元海兵がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:ルーニー

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ごめんなさい。ONE PIECE過去編はしばらく休止させてください。流れが全く思いつかないんです。
アンケートでは心優しい結果になってくれて正直ホッとしているチキンです。いつか思いつくようになってからまた書いていきたいと思ってます。その時まで待ってきただけたらと思ってます。本当に申し訳ない。




11話

「ベル。近々オラリオへ向かうことにする。準備をしておいてくれ」

 

「えっ?」

 

 夕飯を食べ終え、ベルが満足そうに一服しているところにオラリオへ向かうことを告げた。この話を切り出した時ベルはとても驚いていた。

 まぁ、そりゃ驚くだろうとは思う。鍛錬の途中でオラリオや冒険者のことについて話をしたりするのだが、ベルにはまだ早い、せめて『六式』を俺が認めるぐらいになってからじゃないと行けない、と口を酸っぱくして言っていたのだから、それを撤回するようなことを言っているのだから驚くのも無理はない。

 正直な話、そこいらの獣程度には勝てるベルなら問題ないかもしれないが、『六式』がまだ未熟なのにオラリオに向かうのは、ベルの教官としてあまり認めたくないものがある。しかし、じいさんの死がいつになるかわからないため、じいさんの話から数日経った今早くにオラリオへ向かうことを告げたんだ。

 

「……まだ、『六式』を完成させてないのにオラリオに行ってもいいの?」

 

「『六式』は鍛錬の中でも鍛えることはできるが、恐怖に打ち克つ心や度胸に関しては実戦の中でしか培うことができないこともある。そういう意味では適度に緊張感のある場所で鍛錬をしていくほうが心のほうの鍛錬にもなるからな」

 

 もちろん俺も一緒に行く、と言葉を続けるとベルは少し安堵したように息を吐いた。1人で行って来いと言われると思っていたのだろうか。さすがにそこまで放任するつもりはないし、ガープさんのように実戦で何とかする、と言ったようなことにはしたくない。

 

「そう、なんだ。あ、でも、おじいちゃんのほうは……」

 

 じいさんだけを家に置いていくのが不安なのか心配そうにじいさんを見るベル。じいさんも予想はできていたのか安心できるようにと笑みを浮かべている。

 

「なに、すでにフィースと相談済みじゃ。わしのことは気にせず行ってこい」

 

「う、うん……」

 

 じいさんにも大丈夫だと言われて複雑そうな表情を浮かべる。普段オラリオに憧れていると言ったような話や表情を浮かべているのに、本当に行くとなったらしり込みをし始めたベルに、行ってもいないのにホームシックか、と苦笑いを漏らす。

 

「今日はわしが皿洗いの当番じゃったな。フィース、ベル。皿を集めてくれ」

 

「う、うん」

 

「はいよ」

 

 机の上に並べてあった皿を重ね、落ちないようにしながらじいさんへ渡す。危なげなく受け取ったじいさんはそのまま部屋の外にある水瓶で洗い物をすべく部屋の外へ出ていった。

 

「……ねぇ、フィース兄さん。おじいちゃんと何を話してたの?」

 

 じいさんが席を外した時を見計らってか、それともじいさんには聞けないと思ったのか。ベルが少し不安げな表情を浮かべている。

 

「……色々と話したさ。俺のこれからについてだったりベルのこれからについてだったり」

 

 嘘はついていない。あの夜での会話はベルには伝えていない。特に、じいさんの死を感じさせるような言葉は使っていない。せいぜいがさっき伝えたオラリオへ行くことぐらいだ。しかし、それでもベルは何か思うことがあるようで、逡巡の末に恐る恐るといった様子で聞いてきた。

 

「……なにか、隠し事してない?」

 

 その言葉で思わず顔をしかめてしまうか、真顔になってしまうかしてしまった。普段から言われればすぐに信じるため特に考えるようなそぶりを見せていない、正直ここがベルの直すべき部分でもあるが、ベルがいろいろと考えた末に聞いてくるのだから何かあるだろうと身構えていなければそうなっていただろう。

 

「……どうしてそう思うんだ?」

 

「なんて言えばいいのかな。こう、人と話していると時々何か違う、って感じがするんだ。嘘がわかる、って言えばいいのかな?気持ちがわかるというのかな。なんだろう。僕もよくわからないんだ」

 

 ピクリと、自分の眉が意識もなく動いたのを感じた。ベルのしどろもどろに感じている感覚は、俺にもあった感覚だ。

 見聞色の覇気。心身ともに極限状態で開花できる感情を読み取る力。極めれば未来予知すら可能になると言われているその力を、しかし習得するには過酷な環境にいる必要があるとすら言われているのにも関わらず、ただの鍛錬でベルは開花しかけている。ありえない、と思いたいが、ガープさんから『六式』の鍛錬と覇気の鍛錬とは似通っている部分があり、かつて『六式』の鍛錬の中で覇気に目覚める人も、ごく少数ではあるがなかったわけじゃないという話を聞いたことがある。それを教導してきた教官はある事件をきっかけに海軍からいなくなったということだったが、今でも彼を望む声はなくなっていない、ということも聞いている。彼が海軍に居続けてくれたら海軍はもっと強化されていたとはガープさんの嘆きだった。

 話はそれたが、『六式』の鍛錬だけで覇気に目覚めかけている、というのは正直信じられないという気持ちがある一方で、ベルは感受性の高さから見聞色の覇気に目覚めた、という可能性があるという考えもある。どちらにしても、ベルは見聞色の覇気に目覚めかけているということはゆるぎない事実だと感じる。

 

「……ベル。その感覚は大事にするんだ」

 

「兄さん?」

 

 ベルの頭に手を乗せてゆっくりとなでる。突然のことに驚いた表情を浮かべながら、しかし少し気持ちよさげに表情を和らげている様子を見て、内心複雑な気持ちにもなった。

 たった数年の鍛錬だけで見聞色の覇気を習得しかけているということは海賊との戦いで開花させた俺よりも才能があるということだろう。見聞色の覇気は他人の心を聞くため攻撃の回避や先読みした攻撃で戦闘では重宝する反面、制御を誤ってしまえば他者の気持ちを際限なく聞いてしまう諸刃の剣ともなりえる。

 

「ベル。それはまだお前には早い。心がまだ成長しきっていないお前には、まだ」

 

「……兄さん?」

 

「いずれは教える。だから、今はその感覚を大切にするだけにしておくんだ」

 

 感覚を大切にする()()。それがどれだけ大変なことなのかは自分がよくわかっている。自分も制御できるようになるまでかなり苦労したものだ。その感覚を覚えなければ苦労するのは目に見えている。実際に自分がそうだったからだ。

 見聞色だけにでなく、いつかは武装色の覇気もベルに教えることになるだろう。けど、『六式』を完全に習得できていない今教えてもどっちつかずになるだけなのが目に見えている。

 

「ベル。正直に言えば、あまり言うことができない。今はただ、俺とじいさんを信じてくれ」

 

「……うん」

 

 自分の祖父の命が長くないというのに、それを隠すために信じてくれという。なんて滑稽なことなんだろうか。ベルの前でなければ自嘲していたかもしれない。

 除者にされた、というような表情を浮かべているのにもわずかに苦笑を漏らす。それが自嘲でないことを祈って、さっきから部屋の外で待っているじいさんを呼ぶ。残り少ない家族の団欒をかみしめるように。

 

 




連休の真っただ中で仕事だったので怒りの投稿。コロナのせいで仕事がめちゃくちゃですわ。はよコロナ終息してくれないかなぁ。

ベルくん見聞色の覇気に目覚めかけるの巻。『六式』を調べているうちに『六式』と覇気は関連性があるというのを見つけたのと、ベルくんは見聞色の覇気に目覚めやすそうだな、という偏見から決定しました。賛否があるのは理解している。でも、ベルくんの強化はしておきたいんや……。
まぁ目覚めかけということもあって現時点では原作のように攻撃を避ける、ということはまだできません。せいぜいが心の声を聴くことができるぐらいです。
ベルくんの強化、原作と大きく剥離したくない気持ちもあってどこまでいけるかチキンレースしている気分ですわ←
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