元海兵がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:ルーニー

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 体が寒い。熱を奪われているみたいに体温が低い。そう感じて目を覚ませば、そこは見知らぬ森の中だった。雨が降っていてしばらく雨ざらしにいたせいか全身は濡れていて、寒さで体が震えていた。

 寒い。いや、その前に、ここはどこだ。

 体の様子もおかしい。見慣れた手ではなく、子供の手のように見える。それに、視線も低い。近くにある木もなんだか巨木と思えるほどに大きいものがいくつもある。

 どういうことだ。どういうことなんだ?

 あまりにもおかしなことに、思わず自分を見る。買った覚えの、見た覚えのない服に、そして、縮んだ体は、俺を驚かせるのに十分な厄ネタだった。



原作前
1話


「……っぅ……」

 

 目を覚ますと、そこは全く見知らぬ天井があった。一瞬海軍の医務室かと思ったが、何度か言ったことのある医務室の天井ではなかったし、今更裏切り者を生かしておくわけがない。じゃあ、この天井はいったい……。

 

「目を覚ましたかの」

 

 横になりながら呆然としていると、横から見覚えのない老人が顔をのぞかせてくる。表情から見るとやや驚きが勝っているが、それでもこちらを配慮している様子は見て取れた。

 

「あんたは……?」

 

「ワシか?ワシはただのじじいじゃよ。しかし、お前さんよく意識を取り戻したな」

 

 このじいさん、飄々としていてなかなかに信用しずらいが、少なくとも言葉から読み取るに命の恩人なんだろう。あの戦争で俺は死んだと思っていたけど、こうやって誰かに助けられれば生き残ることができるほどにはしぶとかったようだ。

 

「……ここは?」

 

「なに。普通の農業をしている辺鄙な村じゃ。お主を傷つけるものはおらん」

 

 辺鄙な村、と聞いて疑問が浮かび上がる。確かにここはマリンフォードにいたころには全く見覚えのない家だが、しかしあのマリンフォードがあった島に辺鄙な村なんてあったのだろうか。それに、俺は海賊をかばった裏切り者だ。少なくとも、大将赤犬に、あの場にいた海軍に見過ごされるほどではなかったと思っている。

 

「……俺、どこにいたんだ?」

 

「どこって、覚えておらんのか?山の中で傷だらけで倒れておるのをワシが見つけたんじゃ。血もかなり出ておったし、もしかしたら死ぬんじゃないかとすら思っておったぞ」

 

「……山?」

 

 山、だって?いや、それはおかしい。俺が最後に意識を失ったのは海間近の、マリンフォードの戦場の中だったんだ。あの周辺に山があった覚えなんてないし、仮に海に流されていたという可能性があったとしても、俺は能力者だ。流されることなく海に沈んでいるはずだ。

 

「バカな。山なんてないはず……。それに、マリンフォードに辺鄙な村なんてあるはずが……」

 

「マリンフォード?どこじゃそこは。そんな場所聞いたこともないぞ」

 

「……は?」

 

 じいさんの言葉に、思考が停止した。知らない?あのマリンフォードを?あの海軍と頂点に近い海賊が起こした戦争を知らないだと!?

 

「どこって、あのマリンフォードだぞ!海軍本部がある、白ひげとの戦争があったあのマリンフォードだぞ!いくら辺鄙な村だからって、あの戦争があったことを知らないなんてあるはずが……!」

 

 全身から嫌な痛みが走るが、それを無視して起き上がる。あの時の赤犬から受けた致死の傷よりもはるかに軽い。マリンフォードを知らないじいさんにありえないと文句を言おうとして、ある違和感で言葉を止める。

 

「お、おい、坊主。どうした?」

 

 急に言葉を止めたことに怪訝気な表情になったが、今はそんなことを考えている場合ではない。じいさんの体が妙にでかい。そういう人物なのだと言われたらそうなのかもしれないが、しかし180cm以上あった俺の身長を考えたら、目の前の細い老人がでかいと思えるような事態になるとはとても思えない。

 じいさんのほうから自分の体に視線を移す。手を見れば、そこにた鍛え上げ続けた武骨な手ではなく、まるで子供のように柔らかそうな小さい手があった。

 

「……体が、縮んでいる?」

 

 明らかに異常事態だ。死にかけたと思ったら、今度は全く知らない場所で子供となって眠っていたと言われて落ち着ける人がいったい何人いるだろうか。

 

「悪魔の実の能力?いや、死にかけの俺にそんなことをする奴なんかいないはずだ。なのになんで体が縮んで生きて……」

 

「お、おい、坊主?」

 

 じいさんが心配そうな表情で声をかけてくるが、それを気にする余裕はない。どうして体が縮んでいる。悪魔の実の能力としか思えない出来事だが、そんな能力を受けた記憶はない。それどころか赤犬で負ったはずの胸の傷が小さくなっている。それこそ胸に痛みはあるが内臓まで刺さるような痛みではない。なんで傷が小さくなっている。

 ふと、過去の記憶が呼び起こされた。かつて全身水浸しになりながら必死に生き続け、そして死にかけたころにガープさんに救われたあの頃のことを。

 あの時も訳も分からず体が縮んでおり、ONE PIECEの世界にいた。つまりは、今回もそういうことなんだろう。

 

「……やってられっか」

 

 元海軍少将フィース。若くして六式を極め、さらに覇気までも修めた【空掴のフィース】は、何の因果か2()()()の異世界転生を果たした。ついでに目の光も死んだ。

 




前書きでワンピース内で生きていた部分部分を書いていこうと思ってます。いつまで続くかは不明です←


・追記
二つ名を変更しました。黒鉄→空掴。理由はなんかゼファーとかぶっているという理由です。ゼファーのこと正直忘れてました。ごめんなちゃい☆
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