元海兵がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:ルーニー

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鉄塊について、結構いろんな人から意見をいただけました。貴重なご意見ありがとうございます。
アンケートも思った以上に偏ることもなくどうしようかちょっと難しいですね。




13話

 

 受付嬢に礼を言って資料を返却し、ベルを連れてヘスティア神がいる場所へと歩き始める。面接場所にヘファイストス・ファミリアの拠点を指定している理由がよくわからないが、ともかく行かなくては話が進まないためベルを連れてヘファイストスの拠点へと向かう。

 

「ヘファイストス様って、確か鍛冶のファミリアの主神だったよね。もしかしてヘスティア様も鍛冶の神様なのかな?」

 

「……いや、さすがに同じ場所で同じことをやっていたら競い合いなんてものじゃ済まされないだろう」

 

 近くで同じ種類の店をやってしまえば、起こってしまうのは価格競争による店の潰し合いだ。またはサービス業になるならサービスの差別化だろうけど、大手と無名とでは全く同じ場所でそんなものでどうにかなるようなものではないだろう。競合しているのではなく共存している、という考えもなくはないが、大手ファミリアに対して零細ファミリアが共存しているという考えができるわけもない。

 

「……ホント、よくわからねぇなぁ」

 

 何を考えて別のファミリアの拠点を面接先に指定したのか、自分たちでは思いもよらないことを考えてなのか、それともただ単にバカなだけなのか。後者であるなら面接を終えたら即別のファミリアに行ってやると思いながらようやくヘファイストス・ファミリアの拠点にたどり着いた。

 鍛冶を司る神らしく、拠点は武具の売買をしている店になっていた。入ったのがまだ入り口なせいか平凡な武具しか置いていなかったが、奥に行けば高い武具が置いてあるのだろう。

 

「……これ、どこに言えばいいんだ?」

 

 ヘファイストス・ファミリアの拠点に入ったはいいが、ヘスティア神のファミリアのことで受付に言ってもわかるのだろうか。まさか、受付にすら話を通さずにいるなんてことはないだろう。と、思いたい。

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

 店のカウンターにいた店員に声をかける。店員も客だと思ったのか営業スマイルを浮かべて対応をしてくれる。

 

「はい。どういったご用件でしょうか?」

 

「いや、ここでヘスティア・ファミリアの入団面接があるとギルドから聞いてきたんですが、その受付はどこでやるのかを聞きたくて」

 

「……ヘスティア・ファミリア?少々お待ちください」

 

 怪訝そうな表情をし、ふと思い当たる節があったのかそういって受付は店の奥へと入っていった。しばらく待っていると受付と一緒に片目を眼帯で隠した女性が一緒に戻ってきた。

 

「……この子から話は聞いてるんだけど、ヘスティアのファミリアの面接の受付?なんでそんなことでうちにきたの?」

 

「いや、ギルドで確認したら面接場所をここに指定してまして」

 

「え!?なに、あの子面接先をここに指定していたの!?」

 

 女性は、なに、あの子ギルドに申請してなかったの?とブツブツと文句を垂れている。正直ここでそういうことを話されてもこっちが困るんだが、ヘスティア神はいったい何をやっていたんだろうか。少しの間文句を垂れてすっきりしたのか俺たちに申し訳なさげに目を合わせた。

 

「あぁ、ごめんなさいね。確かに以前まではあの子ここで暮らしてたんだけど、今はここから自立して出て行ってるのよ」

 

 自立した、という言い方が少し引っかかるのだが、女性の話を聞いていると、どうも少し前までヘスティア神がここに住んでいたのは本当のことらしい。シェアハウスのようなことなのか、それとも寄生するように一緒にいたのかはわからないが、自立したということは少なくとも1人で暮らせる場所と収入先があるということだ。寄生していた人が働き口を探すというようなことはしないだろうから寄生していたというわけではないのだろう。

 

「あの子がどこで働いているか、とか、どこに住んでいるか、と言ったことは教えることはできるけど、どうする?」

 

「……どうするの、兄さん?」

 

「……とりあえず、ヘスティア神の様子を見てから決めるとしよう。元からそういうつもりだったしな」

 

 女性の提案は正直ありがたいものだ。ここで突っぱねてしまえばヘスティア神の場所も分からないままになる。まぁ、ヘスティア神のファミリアを諦めてしまえばいい話なのだが、ここまできたのなら話だけでも聞いておかなくてはここで費やした時間が損になってしまう。

 

「それじゃ、申し訳ないですがお願いします。えぇっと……」

 

「?あぁ、私はヘファイストス。ここの主神で、ヘスティアの神友なの。それじゃ、案内するわね」

 

 女性、ヘファイストス神は親切にも誰かを遣いに送るというわけでもなく、本人が案内をしてくれることになった。仮にも有名どころのファミリアの主神がこんなことで出歩いてもいいのかと思ったが、どうもヘファイストス神本人も確認したいことがあるということで一緒に連れて行ってくれるということになった。

 ヘファイストス神の話を聞いていると少し前まで一緒に暮らしていたらしい。しかし、最近ヘスティア神が自立するようになってヘファイストス神の協力の下今の場所で暮らしている、ということらしい。何度か言い淀んでいたことがかなり気になるが、突っ込んで聞いてもはぐらかされるだけだったから見聞色の覇気を開放したのだが、人格者であることは間違いないという言葉に嘘はなかったためとりあえずは引くことにした。

 

 しばらくヘファイストス神に連れられて歩いていると、中央から離れて行っているからか周りの人がまばらになってくる。普通の人も多いが、その中にちらほら剣やら弓やら武装している人も見かける。武装しているのは冒険者だろうか。急所を重点的に守っている軽鎧で身を固めている人が多く、中世時代の騎士にありがちな重鎧はほとんど見かけない。

 

「あぁ、いたいた。あの子が探していたヘスティアよ」

 

 やっぱり冒険者の街なだけあって冒険者が多いと考えながら歩いていると、ヘファイストスが指をさしている。指をさしている方を見ると、そこはここにきて初めて口にした食べ物を売っている屋台だった。

 

「いらっしゃいいらっしゃい!じゃが丸くんはいかがかなー!」

 

 じゃが丸くんを売っているその屋台の売り子が元気よく客引きをしている。じゃが丸くんを作っている店主らしき男性と、黒い髪を二つ括りで垂らしている白い服を着た少女がいるが、まさかあのどちらかが目的の神なのだろうか。

 

「ちゃんと働いているようで安心したわよ、ヘスティア」

 

「あ、ヘファイストス!」

 

 ヘファイストス神が感心したように売り子に話しかける。売り子も珍しいと言ったような表情を浮かべてヘファイストス神と話している。会話から察するにこの売り子がヘスティア神のようだ。

 

「……神が露店で働いているのってどうなんだ?」

 

 ヘファイストス神のように、商業系ならば団員に任せて自分は後ろにいる、といったようなスタイルでいるのが普通な気がしていたのだが、ここまで世俗に染まっている神もそういまい、と内心呆れていくのを感じる。

 ヘファイストスとの話も終わったのか、ヘスティア神が目を輝かせてこっちを見ている。見聞色の覇気を使わなくてもわかる。あれは嬉しさのあまり破顔させている。

 

「君たちかい!?僕のファミリアに入ってくれるって子は!」

 

 ヘファイストス神からは募集を見てきた、ということだけしか聞いていないのか喜ばしいとこちらに突撃をかましてきたが、こっちとしては入っても問題ないか確認するためにここに来たのだ。まだ入るというわけではない。

 

「……勘違いしてもらいたくないが、あくまで面接に来ただけです。どういったファミリアなのか、何を目的としているのか、どういった方針を掲げているのか。そういったことを確認しに来たんです」

 

「うぇ!?あ、うん。そう、なんだ」

 

 あはははは、はぁ。と不貞腐れたような笑みを浮かべるヘスティア神。あからさまに表情が変わる神だが、その分表情で何を考えているのかわかりやすい。色々とやってくれた各地の汚職海兵どものことを考えたら腹の底で何を考えているかわからないようなのよりか好感はある。

 

「店主くん!少し休みを取りたいんだけど大丈夫かい?」

 

「あ?あぁ、ファミリアのことかい?まぁ、もうそこまで客は来ないだろうし、今日はもう早上がりしてもいいよ」

 

「ありがとう店主くん!」

 

 屋台の店主に許可をもらったからか意気揚々と店を離れるヘスティア神。さすがにここで話すことでもないということでヘスティア神に連れられて拠点へと向かう。ヘファイストス神もここで帰っても問題なかったのだが、ちゃんと生活できているかの確認もするためについてくることにしたらしい。

 

「あ、そうだ!ヘファイストスの開いている部屋を貸しておくれよ!そこで面接すればいいじゃないか!」

 

 ヘファイストス神も一緒に来る、という話を聞いてかそう提案するヘスティア神。しかし、ヘファイストス神はそれを呆れたような表情を浮かべて首を横に振った。

 

「ダメよ。ちゃんと自分のところでしなさい」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 ヘファイストス神のダメだしにガックリと肩を落とすヘスティア神。どうして自分のところでやらないのか、という疑問もあったが、ダメなものはダメだということで開き直ったのか、こっちに来て、と言ってヘスティア神の拠点へと歩みを進めていく。

 道中何かたくらんでいるかのような意思がちらほら漏れているヘスティア神だったが、念のために見聞色の覇気で確認する。しかし、初めての眷族候補である俺たちをどうやって引き留めようか、という他愛ない考えだったため警戒をわずかに緩める。他にも眷族ができたのだからこのままだんだんと増やしていってオラリオ有数のファミリアとして名を上げてやる!と言ったような考えをしているが、俺たちをどうにかしようと考えているわけでもない。単純に俺たちが他のファミリアにはいない、何でもできるようなすごい人物であるということを前提に考えていることもわかった。なんという俗物めいた神なんだ、と思わなくはないが実験じみたような考えを持つような神ではないと判断し、見聞色の覇気による警戒は緩めないがそこまで身構える必要があるような神ではないと判断する。

 善良ではあるが、なんとも人間臭い神に内心苦笑いを浮かべる。チラリとヘファイストス神とベルのほうを見ると、ヘファイストス神もヘスティア神の心情を読み取っているのか呆れたような表情を浮かべ、逆にベルはこれからの面接に不安を抱いているのか不安そうな表情を浮かべている。ベルを安心させるように笑みを浮かべて大丈夫だ、と頭をなでると多少不安が和らいだのか表情が少し明るくなる。

 

 しばらくヘスティア神について歩いていくと、メインストリートから離れていく。人通りもだんだんと少なくなっていき、ついには無人に近いほどに人気が感じられなくなった。そんな中を歩いていくヘスティア神についていき、やっとのことでたどり着いたのは外壁や屋根がボロボロになった廃教会へとたどり着いた。中を見てみても壁や屋根の穴から日が差し込まれている状態にしか見えない。まさかここで浮浪者やホームレスのように過ごしているというのだろうか。

 

「こっちだよ」

 

 ヘスティア神は慣れた足取りで廃教会の中へと入っていく。ヘファイストス神もそれに続いていくから俺とベルも2人についていく。廃教会の奥まで進むと、ヘスティア神がきれいな壁に向かって歩いていく。そのまま突起物をつかんだと思うと、ドアノブのようにひねって壁が動いたではないか。

 

「え?壁が動いた!?」

 

 ベルもそのことに驚いたのか声を上げる。俺も予想していなかった構造に目を丸くする。ルフィが好きそうな構造だなぁ、と思っているとヘスティアの表情がしてやったりと言わんばかりの笑みを浮かべている。

 

「ここが僕の拠点だよ。さぁ、入って入って」

 

 ヘスティア神は手招きをするとそのまま扉の中に入っていく。ヘファイストス神もヘスティア神について中に入っていく。ベルが忍者屋敷のような構造に興奮が冷めないのか目を輝かせているのを見て苦笑いを浮かべ、ベルを連れて扉の中に入る。入るとそこは階段になっていて地下へと続いている。地下に居住空間を作ってあるタイプの教会だったのか、と納得して階段を下っていく。階段を下りきると、そこは2、3人が過ごすには問題のないぐらいの広さのリビングになっていて、壁についている電灯が部屋の中を明るくしている。

 

「へぇ。ここに放り投げた手前、ちゃんと生活できているのか確認したかったけど、問題なさそうね」

 

「ちゃ、ちゃんと暮らしていってるってば」

 

 そこそこ整理整頓されている部屋の様子に感心したような表情を浮かべるヘファイストス神。それに対して拗ねたような表情を浮かべているヘスティア神。1人立ちした、という言葉も嘘ではなさそうだ。

 

「さて。それじゃ今から面接というこうじゃないか!」

 

 ヘスティア神はソファに座り、対面するように置いてあるソファにかけるように俺たちを促す。それに従うように荷物をソファの隣に置いてベルと並ぶように座り、ヘスティア神の言葉を待った。

 

 






長引きそうなのでここでいったんカット。やっとベルとじいさん以外の原作キャラを出せました。結構かかりましたねぇ(しみじみ
CP9戦をアニメで見直しているんですが、サンジかっけぇ。「神が食物を作り、悪魔が調味料を作る」って言葉めっちゃカッコ良く無いですか。そんなカッコいい言葉言ってみてぇよぉ。

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