遊戯王GX~不動の名を継ぐ魔導書使い~   作:勇紅

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第九話 本当のデビュー戦

イエローへと昇格してから数日。

大分イエローの雰囲気にも慣れてきた。

だがどちらかというと最初から身を置いていたレッド寮の方が妙に落ち着く。

人間は最初の環境に馴染みやすいというがまさしくそうである。

それでよくレッド寮に入り浸っているが今日は珍しく十代と翔、そして隼人がイエローの部屋まで来ていた。

 

「聖星、今日俺達の寮で怪談するつもりなんだ。

お前も来いよ」

 

「止めて、俺怪談とかダメなんだ」

 

「俺もなんだな!

……でもちょっと聞いてみたいんだな」

 

「隼人……」

 

聖星は隣にいる隼人になんとも言えない表情を浮かべ、自分を怪談に誘った十代に視線を移す。

どうやら彼等は今晩レッド寮の食堂で怪談を話すつもりらしい。

発案者の十代と翔はやる気満々で、意地でも聖星を参加させる気のようだ。

しかし先ほど言ったとおり聖星は怪談がダメである。

 

「やるなら3人でやってくれないか?

俺、本当にダメだから」

 

「えぇ、聖星君もやろうよ。

どうせ大した話じゃないんすから」

 

それでも断固お断りである。

笑顔で首を振る聖星に翔はやろうと誘う。

あぁ、これでは埒があかない。

聖星は大きくため息をつき、笑顔のままとある提案を出す。

 

「分かった。

じゃあ翔、俺にデュエルで勝ったら参加する。

どう?」

 

「聖星君と!?

そんなの勝てっこないっす!」

 

持ち出された提案に翔は即行首を左右に振った。

なんたって聖星は自分達より格上のブルーに勝つほどの実力者だ。

入学試験でもノーダメージで勝ち、龍牙とのデュエルでも高いプレイングを見せてくれた。

しかもラー・イエローへ昇格。

入学して1ヶ月程度だが、彼は自分より強いと知るには充分すぎる時間である。

 

「なら参加しない」

 

「良いじゃないすか、怪談くらい」

 

「翔、無理に誘うのも悪いぜ。

じゃあ俺達3人で楽しむから」

 

「あぁ」

 

良かった、十代は物分かりがいい人で。

そう思った聖星は部屋の扉を閉め、デッキを組む。

 

「今度はどんなデッキを作っているんだ?」

 

「【墓守魔導】」

 

「墓地を封じる気か」

 

「結構面白いと思うぜ」

 

確かこの時代の【墓守】デッキは【墓守の長】を主軸にするものが多かったはずだ。

そもそも【墓守】の基本的なステータスが低いため、見向きもされていない場合も多い。

墓地封じの【ネクロバレー】はかなり強力だと思うのだが……

仮にこのデッキを遊星相手に使用したら確実に眉間に皺が寄るだろう。

いや、【ボルトヘッジホッグ】や【レベル・スティーラー】がいるから【ジャンク・デストロイヤー】を出されて一掃されるか。

 

「そうか。

そういえば丸藤という男とのデュエルはどうした?」

 

「しようと思ったんだけど、なんだか予約制らしくて。

結構待つらしい」

 

「デュエルするのに予約がいるのか?」

 

「まぁ、学園一だからそれなりに大変だろう」

 

初めはカイザーと直接会ってデュエルしようと思ったが、ブルー寮に行った途端門前払いになったのだ。

そこで彼とのデュエルは予約が必要であり、それがこの学園のルールなら仕方がないと割り切り予約した。

だがその予約が酷い。

2か月待ちとか普通じゃない。

プロデュエリストでもないただの学生とのデュエルにここまで待たされるとは流石カイザー。

 

**

 

それから次の日。

普通に授業も終わり、今日の課題も終えた聖星はデッキを広げていた。

そこにあるのは2つのデッキで1つは全力のデッキ。

もう1つは昨日考案した【墓守魔導】である。

 

「それにしても、十代の奴。

用事って何なんだろうな」

 

「大徳寺から教えてもらった穴場だと言っていたな」

 

本当は授業の後すぐに十代にデュエルを申し込み、このデッキを回すつもりだった。

だが十代は今晩する事が有り、その準備の為早々レッド寮に帰ったらしい。

自分も参加したかったのは本音だが、十代の「お前怪談苦手だろ?」という言葉に強く頷いた。

仲間外れは嫌だが、怪談に付き合いのはもっと嫌だ。

 

「おい、聖星。

PDAが鳴っているぞ」

 

「本当だ」

 

机の上に置いてあるPDA.

一体誰からだと思いながら画面を開くと、カイザーの顔が映り思わず素っ頓狂な声を出してしまう。

 

「ま、丸藤先輩?」

 

「夜分にすまない。

君がわざわざブルー寮に足を運んでくれたと後輩から聞いてな。

もし君の都合が良ければ今からデュエルはどうだ?」

 

「良いんですか?

俺、予約しちゃいましたよ」

 

「あぁ、構わない。

それとも今夜は都合が悪いか?」

 

「いえ、そんな事はありません」

 

「そうか。

こちらから勝手に指定して悪いが、場所はアカデミアの灯台だ。

待っている」

 

そう言うとカイザーは一言述べ、聖星が返事をするとすぐに切ってしまう。

何も映らなくなったDPAの画面をただ見つめているだけ。

聖星は何度か深呼吸をし、この高鳴る鼓動を落ち着かせた。

まさかカイザーからデュエルの誘いがあったなどこれは現実だろうか。

学園一のデュエリストといわれる人物からのお誘いに感情が高まる。

自然と手が震え、口元が弧を描いてしまう。

 

「良かったじゃないか。

そいつらを早々に表舞台に出すことが出来て」

 

「あぁ」

 

一体、彼らを出すのは何か月ぶりだろう。

遊馬とアストラルのデュエルを見届け。

別れのデュエルをして。

この時代に迷い込んできて……

もう何か月もこのデッキを使わなかった。

下手をすれば半年以上使っていない。

それを遂に使う時が来たのだ。

 

「あ、そうだ。

十代にも一応伝えておこうか」

 

「あいつらは用事があるのだろう。

伝えて大丈夫なのか?」

 

「来るか来ないかは十代に任せるさ」

 

デッキケースからデッキを取出し、デュエルディスクにセットする。

そしてPDAで十代にカイザーとのデュエルの旨をメールで送る。

送ってすぐに部屋を出たが、鍵を閉めると同時に十代から返信が来た。

『今すぐ行くから待ってろ!!』

何とも十代らしいメールだ。

これを打っている時の十代の姿が簡単に想像できて、聖星はつい笑ってしまう。

 

**

 

カイザーに誘われた場所。

船を導くためにライトが光っている灯台に来た聖星は目的の人物を見た。

カイザーは腕を組みながら待っていたようで、すぐに聖星に歩み寄る。

 

「突然の申し出を受け入れてくれて感謝する。

ありがとう」

 

「いえ。

こちらこそデュエルに誘って頂けてとても嬉しいです」

 

軽くお辞儀をした聖星は少しだけ周りを見渡す。

どうやら十代達はまだのようで姿が見えない。

折角誘ったのだから、カイザーには悪いが暫く待ってもらうか。

そう思って口を開こうとすると、慌ただしい足音が聞こえ、森の中から十代達が顔を出す。

 

「ぷはぁ~、疲れたっす!」

 

「……あそこからここまではキツイんだな……」

 

「何だよ翔、隼人。

根性ねぇぞ。

あ、聖星~!

デュエル始まったか??」

 

「いや、俺も今来たところ」

 

「確か……

彼はクロノス教諭を破った遊城十代だったな。

それに翔も一緒か」

 

「もしかして余計でした?」

 

「いや、構わない」

 

もしかすると人目を気にするデュエルだっただろうか。

こんな時間、しかも人気が少ない灯台を選んだのだ。

少し配慮が足らなかっただろうかと思ったが、特に気にした様子もなく首を横に振られた。

 

「では、早速……」

 

「あぁ。

君の全力、楽しみにしている」

 

「こちらも、学園一の実力がどれ程のものか楽しみです」

 

2人は距離を取り、デュエルディスクを構える。

そして何も言わず視線が交わると同時に叫んだ。

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻はもらいます、ドロー」

 

デッキからカードを引く聖星。

さて、久しぶりの全力のデュエル。

手札には何が来ているのだろうか。

ゆっくりと手札を確認すると、このデッキもやる気満々だと言うのが手に取るようにわかった。

 

「(手札がいきなりこれ?

……だったら、やるしかないな。)

俺は手札から速攻魔法【魔導書の神判】を発動します」

 

「【魔導書の神判】?」

 

「え、なんすかあのカード?」

 

「俺とのデュエルで今まで1度も使った事がないカード?

マジかよ、聖星の奴まだあんな【魔導書】を持ってたのか!」

 

「一体どんな効果なんだな……」

 

聖星が発動したカードに4人は似たような反応をする。

そう、これが今まで使うのを躊躇っていた【魔導書】だ。

カイザーとギャラリーの言葉を耳にしながら効果を説明する。

 

「このカードはエンドフェイズ時、発動したターンの間に使用した魔法カードの枚数までデッキから【魔導書】を手札に加えます」

 

「使用した魔法カードの枚数まで……

まさか、このターンで大量に手札を使用してもエンドフェイズ時に手札が回復するというのか?」

 

「その通りです」

 

【魔導書】デッキの核となる【魔導書】をサーチする効果。

しかも枚数は発動した数までなら自由に選択でき、種類さえも自分の意のままだ。

その時の状況によって除去カード、強化カード、サーチカード、または全てを瞬時に手札に加える。

相手がハンデス等に特化したデッキでなければ、悲惨な未来があっさりと見えるだろう。

だが【魔導書の神判】の効果はそれだけではない。

 

「そして、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できます」

 

「サーチだけではなく、特殊召喚まで……

成程、手札だけではなく場まで整えるカードという事か」

 

この説明を1度聞いただけで理解できたようで聖星は内心助かったと零す。

凌牙とカイト、璃緒はすぐに理解してくれたのだが……

遊馬はアストラルの解説でやっと理解し、クラスメイトは全く理解できなかった。

まぁデュエルでその恐ろしさを理解させたが。

 

「次に俺は魔法カード【一時休戦】を発動します。

互いにデッキからカードを1枚ドローします」

 

「龍牙先生との制裁デュエルで使用したカードか。

確かダメージを0にする効果もあったな」

 

「はい」

 

【魔導書の神判】は確かに強力だ。

だが、それはあくまで次に自分のターンが回ってくることを前提とした話。

相手のターンに1キルされてしまえば意味がない。

それを防ぐために【一時休戦】は大いに役立っている。

 

「俺は【魔導書士バテル】を守備表示に召喚。

この瞬間、【バテル】の効果発動。

このカードが召喚に成功した時、デッキから【魔導書】と名のつく魔法カードを1枚手札に加えます。

俺は【グリモの魔導書】をサーチ。

【グリモの魔導書】を発動。

デッキから【セフェルの魔導書】を手札に加えます」

 

【グリモ】と【セフェル】。

更に場には魔法使い族の【バテル】。

あまりにも見慣れた光景に十代達は次に何のカードが発動されるのか容易に想像できた。

 

「そして【セフェルの魔導書】を発動します。

このカードは俺の場に魔法使い族モンスターが存在する時、手札の【魔導書】を見せる事で発動できます。

墓地に存在する通常魔法の【魔導書】の効果を得ます。

俺はフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】を見せます」

 

「墓地の通常魔法。

つまり君はもう1度【グリモの魔導書】を使えるという事か」

 

「はい。

俺は【グリモの魔導書】を選択。

デッキから【ゲーテの魔導書】を加えます。

そしてフィールド魔法、【魔導書院ラメイソン】を発動」

 

聖星がフィールド魔法を発動すると轟音が響き渡り、灯台が光に満ち溢れる。

するといくつもの球体が現れ、それらは踊るように空中に舞い上がる。

四方に広がった球体は魔力を放ち、聖星の背後から巨大な建物が現れた。

 

「俺はカードを3枚伏せます。

そしてエンドフェイズ時、【魔導書の神判】の効果が発動します」

 

「このターン使用された魔法カードは4枚だったな」

 

「はい。

俺はデッキから【グリモの魔導書】、【魔導書廊エトワール】、【ヒュグロの魔導書】を手札に加えます」

 

「何、3枚だと?」

 

聖星が加えたカードの枚数を聞き、カイザーは怪訝そうな表情を浮かべる。

今、彼の手札は1枚。

仮に4枚全て加えたとしても手札は5枚となり、手札制限にはひっかからない。

幾度もなく彼のデュエルを見たり聞いたりしたが、デッキに存在する【魔導書】の種類が少ないわけではない。

一体何を考えているのか分からなかった。

怪訝そうな表情のカイザーに聖星は微笑み、次の効果を発動した。

 

「そしてこの瞬間、【魔導書の神判】のもう1つの効果発動。

俺は3枚手札に加えた事により、デッキからレベル3の【魔導教士システィ】を特殊召喚します」

 

デッキから現れたのは初老の女性。

緑色の衣服を身にまとい、両手には短剣と天秤を模した杖を持っている。

彼女の攻撃力は1600で高くもなければ、低くもない。

一体どんな効果を持っているのか期待していると、【システィ】が淡い光に包まれる。

 

「【魔導教士システィ】の効果。

【魔導書】を発動したターンのエンドフェイズ時、このカードを除外する事でデッキから【魔導書】とレベル5以上の光属性または闇属性の魔法使い族を手札に加えます。

エンドレス・アンジェ」

 

【システィ】は短剣を地面に突き刺し、天秤の杖を前に突き出す。

杖はそのまま浮かび上がり、【システィ】は祈るように膝をついた。

すると天秤の左右に【魔導書】のカードと1枚の魔法使い族のカードが現れる。

2枚のカードが現れると彼女は光の中に姿を消してしまった。

 

「俺は【魔導書の神判】とレベル7の光属性【魔導法士ジュノン】を手札に加えます」

 

「最上級モンスターを加えたか……」

 

「ターンエンドです」

 

手札に加わった魔法使い族のカードをカイザーは思い出す。

魔法使い族は武藤遊戯の影響か様々なデュエリストが使用している種族だ。

幾度となく魔法使い族の使い手と戦った事はあるが、あのカードは全く知らないカードだ。

それは十代も同じようで目を輝かせながら両手の拳を握りしめる。

 

「すっげぇ、すっげぇ!

聖星の奴、まだあんな魔法使い族を持ってたのかよ!」

 

「十代、お前は知らなかったのか?」

 

「あぁ。

あの【システィ】も【ジュノン】も初めて見るカードだぜ!

どんなカードなんだろうな。

戦ってみてぇなぁ!

でも、あのモンスターどっかで見た事あるなぁ」

 

【システィ】の効果を聞いた瞬間、【魔導書】には必要な効果だとすぐに分かった。

【魔導書】で動かすために必要な魔法カードのサーチ、そして上級モンスターを手札に呼び込む。

どんな手段であの上級モンスターを特殊召喚するのか十代は楽しみで仕方がない。

テンションが無駄に高い十代に対し翔はカイザーに目をやり、小さく呟いた。

 

「確かに見た事もない魔法使い族……

でも、それでお兄さんに勝てるわけないよ」

 

その瞳にあるのは絶対的な自信。

だけど胸を張るような立派な自信ではなく、どこか悲しげな自信だった。

この時の翔の声色はとても弱々しかったが十代の耳に届くには十分だった。

 

「え、カイザーってお前の兄ちゃんなの!?」

 

「えっ!?

あ、そ、そうだけど……」

 

十代からの問いかけに翔は弱々しく返す。

その言葉は聖星にも聞こえており、そういえば2人の名字は同じだったなと思いだす。

 

「俺のターン。

俺は手札から魔法カード、【大嵐】を発動」

 

「え?」

 

パードゥンミー?

思わずそう口から出そうだった聖星はカイザーの場に現れたカードを凝視する。

間違いない、あれは【大嵐】だ。

ある意味この状況で出て欲しくなかった【大嵐】だ。

 

「場の魔法・罠カードを全て破壊する」

 

分かりきっている効果を説明され、聖星は目を見開く。

今彼がどんな心境なのか嫌でも分かった隼人は冷静に解説した。

 

「聖星は【神判】で加わるカードのせいで手札が6枚以上になる。

だからカードを墓地に捨てないため、手札のカードを伏せた。

つまりあのカード達は罠カードじゃない可能性が高いんだな」

 

「つまり【ネクロの魔導書】とか相手のターンに使えない【魔導書】のカードだって事だろ?

それを破壊されたら聖星には辛いなぁ」

 

サーチ系のカードは先ほどのターンで使い切り、【魔導書の神判】で補充しているためその点では心配はない。

しかし伏せているカードは高い確率で【魔導書】。

ただでさえ魔法カードは1度墓地に行くと回収しづらいのに、デッキの核をいきなり破壊されるなど痛手としか言いようがない。

するとカイザーと聖星の場に轟音と共に凄まじい強風が吹き荒れる。

カイザーのコートは大きく音を立てながら靡き、海も荒れ狂う。

カードが風によって表になろうとした時、聖星が冷静に言った。

 

「リバースカード、オープン速攻魔法【ゲーテの魔導書】を発動」

 

「明日香とのデュエルに使用したカードか」

 

「はい。

墓地に存在する【グリモ】と【セフェルの魔導書】をゲームから除外し、モンスターの表示形式を変更します」

 

「表示形式を?」

 

今、フィールドに存在するは守備表示の【バテル】だけ。

つまり表示形式を変更するのは【バテル】となり、守備表示の彼を変えて意味があるとは思えなかった。

カイザーが怪訝そうな表情を浮かべているが、聖星はただ微笑むだけだ。

 

「更にチェーンして速攻魔法、【魔導書の神判】を発動!」

 

「っ!

成程、手札に2枚あったのか」

 

「このデッキも久しぶりにデュエルが出来て嬉しいんですよ」

 

これでこのターンのエンドフェイズ時、聖星はカイザーが発動した魔法カードの分までデッキから【魔導書】を加えることが出来る。

すると【バテル】が【ゲーテの魔導書】の効果で表側表示から裏側表示へと変わっていく。

チェーンで発動されたカードの処理を終えた事で【大嵐】が全ての魔法・罠カードを飲み込んだ。

当然、その中にはフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】も入っている。

 

「この瞬間、【魔導書院ラメイソン】の効果が発動します。

このカードが相手によって破壊された時、墓地に存在する【魔導書】の枚数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスターを1体特殊召喚します。

俺の墓地に存在するのは【魔導書の神判】2枚、【魔導書院ラメイソン】、【ゲーテの魔導書】が1枚。

よって4枚。

俺は【魔導教士システィ】を守備表示で特殊召喚します」

 

破壊されたはずの【ラメイソン】は4つの魔力の塊を残し、そのうち3つが合わさって【システィ】へと変わる。

特殊召喚されたモンスターの効果を思い出しカイザーは確認の意味を兼ねて言う。

 

「君はこのターン【ゲーテの魔導書】と【魔導書の神判】を発動した。

つまりサーチ効果の発動条件はクリアしているという事か」

 

「はい」

 

「そうか……」

 

既に聖星の手札には上級モンスターが握られている。

このまま【システィ】を場に残し、再び【魔導書】と上級モンスターを握られるのは厄介だ。

となると彼が最優先にすべきことは……

 

「俺は手札から【パワー・ボンド】を発動。

手札の【サイバー・ドラゴン】3体を融合。

融合召喚、【サイバー・エンド・ドラゴン】!!」

 

「は?」

 

カイザーは高らかに宣言し、自分の持つ手札を4枚見せる。

そこには彼の宣言した通り3枚の【サイバー・ドラゴン】と機械族専用の融合カード【パワー・ボンド】があった。

フィールドに機械龍が3体並び、歪みの中に吸い込まれる。

すると歪みの中から光が溢れだし、3つ首のドラゴンが歪みの中から現れた。

 

「凄い……

初手に正規融合の素材と融合カードがくるなんて、普通じゃないだろ。

しかも全部同名カード……」

 

 

聖星はゆっくりと特殊召喚された【サイバー・エンド・ドラゴン】を見上げる。

月光で反射される銀色のボディに、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を超える大きさ。

感情を宿さない無機質な瞳がある種の恐怖を掻きたてる。

その攻撃力は4000.

だが、まだ終わらない。

 

「【パワー・ボンド】の効果により、このカードで融合召喚された【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力は2倍になる」

 

「つまり攻撃力8000という事ですね」

 

「そういう事だ」

 

静かに返す聖星と答えるカイザー。

互いにあまりデュエル中で声を荒げない部類のせいか、淡々とデュエルをしているようにしか思えない。

しかし互い、特に聖星がまとっている雰囲気が真剣そのものでどこか迫力のあるデュエルだ。

一方、デュエルを見ている十代は嬉しそうに言う。

 

「すげぇ、攻撃力8000とか普通じゃねぇぜ!

俺、そんな攻撃力を持つモンスター初めて見た!」

 

「この勝負、お兄さんの勝ちっす」

 

「そうなんだな」

 

「は?

何でだよ。

聖星のモンスターは守備表示だぜ?」

 

通常なら守備モンスターを攻撃した時、戦闘ダメージを相手に与える事は出来ない。

それはデュエリストなら常識の事だ。

だが残念ながらあのモンスターにはその常識が通用しない。

それを誰よりも知っている翔は呟いた。

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】には貫通効果があるんすよ」

 

「な、何だって!?」

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】で【魔導教士システィ】に攻撃。

エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 

攻撃力8000の【サイバー・エンド・ドラゴン】は3つ首を全て【システィ】に集中させる。

自分に向けられる6つの眼に【システィ】は少し怯んでしまう。

そして【サイバー・エンド】の口から光線が放たれ【システィ】を一瞬で吹き飛ばした。

凄まじい破壊力を持つ攻撃は大爆発を引き起こし、聖星の姿を飲み込む。

 

「聖星!!」

 

大爆発の中に姿を消した聖星に十代は叫ぶ。

翔と隼人も心配そうに聖星を見た。

ゆっくりと爆発の光は消えうせ、煙の中から無傷の聖星が姿を現す。

予想外の事に3人は目を丸くした。

 

「あ、あれ。

何で無事なんだ?」

 

「え、え?」

 

「ど、どうなってるんすか?

だって【サイバー・エンド】の攻撃力を受けたんすよ」

 

思わず、というふうに互いに顔を見合わせる3人。

そんなに聖星の無事という事実が信じられないのだろう。

 

「翔の言うとおり、【サイバー・エンド・ドラゴン】には貫通効果がある。

本来なら聖星、君に7200の貫通ダメージだ」

 

「はい。

ですが俺が発動した【一時休戦】の効果により、丸藤先輩のエンドフェイズ時まで互いに受けるダメージは0になります。

よって俺のライフは減りません」

 

十代達に説明するように互いに言葉を交わす聖星とカイザー。

やっとライフが減らない理由を理解した十代は安堵の息をつく。

 

「なんだよ、聖星!

吃驚させんなよな~

ったく、心臓に悪いぜ」

 

「悪い、悪い」

 

「そう、【一時休戦】は全てのダメージを0にする。

俺が受ける効果ダメージもな」

 

「え?」

 

十代からカイザーに顔を向けた聖星は不思議そうな表情を浮かべる。

わざわざダメージではなく、効果ダメージと限定したのだ。

一体どうしてここでその言葉が出てくるのか分からなかったが、翔はハッとした表情となる。

 

「効果ダメージも……

じゃあ、【パワー・ボンド】のデメリットも無効になったって事っすか!?」

 

「【パワー・ボンド】のデメリット?」

 

「【パワー・ボンド】は融合召喚したモンスターの攻撃力を倍にする強力なカード。

だがその代償は高い。

このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、俺は融合召喚したモンスターの攻撃力分のダメージを受ける。

だが【一時休戦】の効果により俺へのダメージはない」

 

つまり【一時休戦】の効果を逆手に取ったという事だ。

カイザーからデメリットの説明を受けた聖星は信じられないという表情を浮かべる。

あくまで聖星は次のターンに繋げるために【一時休戦】を発動した。

それなのにカイザーはそのカードを最大限利用できるカードを最初の手札に揃えていた。

 

「さらに俺はカードを1枚伏せ、【天よりの宝札】を発動。

互いに手札が6枚になるようデッキからカードをドローする」

 

「今、俺の手札は6枚だからドローできない……」

 

「俺の手札は0枚。

よって6枚ドロー」

 

【天よりの宝札】は互いにメリットを与えるカードだ。

だが【魔導書の神判】で聖星の手札は6枚もあり、ドロー出来るのはカイザーのみ。

カイザーだけが【天よりの宝札】の恩恵を受けたというべきだ。

【大嵐】といい【一時休戦】といい、悉く聖星の行為が裏目に出てしまったような気がする。

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンを終了する」

 

「この瞬間、【魔導書の神判】の効果が発動します。

このターン、丸藤先輩が発動した魔法カードは2枚。

よって俺はデッキから2枚の【魔導書】を加えます。

俺はフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】と【魔導書庫ソレイン】を加えます」

 

「【魔導書庫ソレイン】?」

 

聖星が加えたカード。

また初めて聞く名前で十代達は首を傾げる。

そのカードにはとある室内に太陽のオブジェが有り、そのオブジェに何本かのチューブが繋がっているというものだ。

 

「(伏せカードを破壊されたのも、手札を補充されたのも誤算だったけど……

この手札ならいけるな)

俺のターン、ドロー」

 

新たに加わったカード。

そのカードと裏側守備表示の【バテル】を見比べ、小さく頷いてしまう。

 

「俺は裏守備の【バテル】を反転召喚。

【バテル】の効果はリバース時にも発動します」

 

「効果の再使用……

だから【ゲーテの魔導書】で【魔導書士バテル】を裏側守備にしたのか」

 

「その通りです。

よってデッキから【トーラの魔導書】をサーチ」

 

聖星が見せたのは【魔導法士ジュノン】が描かれている【魔導書】。

そのカードを見て十代はやっとどこで【ジュノン】を見たのか思い出した。

 

「永続魔法、【魔導書廊エトワール】を発動」

 

【魔導書廊エトワール】は発動した【魔導書】の数の分だけ魔力カウンターを乗せる。

【魔導書の神判】の後に発動すれば、聖星は1枚多くの【魔導書】を手札に加える事が出来ただろう。

しかし聖星は今はモンスターの攻撃力を上げる事を重点に置いたようだ。

 

「【魔導書】が発動する度にこのカードに魔力カウンターを1つ乗せ、その数×100ポイント俺の魔法使い族の攻撃力が上がります。

そして俺は手札から速攻魔法、【魔導書の神判】を発動。

このターンのエンドフェイズ、このターン中に使用した魔法カードの枚数までデッキから【魔導書】を加えます」

 

これで聖星はエンドフェイズ時手札の枚数を回復することが出来る。

だが彼のターンが始まってから通常通りダメージは受けるため、このターン中に【サイバー・エンド】をどうにかしなければワンターンキルで終わってしまう。

すると【魔導書の神判】のカードが1つの球体となり、聖星の頭上まで浮かび上がった。

 

「……あれが魔力カウンターか」

 

「はい。

魔法カード、【グリモの魔導書】を発動。

デッキから【魔導書士バテル】を加えます」

 

紫色の淡い本のカードが現れ、それは光を発してモンスターカードへと変わっていく。

カードには場に存在する少年魔導師と同じモンスターが描かれていた。

聖星が【バテル】を手札に加え終えると【グリモの魔導書】も魔力カウンターとなり宙へと浮かび上がる。

 

「俺は【魔導書士バテル】を守備表示に召喚。

【魔導書士バテル】の効果によりデッキから【セフェルの魔導書】をサーチ」

 

いつものように魔法カードをサーチする聖星。

ここまでの流れは聖星のデュエルを良く見る翔や十代の間ではもうお馴染みとなっている。

だが今後どんな風に展開していくのか予想もつかなかった。

 

「今、聖星君の手札には上級モンスターが1体」

 

「あぁ。

けど、どうやって召喚するんだろうな」

 

心配そうに呟く翔と楽しみにしている十代。

面白いくらいに異なる反応だ。

翔はこのターン聖星の行動、そして今までのデュエルを思い出した。

 

「このターン聖星君は通常召喚を行ったっす。

でも墓地にいないから【ネクロ】での蘇生は無理だよ……

それに、仮に特殊召喚出来てもお兄さんの場には攻撃力8000の【サイバー・エンド・ドラゴン】がいるっす。

例え【ヒュグロの魔導書】と【セフェルの魔導書】のコンボで攻撃力を上げてもせいぜい2000までしか上がらない……

【サイバー・エンド】には届かないっす」

 

攻撃力8000のモンスターとまともに戦って勝てるモンスターなんていない。

何度も兄のデュエルを見てきたが、同じように兄の前にひれ伏すデュエリストも多くいた。

今にも顔を伏せそうな翔の様子に十代は首を傾げた。

 

「なぁ、翔。

さっきからお前さ、なんかおかしくね?

兄貴が絶対に勝つ!っていうのなら分かるけどさ、なんか、妙に応援しているっていう感じしねぇし」

 

「兄貴はお兄さんのデュエルを見るのは初めてだから仕方ないっす。

お兄さんは強すぎる。

あの人の強さは誰も寄せ付けない……」

 

いや、十代が聞きたいのはそういう事ではない。

聖星からカイザーの話を聞き、彼が強いデュエリストだというのは知っている。

だが何故弟の翔がそこまで気弱になるのかいまいち理解できなかった。

元々翔は気弱で、兄の強靭さがプレッシャーとなり何か嫌な事でも抱いているのだろうか。

よく理解できなかったが十代は翔に別の言葉を投げかける。

 

「翔」

 

「兄貴?」

 

「見てみろよ、あいつの目」

 

「え?」

 

十代が見ているのはカイザーと対峙している聖星。

この時の十代には不敵な笑みが浮かんでおり、聖星は微かに笑みを浮かべていた。

 

「あれ、策があるって顔だぜ」

 

「策?」

 

「それに聖星が今使っている【魔導書】は俺達が知らないデッキ。

きっとあいつの事だ。

俺達を驚かせる方法でお前の兄ちゃんと戦うさ!

そうだろ、聖星!!」

 

魔法カードを使って戦うか、それとも罠カードを使うか。

見た事がないカードばかりでどんな戦術が来るか分からない。

だから楽しみで仕方がない。

きっと聖星ならやってくれると十代は信じた。

自分に向けられた言葉に聖星は照れくさそうに頭をかく。

 

「何か、随分と期待されているみたいだな。

じゃ、その期待に応えよっか」

 

聖星がそう呟くとカイザーは元々引き締まっていた表情をさらに引き締めた。

 

「手札に存在する【ヒュグロ】、【セフェル】、【トーラの魔導書】を見せる事で、俺は手札に存在する最上級モンスターを特殊召喚できます」

 

「なっ、手札を公開するだけで特殊召喚だと!?」

 

聖星が3枚の【魔導書】をカイザーに見せると、頭上にそのカードが現れた。

3枚のカードはすぐに消え、代わりにフィールドに魔法陣が描かれる。

淡い光を放ちながら輝く魔法陣の輝きは増し、灯台に一つの光柱が立ち上る。

自分のフィールドを照らす光に対し聖星は叫んだ。

 

「【魔導法士ジュノン】を特殊召喚!!」

 

その声に呼応するよう光は砕け、中から高位の魔術師が姿を現す。

彼女はゆっくりと目を開き凛とした表情で前を向く。

 

「いきなり攻撃力2500のモンスター!?」

 

「な、なんでこんなモンスターが特殊召喚できたんだな!?」

 

「新しいモンスター来たぁ!」

 

【ジュノン】の登場に一気に湧き上がるギャラリー。

カイザーもあまり表情の変化はなかったがどうやら驚いているようで、僅かに口元が開いている。

 

「【魔導法士ジュノン】は手札に存在する【魔導書】を3枚見せる事で、手札から特殊召喚できる効果を持ってるんだ。

凄いだろ?」

 

「あぁ、凄すぎだぜ!

俺は【ディメンション・マジック】とか罠カードの破壊とかで特殊召喚すると思ってなのにさ!

まさかそんな方法で特殊召喚するなんて思わなかったぜ!」

 

手札の情報を公開しての特殊召喚。

普通なら相手に情報を与えてしまうのであまり良くない方法だ。

しかし聖星は【魔導書の神判】や【魔導書】のサーチ効果で元から情報を公開している。

だから特に気にせず特殊召喚できるという事だ。

 

「丸藤先輩。

タロットカードはご存じですよね?」

 

「あぁ。

詳しい事は知らないがな。

だが何故急にその事を言う?」

 

「俺が使っている【魔導】シリーズはタロットカードがモチーフになっているからです」

 

「何?」

 

聖星自身、タロットカードには詳しくない。

きっとこのデッキを手にしなければ名前だけを知っているという程度の認識しかなかっただろう。

だがこのカード達の元だというのならデュエリストとして知っていて損はないと思った。

目を閉じた聖星は説明する。

 

「タロットカードは占いのための道具。

そしてタロットカードは正位置か逆位置かで異なる意味を持ちます」

 

「何が言いたい?」

 

「【ジュノン】はカード番号2、そして女教皇。

正位置の意味は知性、洞察力、優しさ、清純。

逆位置の意味は無神経、わがまま、不安定、神経質」

 

聖星が口にする意味にカイザーは怪訝そうな表情を浮かべる。

一体その正位置と逆位置がこのデュエルで何の意味があるというのだろう。

目を伏せたまま説明した聖星はゆっくりと不敵な笑みを浮かべた。

 

「【ジュノン】は俺にとってとても優しくて、貴方にとっては我が儘な存在って事ですよ」

 

「何?」

 

「【ジュノン】のもう1つの効果発動。

1ターンに1度、手札または墓地の【魔導書】を除外する事で場のカードを1枚破壊します」

 

「なっ、手札だけではなく墓地のカードを除外するだけで1枚の破壊だと!?

実質ノーコストの破壊という事か!」

 

今、聖星の墓地には複数の【魔導書】が眠っている。

いくら【魔導書の神判】で手札に【魔導書】が加わるとはいえ、手札のカードを使用する意義は低い。

驚きの表情を浮かべるカイザーに気を良くしたのか聖星は不敵な笑みを浮かべたまま続けた。

 

「当然、俺は墓地の【ゲーテの魔導書】を除外します」

 

墓地から取り出された【ゲーテの魔導書】を聖星は開いているカードケースに入れる。

そのまま聖星は【サイバー・エンド】を見上げた。

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】を破壊!

【ジュノン】、閃光の魔導弾(レイ・ジャッジ・ブラスト) !」

 

聖星の宣言と共に【ジュノン】は手に持っている書物を広げる。

とあるページに書かれている呪文を唱え始めた【ジュノン】。

一体何を言っているのかは理解できないが詠唱が始まると彼女の手の平に魔力が集まり、それを【サイバー・エンド】に向けて放った。

カイザーは【サイバー・エンド】を見上げ、すぐに伏せカードを発動した。

 

「リバースカード、オープン!

速攻魔法【融合解除】!

【サイバー・エンド・ドラゴン】の融合を解除する」

 

破壊寸前の【サイバー・エンド・ドラゴン】は光に包まれ3体の龍に分裂する。

効果破壊が失敗した事に【ジュノン】は気に入らなさそうに頬を膨らませた。

凛とした表情から子供っぽい一面を見せた彼女に聖星は声をかけた。

 

「気にしなくて良いぜ、【ジュノン】。

…………それに、これくらいしてくれないと面白くないだろう?」

 

そう、せっかくこのデッキを解放したのだ。

自分は全力で戦うし、彼にも全力でぶつかってほしい。

だが久しぶりのこのデュエルをそう簡単に終わらせる気もなかった。

普段の聖星からは考えられない挑発的な笑みに十代は翔と隼人に聞く。

 

「なぁ、何か聖星の奴若干性格変わってないか?」

 

「うん。

普段よりテンション高いっす」

 

「そうなんだな」

 

確かに聖星はデュエルの終盤に少しテンションが上がり、声を張り上げる事もあった。

しかし今はまだデュエルの終盤ではない。

それなのにあの挑発的な笑みを浮かべるという事はかなり興奮しているという事か。

 

「俺は手札から【ヒュグロの魔導書】を発動。

このカードは魔法使い族の攻撃力を1000ポイント上げます。

俺は【バテル】の攻撃力を1000ポイントアップ。

そして【トーラの魔導書】を見せ、【セフェルの魔導書】を発動。

【セフェル】の力で【ヒュグロ】の効果をコピーします」

 

勿論対象になったのは【魔導書士バテル】。

このターン反転召喚された【バテル】の手にある書物は赤色に染まり、攻撃力が一気に2000も上昇する。

そして発動された2枚の【魔導書】は魔力カウンターとなり宙に浮かぶ。

これで魔力カウンターは4つ。

 

「さらにフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】を発動」

 

フィールドゾーンにカードがセットされると再び魔力が集まるフィールドが現れた。

自分達の慣れ親しんだフィールド魔法に【ジュノン】と【バテル】は嬉しそうな笑みを浮かべている。

更に魔力カウンターが1つ増え、2体の攻撃力も上昇する。

 

「攻撃力3000が2体か……」

 

「【魔導書士バテル】で【サイバー・ドラゴン】に攻撃」

 

【バテル】は【魔導書】を広げて呪文を唱える。

すると手の平に魔力が集まり、それを【サイバー・ドラゴン】に放つ。

守備表示だった【サイバー・ドラゴン】の体は貫かれ、粉々に砕け散った。

 

「そして【ヒュグロ】の英知を受けた【バテル】がモンスターを破壊した事により、デッキから【魔導書】を手札に加えます。

このターン、【バテル】は2枚分の【ヒュグロ】の効果を受けているため【ネクロの魔導書】と【アルマの魔導書】を加えます」

 

デッキから加わったカードをカイザーに見せた聖星は次の攻撃を宣言する。

 

「【魔導法士ジュノン】で2体目の【サイバー・ドラゴン】に攻撃。

女教皇の裁き(ハイプリーステス・ジャッジメント)!!」

 

「はあっ!!」

 

【ジュノン】は手の平を高く上げ、その手に魔力を集中する。

【魔導書廊エトワール】の英知がその魔力をさらにパワーアップし、【サイバー・ドラゴン】を包み込むほどの大きさとなった。

守備表示の【サイバー・ドラゴン】を睨みつけた【ジュノン】は勢いよく魔力を放つ。

 

「メインフェイズ2です。

俺は【アルマの魔導書】を発動。

ゲームから除外されている【ゲーテの魔導書】を加え、カードを4枚セット」

 

今聖星の場には永続魔法【魔導書廊エトワール】が存在する為、魔法・罠ゾーンは全て埋まった事になる。

幸いにも【大嵐】は先ほどのターンに使用されたため一度にカードの破壊はないはずだ。

 

「エンドフェイズに【魔導書の神判】の効果でデッキから【グリモ】、【アルマ】、【ゲーテの魔導書】を加えます。

そしてレベル3の【魔導教士システィ】を特殊召喚」

 

3枚目の【システィ】が場に現れる。

彼女は天秤の杖を前にだし、光に包まれていく。

 

「【システィ】の効果。

彼女をゲームから除外し、デッキから【セフェルの魔導書】と【魔導法士ジュノン】を手札に加えます。

エンドレス・アンジェラ」

 

前の聖星のターンのように【システィ】は2枚のカードを聖星に託し、異空間へと消えて行った。

 

「これで俺はターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー」

 

デッキからカードを引いたカイザーは聖星の場を見た。

前のターン同様、あの伏せカードの殆どは魔法カード。

だが【ゲーテの魔導書】や【トーラの魔導書】の速攻魔法が伏せられていたら厄介である。

 

「手札から魔法カード【強欲な壺】を発動。

デッキからカードを2枚ドローする」

 

カイザーの場に独特な顔が描かれている壺が現れる。

未来では絶対に見る事がないソリッドビジョンの姿に【星態龍】は聖星の肩に現れた。

 

「【強欲な壺】か……

聖星、そのカードに【強欲な壺】は入っているのか?」

 

「(入れてない)」

 

「何故入れない!?」

 

「(忘れてた)」

 

「あほかお前は!」

 

「さらにリバースカード、【運命の宝札】を発動。

サイコロを振り、出た目の分だけデッキからカードをドローし、同じ枚数分デッキからカードを除外する」

 

カイザーの目の前に現れた6面のサイコロ。

放り出されたサイコロはフィールドを転がり、5の目を出す。

 

「よって、デッキからカードを5枚ドローする」

 

「え?

ちょっと待ってください、5枚って……

これで貴方の手札は……!」

 

「11枚だ」

 

【天よりの宝札】で手札は6枚になり、さらにドローしたカードが【強欲な壺】。

それだけでも手札が7枚なのにここで【運命の宝札】。

手札11枚など聖星でも体験した事のない世界だ。

 

「(俺も【魔導書の神判】使ってるから偉そうな事言えないけど、この時代の【宝札】シリーズマジで狂ってる)」

 

相手にドローさせる【天よりの宝札】はまだ良いとしよう。

だがサイコロの目次第とはいえ最大6枚も引くことができる【運命の宝札】は酷いとしか言いようがない。

 

「手札から魔法カード【エヴォリューション・バースト】を発動。

【サイバー・ドラゴン】が存在する時、相手のカードを1枚破壊する。

俺は真ん中の伏せカードを破壊」

 

「(【ジュノン】を破壊しない?

【トーラの魔導書】を警戒したのか?)」

 

もし【ジュノン】を選択していれば【トーラの魔導書】で妨害される可能性がある。

それを警戒してバックのカード破壊を選んだのだろう。

それか確実に【ジュノン】を破壊できるカードを手札に握っているか、もしくは両方か。

唯一場に残っている【サイバー・ドラゴン】は大きく口を開き、光線を放った。

 

「【ネクロの魔導書】、蘇生カードか……

ならば俺は手札から【プロト・サイバー・ドラゴン】を召喚。

【プロト・サイバー・ドラゴン】は場に存在する限り【サイバー・ドラゴン】として扱う」

 

「つまり今貴方の場には【サイバー・ドラゴン】が2体という事ですね」

 

「そうだ。

さらに魔法カード【融合】を発動。

場に存在する【サイバー・ドラゴン】2体を融合。

融合召喚、【サイバー・ツイン・ドラゴン】!」

 

「キュァアアア!!!」

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】と【サイバー・ドラゴン】は渦の中に吸い込まれ、中から月一試験で見たモンスターが現れる。

攻撃力は2800と【サイバー・エンド・ドラゴン】に比べたら低いが複数回攻撃の効果を持つため侮れない存在だ。

 

「そして俺はライフを半分払い、手札から速攻魔法【サイバネティック・フュージョン・サポート】を発動」

 

「【サイバネティック・フュージョン・サポート】?」

 

初めて耳にするカード名に聖星は鸚鵡のように同じ言葉を返した。

しかも発動コストがライフの半分というものでかなり強力なカードなのだと分かる。

これでカイザーのライフは2000になる。

 

「このカードの効果により俺はこのターンに1度だけ、機械族を融合召喚する場合、場と手札だけではなく墓地モンスターも融合素材として使用できる」

 

「なっ、デッキ以外全部!??」

 

「そうだ。

そして俺は魔法カード、【パワー・ボンド】を発動。

墓地に存在する3体の【サイバー・ドラゴン】を除外し融合召喚。

現れろ、【サイバー・エンド・ドラゴン】!!」

 

墓地に眠っている3体の【サイバー・ドラゴン】が半透明の姿でフィールドに戻ってくる。

すると【パワー・ボンド】のカードの中に吸い込まれて消えていった。

と思えば凄まじい地響きが起こり、光の中から再び3つ首の龍が姿を現す。

表示された攻撃力は【パワー・ボンド】の効果を含め8000である。

 

「攻撃力2800のモンスターに8000.

実際に相手にすると凄い迫力だな……」

 

2体の龍を見上げる聖星は頬に汗が伝い、思わず呟いてしまった。

月一試験で攻撃力5600にあまり驚きを覚えなかったが、やはり客観的な目で見るのと相手にするのでは全く違う。

今にも自分達を押し潰しそうな重量級の機械族モンスター。

聖星は【ジュノン】と【バテル】2体に目をやった。

 

「(あの表情、何かあるな)

行くぞ。

【サイバー・ツイン・ドラゴン】で攻撃表示の【魔導書士バテル】を攻撃!」

 

「攻撃宣言時罠カードを発動します。

【和睦の使者】。

このターンの俺への戦闘ダメージは0になり、モンスターは戦闘では破壊されません」

 

カイザーはゆっくり手を上げ攻撃を宣言する。

【サイバー・ツイン・ドラゴン】は攻撃力が1000しかない【バテル】に向けて光線を放った。

だが聖星のモンスター達を守るように結界が張られ、光線は弾き返される。

 

「かわしたか……

それなら俺は手札から速攻魔法、【速攻召喚】を発動。

手札から【サイバー・ジラフ】を通常召喚する」

 

「ギュア!」

 

召喚されたのは今までの【サイバー】モンスターとは異なり、犬のような動物を模したモンスター。

攻撃力も低いがカイザーのデッキには必要なモンスターである。

 

「【サイバー・ジラフ】の効果発動。

このカードを墓地に送る事でこのターン、俺への効果ダメージは0になる」

 

これで【パワー・ボンド】のデメリットのダメージ効果でライフが0になる心配はなくなった。

聖星がしのぎ切った時の保険もちゃんと引いているなど流石としかいいようがない。

 

「魔法カード【タイムカプセル】を発動。

デッキから1枚カードを除外する。

そして2回目の俺のスタンバイフェイズ時に除外したカードを手札に加える。

カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーの場には微動だにしない【サイバー・エンド・ドラゴン】と【サイバー・ツイン・ドラゴン】。

聖星の場に存在する3体の魔法使い達は臆せず見上げている。

互いに攻撃を受けても次のターンに場を整えている光景に十代は素直に呟いた。

 

「すげぇ。

互いに一歩も譲らないデュエルだ」

 

十代は目の前のデュエルに釘付け状態で、一体次にどんな展開になるのか楽しみで仕方がなかった。

学園一のデュエリストと様々な魔法使いを使う聖星。

しかも十代にとっては初めて見るカードのオンパレードだ。

興奮しない方がおかしいというものだ。

だが左右にいる友人はそう思っていないようで隼人は驚いていた。

 

「あのカイザーの【サイバー・エンド・ドラゴン】と【サイバー・ツイン・ドラゴン】が並んだのに聖星は全く怯んでないんだな……

普通のデュエリストなら自分の負けを悟って戦意を喪失するのに……」

 

「戦意を喪失、ねぇ~」

 

隼人の言葉に十代は頬を掻く。

今までの数ターンでカイザーが強いのは十代も認識したが、それでもあくまでカイザーは自分と同じデュエリスト。

デッキと共に戦う存在なのだ。

最後までデッキを信じればカイザーに勝つチャンスはやってくる。

それなのにどうして諦めるのか理解できず、十代は思わず呟いた。

 

「勝てっこない、勝てっこないって何で皆諦めちまうんだろうな」

 

「「え?」」

 

「だってさ、あんなにすげーモンスターと戦えるんだぜ!

わくわくするじゃん!」

 

十代は自分を口達者な人間だとは思っていない。

その場で思った事を素直に口にし、直感で物事を進めていく人間だ。

だから2人がちゃんと納得するような言葉は出ない。

けどこれだけは言える。

 

「きっと聖星もそうさ。

見てみろよアイツの顔。

凄いデュエリストやモンスターと戦えて嬉しい、って顔だぜ!」

 

胸を張って言い切った十代の言葉に翔と隼人は聖星を見る。

聖星は自分の手札と場を交互に見てただ微笑んでいるだけ。

 

「【魔導書院ラメイソン】の効果発動。

墓地に存在する【セフェルの魔導書】をデッキの1番下に戻し、デッキからカードを1枚ドローします」

 

ゆっくりとカードをドローした聖星は墓地と除外したカードも確認する。

そしてデッキに残っている【魔導書】の事を思い出した。

 

「(俺のデッキに存在する【魔導書】は【セフェル】と【ネクロ】が1枚に【ヒュグロ】、【トーラ】が2枚ずつ。

これ以上長引かせたらヤバいなぁ)」

 

【魔導書】はサーチ能力にたけているが、一度に3枚以上も手札に加わる事が有りデッキの消費が激しい。

その為長期戦に持ち込まれるとデッキ切れで敗北という事もありえる。

今回は折角先輩から誘ってくれたデュエルだ。

そんな事だけはしたくないし、自分だって不完全燃焼で終わらせたくはない。

 

「(伏せカードが怖いけど、このターンで終わらせる!)」

 

聖星はすぐに墓地に存在するカードを3枚手に取り、手札の【魔導書】をカイザーに見せる。

それは3人の魔法使い族が描かれている【魔導書】だ。

 

「墓地に存在する【魔導書院ラメイソン】、【ネクロの魔導書】、【アルマの魔導書】を除外し手札の【ゲーテの魔導書】を発動します。

このカードは3枚除外した時、相手の場のカードを1枚除外する効果を発動します。

俺は【サイバー・エンド・ドラゴン】を除外!」

 

聖星の宣言と同時に【サイバー・エンド】の背後に巨大な歪みが生じる。

その歪みから風が流れ込み【サイバー・エンド】を吸い込んでいく。

自分の体を引っ張る歪みに抵抗を見せる【サイバー・エンド】だが、どれほど抗っても無駄のようで歪みの中に消えていった。

 

「【ジュノン】の効果発動!

手札の【魔導書庫ソレイン】を除外し、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を破壊!

閃光の魔導弾(レイ・ジャッジ・ブラスト)!」

 

【ジュノン】の魔力は勢いよく【サイバー・ツイン・ドラゴン】を貫き、綺麗なボディに大きな穴をあける。

すると穴から全身にひびが広がっていき爆発した。

 

「すげぇ、あのモンスターを一掃した!」

 

「これでお兄さんの場にモンスターはいないっす……!!」

 

「さらに手札に存在する【グリモ】、【アルマ】、【セフェルの魔導書】を見せて【魔導法士ジュノン】を特殊召喚!」

 

「はっ!」

 

魔法陣の光の中から現れた2体目の【ジュノン】はすぐに聖星に振り返り、小さく頷いた。

アイコンタクトをとった聖星は墓地のカードから1枚のカードを選ぶ。

 

「2体目の【ジュノン】の効果発動!

墓地の【魔導書の神判】を除外し、右側の伏せカードを破壊!」

 

「残念だが外れだ。

リバースカード、オープン。

【異次元からの帰還】」

 

「え?」

 

【ジュノン】の効果の対象になったのはフリーチェーンの罠カード。

しかも効果は聖星もよく知っているもので、先ほどまで自分が行った事を思い出した。

 

「ライフを半分払い、除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚する」

 

「今、貴方の除外ゾーンには……

【サイバー・エンド】が……」

 

そだけではない。

カイザーの除外ゾーンには【サイバネティック・フュージョン・サポート】と【パワー・ボンド】のコンボで除外されている【サイバー・ドラゴン】が3体存在する。

ライフは2000から1000にまで減るが、その分場が凄い事になってしまう。

 

「【サイバー・エンド】は融合以外でも特殊召喚できる。

次元の狭間より舞い戻れ、【サイバー・エンド】、【サイバー・ドラゴン】!!」

 

「うわ、戻ってきた」

 

カイザーの場に次々とドラゴンの咆哮が響き渡り、聖星を守るように【ジュノン】達は手に持つ書物を構えた。

先程消えたはずの【サイバー・エンド】は再び聖星達を見下ろす。

攻撃力は4000に下がってしまったが【ジュノン】達の攻撃力より高い。

 

「もう場にモンスターが4体も揃っちまった!?」

 

「【サイバー・エンド】の攻撃力は4000.

【サイバー・ドラゴン】は守備表示。

【ジュノン】の破壊効果ももう使えない。

これじゃあ聖星君はお兄さんにダメージを与える事が出来ないっす」

 

今、【魔導書廊エトワール】に魔力カウンターは6つ乗っているので魔法使い族達の攻撃力は600ポイント上がっている。

【ジュノン】は3100、【サイバー・ドラゴン】の守備力は1600なので戦闘で破壊する事は出来る。

 

「(だけど、【異次元からの帰還】のデメリット効果でどのみちこのターンのエンドフェイズ時に全てゲームから除外される。

ここで無暗に戦闘で破壊して墓地に送っても意味はないな。)」

 

恐らくカイザーの事だからデッキの中に【死者蘇生】や【リビングデッドの呼び声】が入っているに違いない。

それなら戦闘で破壊し蘇生対象を増やすより、このまま除外されてくれる方が有り難い。

それならばと聖星はカードを発動した。

 

「俺は攻撃表示の【魔導書士バテル】に装備魔法【ワンダー・ワンド】を装備。

このカードを装備した魔法使い族モンスターを墓地に送る事で、デッキからカードを2枚ドローできます」

 

【バテル】は書物を持っていない手で杖を持ち、それを高く上げる。

杖の宝石が光り輝くと【バテル】の姿は消えてなくなり聖星の手札は増えた。

引いたカードに聖星は小さく頷き、加わったカードをすぐに発動させた。

 

「そしてもう1体の【バテル】に2枚目の【ワンダー・ワンド】を装備。

【バテル】を墓地に送り、カードを2枚ドロー」

 

先程墓地に送られた【バテル】と同じように、もう1体の【バテル】は光の中に消えていく。

 

「俺はカードを1枚伏せます」

 

「この瞬間、リバースカードオープン。

【フォトン・ジェネレーター・ユニット】」

 

表側表示になった速攻魔法カード。

そこには1つの機械が描かれており、絵柄からどんな効果なのか考えるのが難しい。

 

「俺の場の【サイバー・ドラゴン】を2体生贄に捧げ、手札、デッキ、墓地から【サイバー・レーザー・ドラゴン】を1体特殊召喚する」

 

「って事は……

【サイバー・ドラゴン】がまた墓地に行くだけじゃない。

貴方の場にモンスターが残ってしまうという事ですね」

 

「そういう事だ」

 

折角【ジュノン】と【ゲーテの魔導書】の効果でカイザーの場を一掃し、【異次元からの帰還】で除外されるというのにまた新たなモンスターが特殊召喚されてしまう。

対象に選ばれた2体の【サイバー・ドラゴン】は光の中に包まれ、尾の先端部にレーザー砲を持つドラゴンへと変わる。

 

「特殊召喚、【サイバー・レーザー・ドラゴン】」

 

静かに己の名を呼ばれた【サイバー・レーザー・ドラゴン】は小さく鳴き、聖星の場に存在する魔法使い族を見下ろした。

そしてエンドフェイズ時となりカイザーと聖星の場からそれぞれモンスターが歪みの中に吸い込まれた。

 

「聖星の場にはフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】と永続魔法【魔導書廊エトワール】。

モンスターは【ジュノン】が2体……」

 

「そして伏せが4枚なんだな……」

 

「お兄さんの場には【サイバー・レーザー・ドラゴン】と【タイムカプセル】だけ……」

 

一目見れば聖星が圧倒的に有利。

だが、カイザーの何事にも動じない風格。

相手を見透かしているようで、こっちの手は絶対に覗かせない瞳。

何度見てもカイザーが勝つという未来しか翔には見えなかった。

 

「…………凄い…………」

 

「聖星君?」

 

ふと聞こえてきた聖星の呟き。

そちら目をやれば彼は体を震わせていた。

 

「やっぱり丸藤先輩って凄いんですね!」

 

顔を上げた聖星は今まで見た事がないくらい目を輝かせていた。

そして聖星はこのデュエルの全てを思い出す。

自分のいつも通りの戦術で相手を攻めたがそれに対しカイザーは次々とかわしていく。

言いたい事を頭の中でまとめながら聖星は力説するように喋り始める。

 

「だって、丸藤先輩のライフはあと1000!

俺のライフは4000.

けど俺、自分が有利だって気がしないんです!」

 

【サイバネティック・フュージョン・サポート】と【異次元からの帰還】の効果でカイザーは自らのライフを大幅に減らしてしまった。

それでも聖星の戦闘が成功したのは守備モンスターを破壊する事くらい。

 

「【魔導書の神判】だって3回発動した!

【ジュノン】だって2体も呼んだ!

ここまでしたら俺のクラスメイト達は、あいつら以外はもう勝てないって諦めています。

俺自身、もう勝ったって思います」

 

「っ!」

 

思い出すのは同じクラスだった同級生達。

転校した時は親切だったが、一方的なデュエルをしてしまったせいか一線を引かれてしまった。

 

「なんだよ、あんなの反則だろ」

 

「あいつとデュエルしたって勝てねぇし、つまんねぇよ」

 

そんな事が自然とクラス内に成り立ってしまい、デュエルしても勝つ気でいてくれるデュエリストがシャークぐらいになってしまった。

聖星のそんな言葉にカイザーは少しだけ目を見開く。

 

「でも先輩は全然違う!

自分のライフをどれほど削っても、俺の戦略をものともせず次へと繋げる!

まるで俺の考えを全て分かっているかのように……

こんなのって普通じゃ出来ませんよ」

 

それだけカイザーが相手を見ているという事だろう。

デュエルとは様々な要素が絡み合ってくる。

相手の表情を見て、相手の考えを読む。

それが出来れば相手が罠を張っているのか、何を狙っているのか想像がつく。

特にカイザーの観察力は群を抜いている。

 

「そんな人と戦えて……

俺、今が凄く楽しいです!!!」

 

「……俺もだ」

 

全力でぶつかり合える強敵に出会えた事への喜びが伝わってくる聖星の言葉にカイザーは頷いた。

カイザーの言葉に高鳴る鼓動がどんどん煩くなっていく。

ゆっくりと深呼吸をした聖星は改めてカイザーを見た。

 

「俺はこのデュエルが凄く楽しい……

だからこそ、絶対に勝ちたい!!」

 

楽しいだけじゃ駄目だ。

長い間苦楽を共にしたデッキのためにも負けたくはない。

全力で楽しんで、全力で勝利を掴みとる。

それが今、聖星が望んでいる事。

 

「この勝負、負けませんよ!!

これで俺はターンエンド!」

 

灯台に自分のターン終了の宣言が響き渡る。

聖星の言葉を全て聞いていた翔は生き生きとしている友人と兄を交互で見ていた。

 

「お兄さんと戦っているのに……

聖星君、凄く嬉しそう」

 

「俺も聖星と同じ立場ならあんなふうにはしゃいでるな」

 

「え?」

 

「それほどお前の兄ちゃんが強くて嬉しいって事さ」

 

そう言った十代の表情はどこか寂しげだった。

十代は聖星の言葉にどこか共感を持つ事が出来た。

理由は違うが、全力でデュエルをしてくれる相手がいない寂しさは十代だって知っている。

だから同じデュエル好き同士、聖星があそこまで興奮するのを理解することが出来たのかもしれない。

 

「きっとよ、あのデッキが聖星の本当の実力なんだ」

 

十代には見せてくれなかった実力。

様々なデッキを操る聖星だが、やはり1番というべきデッキは持っていた。

そのデッキと真っ先に戦えたカイザーを少しだけ羨ましいと思いながらも翔と隼人に尋ねた。

 

「それよりさ、さっき聖星が言っていたあいつらって誰なんだろうな!

聖星が認めるんだ!

かなり強い連中に違いないぜ!

う~、カイザーともデュエルしたいし聖星の言うあいつらともデュエルして~~!」

 

「兄貴……」

 

「十代……」

 

根っからのデュエルバカらしいセリフに2人はつい笑みを浮かべてしまう。

十代の言葉は聖星にもばっちり聞こえており、ある意味冷静さを取り戻した聖星は自分の口元を塞ぐ。

 

「(やっべ、十代に追及されたらどうしよう)」

 

「海外にいるから無理とでも言っておけ」

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーのターンになると、突然場に異変が起こる。

彼の場に歪みが現れ、聖星達は怪訝そうな表情でその歪みを凝視した。

 

「この瞬間、【タイムカプセル】の効果で除外されている【異次元の宝札】の効果が発動する。

このカードを俺の手札に戻し、互いのデッキからカードを2枚ドローする」

 

「あ、その歪みだったんですね」

 

【タイムカプセル】は2ターン後に効果を発揮する通常魔法。

それなのに除外ゾーンに繋がる歪みが現れ、おかしいと思ったのだ。

 

「そして【天使の施し】を発動。

デッキからカードを3枚ドローし、2枚墓地に送る」

 

引いたカードは【天使の施し】だったようで、カイザーはすぐにそれを発動した。

手札が入れ替わり終わると場に存在する【サイバー・レーザー・ドラゴン】が合図するかのように小さな声で鳴いた。

 

「【サイバー・レーザー・ドラゴン】の効果発動。

このカードの攻撃力より高い数値の攻撃力か守備力を持つモンスターを1体破壊する」

 

「え?

【サイバー・レーザー・ドラゴン】の攻撃力は2400だから……

やばっ!」

 

「【サイバー・レーザー・ドラゴン】、【魔導法士ジュノン】を破壊しろ!

破壊光線フォトン・エクスターミネーション!」

カイザーは1体の【ジュノン】を指差し、高らかに宣言する。

すると【サイバー・レーザー・ドラゴン】の尾の先端部が開き、中からレーザー砲が現れた。

光を集めたレーザー砲は眩しいレーザーを放ち、【ジュノン】を貫く。

一筋の光に貫かれたと思ったら【ジュノン】は爆発し、爆発による煙が聖星の場に漂う。

 

「くっ!!」

 

「魔法カード【死者蘇生】を発動。

墓地から【サイバー・ツイン・ドラゴン】を特殊召喚する」

 

「グォオオオ!!!」

 

カイザーの目の前にある地面からヒビが広がり、【サイバー・ツイン・ドラゴン】が復活する。

再び現れた2頭の龍に場に残っている【ジュノン】は険しい表情となった。

その表情は「うわ、また面倒なのが来た」と物語っている。

 

「【サイバー・ツイン・ドラゴン】で【魔導法士ジュノン】に攻撃!」

 

「え!?」

 

「そんな、攻撃力は【ジュノン】の方が上なのに!」

 

今、【魔導書廊エトワール】には魔力カウンターが7つ乗っている。

つまり攻撃力は700ポイントアップし3200.

【サイバー・ツイン・ドラゴン】の2400を超えているのだ。

 

「リバースカード、オープン、速攻魔法【ゲーテの魔導書】!

墓地に存在する【グリモの魔導書】と【ゲーテの魔導書】を除外し、【サイバー・ツイン・ドラゴン】を裏側守備に変更します!」

 

【ジュノン】に向かって光線を放とうとした【サイバー・ツイン・ドラゴン】。

だが目の前に1冊の【魔導書】が現れ、【ジュノン】がそれに書かれている呪文を唱える。

 

「ならば【サイバー・ツイン・ドラゴン】を融合デッキに戻し、速攻魔法【次元誘爆】を発動!」

 

「じ、【次元誘爆】!?

ここで!?」

 

カイザーが発動したのは複数のモンスターが描かれている魔法カード。

特に【ブラック・マジシャン】と【青眼の白龍】が描かれているのが印象的だろう。

カードの効果を知っている聖星は頬を引きつらせ、あの3首の龍を思い出した。

 

「【次元誘爆】?

どんな効果だ?」

 

「【次元誘爆】とは自分フィールド上に表側表示で存在する融合モンスター1体を融合デッキに戻す事で発動する事ができる。

お互いにゲームから除外されているモンスターを2体まで選択し、それぞれのフィールド上に特殊召喚する」

 

「へ?」

 

「という事は……」

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】が帰ってくるんだな!」

 

隼人の言葉に翔と十代は目を見開き、カイザーの場を見る。

【サイバー・ツイン・ドラゴン】が光の中に消えて行くと黒い歪みが2つ現れ、中から機械龍の咆哮が聞こえてくる。

 

「俺は【サイバー・エンド・ドラゴン】と【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

「俺は【魔導法士システィ】を攻撃表示で特殊召喚!」

 

「来い、【サイバー・エンド・ドラゴン】!!

【サイバー・ドラゴン】!!」

 

2人のフィールドに4つの光柱が立ち、その中から互いのモンスターが姿を現す。

再び舞い戻ってきた機械龍達は戦える事への喜びからか甲高い声で咆哮を上げた。

4度目の最強モンスターの登場に聖星は凄いとしか零せなかった。

 

「【サイバー・エンド・ドラゴン】で【魔導法士ジュノン】に攻撃!」

 

3つの首が【ジュノン】を目標に定め、口にエネルギーの塊である光を集約する。

向かってくる攻撃に【ジュノン】が構えるとカイザーがカードを発動した。

 

「ダメージステップに速攻魔法【決闘融合-バトル・フュージョン】を発動!」

 

「【決闘融合-バトル・フュージョン】!?」

 

「だからさっき攻撃力が下なのに【ジュノン】に攻撃したのか!」

 

今、【ジュノン】の攻撃力は3300で【サイバー・エンド・ドラゴン】より700ポイント低い。

だが【決闘融合-バトル・フュージョン】は攻撃を行う融合モンスターの攻撃力を、ダメージステップ終了時まで相手モンスターの攻撃力分上げる効果を持つ。

これで【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力は7300となってしまう。

焦った様子を見せる観客だが聖星はただ微笑んだ。

 

「それくらい読めていましたよ」

 

「何?」

 

「リバースカード、オープン。

カウンター罠【神の宣告】を発動」

 

「っ!」

 

「俺のライフを半分払い、カードの効果を無効にして破壊します」

 

聖星の場に伏せられていたカードが表になり、カードが輝きだす。

デュエルモンスター史上最強と言われるカウンター罠。

どんなカードの発動と効果も無効にしてしまうカードの登場にカイザーは笑みを浮かべた。

【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力は4000のままだが【ジュノン】よりは高く、【ジュノン】はたった一撃で破壊される。

 

「悪い、【ジュノン】……」

 

やっと削られた聖星のライフ。

それでも1300もあり、他の【サイバー】モンスターは貫通効果を持たない為このターンで終わる事はないだろう。

 

「ならば【サイバー・レーザー・ドラゴン】で【魔導教士システィ】に攻撃!

エヴォリューション・レーザーショット!!」

 

「罠発動、【強制脱出装置】。

【サイバー・レーザー・ドラゴン】は手札に帰ってもらいます」

 

「くっ!

それならカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」

 

【次元誘爆】で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時破壊も除外もされない。

つまり【サイバー・エンド・ドラゴン】達は場に残り続けるという事。

攻撃力4000のモンスターが場に残るとは流石にかなりのプレッシャーである。

 

「聖星。

今度は俺から君に質問だ」

 

「質問ですか?」

 

「そうだ。

俺はこのデュエル、何度【サイバー・エンド・ドラゴン】を特殊召喚した?」

 

「へ?」

 

何度も現れ、何度も消えて行くモンスター。

聖星がどれ程除去してもカードの効果でカイザーは【サイバー・エンド・ドラゴン】を帰還させてしまう。

カイザーからの問いかけに聖星は考え込むかのように黙った。

 

「4回ですか?」

 

「正解だ」

 

「聖星は4回も【サイバー・エンド・ドラゴン】を相手にしたんだな……」

 

「そのうち2回は攻撃力8000だったよな?」

 

「うん。

やっぱりお兄さんは凄い。

それに対抗できる聖星君も……」

 

「俺が1度のデュエルでここまで【サイバー・エンド・ドラゴン】を召喚したのは久しぶりだ」

 

それもそうだろう。

カイザーは【パワー・ボンド】や【リミッター解除】の効果で攻撃力を上げてくる。

仮に上げなくても【サイバー・エンド】には貫通効果があるためその一撃で残りのライフを削り切る事だってあるのだ。

1度出れば勝利は確実になってしまうため、こう何度も【サイバー・エンド】を特殊召喚するのは珍しいに違いない。

 

「俺は君の全力のデッキとのデュエルを望んだ。

君はそんな俺の気持ちに応え全力でこのデュエルに励んでいる。

そして何度も俺達の攻撃をかわし、ここまで耐えてくれた」

 

「そんな買い被りすぎです。

確かに【サイバー・エンド】を何度も除去しましたけど、俺、全く丸藤先輩にダメージを与えていませんよ」

 

何だろう、凄く恥ずかしい。

先程カイザーに対し興奮して色々言った聖星だが、逆に言われる立場になると恥ずかしさが込み上がってくる。

嬉しいのだがつい照れてしまう。

 

「随分と過小評価だな」

 

「いえいえ、過小評価してませんって」

 

恥ずかしさのあまり耳まで赤くなっている聖星は慌てて首を左右に振ってしまう。

そんな後輩にカイザーはつい笑みをこぼしてしまう。

もしこれが畏怖の念を抱いている者なら、彼の言葉に恐れ戦き恐縮しているだろう。

だが聖星には恐怖心が全くない。

カイザーは良い後輩が入って来たと改めて認識した。

 

「俺のターン、ドロー」

 

カイザーの場には【サイバー・エンド・ドラゴン】が存在する。

先程の【強制脱出装置】で融合デッキに戻せば良かったのだが、あえて聖星はそうしなかった。

 

「(やっぱり、切り札を切り札で倒した方が面白いもんな。

そうだろ、【ジュノン】?)」

 

声に出すでもなく、心の中で呟いた聖星。

 

「フィールド魔法【魔導書院ラメイソン】の効果発動。

墓地に存在する【ヒュグロの魔導書】をデッキの1番下に戻し、カードを1枚ドローします」

 

これで欲しいカードは揃う。

互いのモンスターの攻撃力の差は700だが、それくらいこのデッキならすぐに埋まる。

 

「俺は手札から魔法カード【死者蘇生】を発動。

墓地から【魔導法士ジュノン】を攻撃表示で特殊召喚します」

 

「はあぁっ!」

 

聖星が【ジュノン】に目をやると、彼女も少しだけ振り返り小さく頷いた。

彼女の頷きに同意するよう小さく頷いた聖星は声を張り上げる。

 

「手札から【グリモの魔導書】を発動し、【ヒュグロの魔導書】をサーチ!

そして【アルマの魔導書】を発動し、ゲームから除外されている【ネクロの魔導書】を手札に加えます!

そして【ヒュグロの魔導書】を見せ、墓地に存在する【魔導教士システィ】を除外して【ネクロの魔導書】を発動します!

墓地に存在する【魔導法士ジュノン】を特殊召喚!!」

 

「はっ!」

 

「【ジュノン】の効果発動!

墓地の【ゲーテの魔導書】を除外し、伏せカードを破壊!」

 

「リバースカード、オープン!

【月の書】を発動!

効果を使用していない【ジュノン】に裏守備になってもらうぞ!」

 

「させません!

リバースカード、オープン!

速攻魔法【トーラの魔導書】!

このターン、彼女は魔法カードを受け付けません!」

 

「だが、攻撃力は2500まで下がる!」

 

【月の書】の効果で裏側守備になるのを防ぐため、【ジュノン】は魔法からの攻撃を守る結界に包まれる。

だがカイザーの言うとおりこれでは【魔導書廊エトワール】の効果を受けなくなってしまった。

だが今の段階で【エトワール】に乗っている魔力カウンターは12.

【月の書】を破壊したもう1体の【ジュノン】の攻撃力は3700となっている。

 

「もう1体の【ジュノン】の効果発動!

墓地に存在する【アルマの魔導書】を除外して【サイバー・ドラゴン】を破壊!」

 

魔法の力を受け付けなくなった【ジュノン】だが、彼女は手を前にだし魔力を集約する。

【魔導書】の英知を借りる事が出来なくなった身でもこれくらいは出来る。

そう意気込むように呪文を詠唱し【サイバー・ドラゴン】を破壊する。

 

「手札から【ヒュグロの魔導書】を発動!

これで【ジュノン】の攻撃力は4800です!」

 

カイザーに伏せカードはない。

いるのは攻撃力4000の【サイバー・エンド・ドラゴン】のみ。

 

「【ジュノン】で【サイバー・エンド・ドラゴン】を攻撃!!」

 

聖星の言葉に両手を前に出す【ジュノン】。

支えを無くしたはずの書物は魔法の力で浮かんでおり、勝手にページがめくれていく。

彼女は目を閉じて顔を伏せやっと聞き取れる声で呪文を詠唱していた。

詠唱が進むにつれ両手に魔力が集まり、巨大な球体になっていく。

 

女教皇の裁き(ハイプリーステス・ジャッジメント)!!!」

 

フィールドに響き渡る自身の攻撃名に【ジュノン】は膨大なエネルギーを【サイバー・エンド・ドラゴン】にぶつける。

自分よりちいさな球体だがその破壊力はすさまじく【サイバー・エンド・ドラゴン】のメッキが剥がれ、内部のコードなどが見えた。

それもほんの一瞬でそのまま苦しそうな機械の声を上げながらカイザーの最強のモンスターは爆発する。

 

「もう1体の【魔導法士ジュノン】で丸藤先輩にダイレクトアタック!!!」

 

爆発によって生じた煙がフィールドを隠す中、再び響いた聖星の声。

カイザーはその声に少しだけ口の端を上げる。

煙が晴れていくと既に攻撃を待ち構えている【ジュノン】と目が合った。

すると視界が眩い光に覆われデュエルを終了するブザーが鳴り響いた。

 

END

 




ここまで見ていただき有難うございます。
カイザーとのデュエルを書き終えての一言。
「なにこれ、むずい」
何度も書き直したのですが、やはり手札の消費が激しく宝札シリーズに頼りすぎました。
聖星も心の中で呟きましたがアニメ版の宝札シリーズってマジで壊れていますよね。


【ジュノン】の効果名と攻撃名、日本語と英語が噛み合っていなくても気にしません(`・ω・´)


そういえば剣山曰く十代はDAのカリスマと呼ばれていましたよね。
カイザー、ブリザードプリンス(自称…?)とあだ名があるので聖星にもつけてみたいです。
思い浮かんだのがエンペラー、キングですが…
あいつそんなキャラじゃねぇぞ!!と自分で突っ込みました。
マジシャンだったらなんか安易すぎる気が…
タロットカードをモチーフにした【魔導書】を使うからハイエロファントかソーサラーにしようかなぁ。


改めて確認したらルビ振りがうまくいっていなかったでござる(´・ω・`)

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