「よし、
思わずガッツポーズを取ってしまった俺を誰も責められまい。スペルカード屋の中にプレイヤーは俺しかいないしな。
あれから1日半、時間にして30時間以上。俺はひたすらスペルカードを買い、
こんなに出ないならダブっていた
ポンズには手に入れた
そして
「スペルカードを全種類揃えられましたね。40枚と交換で大天使の息吹を差し上げますが、如何なさいますか?」
俺のフリーポケットにスペルカードがコンプされた事を察知したのか、イベントが始まった。まあ、こちらは肯定するだけの簡単な作業だが。
そうして渡された大天使の息吹を指定ポケットに収める。
ちなみに俺はもう
とにもかくにも目標を達成し、比較的マシなスペルカードでフリーポケットを全て埋める。そして店の外に出て、待っていたポンズと合流。どうやら俺の表情で察したらしく、疲れた顔をしながらも達成感も感じさせる表情をして、無言のままで誰にも会話が聞かれない場所へと向かった。
「お疲れ様。1番の目的はゲットね」
「ああ、付き合ってくれて感謝する」
お互いに労いながら、俺はフリーポケットから
「
唱えた瞬間、
「…………」
「…………。聖騎士の首飾り、外したら?」
「あ」
そんな目で見ないでくれ、まる2日完徹してるんだから頭回ってねぇんだよ。
バカを見る目をしたポンズは自分の聖騎士の首飾りを外し、自分のバインダーから
「取り敢えずこれで3回までなら瀕死から回復できるのね。次はどうする?」
決まってんだろ。
「寝よう」
何度でも言うが、もう俺は50時間以上ぶっ続けで動いているのである。まずは寝かせて欲しい。
明けて翌日、改めて今後の指針を決定する。
「やっぱり拠点を作りたいな」
「そこに『敵』を誘い込んで倒す訳ね」
「ああ。俺の『敵』が来るかどうかは分からないが、少なくとも『敵』の仲間か手駒は来るだろ。そいつらを見逃す手はないからな、逆にそこから手繰っていかないと何も情報が無い」
俺の『敵』に関して分かっている事は、相手が女性であるというだけだ。これでは手の打ちようがないから、どうしても地道な作業になる。
操作された手駒は情報を吐かないだろうが相手の数を減らすのには意味があるし、何も知らずに利用されただけの相手なら情報も見込める。
問題は俺がグリードアイランドに来ている事を『敵』が知っているかだが……ここはまあツェズゲラ辺りに期待するか。多少怪しまれるかも知れないが、ハメ組を雇ってバッテラに情報を流してもいいかも知れないし。
そんな事に頭を回転させていた俺だが、ポンズもまた難しい顔をしている。
「どうした?」
「……グリードアイランドはスペルがあるから、距離が取りにくいのよ。
となれば、もちろん薬や凶器を使った罠は作るけど、物理的威力がある罠も欲しくなるわ」
物理的威力がある罠とは大掛かりなモノも多く含む。つまり、単純にマンパワーが足りないという問題だろう。
だがだ。こういう時の為にいるような存在が、マサドラで
とはいえ
調べた限り、挫折の弓が入手できる場所は恋愛都市アイアイ。ならばショートカットできる可能性が高い魔女の媚薬は手に入れておきたいところだ。そして魔女の媚薬が手に入るのはギャンブル都市ドリアス。順番はこれでいいだろう。
その事をポンズに話し、納得して貰う。
「じゃあまずはドリアスね」
「ああ。スペルカードはたんまりあるし、サクサク行こう」
俺とポンズは
◆
クロロとパクノダに
(ざまみろ)
心の中でアッカンベーと舌を出すのはユア。バハトを旅団との戦いに巻き込んだクラピカに対し、彼女はとことん辛辣だった。
とはいえ彼を仲間だと思っているゴンやキルア、レオリオにセンリツを前にしてそんな態度はおくびにも出さない。あくまで表面上はクラピカを心配しているフリをする。
クラピカが交渉してくれたからこそ無事であったゴンなどは特に心配の色が強い。例えゴンとキルアが捕まった原因にクラピカの暴走があったとしてもゴンは仲間想いであるし、それが感謝しない理由にはならないのだ。
人質交換を為した岩場から飛行艇でヨークシンに戻り、クラピカはセンリツに任せてユアたち4人は顔を合わせる。
「で、結局グリードアイランドはどうするのよ」
「ゴンが何とかなるって言ってたけど」
やや疑いの目をしたキルアがゴンを見る。その視線を浴びて、ちょっと情けなさそうに言葉を発するゴン。
「や、なんていうか、他人任せな作戦で言うの恥ずかしいんだけど」
「金を集めるのが他人任せなのは怖過ぎるぜ」
ゴンの言葉にレオリオも不安そうな顔をするが、ゴンは首を横に振る。
「いや、当てにしてるのは金じゃないよ」
「じゃあ何が他人任せなんだよ」
「ほら、バッテラっていう人がグリードアイランドを集めてるんでしょ? ってことは、念を使える実力者も集めているって事じゃん。
そこに俺を売り込めればいいなーなんて……」
語尾が萎んでいくゴンだが、キルアはというとそれを聞いて真剣な顔で考え込んでいる。その発想はなかったという様子だ。
「確かに。ゲームだけ集めても、プレイヤーがいなきゃ意味がない。なら、俺たちがプレイヤーとして名乗り出ればいい訳か。
……よし、これならいける! 8割方間違いなくグリードアイランドをプレイできる!!」
「悪いけど、可能性は低いわね」
テンションが上がるキルアをぶった切るのはユア。あっさりと否定されたキルアはユアを睨みつける。この2人、さり気なく相性が悪いのだ。
険悪になりそうな雰囲気を察知して、その上でそれらを無視したゴンは素朴な疑問を投げかける。
「なんで可能性が低いの?」
「純粋に力不足よ、ゴンとキルアじゃ」
「なんでオメーにそんな事が分かるんだよ」
「お兄ちゃんが情報を集めてたからに決まってるじゃない」
「バハトが?」
「なんでバハトがそんな情報を集めるんだ?」
「さあ?」
バッテラが『敵』と組んでいる事を知らない一同は首を傾げるしかない。
とはいえ、バハトは情報ハンターである。誰かに依頼されただけの可能性は十分あるし、ユアもバッテラがシングルハンターのツェズゲラを雇ったという話を小耳に挟んだに過ぎない。バハトが何故そんな情報を集めたのかは捨て置かれた。
「バッテラはシングルハンターまで雇っているわ。上限がそこであるとは思うけど、どんなに才能があっても念を覚えて半年程度の修練で、帰還した者が誰もいないなんていわれているゲームに参加できるとは思えないわ。
2人とも、堅は何分くらいできる?」
「俺は15分くらいかな?」
「俺は20分くらい」
「それじゃあ堅じゃなくて、少し長いだけの練ね。最低30分維持するのが堅と言われる条件よ」
「そういうお前はどのくらい堅ができんだよ?」
「1時間は余裕よ」
苛立ったキルアが絡むが、ユアはさらりとかわす。
キルアとしてもここでユアに突っかかり続けても意味は無いし、ガシガシと頭を掻いて切り替える。
「んじゃ、可能性は1つだな」
「え、あるの?」
「ああ、クラピカと同じように発を作る。クラピカが旅団と戦えた大きな理由の1つが発、つまりは必殺技だ。
多少基本性能が劣ってても、どでかい目玉があれば採用される可能性はあるだろ」
キルアが発した言葉を聞いたゴンが、ちらりとユアを見る。彼女はキルアの言葉を否定せず、大きく頷いた。
「まあ確かにそれなら可能性はあるかもね」
「オメーがキルアの言葉にあっさり従うのは意外だな」
「レオリオさんは私を何だと思ってるのかしら?」
ユアは別にキルアを嫌っている訳ではないし、正しいと思ったら認めるのは当然だ。ユアはキルアと、ただ何となく馬が合わないだけなのだから。
ユアのその憮然とした言い方が、念の説明をした時にゴンに心外な言葉を投げつけられたバハトにそっくりで。やっぱり兄妹だなぁと、キルアは妙な感心をしていたのだが。まあこちらもどうでもいい話だ。
とにかく発を開発して、バッテラに認められる。それを目標に定める2人。
「じゃあ俺はゼパイルと合流するぜ。金を集めてゴンのライセンスを回収しなくちゃならねーし」
「私はバッテラがどんな試験をするのか調べておくわ」
「え。お前伝手あるのかよ?」
「お兄ちゃんのおまけ程度ならあるわ。正直、余り期待しないで」
キルアの驚きを肩をすくめる事で返すユア。
そんなユアを見て、そういえばとレオリオが口を開く。
「オークションが終わったらお前はどうするんだ、ユア?」
「そうね。ホームに帰ってもいいけど、お兄ちゃんは居ないし。そもそもお兄ちゃんがホームに戻らなかったって事は、あそこも危ないかも知れないのよね。
……下手な場所に逃げるより、私もグリードアイランドに参加しようかしら」
「脱出不可能って言われてる危険なゲームだって忘れてねーか?」
「そこに参加しようとしてるキルアに言われたくない」
バチリとまたもや視線で火花を散らす2人。もうゴンやレオリオは仲裁する気力も湧かなかった。
「勝手にしてろ。ユアも一緒にグリードアイランドに参加予定だとは聞いといたからよ」
「レオリオは?」
「俺は帰って勉強するよ。医大に受からねーと、医者になるって夢もクソもねえ」
とてつもない値段で落札されるゲームをプレイするという、夢物語を語るような事を言う子供たち3人を置いておいて。どこまでも現実的な事を言うレオリオだった。
◆
ドリアスで魔女の媚薬を手に入れて、恋愛都市アイアイに向かう。この過程は割愛していいだろう、ランクBのカードなんて手間取る訳もない。
そこに着いたら聞き込み開始、指定ポケットカードはその名前をトリガーにして情報が集まる事が多い。これもランクS以上になると情報が集まっても他のアイテムを使わないと入手できなかったりするし、SSランクに至っては情報すら出ないケースもある。ここはまあ一坪の海岸線を参照して貰えれば分かると思う。
さて挫折の弓だが。やはり城に住んでいるお姫様とやらが、最近変わった弓を手に入れたという噂が流れていた。そのお姫様はパーティが好きらしく、毎夜のようにパーティを開いているらしい。
「でも、お姫様は凄く性格悪いって噂よ。パートナーがいる男女を呼び寄せて、男を誘惑して破局させるのが趣味だとか。
誘惑に乗った男はすぐに捨てられるそうだし」
聞き込みをしていくが、なんというかやはり一筋縄ではいかない感じがする。っていうか、このイベントを作った奴の性根がひねくれているのが透けて見えるようだ。
「このイベントもタチが悪いわね」
ポンズが的確に表現してくれた。うかつにお姫様と付き合う事を選ぶと、逆にアイテムがゲットできない仕組みらしい。
『でもまあマスターとポンズの嬢ちゃんで組めばいいだけの話だし、事前に情報を集めればなんてことねぇだろ』
気軽にランサーが話しかけてくる。ちなみにだが、サーヴァントも移動スペルで一緒についてくる事が確認できた。正直ほっとしているが、どういう仕組みになっているのだろうか。魂が結びついているからなのか、サーヴァントは俺の一部という扱いか?
まあ、この辺りの原理はどうでもいい。とにかくサーヴァント召喚をいちいちし直さなくて済むことや、サーヴァントがいない隙を突かれる事が減った事を喜ぼう。
おおよその情報が集まり、俺とポンズはパーティ衣装に身を包んで城へ向かう。かなり立派なパーティだから正装をしなくてはいけないという情報は入手済み。綺麗に着飾ったポンズにちょっとドキドキしたのは秘密だ。
で、まあ。城の出入り口で門前払いを喰らう羽目になったのだが。
「悪いが、君たち2人はパーティに参加する資格がない。お引き取り願おうか」
「資格って何よ?」
「このパーティにはお互いに好きあった者しか入れないんだ。少なくとも一ヶ月以上の付き合いがある者同士か、惚れ薬を飲んだような激しい恋心がないと参加できないのさ。
悪いが、君たち2人はパーティに参加する資格がない。お引き取り願おうか」
ポンズが尋ねれば言葉を返してくれる門番。っていうか一ヶ月か惚れ薬って、浅い絆だなオイ。まあゲームのシステム上、ここは厳しくしても仕方がないが。
恋愛都市アイアイという場所を考えれば、時間をかければクリアできない条件ではない。まあパーティに参加できたとしても、キチンと選択肢を選ばないとクリアできないのだろうが。
……なんで俺はグリードアイランドまで来て、恋愛ゲームをプレイしなくてはならないのだろうか。
ふとどうでもいい事に気が付き、地味に悲しくなった。
「ゲイン」
どうでもいい事を考えているうちにポンズが手に入れた魔女の媚薬をカード解除する。
もちろん異論はない。ここで一ヶ月も時間をかけるつもりは無いし、ショートカットの為に用意したシロモノだ。使い潰すのはやぶさかではない。
ポンズが投げて寄越した丸薬に口づけをして、ポンズに投げ返す。代わりにポンズが口づけた丸薬を受け取り、飲み込む。
瞬間、世界に色がついた。
ぽー…と、目に映る最愛の女性に心が奪われる。
俺は何故、こんなにも素晴らしい女性に今まで恋心を抱かなかったのか不思議でならない。
顔を赤らめて俺の事をちらちらと見てくるポンズこそが世界で一番素晴らしい女性であると、俺は胸を張って言えるだろう。
そんな彼女に愛されているだろうことが、なんて誇らしいのだろう。
「ポンズ」
「な、なによ。バハト…さん」
「バハトでいいさ。さん付けなんて、そんな他人行事な事をしないでくれ」
「…うん。バハト」
「ありがとう、ポンズ」
一瞬の間。
「愛してる」
「私もよ、バハト」
距離を詰めて、ソフトキス。
照れくさくて、ふふと笑ってしまう。えへへと笑うポンズが、心底愛おしい。
このポンズを、自慢したい。
「ポンズ、俺たちの仲を見せつけたくないか?」
「いいアイディアね、バハト。ちょうどぴったりのパーティがそこにあるし、行きましょう?」
コテンと軽く首を傾げる仕草も、ちょっとあざとくて男心をくすぐる。
女性をエスコートするのは男性の役目。俺はポンズの腰に手を回し、ポンズは俺に体を預ける。
世界で一番に愛する女性と共に、俺はパーティへと参加するのだった。
書くとは言っていないが、聞いてみる。
ポンズとの夜とか見たい方、いますか?
年齢制限の関係でここには書かないけど、そういうの投稿するシステムもあるし。
どのくらいの割合か、試しにアンケートを取らせて下さい。
夜のシーンをイベントスキップしますか?
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スキップする。本編の続きが読みたい。
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スキップしない。イベントは網羅する。