元海兵がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:ルーニー

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もしもの世界14

 

「ありえへん」

 

 ポツリと、心の底からの声がロキの口から漏れ出した。その言葉はこの場にいる全員の心の底からの言葉であり、そして信じられないがゆえに誰もが口にできなかった言葉だった。

 いや、信じられないことではない。信じたくないことだった。今倒されたのは世界でも有数の実力者であり、両手で数える程度にしか存在しないレベル5だ。世界的に見ても強者であるのは間違いないことだ。そしてその相手は誰にも知られていない無名の存在だ。どちらが勝つか、火を見るより明らかだった。

 

 しかし、現実はその強者が倒れ、無名が無傷で立っている。それどころか手を抜かれていることすら匂わせるほどに悠々としているのが見てわかる。

 これがレベルが上の冒険者に倒されたのであったのならまだわかった。レベルが2つ以上も上ならば無傷で倒されるのも理解できる。これが、誰もが知る英雄が相手ならば納得もできた。

 だが、そのレベル5を、事実上の最強の一角とすらも言えるフィン・ディムナを無傷で倒したのはどこの誰かも知らない有象無象でしかないはずのフィースだった。

 

「ありえへん、ありえへん!こんなこと、ありえるはずがあらへんやろ!おどれ、何をした!?」

 

 わからない。理解できない。納得できない。誰もフィースを知らず、レベルもわからず、そして何をしたのかすらもわからない。そんな存在が無傷で終始フィンを圧倒した。

 

「フィンが何もできんかった!?ありえへん!フィンはうちでも団長でやってけるぐらいには強いんや!それをどこの誰かもわからんような奴に、あっさりと負けるわけがあらへん!」

 

 そんなことを、眷属を深く愛しているロキが認められるわけがなかった。もはや喚いているとすら言えるほどに取り乱した様子でイスから立ち上がり、瞳が見えないほどに細い目を見開いてフィースを見る。もはや神威を漏らす一歩手前ですらあるほどに感情は昂っていた。

 

「なんやお前は!いったい何をした!?」

 

 ロキの言葉は今意識のある者全員の言葉だった。何をしたのかもすらわからないなんて、深層の未発見モンスターが相手ならまだ理解できるが、それを成したのは全くの無名であるただの人だ。未知で片付けられる程度のものではない。むしろ推測すらできないほどの未知であるからこそ、未知を望んだ神の1柱のロキは無意識に恐怖を覚えていた。

 だから、ロキは容易くフィースの触れてはならない逆鱗に触れてしまった。

 

「アストレアに頼んで強くなるチートでも使ったかクソガキ!」

 

「黙れ」

 

 ズン、と空気が重くなった。まるで空気に粘性と重量が宿って息が吸いにくくなったのかと錯覚するほどに息が浅く荒くなった。

 コヒュウ、コヒュウ、とフィースから発せられる覇王色の覇気を受け、この場にいる全員が汗を滝のように流していた。フィースの怒りと比例するように徐々に強くなっていく圧に、耐えきれなくなったのはレベルが低い者からだった。

 レベルが低い者から順番に口から泡を吹いて倒れていき、まるで現実から逃げるかのように意識を落としていく。誰も他者を思いやる余裕はなく、次々と力尽きたかのように膝から崩れ落ちていく。

 

 そして最後まで意識があったのは冷汗を流して呼吸を荒くするリヴェリアとガレス、治療が止まりながらも意識を保てているフィン、リヴェリアたちほどではないがそれでも冷汗を流して目を見開いてフィースを見ているオッタル、そして覇王色の覇気を直接受けて全身を震わせて後ずさりをしているロキだけだった。

 

「2度としゃべれないようにその顎を砕いてやろうか」

 

 ギロリ、と瞳孔が開ききった眼をロキへと向ける。フィースの言葉が嘘ではないことを理解したロキは、全知全能の時ならまだしも、全知零能でありただの人と変わらない程度にしか力を持たない今、久しく向けられていなかった殺気に喉が絞まるような悲鳴を上げた。

 

「チート?自分の血を使わなければ強くなれない弱者を強くして胸を張っているようなカスに言われたくねぇな」

 

 カツリ、カツリ、とフィースが歩みを進めるほどに重圧がさらに強くなってきた。歩みの先にいるロキは恐怖と混乱、そしてわずかな怒りが頭の中で混ぜ合わさって体がうまく動かせず、足に力が入らず腰が砕けた。フィンとリヴェリア、ガレス、そしてオッタルは覇王色の覇気に宛てられて体が動かせない。

 

「楽しいか?ゲームの感覚で自分の駒が強くなっていく様子は」

 

 カツリ、と歩みが進む度にフィースから発せられる覇王色の覇気が強くなっていく。カヒュウ、カヒュウ、と酸素を求めるかのように荒々しく音を出しながら呼吸するフィンたちはついに立つこともままならず、まるで許しを請うかのように手と膝をついてしまう。

 

「面白いか?自分の駒が気に入らない駒を排除していく様子は」

 

 カツリ、と、まるで時計のように一定の間隔で鳴る音とともに強くなる覇王色の覇気はついにオッタルすらも膝をつくようになり、神威にも似た覇気を身に受けているロキは気絶こそ免れているがこれほどの圧を久しく受けていなかったがために足に力が入らず、声こそ出なかったものの喉が絞められたような呼吸音を鳴らしてなんとか力を込めてゆっくりと後ろへと体を動かす。

 

「満足か?自分の駒で気に食わないやつが潰されて涙を流す姿を見るのは?」

 

 カツリ、とフィースの歩みがロキの前で止まった。天竜人への怒りと憎しみが多分に混ざり合った殺意が視線を通してロキを突き刺し、それでもなんとか我慢できる程度には理性が残っているのか落ち着かせるために肩からしている息はゆっくりと、そしてとても深かった。

 

 もはやこの場に立っていられるのはフィースだけだった。神格としては上位にあり天界にいた時にすらここまでの憎悪と殺気を向けられたことのなかったロキは、今の自分が何もできない身であるがゆえに怒りよりも恐怖が勝り足が震えている。それを向けられていないフィンたちですらも覇王色の覇気で意識を保つことに精一杯で満足に動くことができず、足腰に力を入れてこの惨状を作り出したであろうフィースをただただ見ていた。

 

「自分の手で人を簡単に強くできる遊びは楽しいか、天竜人(ゴミクズ)

 

 怒りと殺意でごちゃごちゃになった憎悪の視線をロキに向けながら、フィースの脳裏には任務の時に天竜人に遭った時のことが浮かんでいた。

 

 かつて億の賞金をその首にかけられていた海賊の奴隷を馬扱いして金属でできた鞭で叩き、その目が気に食わないと気まぐれを起こして別の奴隷にたまたま見ていただけの子どもに殴り殺させ、それで騒ぎになればうるさいと奴隷に暴れさせるだけでなく自身でも銃を撃って市民を黙らせる。

 ガープに頼まれてお目付け役として近くにいたクザンによって関節を凍らされて動けなくされていなかったら、例え世界から狙われるようなことになったとしてもフィースは海軍の立場を捨ててその天竜人を殴り殺していただろう。

 

 こいつもそんな天竜人と同じで人を自分の偉さのパロメーター程度にしか思っていないのだろう。そんな憎悪がフィースの頭の中を駆け巡っていた。そんな中でこの世界の神はあの世界の天竜人とは違うという冷静な部分が凶行を止めていたのだが、もしこれ以上ロキが余計なことを言ってしまえばその冷静な部分も憎悪で塗りつぶされていくだろうなと、冷静さが残っていた脳の片隅でフィースは他人事のようにそう思っていた。

 

「その言葉は聞き逃せないね」

 

 カチャリ、とフィースの背後から金属が地面を削る音と共に怒りに満ちた声が無音となった空間に響いた。フィースが声のしたほうを見ると、そこには足を震わせながらも槍を杖代わりにして立ち上がり、そしてフィースを睨みつけているフィンが咳き込みながら弱弱しく一歩を踏みしめた。

 

「簡単に強くなった?心外だ。その言葉には絶対に首を縦に振るわけにはいかない。何も知らないお前に、僕たちのナニカも知らないお前に、僕たちの今までを否定される筋はない」

 

 震えが止まらない足でよろりと、しかし力強く踏みしめる。杖代わりにしていた槍を強く握り締め、切っ先をフィースへと向ける。その目には強い意志と強い怒りを宿しているのが見えた。

 

「お前のそれは、絶対に認めるわけにはいかない。たとえここで死ぬことになったとしても、その言葉は絶対に肯定できるわけがない!」

 

 フィンの血を吐くような言葉に、リヴェリアとガレスは目を見開き、オッタルは静かに目を閉じた。

 

「僕たちは試練に打ち勝ってきた自負がある!誰もが諦めるような試練に立ち向かい、そして踏破してきた!僕たちは冒険者だ!誇りある冒険者だ!お前のようなどこの馬の骨かもわからないような小僧に見下されるような無様な生き方はしていない!」

 

 フィンの言葉は、少なくともその場にいる意識のある者全員に勇気を与える言葉だった。リヴェリアは杖を握り締め、ガレスは強く拳を握り、オッタルは剣を持って静かに闘志を燃やしてフィンの隣に立った。

 

「どこから来たかもわからない小僧に、我らの誇りを否定されるようなことなど、親愛なる神への侮辱を許容することなど、絶対にあってはならない!認めるわけにはいかないんだ!」

 

 フィンの足の震えは止まっていた。荒々しかった呼吸も戦闘に支障が起きない程度に治まっている。フィースに対する恐怖は怒りに圧し消され、目はフィースを逃さないと強い意志が宿っていた。

 少しとはいえ人となりを知っていたリヴェリアも、話を通してしか知らなかったガレスも、そして最強であるべしと誓ったオッタルすらも、フィースを超えるべき敵として戦意をたぎらせている。フィースの覇王色の覇気を受けてもなお、2度と折れることはないと己を奮い立たせていた。

 

「心意気は立派だな」

 

 いつの間にかフィースから発せられていた覇王色の覇気は消えていた。同時にフィースから感じていた憎悪の感情が薄れているのを、ロキを含めたこの場で意識を保っている者全員が感じ取っていた。

 

「それだけの意思があれば勝てない相手でも勝てるようになる。確かにそういうことは多々ある。意志が強さを凌駕することはままあることだ」

 

 それを身をもって体験し、同時にそれを成した存在()も知っているフィースは体をフィンたちに向ける。カツリ、カツリ、とフィースの靴が地面をたたく音が静かな空間に響き、フィースはゆっくりとフィンたちへと歩みを進めている。

 

「けどな」

 

 カツリ、カツリ、とまるで街中を歩くかのような軽やかさで一歩一歩を歩くフィースの表情は、さっきまでの憎悪に満ちたものではなかった。視線はフィンたちを鋭く刺し、それにフィンたちは体が震えるのを自覚しながら余計な力を抜くように各々構える。

 それを見たフィースの口角はわずかに上がり、何かを決心するように右手を強く握りこんだ。

 

「強い意志があっても実力がなかったら、守りたいものがあっても勝てねぇ(失う)んだよ」

 

 ダンッ、と強く地面を叩いた音が部屋の中で響いた。そしてその姿が一瞬見えなくなったと思ったら、フィンの目の前に数拍も置かずにその姿が現れた。

 誰もそれに反応することができなかった。リヴェリアも、ガレスも、フィンも、オッタルも。誰もフィースの移動を察知することも反応することもできなかった。

 

「”獣厳・大飛沫”」

 

 空を裂く音が響いたと思った瞬間、まるで爆発が起こったかのような衝撃と音が室内に響いた。その衝撃と音に思わず頭をかばうように耳を塞ぎ、衝撃が収まったと感じて音のしたほうを見ると、そこには壁や天井すらも削り取るような形で大きなクレーターが出来上がっていた。

 

「……そん、な……」

 

 自身の顔の横に拳を振りぬかれたフィンは自分の背後にできたクレーターを見ると信じられないものを見るように声を震わせていた。リヴェリアも、ガレスも、そしてオッタルすらも言葉を吐き出すこともできず、出来上がったクレーターを凝視するように目を見開いて呆然と見ていた。

 

「実力もない奴が自分の守りたいものを守れると思うなよ」

 

 それをまともに受ければ間違いなく自分は地面に伏せていた。いや、伏せていたで済まない。間違いなく死んでいた。フィンたちは床に伏せていた団員に被害がないのはフィースが手心を加えたからだということを悟れないような弱者ではないが、それでも目の前で起きたことを簡単に信じることができないほどには軽く混乱していた。

 そしてただ空気を殴っただけで壁一面にクレーターを作るような威力の拳をまともに受けるようなことになったことを想像したフィンたちは勝つことができないと悟り静かに腕を下ろした。

 

「やるか?」

 

 フィースは視線をオッタルへと送る。オッタルは何も言わずただジッとクレーターのできた場所を見ていたが、フィースの質問にふぅ、と軽く息を吐いて首を横に振った。

 

「……いや、やめておこう。お前には逆立ちしても敵わないのはあれを見ればわかる」

 

 剣を背中に戻したオッタルは息を吐くとその手を下におろした。フィースの作ったクレーター、そして自身ですら反応できない移動を目の当たりにしたオッタルはこのまま戦ったところで勝ち目はないことを悟っていた。オッタルは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。フィースの情報を持ち帰れることを良しとすると自身を納得させるように思い、しかし同時に決意を胸に視線をフィースに送る。

 

「だが、その首を洗って待っていろ。今は無理でもいつかその首を獲るのは俺だ」

 

 今は無理だが、いつかはフィースを超える。それができれば敬愛する美神へ捧げるものがより多くなることを確信したオッタルは超えるべき目標をフィースへと定め、より鍛錬を積むことを誓う。

 オッタルの内心のすべてを知ることはなかったが、それでもフィースは好戦的な気配を衰えさせないオッタルに口角が軽く上がる。

 

「……そうか。楽しみに待っていよう」

 

 オッタルの言葉に笑うかのように息を吐く。視線をフィンに向けると、呆然とした様子は変わってなかったが自身に視線が来ていることに気が付くとフィースを睨みつけるように視線を鋭くした。ガレスも同じようにしていると分かったフィースは、全員が神を好いている様子であることと、それでもロキという神を好きになれないという確信に改めて違う世界にきているのだという実感を感じてさみしさを覚える。

 そしてリヴェリアに視線を送ると、リヴェリアの目には強い意志を感じると同時に困惑の色も混じっていることを察したフィースは気まずげに口を歪ませて軽く息を吐く。

 

「悪かったな。俺の癇癪に巻き込んじまった」

 

 元々冒険者に対しては嫌悪感はなかった。こうなったのは嫌悪感のすべては天竜人とつなげて考えていた神の存在であり、それを彷彿とさせていると感じていたロキへの嫌悪と憎悪が抑えきれずに吐き出していた覇気が原因だ。

 ガープさんならともかく、こんな体たらくだとボガードさんにどやされるな。と、正論で自身に説教をするボガードの後ろでガープさんが大笑いしている光景が脳裏に浮かび、自嘲が漏れ出た。

 

「じゃあな。多分次に会っても大した会話にはならないだろうけど、そん時はお互い好き勝手やろうや」

 

 こうなってしまった以上、これ以上何かがあるわけではないだろうと、フィースは扉へと歩みを進めた。誰もフィースの歩みを止めることができず、ただフィースが部屋から去っていくのを見るしかなかった。

 

 カツリ、カツリ、と部屋から出たフィースは先ほどの4人を思い返しながら歩いていた。天竜人()の気まぐれに恐れていただけでは決して持つことができないだろう怒りに、フィースは改めてこの世界が自分の知る世界ではないのだと理解した。元々ボガードから抑えるように指導を受けていた身であり、癇癪でさっきの惨状を作ってしまった以上、本当に我慢するようにしないとマズいなと頭を掻く。

 

「あっ」

 

 フィースの進む先の廊下の曲がり角から金色の髪が流れるように走ってきたと思ったら、アイズはフィースを見つけると小さく声を漏らして足を止めた。警戒を露わにしながらフィースを見るが、どこにもケガも返り血と思わしき汚れすらも見て取れなかったアイズは、フィースがフィンたちに手をかけたわけじゃないと判断してゆっくりとした歩みでフィースに近づいた。

 

「……大丈夫?」

 

「あぁ、見た通りピンピンしてる」

 

 表情を変えずに恐る恐るといった様子で聞いてくるアイズに苦笑しながら、フィースは自分の胸を軽く叩く。フィースの表情から苦痛や苦悶が見て取れなかったアイズは、さっき聞こえた轟音とは真反対の様子に困惑しながらフィースが歩いてきた方向に顔を向ける。

 

「……何か、あったの?」

 

 あれほどの音がしてもなお、フィンたちが血相を変えて向かってきている様子はない。もしかして死んでしまったのか?と思ったがフィンたちがそう簡単に倒されるはずもない。もしフィースがそんな実力者であるのなら自分が知らないはずがない。ならあれほどの音がしてもなお問題はないということなんだろうとアイズは考えた。

 とはいえ、あれほどの振動を伴う音が気にならないわけではない。なら発生源であろう場所から歩いてきたと思えるフィースに聞くしかないと、アイズは恐る恐るといった様子でフィースに聞いた。

 

「この街でやっていけるかの確認で戦っていただけだ」

 

「……もしかして、勝ったの?」

 

「おう。勝ってきたぞ」

 

 フィースの言葉にアイズは目を見開いた。

 

 勝った?フィンたちではないだろうけど、それでも高レベルの冒険者以外であれほどの衝撃を出せるほどの実力者がいるはずがない。ということは、もしかしてあれのやったのは目の前の男なのか?

 

「どうやって勝ったの?」

 

「ん?ん~。そうだな……」

 

 アイズの絶対に教えて、という視線にどうするか考えるフィース。別段子供に教えることに対して忌避感はないが、ガープさんが推している鍛え方(脳裏に浮かぶルフィ達のあれこれ)を教えるのもなぁと少し遠い目をしたフィースにアイズは少し首を傾げた。

 

「悪いが内緒だ」

 

 戦うことを生業にしているとはいえ、さすがにあれは参考にならないし自分がやってきた鍛錬も子供がやるようなことではないかと思いフィースはそう言ってアイズの頭を掻きまわすように強くなでる。

 頭が下を向いてザラザラと髪を通して感じる強さに逆らうことができず、撫で終わると同時に乱れた髪を抑えるように手を置いてジトっとフィースを見るが、それを面白がるように笑うと優しくアイズの頭をたたいた。

 

「わりぃけど、これは教えられねぇんだよ。子供のお前がやると体壊すからちゃんと成長してからにしな」

 

 それだけ言うとフィースはアイズの額を押すように軽く突き、たたらを踏んで突かれた額を押さえてじっと見てくるアイズに軽く笑うと足を動かし始める。

 

「んじゃ、あんまここにいてもよくないだろうから帰るわ。次会うと保護者がいい顔しないだろうからな、会うならなるべく迷惑にならないようにしてくれよ」

 

 去り際にアイズの頭をなでるように叩き、そのまま歩みを進めていく。アイズは何も教えてくれなかったフィースを頬を膨らませて帰るのを見送り、そのまま何が起きたのかを確認するためにフィースたちが戦った部屋に向かった。

 

 そして、その部屋で起きた惨状を目の当たりにしたアイズは、フィースの力の秘密を絶対に教えてもらうんだと誓うことになるのだが、幸か不幸かフィースはこの時知ることはなかった。

 

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