本編では隠された鬼柳の生い立ち話です。
察す程度に留めた鬼柳の昔話を、こちらに記そうと思います。
物語の奥には、表面には見えてこない彼らの人生が根付いています。必要以上には書きませんでしたが、裏に彼らの人生がある事を伝えたく筆をとります。
【色んな人の色んな話】
実は彼らの人生には法則があります。
大筋はゴッズの彼らの人生をなぞり、ただし皆どこかで「順番が逆転」しています。遊星を例に取ると、サテライトからジャックを倒しその後最終回に研究者として一線を離れた遊星が、この世界では研究者として一線を離れてから、キングであるジャックを倒す形に逆転しているのです。
ジャックも同じです。「遊星にキングが倒されて始まり、最終回で長年に渡るシングルリーグのキングに返り咲いたジャック」が、逆に「長年に渡るキングから、遊星に倒され挑戦者」へ。
サテライトの遊星が、モーメントの事故なくトップスに生まれていたように。
傷付いてサテライトの遊星に救われて医者になったアキが、トップス遊星の居た国立大学(実は医学部を目指す途中)で遊星に出会い、傷付く前に、傷付かないように守りたいと言われたように。
可能な限りゴッズを壊さず根は同じで、ただし鏡写しの様に逆の人生を歩むよう意識していました。
ダグナーの影響でカーリーに忘れられた告白が、きちんと受け取られる形になっているのもその内です。
あと、ゴッズではカーリーがジャックを押せ押せでジャックがかわす側だったので、あえて今回は逆。ジャックのプロポーズが遊園地でかわされる形になっています。まぁこれに関しては、ほぼ逆プロポーズされたようなものですが。
龍亞龍可も裏設定を少し。
エンシェントフェアリーは癒しの龍。ゴッズ次元の龍可も実は同じ病の可能性を持っていたのが、しかしこのカードを捨て過ぎる次元では、カードの精霊達にとても会いにくく、龍可が癒しに出会う前に幼くして発症してしまった、という流れ。
本編でキングに龍可が手紙を書いたのは、自分の為に辛い顔をする龍亞を励ましたかった龍可の優しさ。その後どれだけ龍亞ががんばったかは、皆様の瞼の裏に。この次元でも、あの時アポリアを救ったほどの強い希望を、小さな体で戦い抜いた事でしょう。
もう一つ。モーメントとスターダストを巡る話。
遊星が『フォーチュン』を開発して初めて、モーメントの滅びの定めは終わりを告げます。それまで、遊星粒子と共に在り、そして遊星を守っていた、モーメントの制御カード『スターダスト』。
ジャックが戦いを焦がれたあのカードは、フォーチュンを開発した遊星に、不動博士からモーメントの凍結の役目をようやく離れて、ジャックを助けに走り出す遊星の手に渡りました。タイムラグはそれが理由です。
モーメント。あれは否応なく全ての人の運命を変えるものです。アニメの生死を覆すほどの運命の変化はココだけです。
モーメントを巡る人(不動博士とゴドウィン兄弟)以外の生死は、会いたくても絶対覆さないと決めていました。
ピアスン、ブルーノ、アポリア…覆せば、それはかえって本編の切なさを強めるから…
彼らの命を賭けた戦いを瞼に止めて、語らぬ事が拙いですが私なりの敬意です。
(あと、親愛なるほんと大好きで別枠で大大大好きな牛尾さんとイェーガーさんの二人は愛が深すぎて書けぬ。タッグフォースではお世話になりましたお二人とも…敬具。あまり知られていない事なのでぜひここで語りますが、牛尾さん実は、アーククレイドルで遊星達が戦う影で、なんと鬼柳と手を組んで(TF6公式)街を護っていました。セキュリティとかつて殺された側の垣根を越えた二人に泣いた。その時の鬼柳の自分のチームへの言葉にも泣いた。そしてイェーガーさんと深影さんは、セキュリティに無謀に乗り込んだシェリーを知っていて一度見逃している(TF5公式)のです。ああ、この二人はセキュリティでありながら時に何かを信じて何の益にもならなくてもリスクと責任を追って黙して守る事を知る人たちなのだ、と思わずにはいられません。もうここまで来ると誰が一番好きとか細かい事アクセルシンクロしすぎてみんなの息付く街そのものが愛しいんだよバーニングソウル。結論、ゴッズファンはタッグフォースやろう。カードは拾おう。おいデュエルしろよ、大丈夫デュエルが分からなくても遊星が手取り足取りチュートリアルしてくれるよ!!!
…あとブリッツまじごめん。超ごめん。なんというか、すまん、まじすまん。うっかり忘れられて不憫な「らしい」役どころだったと思って笑って許してくれ…orzごめんよーー!)
…こほん。超長い余談おわり。伝えたい愛が多すぎる。
◇ ◇ ◇
【サイコパワーとアキとシェリー】
ゴッズでアキの破壊の力が癒しの力に昇華された事、そしてアキが医者になった事。
両者を合わせて、アキの力は満たされて消えていった天性の『医者のメス』だったと思っています。人を傷付けも癒やしもする鏡写しの力。その才と覚悟のこと。
トップスの議員の娘だったアキと、上流階級の令嬢だったシェリーは、漫画版と同じく、この世界では学友です。ただし、この世界ではモーメントの制御カードだったブラックローズがアキの手に渡っていません。だからアキのサイコパワーは眠ったままです。一方シェリーは漫画版と同じく覚醒しています。
ブラックローズは、遊星がフォーチュンを完成させて次のキングになった後、実父からでなく(いずれ義父となる)不動博士から、医者として悩むアキに励ましの意味を込めて手渡されます。
しかし、眠っていたアキのサイコパワーは、この時初めて覚醒。炎と共に暴れ出す自分の力に、アキは恐れて泣きながら遊星の元を離れようとして、サイコパワーの持ち主で学友だったシェリーの元に逃げ込み、しかしシェリーに厳しく頬を叩かれて叱責されます。
アキは、この時すでに医者です。自分の手が人を救う事も、ほんのわずかな違いで命を奪いかねない事も知っています。だから、もう一度震える足で立ち上がれた。
遊星はアキを迎えに行き、デュエルを。スターダストで何度でもアキを受け止めた遊星の姿は、世界が違えど同じでした。
ゴッズのアキさんが、苦しみ傷付き辿り着いたあの場所は、決して無駄ではなかった。だからこちらの次元でも、何不自由なく最後まで自分の力に向き合わないままで終わることはなかったはずです。
今、アキは、遊星に導かれて、激務の合間にライディングデュエルを習っています。そして練習相手はもっぱらシェリーです。サイコパワーを持つ先輩として、アキの力はシェリーに導かれて徐々に制御できるようになってきています。まだ時間はかかるでしょう。けれど、いつかアキなら、その力を癒しの力に昇華できる日が来る。信じて遊星は待っています。自分らしいデュエルを見つけて、薔薇が華やぐような笑顔をアキが見せてくれる日は、きっと遠くない。
◇ ◇ ◇
【聖書とジャック】
ジャックがあれだけ口達者なのにメールをあまり打たないのは、性格もありますがやはり識字の点でどうしても偏りがあり不得手だからです。
このジャックは言葉を基本的にマーサや牧師のミサの言葉や聖歌、つまり耳で覚えています。ジャックの大袈裟な持って回った言い回しは、独特の言い回しの多いミサに多く由来している、という設定です。
なので、このジャックの中でマーサの教え=聖書は核になっています。
実は『ノブレスオブリージュ』がジャックに響いたのは、マーサが教えた聖書に似た話(割くパンが増え続ける話)があったから。結構頑張って伏線張ったのですが、書いてる途中で黙するべしと悟ったので削りました。
割くパンが増え続ける話は、コモンズで飢えたジャックには夢物語過ぎてなんのこっちゃで逆に印象強かったと思います。カーリーの記事で、ジャックはその聖書の話が『分け与える意味』を説くものだと自分の中で悟ったのでしょう。マーサはほんと偉大。
あと、マーサハウスに「牧師」が出てきたのには、実は意味があります。
マーサはシスターですが、本来「シスター」はカトリック、「牧師」はプロテスタントで宗派が違う。わざと牧師にしたのは、マーサハウスの事情を少しリアルにするためでした。
マーサハウスには神父が居ない。つまり孤児院に来てくれている牧師は、別の宗派から善意と人の縁で来てくれている。この「ちぐはぐさ」が、コモンズが皆寄り添いあって生きている事をどことなく感じさせる。そのためのギミックでした。
◇ ◇ ◇
【評議会と深影さん】
意外な所から、もう一人。
ジャッカリゆえ多くが伏せたままでしたが、「ジャックの秘書からセキュリティに転任」した深影さんも、この話では逆、「セキュリティからジャックの秘書」へ転任しています。
ドナーの移植の『セキュリティの第三者監査』の一員としてジャックの姿を直接その目で見て、惹かれ、ジャックの秘書になると決めてセキュリティを飛び出したようです。
ハッピーエンドの裏の綺麗なばかりでない話も一つ。評議会の思惑です。
教科書の配布は、知恵をつけた子供達が上を脅かす前に思想統制したかった評議会の都合があります。同時にあえてゆっくりとダイダロスブリッジを建設する事でコモンズ全体にガス抜きと希望を持たせ、それも教科書に上の偉業として記します。子供達に統一された良い印象を刷り込む事が、形を変えた隷属の益になると踏んだ評議会の思惑は、しかし最初から他の学校と手を組んでチームを広げて思想の腐敗を前もって防いだ鬼柳の方が一枚上手でした。評議会の敗因は、コモンズが生きる為に培った独自の情報の繋がりを見くびった事。鬼柳の先読みは見事の一言でした。
一方、ジャックは評議会の思惑を感じつつも、関せずキングとして揺るがぬデュエルを貫きます。ジャックのデュエルが名ばかりで無かった事が、形だけの虚構でない本物のダイダロスブリッジを実現しました。この陰には、セキュリティ(=評議会の対抗勢力)出身の深影さんの力が縁の下で非常に活きています。誰一人欠けてもだめなのです。ジャックは深影さんの献身あって政治にほぼ介入されずに道を貫きました。ジャックは実は結構危ない橋を渡っています。
基本ジャックはキングが頭をさげる重みもあり、性格的にも人に滅多に礼を言わない不遜な孤高の人なので、深影さんに本編で言った『深影、お前にはこの三年余り世話になった』の一言は重きある本音です。だからこそ、そんな滅多に言わない台詞をあの場面で口にしたジャックを、深影さんは止められなかった事でしょう。
ジャックと深影さんとの間にも決して軽んじられない強い信頼がありました。ただし、それはあくまでキングとしてのジャックです。ただの男ジャックアトラスの真の愛は最後まで一人だけ。ジャックが倒れた医務室で、深影さんの姿がなかったのは、聡明な深影さんがそれを知っていたから。
ジャックが倒れ、報道陣が詰めかけたとき、カーリーだけを通してくれたのは深影さんです。
深影さんは、ジャックが手放さなかった数少ない荷物の中の指輪を、知っていました。
深影さんは、この世界でもカーリーと形は違えど本当に素晴らしい女性でした。ですから、失恋後も決して下を向かず、誇りを胸に自分の幸せを掴んでいったことだと思います。
そしてジャックは、誇りある人を蔑ろにする人ではありませんから、闘病に向かうジャックに着いていかず、一つ綺麗な礼と「ご武運を」の一言で、キング引退と共に自分から付き人を辞した自らの秘書を誇らしく見送ったのではないかと思います。ただし、それを滅多に口にする人でもないジャックを、深影さんは、言わずとも理解していたことでしょう。深影さんの道はまだまだこれから始まります。
一見おとぎ話に見えるハッピーエンドの裏にも、理由と戦いと絆があります。泥臭く善意だけでないそれは、だからこそ決して夢物語ではないのです。何かを変える強い流れは、逆を言えば、悪意すら変革の力となります。それすら抗い続け、制したからこそ、ジャックは街に讃えられた真のキングなのです。
◇ ◇ ◇
【鬼柳の生い立ち】
やっと本題かよ長いわ!鬼柳の話。
鬼柳の人生も、順番が逆転しています。
髪の長い鬼柳がニコとウェストと出会い、髪の短い鬼柳になって、ジャックと出会い救世主となる、逆転の人生なのです。
作中ジャックが察していた通り、コモンズでは知らないはずのトップスの常識『給食』を知っていた鬼柳は、生粋のコモンズにしてはトップスを知りすぎています。
作中かなり機転の利くジャックの上を行く智慧ある鬼柳は、ある程度上流の教育を受けたトップス生まれだった事が推測できます。その鬼柳がコモンズにいる理由は、本人が『満足できない話』と言っているように、あまり明るい話でない事は明らかです。ここまでが、本筋で描いた話。
ジャックを凌駕する実力者である鬼柳は、トランプでいえばKの上を行くジョーカー。秘すべき切り札。ですから、慧眼ある鬼柳は、己の瑣末は語らぬ方が己の魅力を引き立てる事を知っています。これは鬼柳が語らない裏の話です。
ここからは完全な裏話。
この世界の鬼柳の父親はドランカーでした。中学の半ばまでは良い学校に通っていましたが、常に受けていた暴力のためキッチリ親を恨んで、体が成長期を迎えて反抗できるようになると、すぐさま金を持ち出して家を飛び出してコモンズに下ります。作中で『トップスは反吐が出るほど気に食わねえ』と言っているのは、コモンズとしてトップスを嫌っている範囲に鬼柳が見せていますが、実は父親が気に食わないという意味です。これは遊戯王らしくクズの父親、という原作の流れを汲んでいます。
本来の苗字は桐生。少しカッコつけの中学生特有の年代を過ごすはずだった彼が、その時期にトップスを捨て、同時に新しい自分に付けた当て字が鬼柳です。父親と同じ苗字に耐えられなかったのでしょう。
しかし、コモンズに下った鬼柳もクズと他に呼ばれる立場です。鬼柳が最も恐れていたのは自分が父親と同じようにクズと呼ばれる内に、本当に父親と同じクズになる事でした。その恐れを振り払う為に鬼柳は荒れました。しかし、それはやはり周りにクズと呼ばれる立場を加速します。無謀にセキュリティに挑み、収容所送りとなり、地下に送られた鬼柳に、転機が訪れます。
ニコとウェストとの出会いです。
二人の父親がクラッシュタウンと同様に命と引き換えに子を守り鬼柳に託した事で、「世の父親が皆自分の親のようにクズでは無かった」事、「ニコとウェストを守る真っ当な父親に自分が変われる」事、「守る子供がいれば自分はクズに成り果てない」事を知った鬼柳は過去を振り切ります。
子供達を連れてトロッコで地下を抜け出し、ずるずると未練を引きずって伸ばしていた髪を切り落とし、ニコとウェストを守るチームサティスファクションのリーダーがここに生まれます。
子供を守る事は、この鬼柳にとっては希望。
守る事で、守られる。それがジャックをも凌駕する鬼柳の強さ。
ですから、ジャックと共に学校を作り、先生と呼ばれ、守る子供が増えたほど、鬼柳はますます強くなっていった。このチームサティスファクションは瓦解しません。逆の人生です。
しかし、どこまでも満足を追求する魂は同じ。鬼柳は走り続けます。もう髪を伸ばす日は来ないでしょう。もう一つの鬼柳の物語はコレで〆です。
真のキングとなったジャック、次代の王となった遊星、鬼柳とジャックのコモンズへの尽力で守る子供達を独り立ちさせてトップスに身一つで飛ぶ自由を得たクロウ。満足村の町長ならぬ校長となった鬼柳。
かつてサテライトで無敵を誇ったこの四人は、
この先、いつか生まれ変わったコモンズで再び集うでしょう。
絆の引き寄せる風に導かれ、いつかきっと出会う彼ら。
クラッシュタウン編の懐かしのセリフでこの過去語りを締めようと思います。
「ははっ、最っ高だぜ!チームサティスファクションの復活だ!」
◇ ◇ ◇
【最後に。】
少しだけ未来の話。
全てはここから始まった、
ラリーと遊星の話です。
遊星に直して貰った、ラリーが約束通り絶対に手放さなかったテレビの中で
次代の王、新たなキング、不動遊星が。
求められて、マイクを取ります。
「聞いて欲しい。今もコモンズにいるオレのかけがえない仲間へ。そして、この街の全ての人へ」
「オレは生まれも育ちもトップスだ。あの頃のコモンズの現状を何も知らぬまま育った。だが、かつて、かけがえのない友であるジャックに導かれ、この目でかつてのコモンズを見て、衝撃を受けた。そして一生忘れられない、仲間に出会った。ジャックが、そしてコモンズで出会った絆が無ければ、今のオレは無い。絆がオレをここへ導いてくれた」
「あの時、オレは、誓った。コモンズに、オレの仲間のもとに、光を届けると。街の隅々まで、眼下に光の広がる星座の街に変えてみせると。星がないなら、星になればいい、オレがいつか必ず、その星になると、誓った。不甲斐ないばかりにずいぶん待たせてしまった。ようやくだ」
「今月には次世代エネルギー機関、『フォーチュン』の本格的な稼働が始まる。この街に光があふれる。やっと胸を張って会いに行ける。今はまだ、オレはここでやる事がある。ジャックの、友の意思を継ぐ。ジャックが居なければ今のオレはいなかった。その絆を未来へ繋げたい。
…そして、この街には、オレと同じ、ジャックが居なければ『今』は無かった人々が、コモンズにもトップスにも本当に多く居るだろう。これを聴いてくれている人々に、頼む。どうかオレに力を貸して欲しい。
ジャックが無理を押して戻って来なくても良いように、安心して未来のバトンを託せるように。
ジャックから教わった『戦う意味』に恥じぬよう、オレは友の意思を受け継ぎ、精一杯、王の務めを果たすつもりだ。
オレ一人ではきっと成しえない。だから、力を貸してくれ。この街に数多く居る、ジャックを見届けてきた全ての人々を、オレは、言葉を交わした事がなくとも、ジャックがくれた風で繋がったかけがえのない仲間だと信じている。その絆が、オレを強くしてくれる。オレは走り抜く。仲間に恥じないデュエルを貫く。見ていて欲しい」
「聞こえているだろうか。聞いてくれていると、信じている。待っていて欲しい。必ず行く。ダイダロスブリッジを超えて、必ず会いに行くから
────オレの仲間に、今のオレを生んでくれたコモンズの隅々まで
光を届けて、会いに行く。だから、待っていて欲しい」
「聞こえてるに決まってるじゃんか。おれ、ちゃんと、絶対売らないって約束したろ、遊星」
古く使い込んだ型落ちのテレビをとても大切に撫でて、癖で広がった茶色の髪を後ろに思いっきり手で流して、その青年は自分の頬を両手で張った。
気合を入れて、長く住み慣れた隠れ家の、わずかな全部をかき集めた渾身の旅荷物を背負う。必要なのは飛び出す勇気だけ。準備はもうとっくに出来ている。
光なんか、ずっと前から届いてる。
「おれ、もうガキじゃないんだぜ、遊星! ビックリするかな、おれがこんな背伸びたの、喜んでくれるかな。待っててくれな遊星、遊星ならきっと、おれのお守りのカード、役立ててくれるよな」
飛び出したその手に輝く、握り締めた絆のカードの名は
ワンショットブースター。
「待たない。助けに行くよ、今度はおれから会いに行くんだ、遊星!」
次の王は、絆を繋ぐ新しい歴史を始める。
ジャックが切り開いた道を継ぎ、飛翔する新たな王が
この街の忘れていた、いつのまにか失われていた人々の絆を繋ぎ止めて
シティ、と呼ばれた街が星の灯に彩られ
ずっと待っていたように、街の絆が一斉に息を吹き返す時が来る。
駆け出した絆はこの風の先へ
どんなに離れたって
途切れることはない
より深くへ
刻まれていく
だから。
傷付くこと 恐れずに
デュエルが人を蹴落とす時代が終わって
人と人の絆を紡ぐ待ちわびた時代が
既にすぐそこまで走り出して
光の中に産声を上げて、加速する鼓動と呼吸をシンクロさせて
今か今かと歓喜を上げて、未来に飛び出すアクセルの合図を待っていた。
end.
────シンクロ次元に絆あれ!!長い語りをお読み頂き、ありがとうございました!
僭越ながら、拝啓、親愛なるゴッズを共に愛した同じ仲間へ。きっとまた同じ風の先で出会えると信じて!
オゾンより下でまたお会いしましょう! \( ´ ▽ ` )/
2020/03/24 fure-rera