書き取っていた。
しばらくしてイタリカにそろそろ到着といった頃に前方に煙が上がっているのを南が発見する。
『隊長、前方に煙が上がっています』
「やだな〜この道、あの煙がある所に続いてない?レレイ、どう思う?」
「あれは煙、だけど畑焼く煙ではない、季節違う。人のした何か…鍵?でも大きすぎる…」
「鍵じゃなくて火事ね。全車周辺と対空警戒、慎重に接近する…ん?ロウリィどうした?」
指示を出したあと伊丹はロウリィがどこかワクワクした顔をしたのが気になり話しかけた。
「…血の臭い」
────
イタリカでは多数の盗賊団が襲撃し、武装勢力が出現したという情報を入手し、それがイタリカに侵攻してきた
やがて今の状態で突破は困難だと判断した盗賊団は撤退していった。
「ノーマ‼︎ハミルトン、無事か⁉︎」
「い、生きてまーす…」
「同じく…」
「姫様、小官の心配はしてくださらないのですか?」
「グレイ、お前が無事なのは見てわからないほど妾は馬鹿ではないぞ」
疲れ切ってる二人と違い、ほぼ無傷で立ってるグレイに話しかけるとハミルトン達に柵の修理を命じ、自身は館に入り食事を摂ったあと、何かあれば起こしてくれとここのメイド長のカイネに伝え仮眠をとる。
しかし、しばらくして彼女はバケツの水をかけられ起こされた。
「何事か⁉︎もしや敵か⁉︎」
「果たして敵か味方か…ともかく東門にてご自分の目でご覧ください」
ピニャは鎧に着替えて東門に向かい、様子を伺う。
「なっ⁉︎あの巨人のようなものは何だ⁉︎いや、あの見た目…酒場で聞いたのと特徴が似ている…あれが例のアカツキとかいう大鎧なのか?あの攻城用の木甲車みたいなものは木でなく鉄か…中にいる奴らは妙な黒い服を着てるな…持ってるのは武器か?やけにガラの悪いのがいるが*1…盗賊の仲間か?ノーマ!」
「他に敵は見えません!何者だ‼︎敵ではないなら姿を見せろ‼︎」
ノーマが叫ぶと少ししたあと、二人が荷車から出てきた。
「魔導師か。あの杖はリンドン派の正魔導師…それにエルフもいるとは…油断してるうちに弩銃で…いや、仮に仕留めたとしてもあの大鎧はどうにも…」
そう考えを巡らせると、もう一人荷車から降りてきた。ロウリィである。その姿を見てピニャは驚愕する。文字通り人間離れした力を持つロウリィがいるとなればこちらに勝ち目はない。だが、彼女が盗賊の仲間ならとうの昔にここはやられている。ならば別件で来たと考えても良いだろう。今のピニャの選択肢は追い返すか強引に引き入れて盗賊の相手をしてもらうかだ。ピニャは後者を選び、門の閂を取り外し勢いよく門を開いた。
「よく来てくれた‼︎」
しかしながら彼女達はピニャでなく地面を見ていた。見ると先ほど開けた門にぶつかったのか、一人の男が伸びていた。そのまま彼女達は気絶してる伊丹を城内に引き入れ、介抱する。その際ピニャはテュカに勢いよく扉を開けた事に対して怒られていた。すると伊丹は目を覚まし体を起こした。
『隊長、応答してください‼︎突入しますか?』
「いや、気を失っていただけだ。状況を確認するからしばらく待機で。…それで、誰かこの状況を説明してくれる?」
するとイタリカ内の兵たちは一斉にピニャの方を向いた。
「…妾が?」
その後ピニャは伊丹たちを城内に引き入れて、互いに軽く自己紹介をしたあと、今のイタリカの状況を説明した。当然ながらこのままでは交易はまともに行えない。そのため第三偵察隊も防衛戦に参加することになった。
(あのタマキとかいう男…彼らの軍勢、黒の騎士団の団長のゼロと親友と言っていたな…下手にこちらと問題を起こし、彼を傷つけてゼロ騎士団長の怒りを買わないようにしなくては…)
一方で、アルヌスの本拠地ではゼロが伊丹達からの連絡を受け考えていた。
(なるほど…この状況を利用すればイタリカ市民の信頼を得ることが出来るな…しかも、イタリカには皇族がいる…こちらと接触し味方につければ帝国との交渉が有利になる…)
「支援部隊の編成は如何なさいますか?」
狭間の言葉を聞き、ゼロはこう答えた。
「いや、部隊編成は必要ない。イタリカの支援は────私自らが行こう‼︎」
『牙が増えた』
藤堂さん綺麗にワイバーンの首斬り飛ばしそう…飛ばしそうじゃない?
鱗が原作と変わらないのは気にしないでね?
『下手に傷つけて〜』
さて問題です。この後原作では何が起きましたか?
『ゼロ、援軍に』
オイオイオイ死んだわ盗賊。絶対この人戦場で大演説かましてイタリカ市民の心掴むぞ。
次回はイタリカ防衛戦です。いつ投稿するか未明ですが楽しみに待っていてください。