遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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第二十七話 有限の海に眠る龍★

日はすっかり沈み、月明かりさえも雲によって遮断されている湖。

ゆらりゆらりと静かに波打つ湖に1つの影が浮かび上がる。

そこには人の形をした何者かがいた。

それは不気味な笑みを浮かべ誰も聞いていないのに呟く。

 

「私はダークネスのようにはいかなくてよ。

ゆけっ、下部達!!」

 

品のある声で呟いた彼女はそう叫ぶと背後から無数の蝙蝠が飛び立っていく。

可愛い下部達が飛び立つ姿を見送りながら彼女は笑みを浮かべた。

そしてその口元には銀色に光る牙が……

 

**

 

「っ!!」

 

保健室で眠りについていた十代は突然目を覚まし、勢いよく起き上がる。

同時に体に激痛が走り、小さく声を漏らした。

そんな彼に翔が心配そうな表情を浮かべた。

 

「大丈夫、兄貴?」

 

「あぁ、なんとかな……」

 

「そんな顔をして言われても説得力がないぞ、遊城」

 

2人の言葉に十代は無理に笑い、そのまま自分と同じように眠っている吹雪に目をやる。

彼の傍には明日香とカイザーが椅子に座っており、明日香は悲しみの表情を浮かべて両手を強く握りしめている。

 

「鮎川先生、明日香の兄さんは……」

 

「大丈夫、命に別状はないわ」

 

「そうですか……」

 

鮎川先生の言葉に十代は安心したように呟く。

あれ程の激痛を伴う闇のデュエルだったため、命に係わる様な事があっても何ら不思議ではない。

十代と同じように闇のデュエルを経験した取巻はデッキから【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】のカードを取り出す。

すると扉がゆっくりと開き、三沢と万丈目、聖星の3人が入ってきた。

友人達の登場に十代は軽く手を上げる。

目を覚ました彼の姿に三沢と聖星は安心したような顔をしてすぐに近寄っていく。

それに対し万丈目は真っ先に明日香に目をやった。

 

「十代、起きて大丈夫なのか?」

 

「あぁ。

まだ少し痛むけどなんとかな」

 

「だったらもう少し寝ていた方が良い」

 

「あぁ、そうさせてもらうぜ」

 

素直に述べた十代に三沢は横になるように促し、それに頷く。

十代の傍らには【ハネクリボー】が心配そうな顔をしており、【スターダスト】は【ハネクリボー】の隣にゆっくりと着地する。

慰めるかのように言葉を交わしている2匹を見ながら聖星は小さく息を吐いてこの場にいる鍵の所有者を見渡す。

本当なら校長室の方が良いかもしれないが、明日香の事を考えると吹雪の傍に居させてあげたい。

そう思って口を開こうとすると【スターダスト】の隣に黄色の精霊が姿を現す。

 

「あら~、【スターダスト】ちゃんじゃない~

【スターダスト】ちゃんも十代のお見舞いかしら~?」

 

体をくねくねと動かしながら現れたのは【おジャマ・イエロー】。

オネエ口調で近寄ってくる彼に対し【スターダスト】は若干引き気味だ。

どうやら【スターダスト】はからかわれる基質があるらしく、良くも悪くもちょっかいをかけてくる者達に人気があるようだ。

不憫に思った聖星はすぐに【スターダスト】を自分の頭に乗せ、【おジャマ・イエロー】に詫びる様な笑みを浮かべた。

 

「あら~、せっかく【ハネクリボー】も交えてお話しようと思ったのに~」

 

「貴様、少しは大人しくしろ。

俺の顔に泥を塗る気か」

 

心底残念そうに呟く彼に持ち主である万丈目は低い声で言う。

一度アカデミアを退学した万丈目だがなんやかんやあって精霊が視えるようになり、【おジャマ・イエロー】のカードを手に入れたそうだ。

 

「貴様もだ聖星、少しは学習しろ」

 

「しょうがないだろう。

彼から寄ってくるんだから」

 

「不動に万丈目……

お前達突然何を話しているんだ?」

 

「さんだ!」

 

じろり、と睨まれた聖星は困ったように笑うだけだ。

対して翔達と一緒にここを訪れていた取巻は2人の会話に怪訝そうな表情を浮かべる。

しかし万丈目の「さん付けにしろ」という言葉に難しい顔になった。

以前の自分なら素直に呼んでいただろうが、今の万丈目に対してそう呼ぶのは抵抗がある。

万丈目がブルー寮での地位を失った時期、取巻も万丈目のように周りから笑い者扱いだった。

別に偉そうだから腹が立つとか、そういった感情が理由ではない。

ただどう接すれば良いのか分からないのだ。

1人で勝手に葛藤している取巻に気付かず、聖星は皆に声をかけた。

 

「ごめん、翔、隼人、取巻。

鍵の所有者だけに話したいことがあるから席を外してくれないか?」

 

「え、どうして?」

 

「何?」

 

突然の言葉に全員聖星に視線を向けた。

聖星は固い表情で皆を見つめ、ゆっくりと理由を説明する。

 

「とても重要な話だから出来れば関係者以外には話したくないんだ。

頼む」

 

硬い声色で言葉を発した彼はそのまま頭を下げた。

まさか頭を下げられるとは思わなかった翔は困ったように皆を見る。

取巻は今の状況が状況のため小さく頷いてそのまま出て行き、彼の行動に隼人は翔に目をやる。

 

「翔」

 

「分かったよ」

 

取巻だけではなく隼人も出て行こうとしているため翔も渋々納得し部屋から退出する。

3人が出ていき、部外者が鮎川先生だけになった事を確認した聖星は改めて皆に向く。

カイザーは椅子に腰を下ろしたまま真剣な表情で尋ねてくる。

 

「それで聖星、俺達だけに話とは?」

 

「俺が以前セブンスターズとデュエルをした、というのは校長室で話しましたね」

 

「あぁ」

 

「あの日以来、インダストリアルイリュージョン社の社員が行方不明になっているんです」

 

「え!?」

 

「インダストリアルイリュージョン社の社員が!?」

 

彼から告げられた言葉に皆は互いの顔を見合わせる。

聖星とインダストリアルイリュージョン社に繋がりがある事を知っているのはこの場で十代のみ。

彼以外の鍵の所有者は何故聖星がそんな事を知っているのか不思議に思い、明日香が口を開く。

 

「でも、それと今回の事とどういう関係があるの?」

 

「それは……

俺がその闇のデュエルで極秘で開発されている召喚法を使ったからだと思う」

 

「極秘で開発ですって!?」

 

「何なんだそれは?」

 

インダストリアルイリュージョン社の社員が行方不明と告げた時以上に驚きの声を上げる明日香達。

万丈目も驚いているようで聖星を凝視する。

 

「それはシンクロ召喚。

チューナーという新たな特性を持つモンスターを使う事で融合デッキから特殊召喚される新たな召喚法。

これがそのシンクロモンスターだ」

 

聖星はデッキケースから1枚のカードを取り出し、それを皆に見せた。

真っ白な枠を持ち、1匹のドラゴンが描かれているカード。

知らないカードの登場に皆はそのカードを食い入るように見て、十代は描かれているカードの主の名に首を傾げる。

 

「【スターダスト】?

それお前がアメリカに行っている時にって、あ」

 

画面越しに初めて出会った【スターダスト】を見た時に抱いた疑問。

このドラゴンの姿は以前ペガサスに見せてもらったスケッチブックに描かれていたドラゴンと酷似している。

疑問の正体がはっきりした十代は【スターダスト】がどんな効果を持っているのかわくわくし始めた。

 

「待て聖星。

それは今極秘で開発されているんだろう。

どうしてそんな物を貴様が持っている?

鍵を渡された時も思ったがまさかインダストリアルイリュージョン社と繋がりがあるのか!?」

 

万丈目の問いかけに皆は小さく頷く。

やはりそこを聞いてくるか、と思った聖星は大雑把に話した。

 

「俺は機械に関する知識を買われてデュエルディスクのプログラム制作に携わっているんだ。

新しい召喚法が販売済みのデュエルディスクで使えるようにプログラムを組んでいる。

あ、これは本当なら極秘の話だから誰にも言わないでくれ」

 

正確にはシンクロ召喚に開発をメインに関わり、ついでにプログラムの書き換えを行っている。

それは伏せていたが、違和感のない理由としたらこれが1番だろう。

明日香は心当たりがあるのかその説明で納得してくれた。

他の皆もその縁でシンクロモンスターを手に入れたのだろうと考え始める。

 

「俺は闇のデュエルで【スターダスト】を召喚した。

それ以降社員が行方不明になっている……

今入院している社員の証言によると行方不明の人達は闇のデュエルをしたらしい。

恐らくセブンスターズに捕まったんだと思う」

 

「成程な、シンクロ召喚について詳しく聞き出すためか」

 

三沢の言葉に聖星は小さく頷いた。

 

「だからセブンスターズはシンクロ召喚に関する知識を持っている。

もしかすると新たなシンクロモンスターを作っているかもしれない。

だから皆にシンクロ召喚について話そうと思ったんだ」

 

基本的にカードはインダストリアルイリュージョン社でしか製作できない。

カード内に埋め込まれているソリッドビジョンに関するチップの技術は極秘とされ、他社がまねできるような物ではないからだ。

あの海馬コーポレーションでさえその内容は未だに完全に把握し切れていない。

だが【閃珖竜スターダスト】のように未知な力で生まれるカードもある。

闇の力を操る彼らがカードを作る事は出来ると考えた方が良い。

 

「そのシンクロモンスターとやらを俺達は使えないのか?」

 

「俺がペガサスさんに相談すればある程度融通は利かせてくれると思う。

けどこれは極秘の召喚法で表立ってほしくない。

それにこの召喚法は慣れが必要なんだ。

皆のデッキに合えば良いけど現時点で開発されているシンクロモンスターは皆のデッキに合わない。

対抗するために下手に投入はしないほうが良い」

 

「けど急にそんな事を言われても……」

 

明日香は隣にいるカイザーに顔を向け、困ったように呟く。

彼女だって聖星が言いたい事は分かる。

だが相手も使っているのだから自分達も使わないと対抗できない気がするのだ。

シンクロ召喚の扱いの難しさを理解できない明日香達の様子に聖星は提案した。

 

「分かった。

誰か俺と試しにデュエルしてくれ。

目の前で実際すれば少しは実感がわくと思うから」

 

「よし、そういう事だったら聖星!

俺とデュエルしようぜ!」

 

「十代はダメ。

君は今療養中でデュエル出来ないだろう」

 

「大丈夫だって、この程度の痛み……」

 

「十代、その痛みを倍増してやろうか?」

 

「ごめんなさい」

 

真っ先に名乗り上げたのは当然の如く怪我を負っている十代だ。

彼からの申し出に聖星は困ったように断ったが、それでもやりたいという彼に聖星は満面な笑みを浮かべた。

同時に聖星は右手で握り拳を作り、それを見た十代は即行布団の中に潜り込んだ。

 

「だったら俺が行こう」

 

「丸藤先輩……」

 

「どうだ、役者不足ではないだろう?」

 

「はい、お願いします。

では先輩、デッキ調整があるのでデュエルは明日で良いですか?」

 

「構わない。

会場については俺から校長に頼んでおこう。

あまり人目に触れたくはないんだろう。

それとクロノス教諭にも俺から伝えておく」

 

「ありがとうございます」

 

自ら対戦相手を志願し、更にシンクロ召喚を使うデュエルに対し考慮してくれる。

たった3つしか違わないのにカイザーの対応に聖星は素直に感心した。

早速どんなデッキを構築しようかと考えると、あるカード達が思い浮かんだ。

 

「あ、丸藤先輩」

 

「どうした?」

 

「実は先日パックを買ったら【サイバー・ドラゴン】関連のカードが当たったんです。

多分先輩も持っていないと思います。

もしよければ貰ってください」

 

「何?」

 

聖星からの言葉にカイザーは首を傾げる。

【サイバー・ドラゴン】関連のカードはとてもレアリティが高く、市場にはあまり出回らない。

しかしカイザーはサイバー流を学ぶ道場の生徒だったため【サイバー・ドラゴン】、そして関連のカード達を手に入れる事が出来た。

その自分が持っていない関連カードなどあるのだろうか。

そう疑問に思いながら聖星からカードを受け取るカイザー。

 

「っ!?」

 

カイザーは聖星から渡されたカードを見てすぐに後輩を凝視した。

聖星はただ真っ直ぐ自分を見上げており、ただ微笑むだけ。

彼が当てたという【サイバー・ドラゴン】の関連カードは8枚。

それも全てカイザーが知らないカード。

軽く目を通してみたがどの効果も素晴らしいもの。

もしこのカード達を自分のデッキに組み込めば戦術の幅が大きく広がっていくだろう。

 

「ありがとう聖星。

このカードは大切に使わせてもらう」

 

「はい」

 

「ちょっと、聖星。

一体どんなカードを渡したの?

亮の反応からとんでもないカードだっていうのは分かったけど……」

 

亮の傍に腰を掛けていた明日香は友人の表情変化に驚いた。

あの冷静沈着で滅多に表情を変えない亮がたいそう吃驚していたのだ。

完成度も高く殆どのデュエリストを寄せ付けない強さを持つ彼があれ程の驚きを現していたという事は、聖星が渡したカードはあのデッキを更なる高みに導く事が出来るという事だ。

一方聖星が持っているカードの量を知っている三沢と十代は苦笑を浮かべた。

 

「確かにあのカードの中に【サイバー】関連のカードもあったな」

 

「あのカードをカイザーが使うのか。

って事はカイザーももっと強くなるって事だよな」

 

十代には【E・HERO】、カイザーには【サイバー・ドラゴン】のカード。

聖星は皆がセブンスターズに負けないようカードを渡しているのだろう。

十代の時も勝てる可能性は増やした方が良いという理由で属性を使用して融合する【E・HERO】を無理やりトレードしていた。

隣で楽しそうに笑っている十代に対し三沢は困ったように笑った。

 

**

 

時間は過ぎて翌日の朝。

カイザー用のシンクロデッキを構築し終えた聖星は欠伸をかみ殺しながら食堂で朝食をとっていた。

 

「あ、聖星」

 

「神楽坂」

 

「隣良いか?」

 

「あぁ」

 

隣に腰を下ろした神楽坂の朝食は樺山先生の手作りカレーだ。

しかもカツカレー。

朝っぱらからよくこんな重いものを食べる事が出来ると感心しながら味噌汁をすする。

 

「例の道場破りは今どうなってるんだ?」

 

「道場破りって……

一昨日1人目の襲撃があった。

2人目はまだ来ていないけど、多分この島に潜入しているんじゃないのか」

 

「だったら例の噂がその2人目の可能性もあるのか……」

 

「え、噂?」

 

カイザーとのデュエルはどうデッキを動かそうと考えていたが、神楽坂の言葉に顔を上げる。

授業の時より真剣な表情を浮かべている友人は周りを見渡し、小声で話し始めた。

 

「昨日の夜、ブルー寮の奴らが肝試しとして湖に行ったらしいんだ。

そうしたら見たらしいぜ」

 

「ちょ、ストップ、ストップ。

何だよその明らかに怪談になりそうな話。

俺がそういうの嫌いだって神楽坂も知ってるだろう?」

 

「最後まで聞けって。

湖の上に美女が立っていて、美人だなって見とれていたら……

どうやら口元で牙が光っていたらしい」

 

「美女に牙って……

まさかその美女が吸血鬼って言いたいのか?」

 

「あぁ。

ま、あくまでブルーの生徒1人が騒いでいる噂だがな。

けど今じゃその噂はブルーだけじゃなく他の寮にまで届いているんだ。

特に女子が盛り上がっている」

 

「アカデミアでの娯楽って地味に少ないからな~」

 

神楽坂からの情報に呑気に返すがセブンスターズの刺客であるとみて間違いはないだろう。

しかしよりによって吸血鬼。

脳内に吸血鬼の映画が思い浮かび、人々が吸血鬼の餌食になっていくシーンが勝手に再生されていく。

 

「吸血鬼か。

数世紀ほど前に人間によって滅ぼされたと聞いていたが、生き残りがいてもおかしくはない」

 

「(え、吸血鬼って実在するのかよ?)」

 

「あぁ。

寿命が人間より長く、それ程増えなくても問題はなかったから元々の数が少ない。

それ故吸血鬼狩りで滅ぼされるまで時間はかからなかったそうだ。

数の暴力という奴だな」

 

「(……そうか)」

 

セブンスターズは全員闇の力を扱う人間だと思い込んでいたが、まさか吸血鬼なんていうオカルトじみた存在が出てくるとは思わなかった。

和やかな笑みとは裏腹に内心はかなり冷や汗をかいている。

それを察している【星態龍】は同情の眼差しで聖星を見下ろした。

 

「そういえば今神楽坂って何勝したんだ?」

 

「18勝3敗。

だからあと誰かと2回デュエルしてお前とのゲームは終わりだ」

 

「あ、また1回負けたんだ」

 

以前十代から聞いた情報では十代と三沢に負けたはず。

3回目の黒星を与えた相手は誰だろう。

それが顔に出ていたのか神楽坂は相手の名を口にする。

 

「流石にカイザーには勝てなかった」

 

「結構対戦相手のレベルを上げたな。

というよりよく先輩と戦えたよな。

確か先輩とのデュエルって予約制で何か月も待たないといけないんじゃなかったっけ?」

 

「天上院さんやブルーの連中にはある程度勝てたからな。

カイザーとはたまたま十代とデュエルした時に出くわして、彼から面白そうだと申し込まれたんだ。

あの時は自分の耳を疑ったぜ」

 

「それ凄く分かる。

俺も丸藤先輩からデュエルしないか、って誘われた時心臓が止まるかと思った」

 

あの日の夜、PDAの画面にカイザーの顔が映った時は本当に心臓が止まるかと思ったものだ。

彼自身からデュエルを申し込まれ、それを理解した瞬間から心臓が高鳴った。

変な汗も流れてくるし、きっと対戦を申し込まれた神楽坂も同じ気持ちだったのだろう。

神楽坂とカイザーのデュエル内容を聞きながら聖星は朝食を平らげた。

 

**

 

朝食も終え、聖星は指定されたデュエルスペースに足を向けた。

人払いも完全に終わっており、ここにいるのは明日香と十代を除く鍵の所有者と鮫島校長のみだ。

クロノス教諭の姿も見え、彼はこれから何が起こるのか知らないようで不思議そうな表情をしている。

聖星はフィールドに立って皆に頼む。

 

「俺が今から行うデュエルはインダストリアルイリュージョン社が極秘に開発している新要素を使用します。

ですから今から見る事、聞く事はこの場にいる人達以外に他言無用でお願いします」

 

「新要素!?

一体それは何でス~ノ!??」

 

「え?」

 

真っ先に声を上げたのはクロノス教諭。

確か昨日保健室にはおらず、聖星が直接話せなかった人物。

しかしこの教室を借りるためカイザーが自ら伝えると言われたのだが。

聖星はカイザーを見上げ、恐る恐る尋ねる。

 

「丸藤先輩、確か先輩がクロノス教諭に伝えてくれるはずでしたよね?」

 

「俺が鮫島校長にこのデュエルの話をした時、校長から伝えると言われたのだが……」

 

「おっと、すっかり忘れていました」

 

「校長~~!」

 

観客席にいるクロノス教諭は隣に座っている鮫島校長に勢いよく顔を向ける。

しかし彼も聖職者だ、シンクロ召喚について知ったところで黙っていてくれるに違いない。

苦笑を浮かべた聖星はカイザーに頭を下げて距離をとる。

 

「ついに始まるか、シンクロ召喚を使用したデュエルが」

 

「あぁ」

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は丸藤先輩からお願いします」

 

「そうか。

ならば俺のターン、ドロー。

俺は手札から【プロト・サイバー・ドラゴン】を守備表示で召喚する。

カードを3枚伏せてターンエンド」

 

手札のカードを見下ろしたカイザーはすぐにモンスターを召喚し、自分のターンを終了させた。

場に現れたのは守備力600という数値を持つ機械族モンスター。

いくつものチューブが体中に繋がっており、エネルギーが送られている。

伏せてあるカードが3枚もある事に聖星は警戒しデッキからカードを引く。

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローしたカードを手札に加えた聖星は改めて自分の手札を見る。

手札に存在するのは以下のカードだ。

【調律】、【ジャンク・シンクロン】、【クイック・シンクロン】、【シンクロン・エクスプローラー】、【チューニング・サポーター】、【スターライト・ジャンクション】。

 

「(あ、これ何から始めよう)」

 

魔法・罠カードの除去カードはないがまぁまぁ良い手札と言えるだろう。

これ程のカードが揃ってしまえばどのような展開をすべきなのか迷ってしまう。

自分のエクストラデッキに存在するカードを確認して手順を考える。

 

「成程、遊星のデッキを真似たのか。

何故お前自身のデッキにしなかった?」

 

「(俺だって本当はあっちのデッキを使いたかったさ。

けどしょうがないだろう。

幻竜族はまだこの時代にないんだから)」

 

【アーカナイト・マジシャン】を使用した魔法使い族デッキを使用しようという考えはあった。

しかし、あのデッキの内容と自分の技量を考えて召喚出来るシンクロモンスターの数は限られている。

それに対し父のデッキ構築なら様々なレベルのモンスターを出す事が可能だろう。

幼い頃から相手をしているので戦術もある程度は理解できている。

 

「どうした、聖星?」

 

「すみません。

どのカードから発動しようか迷っているんです」

 

いつも以上に長考している後輩にカイザーは怪訝そうな表情を浮かべる。

返された言葉にそれ程シンクロ召喚とは難しいものなのかと思ってしまった。

 

「俺は手札からフィールド魔法【スターライト・ジャンクション】を発動」

 

発動するカードをカイザーに見せた聖星はすぐにそれをフィールドゾーンにセットする。

デュエルディスクがカードに埋め込まれているマイクロチップを読み込み、すぐに立体映像として映しだす。

七色の光は轟音と共に巨大な建物を次々と出現させていき、聖星とカイザーは巨大なハイウェイの上に立っていた。

ハイウェイの下にはネオンの光が輝き、至る所から何かが駆け抜ける音が聞こえてくる。

 

「これは……」

 

「クローバー型のジャンクションか」

 

始めて見るフィールド魔法の光景に万丈目達は周りを見渡す。

十代の【スカイスクレイパー】同様夜の街なのにネオンの輝きによってこの場所は明るい。

カイザーも少しだけ顔を動かしてこの景色を見渡した。

聖星は自分が立っているハイウェイを見下ろし、僅かに口角を上げる。

 

「ここは俺達がいる時代から数十年後をイメージした近未来の都市です。

人々は無限のエネルギーを手に入れ、夜でも常に光が満ち溢れています。

この都市で人々は新たな戦術を確立させ、迫力あるその戦術に熱狂しました」

 

「何?」

 

「これからお見せする戦術は人々を熱狂の渦に巻き込んだものの1つ。

ついてこられるよう頑張ってください。

尤も【神判】が入ったデッキと互角に戦える丸藤先輩だったら心配は無用ですね」

 

まるでカイザーを挑発するような声色と言葉遣いだ。

とても強気になっている聖星の台詞にカイザーも笑みを浮かべた。

 

「俺は手札から魔法カード、【調律】を発動。

このカードは俺のデッキから【シンクロン】と名の付くチューナーモンスターを1枚手札に加え、その後デッキの1番上のカードを墓地に送ります。

俺はチューナーモンスター【アンノウン・シンクロン】を手札に加えます」

 

「それがシンクロ召喚に使用するチューナーモンスターか」

 

「はい」

 

カイザーの問いかけに聖星は強く頷く。

一方観客席にいるクロノス教諭は万丈目と三沢に「チューナーとはなんです~の?」と小声で尋ねている。

万丈目は面倒くさそうに鮫島校長を見上げ、三沢は丁寧に説明し始める。

 

「【調律】の2つ目の効果。

デッキトップからカードを1枚墓地に送ります」

 

カード効果により1枚のカードを墓地に送る。

送られたカードは罠カード【くず鉄の像】である。

【スターダスト・ドラゴン】が描かれているカードが墓地に送られ、聖星は少し残念そうな顔を浮かべた。

 

「(どうせ墓地に罠が行くなら【ブレイクスルー・スキル】が良かった……)」

 

【くず鉄の像】にも墓地で効果を発動する能力はある。

しかし今の段階では全く使えない。

タイミングが悪いものだと思いながら聖星は【アンノウン・シンクロン】を掴む。

 

「相手の場のみモンスターが存在する時チューナーモンスター【アンノウン・シンクロン】は特殊召喚できます。

来い、【アンノウン・シンクロン】」

 

青い光と共に球体の機械モンスターが姿を現す。

それ自体から機械の信号が発せられ、聖星の前でゆっくりと上下に浮かんだり沈んだりしている。

その攻撃力は0で【プロト・サイバー・ドラゴン】を戦闘破壊する事など不可能だろう。

 

「手札のモンスターカード【チューニング・サポーター】を墓地に送り、チューナーモンスター【クイック・シンクロン】を特殊召喚します」

 

「はあ!」

 

「【クイック・シンクロン】は俺の手札のモンスターカードを墓地に送る事で手札から特殊召喚する事が出来ます。

さらにチューナーモンスター【ジャンク・シンクロン】を通常召喚」

 

「はっ!」

 

球体のモンスターの隣に丸みを帯びたデザインのモンスター達が並ぶ。

どれも攻撃力は低く、モンスターを戦闘破壊できるとは思えない。

しかし予めシンクロ召喚について聞かされていたカイザーは無表情でその3体を見つめていた。

 

「【ジャンク・シンクロン】の効果発動。

このカードが召喚に成功した時、墓地のレベル2以下のモンスターを特殊召喚します」

 

「さっきあいつは【クイック・シンクロン】の効果でモンスターを墓地に送っていたな」

 

「【調律】でも何かのカードが墓地に送られている。

もしかするとそのカードの可能性もある」

 

椅子に座りながら聖星の行動を予測する万丈目と三沢。

2人の会話が聞こえる聖星は三沢に対し心の中で首を横に振っていた。

もし父ならモンスターカードが墓地に送られていたかもしれないが、生憎自分にはそんな強運などない。

 

「【チューニング・サポーター】か。

確かレベルは1だったはずだ」

 

「その通りです。

蘇えれ、【チューニング・サポーター】」

 

【ジャンク・シンクロン】の隣に青い光が現れ、その光の中から【チューナーモンスター】が守備表示で特殊召喚される。

その守備力もまた低く、たったの300である。

 

「凄いな、たった1ターンでモンスターを4体も特殊召喚するとは……」

 

「確かに凄いがあんな雑魚モンスターがどうやって強力なモンスターになりやがるんだ?」

 

「シンクロ召喚とはチューナーという特性を持つモンスターを1体、それ以外のモンスターを最低でも1体は必要とする召喚法です。

今俺の場にはレベル5のチューナーモンスターの【クイック・シンクロン】、レベル1の非チューナーモンスター【チューニング・サポーター】が存在します」

 

「【アンノウン・シンクロン】と【ジャンク・シンクロン】は使用できないのか?」

 

「はい。

基本的にシンクロ召喚に使用できるチューナーモンスターは1体と決まっています。

そしてシンクロ召喚で呼べるモンスターは使用するモンスターのレベルの合計分。

2体のレベルの合計は6.

よって俺はエクストラデッキからレベル6のシンクロモンスターを特殊召喚する事が出来ます」

 

「エクストラデッキ?」

 

「あ、いや……

融合デッキを改名した名称です。

インダストリアルイリュージョン社はシンクロ召喚を公表すると同時に幾つか用語も変える予定なんです。

シンクロモンスターは融合デッキから特殊召喚されます。

融合デッキに融合モンスターではないカードが存在するのはおかしいので、今後はエクストラデッキと改名されるはずです。

他にも生贄がリリース、生贄召喚がアドバンス召喚になるはずです」

 

「新ルールに合わせて用語も変えるのか。

これは面白くなりそうだな」

 

新たなる召喚法にそれに伴って変わっていく用語。

確かにこれはデュエルモンスターズ界にとって革命同然な事だろう。

自分と対等に戦える相手がいない事に不満を覚えていたカイザーはこれが切っ掛けに相手が増える事を願った。

同時に自分も更なるステージに進めるかもしれないと淡い希望を抱いた。

そんな事など知らない聖星は宣言する。

 

「レベル1の【チューニング・サポーター】にレベル5の【クイック・シンクロン】をチューニング」

 

聞き慣れない言葉にカイザーや万丈目達は2体のモンスターを凝視する。

【クイック・シンクロン】は腰に下げている拳銃を手に取り、目の前に無数のカード達が姿を現す。

カードは回転し始め、その動きを青い目で見つめていた。

そして瞬時に1枚のカードを打ち抜き、【チューニング・サポーター】はハイウェイを舞い上がる。

それを追うように【クイック・シンクロン】が5つの星と5つの輪に姿を変える。

その星々は【チューニング・サポーター】に埋め込まれ、白い星は6つになった。

 

「集いし力が大地を貫く槍となる。

光さす道となれ、シンクロ召喚!」

 

ネオンの光に負けない緑色の光が轟音と共にハイウェイを照らし、その光の中から1体のモンスターが姿を現す。

ドリルを腕に備え付けているモンスターはゆっくりと顔を上げ回転しながら聖星の前に着地する。

 

「砕け、【ドリル・ウォリアー】!!」

 

「はっ!!」

 

着地した【ドリル・ウォリアー】のマフラーは風によって靡く。

その赤い瞳はただ敵である【プロト・サイバー・ドラゴン】とカイザーを映しだすだけである。

目の前に現れたレベル6の戦士にこの場にいる皆は目を見開く。

攻撃力100と700しかなかったモンスターが一瞬で攻撃力2400のモンスターに代わってしまった。

何度も聖星から聞いていたが実際に目にするのでは全く違う。

今までの常識からは考えられない存在に誰も言葉を発する事が出来なかった。

そんな中カイザーは知らないうちに口角を上げていた。

 

「【チューニング・サポーター】の効果発動」

 

「っ!」

 

言葉を失う皆に対し聖星は静かに効果を発動した。

現実に引き戻されたカイザー達は聖星に目を向ける。

 

「【チューニング・サポーター】はシンクロ召喚に使用された時、デッキからカードを1枚ドローします。

そしてフィールド魔法、【スターライト・ジャンクション】の効果発動。

俺の場に存在するチューナーモンスターをリリースする事で、デッキからレベルの異なる【シンクロン】と名の付くモンスターを1体特殊召喚します」

 

聖星の場にはレベル3の【ジャンク・シンクロン】とレベル1の【アンノウン・シンクロン】が存在する。

すると【アンノウン・シンクロン】の場が青い光で満ち溢れ、【アンノウン・シンクロン】は姿を消す。

 

「来い、【シンクロン・キャリアー】」

 

「はぁあ!」

 

レベル1のモンスターの代わりに現れたのはレベル2の【シンクロン・キャリアー】。

チューナーモンスターではないこのモンスターは今後のために必要なカードである。

 

「【シンクロン・キャリアー】の効果発動。

通常召喚に加え、【シンクロン】と名の付くモンスターを召喚する事が出来ます。

俺は【シンクロン・エクスプローラー】を召喚します」

 

【シンクロン・キャリアー】は自分のクレーンを地面に沈めた。

何かを掴んだのかゆっくりとロープを上げ、そこから【シンクロン・エクスプローラー】を釣り上げる。

 

「ハッ!」

 

新たに姿を現したのは丸いフォルムに赤いボディを持つ小型のモンスター。

着地した【シンクロン・エクスプローラー】の胴体にある穴に光が宿り、そこに墓地に存在するモンスターの姿が映し出される。

それは先程墓地に送られた【クイック・シンクロン】である。

 

「何?」

 

「【シンクロン・エクスプローラー】の効果です。

このカードが召喚に成功した時墓地に眠る【シンクロン】を特殊召喚します。

俺はレベル5チューナー、【クイック・シンクロン】を特殊召喚」

 

ただいま、というように姿を現した【クイック・シンクロン】は軽やかに着地する。

再び【クイック・シンクロン】がシンクロ召喚に使用されるのかと思った。

だが聖星は【ジャンク・シンクロン】に目をやり、視線を向けられた彼は小さく頷く。

 

「レベル2の【シンクロン・エクスプローラー】にレベル3の【ジャンク・シンクロン】をチューニング。

レベルの合計は5です」

 

「という事はレベル5のシンクロモンスターが来るのか」

 

「はい。

集いし星が新たな力を呼び起こす、光さす道となれ!

シンクロ召喚!」

 

ハイウェイの星空に姿を消したモンスター達は緑色の光と共に聖星の場に姿を現す。

 

「いでよ、【ジャンク・ウォリアー】!」

 

張り上げた声に呼応するように緑の光の中から【ジャンク・ウォリアー】が現れる。

一回転した彼は決めポーズを決め、【ドリル・ウォリアー】の隣に降り立つ。

 

「【ジャンク・ウォリアー】の効果発動。

このカードがシンクロ召喚に成功した時、俺の場に存在するレベル2以下のモンスターの攻撃力分攻撃力を上げます。

その効果にチェーンして【シンクロン・キャリアー】の効果が発動します」

 

【シンクロン・キャリアー】は自分の場に存在する【シンクロン】と名の付くモンスターが機械族または戦士族のシンクロ召喚に使用された時、自分の場に【シンクロン・トークン】を特殊召喚する効果を持つ。

【ジャンク・シンクロン】が戦士族である【ジャンク・ウォリアー】の素材となった事で効果が発動した。

 

「特殊召喚された【シンクロン・トークン】のレベルは2.

よって【ジャンク・ウォリアー】は【シンクロン・トークン】の攻撃力1000ポイント攻撃力が上がります」

 

新たなトークンが生まれたと同時に【ジャンク・ウォリアー】の体を光が包み、攻撃力が3300まで上昇する。

 

「そしてレベル2の【シンクロン・トークン】にレベル5の【クイック・シンクロン】をチューニング。

レベルの合計は7」

 

聖星の宣言に2体は身構え、先程のように光り輝く星となる。

【クイック・シンクロン】の5つの輪と星は【シンクロン・トークン】を取り囲み、中に埋め込まれる。

白い星の輝きは一瞬で増し、瞬時に緑の光へと変わっていく。

 

「集いし叫びが木霊の矢となり空を裂く。

光さす道となれ、シンクロ召喚。

いでよ【ジャンク・アーチャー】!」

 

3度目の緑の光の中から現れたのは巨大な弓矢を持つオレンジ色の戦士。

彼は左腕を前に突き出し、矢を引くように構える。

 

「【ジャンク・アーチャー】の効果発動。

1ターンに1度、エンドフェイズまで相手モンスターを除外します。

【プロト・サイバー・ドラゴン】を選択」

 

「罠発動、【サイバー・ネットワーク】」

 

「やっぱり伏せてあった……」

 

カイザーが発動したのは【サイバー・ドラゴン】が描かれている罠カード。

昨日聖星が渡したカードの1枚だ。

当然どんな効果を持つのか聖星は知っている。

だからこそ苦笑を浮かべた。

一方席に座ってデュエルを見守っている鮫島校長は目を見開いた。

 

「(【サイバー・ネットワーク】……

私の知らない【サイバー】関連のカード。

一体丸藤君はどこでそのカードを手に入れたというのだろうか)」

 

「俺の場に【サイバー・ドラゴン】が存在する時デッキに眠る光属性・機械族を除外する。

俺は【サイバー・ドラゴン】を除外する」

 

カイザーの背後に半透明の【サイバー・ドラゴン】が姿を出し、次元の歪みに吸い込まれていく。

それを眺めていた【ジャンク・アーチャー】は青い目で【プロト・サイバー・ドラゴン】を見つめ、青い矢を放つ。

矢を打たれた【プロト・サイバー・ドラゴン】は【サイバー・ドラゴン】と同じ歪みへと姿を消した。

 

「これで貴方の場にモンスターは存在しません。

【ドリル・ウォリアー】でダイレクトアタック」

 

名前を呼ばれた【ドリル・ウォリアー】はドリルを回転させながらカイザーに向かっていく。

勢いよく向かってくるモンスターに対しカイザーは静かに宣言する。

 

「罠発動、【攻撃の無力化】。

このターンのバトルフェイズを終了する」

 

「でしたら【ドリル・ウォリアー】の効果発動。

手札のカードを1枚墓地に送り、次の俺のターンのスタンバイフェイズまで除外します。

ターンエンド」

 

無表情のまま聖星の場に戻ってきた【ドリル・ウォリアー】はそのまま除外ゾーンへと行ってしまった。

その代わりに【プロト・サイバー・ドラゴン】が場に戻ってくる。

 

「俺のターン、ドロー。

【天使の施し】を発動する。

デッキからカードを3枚引き、2枚捨てる」

 

「(何を捨てたのか凄く怖いな……)」

 

まだ墓地利用という概念が薄いこの時代においてカイザーは見事にその墓地を活用している。

しかも昨日渡したカードは墓地でも効果を発動するものもある。

カードに愛されているカイザーなら先程捨てたカードがそれである可能性が高い。

警戒しながら聖星はカイザーを凝視した。

 

「ライフを半分支払い【サイバネティック・フュージョン・サポート】を発動。

このターン、融合を行うとき1度だけ場・墓地・手札から融合素材モンスターを選択する事が出来る。

俺は魔法カード【融合】を発動」

 

「【サイバネティック・フュージョン・サポート】を使ったっていう事はさっき墓地に捨てたのは……」

 

「聖星、お前の考えている通りだ。

俺が墓地に送ったのは【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】の2枚。

この2枚は墓地に存在する時【サイバー・ドラゴン】として扱う」

 

背後に現れたのは【サイバー・ドラゴン】と比べ鋭いフォルムをしている機械族モンスター達。

片方はオレンジ色のラインがボディに走っており、もう片方は黄緑色のラインがある。

この2枚はどちらも聖星が渡したカードだ。

早速使ってきたカイザーに背筋に冷たい汗が流れた。

 

「墓地の【サイバー・ドラゴン】、そして場に存在する【プロト・サイバー・ドラゴン】を融合し【サイバー・エンド・ドラゴン】を融合召喚する!!」

 

半透明だった【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】達は【サイバー・ドラゴン】として扱われている【プロト・サイバー・ドラゴン】の両側に並び紫色の渦の中に消えていく。

代わりに渦の中から光が溢れ出し、三首を持つ機械のドラゴンが姿を現す。

ネオンの光は銀色のボディによって反射し、夜空の下にいるせいか銀色の竜はいつも以上に恐怖を駆り立てる風貌をしている。

 

「魔法カード【天よりの宝札】を発動。

互いに手札が6枚になるようドローする」

 

「あ、ありがとうございます」

 

シンクロ召喚を連続して行ったため聖星の手札は0枚。

それが一気に6枚に増えて実に嬉しい限りだ。

だがカイザーも手札が増えた事で今以上にモンスターを特殊召喚しようと思えば出来るはず。

 

「【サイバー・エンド】、【ジャンク・アーチャー】に攻撃!

エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】は3つの首を【ジャンク・アーチャー】に向ける。

6つの眼に睨まれた【ジャンク・アーチャー】は怯んだのか若干後ろに下がってしまう。

その弱気になった瞬間を見逃さず【サイバー・エンド・ドラゴン】は熱戦を放った。

敵からの攻撃に【ジャンク・ウォリアー】と【シンクロン・キャリアー】は慌ててその場から離れる。

 

「グ、オォ!!」

 

攻撃を受けた【ジャンク・アーチャー】は一瞬で爆発し、聖星はライフが4000から2300に減少してしまう。

【ジャンク・ウォリアー】は【サイバー・エンド】を睨み付け、【シンクロン・キャリアー】は涙目で敵を見上げている。

微かに体が震えている。

そんなモンスターを静かに見ながらカイザーはデュエルを続けた。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー。

スタンバイフェイズ時、除外されている【ドリル・ウォリアー】が帰ってきます」

 

聖星の宣言通りに場に青い歪みが現れ、そこから【ドリル・ウォリアー】が現れる。

涙目になっている【シンクロン・キャリアー】の姿に怪訝そうな表情を浮かべたが、目の前に立ちはだかる巨大なモンスターの存在にどこか納得したようだ。

 

「そして【ドリル・ウォリアー】は戻って来た時、墓地に存在するモンスターカードを1枚手札に加える事が出来ます。

俺は【ジャンク・シンクロン】を選択します」

 

「墓地からレベル2以下のモンスターを特殊召喚するチューナーか。

今お前の場にはレベル2の【シンクロン・キャリアー】が存在する。

墓地にはレベル1の【チューニング・サポーター】とレベル2の【シンクロン・エクスプローラー】がいたはずだ。

これで最高レベル7のモンスターを呼べるという事か」

 

「そういう事になります」

 

カイザーの言葉に頷いた聖星は【ジャンク・シンクロン】を召喚する。

 

「【ジャンク・シンクロン】を召喚。

俺は【ジャンク・シンクロン】の効果でレベル1の【チューニング・サポーター】を守備表示で特殊召喚します」

 

ぽん、という可愛らしい音と共にフィールドに姿を現した【ジャンク・シンクロン】は自分の隣に墓地に繋がる道を作る。

そこからマフラーを巻いている【チューニング・サポーター】が飛び出してくる。

 

「レベル1の【チューニング・サポーター】とレベル2の【シンクロン・キャリアー】にレベル3の【ジャンク・シンクロン】をチューニング」

 

再び行われるシンクロ召喚に皆はどんなモンスターが召喚されるのか期待した。

今までのモンスターを見る限り、恐らく戦士族か機械族のシンクロモンスターが召喚されるはずだ。

しかし聖星が召喚するモンスターはそのどちらでもない。

 

「閉ざされた世界に眠りし古の龍。

今ここに目覚めろ、シンクロ召喚」

 

聖星の背後に立った光の柱は氷の柱へと変わり、その中から氷の体を持つドラゴンのようなモンスターが出現した。

凍り付いている体が触れたフィールドは次々に凍ってゆき、モンスターの吐息は氷の息だ。

 

「猛威を振るえ、【氷結界の龍ブリューナク】!」

 

「グォオオオオ!!」

 

体を震わせる程の雄叫びを上げた【ブリューナク】は【サイバー・エンド】を見上げる。

【ブリューナク】が呼吸する度に彼の口元の水蒸気は凍り付き、ハイウェイに氷の結晶が落ちていく。

氷の名を持つのに相応しいドラゴンの登場に三沢達は目を見開く。

 

「おいおい、まさかのドラゴンだと?」

 

「てっきりシンクロモンスターは【ウォリアー】と名の付くモンスターばかりかと思っていたが、こういうモンスターも存在するのか」

 

「ううう~、私の気のせいでしょ~か。

急に寒くなってきたノ~ネ」

 

開発されたばかりで数が少ないとは聞き、さらに聖星が今まで召喚したモンスターの姿形からシンクロモンスターは戦士や機械族のような姿をしていると思っていた。

良い意味で期待を裏切られた三沢達はその姿を目に焼き付ける。

一方クロノス教諭は自分の両腕をさすり、息を吐いて手を温める仕草をした。

 

「【氷結界のブリューナク】の効果発動。

手札を1枚捨て、場のカードを1枚丸藤先輩の手札に戻します。

【サイバー・エンド】を選択します」

 

「何!?

ならば罠発動【激流葬】!

場のモンスターを全て破壊する!」

 

【サイバー・エンド】は融合モンスターなので【ブリューナク】のバウンス効果では融合デッキに戻ってしまう。

このままではカイザーの場はがら空きになってしまい、ダイレクトアタックを受けるのは当然の事。

 

「あちゃ~

先輩の伏せカードも手札に戻すつもりだったのに、上手くいかないなぁ」

 

「伏せカードも?

まさか1ターンに使用できる回数の制限がないのか?」

 

「はい」

 

微笑んだまま肯定された疑問にカイザーは【激流葬】を発動して良かったと思った。

そして発動された【激流葬】のカードから凄まじい勢いで流水が溢れ出る。

水は聖星とカイザーの場のモンスターを全て飲み込み、次々と破壊していった。

シンクロモンスター達が破壊されていった姿に万丈目は笑みを浮かべる。

 

「よし、良いぞ。

聖星はこのターン通常召喚をした。

これ以上モンスターの召喚はないはずだ。

……と言いたいところだが」

 

「あぁ。

聖星はさっきのターン、モンスター自身の効果で何体ものモンスターを1ターンで召喚した。

手札はまだ8枚もある。

それに聖星のあの表情……

またモンスターを召喚してくるぞ」

 

万丈目の言葉を引き継ぐように三沢が冷静に同意する。

聖星は【激流葬】を発動されたというのに焦りの色が無かった。

カイザーがそのカードを発動するのを見越してはいなかったようだが、この状況を挽回出来る方法があるのだろう。

クロノス教諭と鮫島校長もその方法があるのが気になるのか聖星を凝視している。

 

「手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動。

手札の【ダンディライオン】を墓地に送り、デッキからレベル1のモンスターを特殊召喚します。

俺が召喚するのはチューナーモンスター【グローアップ・バルブ】」

 

「ブォ!」

 

デッキから現れたのは球根のような形をしているモンスター。

球根の部分に巨大な目があり、実に気味の悪いモンスターだ。

クロノス教諭は気味が悪いの~ね、とでも言うように表情を変えた。

だがこの見た目の割に【グローアップ・バルブ】は実に有能な効果を持ち合わせている。

すると【グローアップ・バルブ】の隣に2体のモンスターが特殊召喚される。

 

「何?」

 

「【ダンディライオン】の効果です。

このカードが墓地に送られた時、俺の場にレベル1の【綿毛トークン】を2体特殊召喚します。

さらに墓地に存在する闇属性の【ジャンク・シンクロン】を除外し、【輝白竜ワイバースター】を特殊召喚します」

 

「ぐわぁあ!」

 

新たに場に特殊召喚されたのは墓地に存在する闇属性を除外する事で特殊召喚が出来るドラゴン族モンスター。

白い翼を広げた【ワイバースター】は威嚇するように唸る。

 

「いきますよ。

レベル1の【綿毛トークン】1体とレベル4の【輝白竜ワイバースター】にレベル1の【グローアップ・バルブ】をチューニング」

 

レベルの合計は6.

次はどのようなモンスターが現れるのかカイザーは静かにシンクロ召喚の様子を見つめた。

6つの白い星は緑色の光に変わり、人の形になっていく。

 

「託された力により悪を滅ぼすための暴君となる。

力を振りかざせ、シンクロ召喚。

【ゴヨウ・ガーディアン】」

 

「はっ!」

 

どこからか和風なメロディが流れてきて、その音と共に歌舞伎役者のような風貌をしたモンスターが舞い降りる。

その攻撃力の数値にカイザーは目を見開いた。

 

「攻撃力2800!?

馬鹿な、俺の【サイバー・ツイン】と互角の攻撃力を持つレベル6のモンスターだと!?」

 

レベル6といえばだいたい攻撃力は2000~2500の数値となる。

その数値を超え、2800の攻撃力を持つモンスター等聞いた事もない。

自分が長年使っているモンスターと比較してその異常さが嫌でも分かる。

カイザーの様子に聖星は不敵に笑い静かに言う。

 

「こいつの怖さは攻撃力だけではありませんよ」

 

「随分と大した自信だな」

 

「バトルになれば分かります。

シンクロ素材になった【ワイバースター】の効果発動。

このカードが墓地に送られた時【暗黒竜コラプサーペント】をデッキから手札に加えます。

そして【ワイバースター】を除外し、【コラプサーペント】を特殊召喚します。

さらに墓地に存在する【グローアップ・バルブ】はデッキトップを墓地に送る事で特殊召喚出来ます」

 

次々に現れるモンスター達。

【激流葬】で場のモンスターが全て全滅したなど嘘のような光景だ。

黒い肉体を持つ竜に再び現れた球根のモンスター。

 

「お前の場には【綿毛トークン】がもう1体……

これでまたレベル6のモンスターを呼べるのか」

 

「いいえ、レベル8ですよ」

 

「何?」

 

「手札から【ドッペル・ウォリアー】を特殊召喚します」

 

「はっ!」

 

「【ドッペル・ウォリアー】は墓地からモンスターの特殊召喚に成功した時手札から特殊召喚出来るモンスター。

【ドッペル・ウォリアー】のレベルは2、よってレベルの合計は8です」

 

レベル8とは今までシンクロ召喚で出されたモンスターの中で最も高いレベルである。

レベル6でもあれ程強力な効果を持っているのだ。

8のモンスターとなるとどんな効果になるのか興味がわいてくる。

 

「レベル1の【綿毛トークン】とレベル2の【ドッペル・ウォリアー】、レベル4の【暗黒竜コラプサーペント】にレベル1の【グローアップ・バルブ】をチューニング」

 

飛び立った3体のモンスターの後を追いかけるよう【グローアップ・バルブ】も夜空に舞い上がる。

薄暗い夜空に何度目か分からない緑色の輝きが満ち溢れ、その光は銀色に変わっていく。

 

「星々の命を翼に宿す白銀の竜よ、一筋の閃光となり、世界を駆けろ!

シンクロ召喚!」

 

今までにない程の強い輝きを放った光は天の雲まで貫き、ハイウェイを揺らす轟音を轟かす。

夜のハイウェイを照らす白い光は1匹のドラゴンの姿に形を変えた。

 

「玲瓏たる輝き、【閃珖竜スターダスト】!」

 

「グルオオオオ!!」

 

純白の肉体に黄色の瞳、紫色の宝石を身にまとう姿はまさに美しいとしか言いようがなかった。

【ゴヨウ・ガーディアン】の数倍程の大きさを持つドラゴンはカイザーを見下ろし、聖星を守るように前に立つ。

守護を司る竜の美しさに三沢達は無意識のうちに言葉を零した。

 

「なんて綺麗なモンスターなんだ……」

 

「マンマミ~ヤ……」

 

「【暗黒竜コラプサーペント】の効果発動。

このカードが墓地に送られた時、デッキから【ワイバースター】を手札に加えます。

そして【ドッペル・ウォリアー】はシンクロ召喚に使用された時【ドッペル・トークン】を2体、特殊召喚します」

 

2体のシンクロモンスターの足元に現れたのは小柄のトークン。

その攻撃力は400と頼りないが、傍らには攻撃力2800の【ゴヨウ・ガーディアン】と2500の【閃珖竜スターダスト】が存在する。

 

「【閃珖竜スターダスト】、ダイレクトアタック」

 

静かな攻撃宣言に【スターダスト】は大きく口を開け、体中から力を集約させる。

流石にこのダイレクトアタックを受けるわけにはいかなかった。

 

「速攻魔法、【ダブル・サイクロン】を発動!

このカードは俺と君の場の魔法・罠カードを1枚ずつ破壊する!

俺が選択するのは【スターライト・ジャンクション】と【サイバー・ネットワーク】!」

 

「あ、しまった」

 

1枚のカードから放たれた突風はフィールドのハイウェイを破壊し、味気がないただのデュエルフィールドに戻ってしまう。

同時にカイザーの永続罠も破壊されてしまい、聖星は除外されているモンスターを思い浮かべる。

 

「【サイバー・ネットワーク】はフィールドから墓地に送られた時、除外されている機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚出来る」

 

カイザーの説明に三沢達は今までのデュエルを思い出す。

 

「今除外されている機械族・光属性モンスターといえば……」

 

「シニョール聖星の最初のターン【サイバー・ネットワーク】で除外された【サイバー・ドラゴン】。

【サイバネティック・フュージョン・サポート】の効果で除外された【プロト・サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】の4体なノ~ネ」

 

「現れろ!」

 

高く手を上げると上空から4つの歪みが出現し、そこから除外されていた機械族達が帰還してくる。

同時にカイザーの場に伏せてあった最後の伏せカードは【サイバー・ネットワーク】のデメリット効果により場からなくなる。

守備表示で召喚され壁となっているモンスター達に聖星は【スターダスト】を見上げた。

 

「だったら【スターダスト】は【プロト・サイバー・ドラゴン】、【ゴヨウ・ガーディアン】は【サイバー・ドラゴン】に攻撃」

 

大きく翼を羽ばたかせ、【スターダスト】は口から光を放つ。

その光は【プロト・サイバー・ドラゴン】を一瞬で鉄くずに変えてしまった。

【ゴヨウ・ガーディアン】は持っている十手で【サイバー・ドラゴン】を貫いて破壊した。

すると【ゴヨウ・ガーディアン】は砕け散った【サイバー・ドラゴン】の欠片を十手の縄で捕えた。

 

「どういう事だ?」

 

「【ゴヨウ・ガーディアン】の効果発動」

 

「っ!」

 

「このカードが戦闘で破壊し、墓地に送ったモンスターは俺のモンスターになります」

 

「何だと!?」

 

今までの中で最も驚いた表情を浮かべるカイザー。

その表情に気をよくしたのか【ゴヨウ・ガーディアン】は凶悪な笑みを浮かべ、聖星の前に【サイバー・ドラゴン】を引きずり出す。

敵の陣に連れてこられた屈辱からか【サイバー・ドラゴン】は無機質で甲高い音を鳴らしながら聖星を睨み付ける。

地味に怖い【サイバー・ドラゴン】に聖星は冷や汗を流した。

 

「カイザーの【サイバー・ドラゴン】が奪われた!?」

 

「攻撃力2800に破壊したモンスターを自分のモンスターにする……

なんて効果なんだ」

 

観客からの声に聖星は内心頷いた。

未来でも【ゴヨウ・ガーディアン】はその強さを認められ、禁止カード扱いとなっている。

高速化が進んでいる未来でも禁止扱いなのだ。

この時代でこの効果と攻撃力はかなり脅威だろう。

 

「悪いですけど丸藤先輩の【サイバー・ドラゴン】、利用させてもらいます」

 

「何?」

 

「【サイバー・ドラゴン】を丸藤先輩の手札に戻し、手札からチューナーモンスター【A・ジェネクス・バードマン】を特殊召喚します」

 

「なっ!

場のモンスターを手札に戻す事による特殊召喚だと!?」

 

「聖星の奴、奪ったモンスターの利用法まできちんと用意していたのか……」

 

「あぁ。

それにシンクロ召喚を主体にしているんだ。

例え低レベルのモンスターのコントロールを奪ったとしてもシンクロ召喚に使用すれば良い」

 

【サイバー・ドラゴン】の代わりに現れたのは鳥の頭を持つモンスター。

今聖星の場にはトークンが2体存在する。

新たに現れたチューナーモンスターの存在により次に何が行われるのかは嫌でも分かった。

 

「レベル1の【ドッペル・トークン】2体にレベル3の【ジェネクス・バードマン】をチューニング。

平和のために生まれた哀れな機械の鼓動。

殺戮を繰り返せ、シンクロ召喚。

【A・O・Jカタストル】」

 

新たに姿を現したのは生き物から、人の形からもかけ離れた容姿の機械族モンスター。

低い機械音と電子音を発しながら一歩一歩前に進んでいく。

その攻撃力は2200.

 

「ターンエンドです」

 

「俺のターン、ドロー」

 

攻撃力2800に2500,2200.

それに対し自分の場に存在するモンスターは【サイバー・ドラゴン・ドライ】と【ツヴァイ】のみ。

傍から見れば勝ち目のない状況だろう。

だがカイザーは自分が引いたカードを見て口角を上げる。

 

「魔法カード【未来融合】を発動」

 

「【未来融合】か……

嫌なカードを引きましたね」

 

【未来融合】とは融合モンスターを選択し、その素材となるモンスターを墓地に送る。

そして2ターン後に融合モンスターを場に特殊召喚する効果を持つ。

2ターンも待たなければいけないが墓地肥しも兼ねており、未来では禁止カード扱いとなっている。

 

「【サイバー・ツイン・ドラゴン】を選択し、デッキに眠る【サイバー・ドラゴン】を2体墓地に送る。

そして【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚」

 

召喚されたのは今までの【サイバー・ドラゴン】関連のモンスターとは異なり、かなり丸みを帯びているモンスター。

何処に目があるのか分からず、ただ体中にチューブが繋がれている。

 

「ギギッ……

ギギギッ……」

 

声なのかそれともボディの金属が擦れる音なのか分からない微かな音。

それを発しながら【サイバー・ドラゴン・コア】は赤く光りはじめる。

 

「【サイバー・ドラゴン・コア】が召喚に成功した時、俺はデッキから【サイバー】または【サイバネティック】と名の付く魔法・罠カードをデッキから手札に加える事が出来る。

俺が加えるのは【サイバー・リペア・プラント】だ」

 

「あ、やばい」

 

「【サイバー・リペア・プラント】は俺の墓地に【サイバー・ドラゴン】が存在する時発動できる。

デッキから機械族・光属性モンスターを手札に加える、または墓地から機械族・光属性モンスターをデッキに戻す。

俺はデッキから【サイバー・エルタニン】を手札に加える」

 

「ですよね」

 

カイザーが選択したのはレベル10の【サイバー】。

融合以外の高レベルモンスターのカードに鮫島校長は目を見開いていた。

そしてそのモンスターは特殊召喚モンスターで通常召喚することは出来ない。

【サイバー・エルタニン】を召喚する方法はただ1つ。

 

「俺は墓地に眠る【サイバー・ドラゴン】2体、【サイバー・エンド・ドラゴン】、場の【サイバー・ドラゴン・コア】、【ツヴァイ】、【ドライ】。

この6体を除外し、【サイバー・エルタニン】を特殊召喚する!!」

 

デュエルディスクの墓地が光り、守備表示のモンスター達もその光に包まれていく。

光の輝きは増し、聖星は腕でその光を遮ろうとする。

モンスター達を包み込む光は1つとなり、重苦しい重機の音が耳に届く。

輝きが収まるとそこには巨大な【サイバー・ドラゴン】の顔と5つの小型の顔があった。

 

「くっ……!」

 

「聖星。

このカードはお前に譲ってもらった1枚だ。

当然このカードの効果は知っているな」

 

「【サイバー・エルタニン】が特殊召喚に成功した時、場の表側表示のモンスターを全て墓地に送ります」

 

「そうだ」

 

カイザーが短く答えると6つの顔は大きく口を開き、収納されている銃口を【スターダスト】達に向ける。

自分達に向けられた事に【スターダスト】は翼を広げて空へと飛び立つ。

逃がさないとでもいうように【サイバー・エルタニン】の2つの顔は【スターダスト】を追いかけた。

 

「【サイバー・エルタニン】、コンステレイション・シージュ!」

 

効果を発動させる言葉がフィールドに木霊し、6つの顔は聖星の場のモンスター達を攻撃する。

これは墓地に送る効果であり、破壊効果ではない。

よって破壊を無効にする【スターダスト】達はなす術もなくフィールドから姿を消した。

 

「【スターダスト】!」

 

あっさりと場からいなくなってしまった友人に聖星は乾いた声しか出てこない。

場の状況が逆転した事に三沢は握りこぶしを作る。

 

「よし、聖星の場にカードは1枚もない!」

 

「ふん。

これで終わりか。

ま、カイザー相手に頑張ったというところか」

 

聖星の場に伏せカードもモンスターも存在しない。

そしてライフは2300.

【サイバー・エルタニン】は除外した機械族・光属性の数×500の攻撃力を持つ。

よって攻撃力は3000だ。

 

「【サイバー・エルタニン】、ドラコニス・アセンション!!」

 

小さな体に向けられる6つの銃口。

【サイバー・エルタニン】は標準を聖星に定め、一気に攻撃する。

向かってくる6つの光に聖星は目を細めた。

 

「手札から【速攻のかかし】を発動します」

 

手札のカードを1枚掴み、それを墓地に送る。

するとどこからか現れたのかブーストを用いて1体のかかしが聖星の代わりに全ての攻撃を受け止める。

攻撃の衝撃で壊れるどころか弾き返した【速攻のかかし】はそのままゆっくりと消えて行った。

 

「やはり手札に持っていたか」

 

「はい。

持っていなければ俺の負けでした」

 

「お前とのデュエルはこうでなくてはな。

カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

「俺のターンです」

 

カイザーの場に存在するのは攻撃力3000の【サイバー・エルタニン】。

自分を見下ろす12の瞳に聖星はどう打開するか考えた。

緊張気味にデッキからカードを引き、ゆっくりとそのカードを確認する。

 

「あ……」

 

聖星と今までデュエルを見守っていた【星態龍】達にしか聞こえないような小声。

僅かに届いた漏れた声に【星態龍】と【スターダスト】は互いの顔を見合わせる。

 

「どうした聖星」

 

「グルル……?」

 

「いや、何でもない」

 

そう微笑む聖星に2匹は引いたカードを見る。

それはとあるチューナーモンスターだ。

しかしそのチューナーモンスターで一体何をしようというのだ。

少し考えている【星態龍】に聖星は笑みを向けた。

 

「俺はチューナーモンスター【デブリ・ドラゴン】を召喚」

 

「ガァ!」

 

短く低い声で鳴いたのは小型の【スターダスト】に似ているドラゴン。

あまりに似た風貌にカイザーは【閃珖竜スターダスト】の関連カードかと考える。

 

「【デブリ・ドラゴン】は召喚に成功した時、墓地に存在する攻撃力500以下のモンスターを特殊召喚します。

攻撃力100の【チューニング・サポーター】を特殊召喚。

さらに速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動。

丸藤先輩の場にモンスターが存在し、攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚された時、同名カードを全て攻撃表示で特殊召喚出来ます。

さらに【ドッペル・ウォリアー】を手札から特殊召喚します」

 

デッキから取り出したのは2枚の【チューニング・サポーター】。

これで聖星の場は【ドッペル・ウォリアー】、【デブリ・ドラゴン】、3体の【チューニング・サポーター】が揃った。

【地獄の暴走召喚】はカイザーも場に存在する同名カードを特殊召喚出来るのだが、【サイバー・エルタニン】は生憎特殊召喚モンスターのため召喚する事が出来ない。

三沢と万丈目はレベルの合計を計算する。

 

「聖星の場にはレベル1の【チューニング・サポーター】が3体。

そしてレベル4の【デブリ・ドラゴン】、レベル2の【ドッペル・ウォリアー】……」

 

「レベルの合計は9.

結構高レベルなモンスターを出してきやがったな」

 

観客席から聞こえる万丈目の言葉に聖星は首を横に振る。

レベルは9ではなく11にする事も出来るのだ。

【デブリ・ドラゴン】の無効効果を受けていない2体の【チューニング・サポーター】は聖星に振り返り頷いた。

 

「【チューニング・サポーター】の効果。

このカードはシンクロ素材になる時、レベルを1から2に変更できます」

 

「何だと!?」

 

「俺は2体の【チューニング・サポーター】のレベルを1から2に変更。

これで場のモンスターのレベルは11」

 

「レベル11……!!」

 

「おいおい、そんなモンスターまで存在するのかよ!?」

 

デュエルモンスターズ界において最高レベルは12である。

それに届かないといえどもレベル11はかなりの高レベルに分類される。

静かに微笑んだ聖星は宣言した。

 

「行きますよ。

レベル1の【チューニング・サポーター】1体とレベル2となった【チューニング・サポーター】2体、レベル2の【ドッペル・ウォリアー】にレベル4の【デブリ・ドラゴン】をチューニング」

 

大きく手を上げ、同時に5体のモンスター達がフィールドを舞い上がる。

【デブリ・ドラゴン】は4つの星と輪になり、他のモンスター達は透明な姿となる。

白い小さな星は直列に並び、緑色の輝きに包まれる。

 

「有限の海に眠りし赤き星、灼熱の脈動を轟かせ、星々を統べる威光を示せ!

シンクロ召喚!」

 

頭上で輝く光は黄色が混じる赤に変わり、1つの球体が姿を現す。

赤黒く燃えている球体は静かに脈打ちながら真の姿を現す。

光っている赤い肉体は僅かに炎を宿し、無数の目はゆっくりと開き黄色の眼にフィールド全体を映しだす。

1つの球体から本来の姿に戻ったモンスターは炎を吐きながら翼を広げる。

その様子に聖星は自信に満ち溢れた表情で名を叫ぶ。

 

「喰らい尽くせ、【星態龍】!!」

 

「グガァアアアア!!!」

 

久しく呼ばれた己の名に喜ぶよう【星態龍】は咆哮する。

体中を震わせる咆哮、【サイバー・エルタニン】に劣らない巨大な肉体にカイザーは僅かに笑みを浮かべていた。

 

「攻撃力3200……

まだこんなモンスターがいたのか」

 

「でかい……」

 

「あぁ。

【スターダスト】の倍はあるはずだ」

 

三沢達も召喚された【星態龍】の大きさに驚き、その攻撃力にも目を見開いた。

聖星は自分の頭上に浮かんでいる友人を見上げ、小声で語りかける。

 

「こうやって君を出すのはいつ以来だっけ?」

 

「少なくともこの時代に来てから1度も召喚されていないな」

 

「じゃあ半年以上も召喚してないんだ。

言われてみればこの口上を言うの、凄く久しぶりな気がする……」

 

遊馬達の世界ではあの環境上、召喚する事が出来なかった。

そしてこの時代でも決して召喚しないと心に決めていたはずだった。

しかし現実は残酷で聖星にシンクロ召喚を使わせてしまった。

だがどんな経緯であれ【星態龍】と肩を並べて戦う事が出来るのだ。

聖星は静かに目を閉じ、カイザーに顔を向ける。

 

「【星態龍】、バトル!!」

 

聖星は今までにないくらい声を張り上げ、攻撃対象を指さす。

声の張り具合に聖星がどれ程本気か感じ取った【星態龍】はそれに応えるよう、最高の攻撃を仕掛ける。

体中を纏っている熱が口元に集まり、【サイバー・エルタニン】を蒸発させるほどの高温を生み出す。

 

「星崩烈火弾!!」

 

自分の技名と同時にエネルギーの塊である炎を吐き出す。

【サイバー・エルタニン】に向かってくる攻撃にカイザーは罠カードを発動させた。

 

「罠発動、【聖なるバリア‐ミラーフォース】!」

 

相手モンスターの攻撃宣言時、相手の場の攻撃表示モンスターを全て破壊するという罠カード。

カイザーはこれで【星態龍】が破壊されると思った。

だが【星態龍】の攻撃はバリアをすり抜け【サイバー・エルタニン】に直撃する。

 

「なっ、これはどういう事だ!?」

 

「無駄ですよ。

【星態龍】は攻撃するとき自身の効果以外のカードの効果を受け付けません」

 

「そういう効果だったのか」

 

頭上で炎に包まれた【サイバー・エルタニン】は地面に落下する前に蒸発し、消え去ってしまう。

これでカイザーのライフは2000から200マイナスされ1800となった。

カイザーの場には伏せカードしか存在せず、聖星の場には【星態龍】、そしてライフは2300。

またもや状況を逆転されてしまった。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

「俺のターン、ドロー

魔法カード【強欲な壺】を発動。

デッキからカードを2枚ドローする。

リバースカード、【異次元からの帰還】を発動。

ライフを半分支払い、除外されている俺のモンスターを可能な限り特殊召喚する」

 

「ここで【異次元からの帰還】ですか」

 

ライフが1800から900に削られてしまったが、帰ってくるモンスターを考えて見れば安い代償である。

今までにないくらい大きな歪みが発生し、そこから【サイバー・エンド】、【サイバー・ドラゴン】が2体、【サイバー・ドラゴン・コア】、【プロト・サイバー・ドラゴン】が特殊召喚された。

攻撃力4000のモンスターの再来に【星態龍】は低く唸り始めた。

 

「魔法カード【ソウル・テイカー】を発動。

お前の場のモンスターを1体、破壊する」

 

「永続罠、【安全地帯】を発動します。

これで【星態龍】はカードの効果では破壊されません」

 

【安全地帯】とはその名の通りモンスターを破壊から守るカード。

守る範囲が狭く、【安全地帯】が場から離れた時対象となったモンスターは破壊されるというデメリットを持つ。

だが【星態龍】を守るためには必要なカードだ。

 

「ならば【サイバー・エンド・ドラゴン】、【星態龍】に攻撃!

エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

「リバースカード、【くず鉄のかかし】。

そのバトルを無効にします」

 

放たれた3つの光は【星態龍】を貫こうとするが、罠カードから1つのかかしが現れ一身にその攻撃を受け止める。

【サイバー・エンド】の攻撃が無効にされた事でカイザーは少しだけ悔しそうな顔を浮かべた。

 

「そして発動後、このカードは再びセットされます」

 

「再び使用できる罠カードか……

そのカードはこのターンではもう使用できないのか?」

 

「はい。

流石に1ターンに何度でも使えるカードではありません」

 

「そうか。

それを聞いて安心した」

 

カイザーが零した意味ありげな言葉に聖星は身構える。

もしこの発言が他のイエロー寮の生徒だったらそこまで警戒はしない。

だが今自分が相手をしているのはカイザーだ。

何度もデュエルをし、こういう声色で喋った時の彼は必ず何かを仕掛けてくる。

学習済みだからこそ聖星は身構えた。

 

「手札から速攻魔法【瞬間融合】を発動!

【サイバー・ドラゴン】となっている【サイバー・ドラゴン・コア】、【プロト・サイバー・ドラゴン】を融合し、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合召喚する!!」

 

「キシャアアア!!!」

 

「【サイバー・ツイン・ドラゴン】、【星態龍】に攻撃!!」

 

「え?

攻撃力は【星態龍】が上なのに……

まさか手札に……!」

 

「その通りだ!

速攻魔法【リミッター解除】!

俺の機械族モンスターの攻撃力は2倍になる!!

これで【サイバー・ツイン・ドラゴン】の攻撃力は5600だ!」

 

「っ!!」

 

カイザーの言葉に聖星は悔しそうに顔を歪める。

【星態龍】の攻撃力は3200.

そして聖星のライフは2300.

【サイバー・ツイン・ドラゴン】の5600では僅かに足りない。

 

「エヴォリューション・ツイン・バーストォオ!!」

 

カイザーの声がフィールドに響き渡り、それに続いて【サイバー・ツイン・ドラゴン】の攻撃が【星態龍】を貫く音が聞こえてくる。

数秒遅れて【星態龍】は爆発し、爆風と炎は聖星を襲う。

体中にまとわりつく熱風を感じながら聖星はデュエルディスクが0の数字を表示するのを見つめた。

 

「……凄く悔しいな、これ」

 

久しぶりに【星態龍】を召喚したというのに、あまり活躍させる事も出来ず敗北してしまった。

やっと場に出す事が出来、見るからにやる気満々だった【星態龍】に申し訳がない。

しかし負けは負けだ。

気持ちを切り替えた聖星はカイザーを真っ直ぐ見て微笑んだ。

 

「ありがとうございます、丸藤先輩。

良いデュエルでした」

 

「それは俺の台詞だ。

シンクロ召喚か……

毎ターンあれ程モンスターを召喚されるのは確かに脅威だな」

 

「はい」

 

互いに微笑みながら言葉を交わしていたが、脅威という言葉に聖星は真剣な顔つきになる。

席に座っている万丈目達を見ればカイザーの勝ちにどうやら安心しているようだ。

 

「皆、これがシンクロ召喚だ」

 

固い声で投げかけられた言葉。

瞬時に三沢達も硬い表情になり聖星の言葉に耳を傾ける。

 

「さっきのデュエルのようにシンクロ召喚は使いこなせば1ターンにモンスターが何体でも召喚出来る。

もしセブンスターズがシンクロ召喚を使って来たら一筋縄ではいかない。

でも、もしかしたら使わないかもしれない。

それを覚えておいてほしいんだ」

 

「今回のデュエルでシンクロ召喚の事はだいたい分かった。

デッキ構築の参考にさせてもらうよ」

 

「ふん。

あの程度の展開力、俺の実力なら簡単に蹴散らせる。

ま、知らんよりはマシだろう。

貴様の言う通り、覚えておく」

 

「低レベルモンスターの寄せ集めがあれ程の強力なモンスターになるとは信じられないノ~ネ。

インダストリアルイリュージョン社も素晴らしい物を発明したノ~ネ。

しかしこのクロノス・デ・メディチ、例え道場破り達がそのようなカードを使っても負ける気はありません~ノ」

 

いつも以上に険しい表情を浮かべる三沢に強気な発言をする万丈目。

クロノス教諭もシンクロ召喚の高速回転は理解できたのか肝に銘じているようだ。

今回のデュエルが無駄にならなくて良かったと安心した聖星はこれからの予定を思い出す。

 

「(吸血鬼か……

はっきり言ってそんなに関わりたくないな……)」

 

行方不明になっている社員に、セブンスターズがシンクロ召喚を使うか否か、そして苦手な怪談めいた敵の登場。

キリキリと痛むお腹をおさえながら聖星はため息をついた。

 

END

 




カミューラ様は次回に活躍します(顔を逸らす)
【ヴァンパイア】とのデュエル構成よりこっちのデュエル構成が楽っていったいどういう事なんだろう
書いている自分が1番の驚きです

聖星のデッキはシンクロン・エクストリーム寄りの【白黒ジャンド】です
【ラッシュ・ウォリアー】とか出したかったけど難しいですね
【リミットオーバー・ドライブ】は出す気なしです

あと聖星の初手、あれが最善ですよね?
私の頭脳ではあれが最善の手順でした

いつかは大人遊星vs聖星のデュエルを書きたいです

【DDB】を使わなかったのは聖星なりの優しさです
流石にあれはあかん

普段の聖星は【竜星】の効果をフルに活用して【星態龍】を強化して召喚しているので、基本【星態龍】は無敵です
ですが今回は付加効果なんて一切ないので罠で守るのが基本
まあ、守れてないけどね!

【おジャマ・イエロー】が十代の事を何と呼んでいたのか凄くあやふやです
十代の兄貴って呼んでいたのって2期のホワイトサンダー戦からだって……

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