遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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第一話目です。
投稿に慣れていないため、ミス等があると思いますが…
発見された場合ご指摘してくださると嬉しいです。


今回はデュエルはしません。


学園生活編
第一話 世界よただいま、と思えばこんにちは?


目の前に広がったのは見慣れた部屋だった。

両親からの誕生日プレゼント、小遣いを貯めて買ったおもちゃ。

しばらく帰る事がなかった部屋を見た時、自然と涙が溢れそうになった。

右を見ても左を見ても1年近くの間過ごしたあの部屋とは違い、本来自分が使っている部屋だ。

 

「やっと、帰ってきたんだ……」

 

必死で涙をこらえる少年、不動聖星(あきら)は震える声でゆっくりと言葉を紡ぐ。

すると不意にデュエルディスクが目に入った。

あの世界で愛用していた青色のデュエルディスクからカードを引くと、そこに描かれているモンスターに笑みが浮かんだ。

 

「ははっ、君も俺と一緒に来たんだな、【ジュノン】。

嬉しいよ」

 

自分が居た世界とは違い、エクシーズ召喚というものが普及しているあの世界で共に戦ってきた相棒。

どんな時にも自分のピンチに駆けつけて最前線に立ってくれた彼女が手元に存在する事に、あれは夢ではなかったのだと再認識した。

故郷の世界ではシンクロ召喚が普及していたため、どうもエクシーズ召喚を使う事に抵抗があった。

周りからは変な奴というレッテルを張られたが、それでも自分のアイデンティティを護るためにどうしても使うのを渋ってしまった。

 

「それが聖星のデュエルスタイルなんだろう?

だったらお前はそれを貫けば良いじゃん」

 

「シンクロ召喚か……

実に興味深い召喚法だ。

もし、また出会う機会があれば是非シンクロモンスターを使う君と一戦交えたいものだ」

 

異世界の住人だというのに一切の壁を感じさせず親身に接してくれた遊馬の言葉。

同じ異世界から来た存在からか、打ち明けた時たいそう驚かれたが友好的だったアストラルの言葉。

 

「はっ、もうテメェの面倒を見なくていいと思うと清々するぜ。

元の世界に戻っても迷子になるんじゃねぇぞ」

 

「もしこっちに来たら是非ハルトに会ってくれ。

あいつも寂しがっているからな」

 

同じクラスになって仲良くなれたのに自分の信念の為に道を違えた、けど結局は以前のように笑えるようになったシャークの言葉。

1度命を失ったが奇跡が起こり、また家族と一緒に笑って過ごすことが出来るようになったカイトの言葉。

皆自分が元の世界に帰ると言った時、とても寂しそうな表情だった。

だけどこの世界が自分の帰るべき場所だったのだ。

 

「父さんと母さんに会わないと」

 

自分の記憶が正しければだいたい半年~1年は会っていなかったはずだ。

もしこの世界の時間の流れがあの世界と一緒なら自分はその期間行方不明という事になっているはず。

そうだった場合両親は酷く驚くだろう。

その時はどう説明しようなどと考えながらも、聖星は扉を開けようとした。

 

「待て、聖星」

 

「え?」

 

背後から聞こえた声に聖星は振り返り、そこにいるドラゴンの名前を呟く。

 

「どうしたんだ、【星態龍】?」

 

自分があの世界に行く切っ掛けと帰る方法を教えてくれたドラゴン。

この世界で自分が良く使っていた切り札でもあり、大切な相棒でもある。

世界を超えたせいか【星態龍】と言葉を交わせるようになり、この世界でも交わせるのだと思いながら耳を傾けた。

 

「言いにくいんだが……

時間を間違えた」

 

「は?」

 

一気に冷たくなった聖星の声。

それに【星態龍】はさらに申し訳なさそうな表情を浮かべる。

自分の勝手な都合で聖星を1年近くも両親の元から引き離し、やっと帰って来たと思えばとんだ大失態を起こしたのだ。

だがこれが現実。

 

「ここはお前が生まれる時代より数十年過去の時代だ」

 

「…………」

 

「あ、聖星?」

 

「今すぐ帰れないのか?」

 

「世界を超えるには相当な力が必要だ。

高位の精霊である私でさえ、力が回復するには数か月かかる」

 

「じゃあ何か月?」

 

「早くて半年、遅くて1年だ……」

 

無表情のまま淡々と尋ねてくる聖星に【星態龍】は申し訳なさそうに返す。

恐る恐る聖星の表情を伺うと、彼は穏やかに微笑んだ。

その反応に身構えたが。

 

「しょうがないなぁ。

じゃああと1年、この世界でゆっくり楽しむか」

 

と言われ【星態龍】は目を見開いた。

確かに聖星は普段は穏やかで滅多な事がなければ表情を変化させない。

だからこのような反応が返ってくる可能性もあったが、せっかく元の世界に帰ってこられたというのに違う時代だと聞かされ怒り狂う可能性が高かった。

それを覚悟していた分拍子抜けした気分だ。

 

「それだけか?」

 

「【星態龍】のドジっ子ぶりは今に始まった事じゃないだろう?

もう慣れたさ」

 

某神のカードが裏でドジリスと呼ばれるようにこの精霊も意外とドジっ子なのだ。

デュエルでは心強いのに、赤い竜は皆ドジっ子でなければならないという条件でもあるのだろうか。

等と考えながら聖星は周りを見渡す。

 

「で、この部屋が俺の部屋にそっくりなのは?」

 

「あぁ。

お前が目を覚ます前に失敗に気付いて、慌てて私が創った。

だがまだ問題がある」

 

「問題?」

 

「この時代にお前の国籍が存在しない。

それにこの部屋もとあるマンションの一室で、この部屋にお前が住んでいるという登録はされていない」

 

【星態龍】の言葉を黙って聞いている聖星はすぐに頷き、机の上に置いてあるPCに向かう。

そしてPCを立ち上げるとすぐに作業を開始した。

慣れた手つきでタイピングをし、次々にウィンドウが開いたり閉じたりする。

その様子に【星態龍】は念のために尋ねた。

 

「……聖星、何をしている?」

 

「国籍の偽造と住所登録。

あと他に必要な事。

あ、へまはしないから安心してくれ」

 

「やはりな……」

 

あっさりと口にされた言葉に【星態龍】は聖星の逞しさに感心するしかない。

たしかあの時も聖星に国籍がない事を話したら、すぐに彼はPCを使って国籍を偽造した。

本来なら簡単には出来ない事だが聖星は父譲りのハイスペックさでいとも容易くしてしまう。

国籍の偽造等を行っている時、聖星の目にある物が止まった。

 

「デュエルアカデミアの入学試験?」

 

「何だ、この時代にもあるのか?」

 

「そうみたいだな」

 

デュエリストを育成するための教育機関、デュエルアカデミア。

将来デュエル界を引っ張るエリートデュエリストを育てるのが目的の場所で、聖星も未来ではデュエルアカデミアの生徒だった。

成績は実技より筆記の方が得意だったのはここだけの話。

 

「なぁ、【星態龍】。

力が回復するまで数か月以上はかかるって言っていたよな?」

 

「あ、あぁ。

……まさか聖星」

 

【星態龍】は恐る恐る聖星を見下ろす。

しかし聖星はずっとPCの画面にくぎ付けでその顔は微笑んでいた。

あの笑みは何かを楽しもうとしている時の笑み。

同時に【星態龍】は悟った。

 

「じゃあ、願書を取り寄せないとな」

 

END




聖星はシンクロ召喚使いだったのですが、ZEXALの世界では【星態龍】しか持っていなかったため自然とZEXALの世界でカードを集めました
そして完成したのが【魔導書】です

あと、カイトやシャーク達は無事という設定ですが…
ダークシグナー達も生き返ったのですから、絶対カイト達も無事ですよ!!

魔法使いって良いですよね

次回は入試です


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