殺し合いで始まる異世界転生   作:117

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029話 グリードアイランド・6

 

 9月28日。

 洞窟の要塞化を開始してからおおよそ2週間、作業は順調とは言えない。

 理由としては、確保した労働力の士気の低さが第一。3ヶ月こちらの指示に従った肉体労働をすれば現実世界に還してやると約束した4人の念能力者だが、やる気を出して動いていたのは最初の3日程度。今はあー、だの。うー、だの。聞いているこっちが滅入る声を出しながらノロノロと動いているだけだ。

 働きが悪くて理想のものが出来なかったら報酬は無しだと言ったら少しはマシになったのだが、作業効率はやはり悪い。これで基本スペックも低いのだからこちらだってため息も出ようもの。もう少し役に立て。

 そしてもう一つが、難しい顔で紙に地図を描きながら唸っているポンズ。

「どうだ?」

「……期待はしないで」

 ポンズにどんな罠を作るかの構想を練って貰っている間、労働力たちには洞窟の整地作業をさせている。だが、その肝心の罠がどうやら上手くいっていないらしい。

「そもそも無理があるのよ、バハトさん並の相手に僅か15メートルで効果的な罠を作れって」

 イライラしながらペンをはしらせるポンズ。

 まあ、確かに無茶を言っている自覚はある。例えば俺だが、堅をすれば弓矢どころか銃弾すら通用しない。そして傷の一つも付けられなくては毒だって盛れやしない。

 油断しているならばまだしも、明らかにこちらの陣地ですと言わんばかりに手を加えた場所が舞台である。逆にここに俺が敵として誘い込まれたとして、まあ余程の事がなければ効果はないだろう。つまりは、余程の罠をポンズは要求されている事になる。

 まあだから、ポンズが匙を投げてもそれは仕方のない事なのだ。

「――やっぱり、ムリ。仕留めるのは諦めるわ」

「と、言うと?」

「一応、バハトさんレベルを想定して致死的な罠は2つ程仕掛けておくわ。多分かわされるだろうけど、そうして相手に疑心暗鬼を持たせて集中力を削る方向に持っていく。

 下らない罠を山ほど仕掛けて、少しでも相手を消耗させる。止めは私とバハトさんで刺すわよ」

 いくら準備をしたとて、殺すには至らないと割り切って。戦いを有利に進めるような方向性の罠にする訳か。

 悪くない。そういうコンセプトの罠ならば一定の効果は上げられるだろう。殺せるかどうか、分の悪い賭けにドキドキしながら待つよりもこちらのコンディションもよくなる。それに致命的な罠もあるならば、間違って死んでくれればそれはそれで万々歳だ。

 とにかく、俺はトラップに関しては門外漢だ。

「分かった、任せる。最後の戦いは任せてくれ」

「うん。じゃあどんな毒を用意するかの選定からやり直さないと――」

 唐突に俺のバインダーが具現化し、音声が流れる。

『他プレイヤーがあなたに対して交信(コンタクト)を使いました』

『こちらニッケス。バハトか?』

「そうだ。連絡をくれたっていうことは、情報は集まったんだな?」

『ああ。いきなりで悪いが、これから会えるか?』

「問題ない。マサドラの北東2キロ付近に盆地があっただろ、そこで1時間後」

『いいだろう。報酬を忘れるなよ』

 用件だけ済ませると、ニッケスは交信(コンタクト)を終わらせる。大事な話は直接会ってということか。

 まあ、無駄話をしても意味ないし。それに地味に俺だけすることがない。労働力の監視くらいだ、今やっているのは。

「じゃあ、ちょっと行ってくる。後は頼んだ」

「行ってらっしゃい。ちゃんと成果上げてきてね」

 ポンズの言葉を背負って、バインダーから再来(リターン)を取り出す。

再来(リターン)使用(オン)。マサドラへ!」

 そして俺はこの場所を離れてマサドラへ。ついでに呪文(スペル)も買い足しておくか。

 

 約束の場所、約束の時間。

 俺の眼前にはやや緊張した表情のニッケスが立っていた。

「じゃあ、取引といこうか」

「ああ、聖水(ホーリーウォーター)を寄越せ」

「いや、情報が先だ」

 沈黙。話が進まない。

 まあ、こうなる事は分かっていたから解決策は用意している。

「分かった、まずはどうやって調査をしたのかを教えてくれ、結果は言わなくていい。

 その調査方法に納得がいったら聖水(ホーリーウォーター)を渡す。結果はその後に聞く」

「妥当だな」

 納得して貰ったらしく、ニッケスは手順を口にする。

 マチと出会った事のない、自分を含むプレイヤーをマサドラでスペルカード購入組に回し、マチがリストに加わったらその前後に他にプレイヤーが増えていないかを調べる。

 マチが新しくリストに加わった仲間が4人になったところで、そのうち3人が一緒にリストに加わったプレイヤーがいた。それがマチの仲間だと、高確率で思えたということ。

「……つまり。多分大丈夫だが、違う可能性もある、と?」

「否定はしない。だが、プレイヤーキラーを相手にこれ以上深く入る訳にもいかん。

 それにこれは数多くの仲間がいる俺たちにしかできない調査法だと思うが?」

「…………」

 ニッケスはいい仕事をしてくれたといえる、俺に文句などない。

 だが、値を吊り上げる為に俺はわざと難しい顔をする。

「納得してくれないのか?」

「確定情報でないと流石に、な」

「ではどうしろと言うんだ!」

 苛立って声を荒げるニッケスに、俺は冷めた視線を送る。

「それを考えるのがそちらの仕事だ」

「っ!!」

「だがまあ、確かに俺では手に入らない情報ではあった。もう一つ条件を呑んでくれれば聖水(ホーリーウォーター)は渡そう」

「――条件とはなんだ?」

「バインダーを貸してくれ。マチと交信(コンタクト)を取る」

「オイ、それは……」

 プレイヤーキラーと交信(コンタクト)を取るという俺に、ニッケスの顔が青褪めた。

「心配するな、お前の名前は絶対に出さない。ならば、交信(コンタクト)を取った相手は誰かマチには伝わらない。

 だろ?」

「…………」

 しばらく悩むニッケスだが、やがて結論を出す。

「分かった。ただし、もう一枚有用なスペルカードをくれ。それでいいなら受けよう」

掏摸(ピックポケット)でいいか?」

 即答する俺に、この程度の要求は織り込み済みだったことに気が付いたらしい。やや不満そうな顔をしながらも、ニッケスは潔く頷いた。

「ああ」

「じゃあ報酬だ」

 言いながら、聖水(ホーリーウォーター)掏摸(ピックポケット)を手渡す。聖騎士の首飾りを身に付けたニッケスはそれが間違いなく本物だと確認し、彼のバインダーに交信(コンタクト)をはめ込んでその画面を俺に見せてきた。

「見てくれ。マチの前後にある、リヴァイとレヴィという奴がおそらく奴の仲間だ」

「…………」

 2人、か。これは予想外。

 いや、ここは俺の予想を超える手を看破した事を喜んでおこう。どちらかが『敵』か、もしくは手駒か。それとも砂漠の毒針(スコーピオン)のような傭兵か。もしかしたら海獣の牙(シャーク)の別メンバーか?

「では交信(コンタクト)を使用する。俺は黙っているし、名前を出すなよ?」

 念を押すニッケスに、真剣な顔で頷く。

 それを確認してニッケスはバインダーを操作し、マチに交信(コンタクト)を使用した。

『…………』

 バインダーから僅かに反響する空気音が、向こうと通話状態になっている事を証明している。

 買い取った貴重な3分間、無駄にはできない。

「プレイヤーキラーのマチだな?」

『……アンタは誰だい?』

「ボクスという、プレイヤー名は別にあるがな」

『覚えがないねぇ。で、そのボクスがアタシに何の用だい?』

 バインダーから流れる、敵意に満ち満ちた勝気な声。

 間違いない、このバインダーの向こうにいるのは()()マチだ。

 ゴクリと唾を飲み込みそうになるのを抑え、飄々とした声を出していく。

「なーに。アンタ、プレイヤーキラーをしてるそうじゃないか」

『それが? なに、敵討ちでもしたいの?』

「いいや、逆さ。バハトってプレイヤーを殺して欲しい」

 沈黙が流れる。

 俺の名前をぶち込んで様子を探るが、やはりというか。簡単に反応は返してくれない。

 気にしないふりをして、俺は調子よく喋り続ける。

「殺した暁には3億払おう。どうだい、悪くない話だろ?」

『いいや、分からない話だね。別にアタシは殺し屋じゃない、誰を殺すのもアタシの勝手。アンタが勝手に殺せばいい』

「それができれば苦労はなくてな。どうやら厄介な能力を持っているようで、俺と相性が悪いのさ」

『能力?』

 食いついた。

 さあ、飲み込め。

「ああ、奴は特殊な人間の念獣を扱うと聞いた。具現化系か、特質系の可能性が高い。しかもその念獣は滅法強いとか。

 金に不満があるなら、5億払おう。どうだい、引き受けちゃあくれないか?」

『…………』

 僅かな沈黙、そして漏れ出る言葉。

『そうか。テメェが、バハトか』

 ――正解。

「おいおい、何で自分の殺害依頼を出すんだよ?」

『バハト本人なら有り得る話だろ? 自分の胸に聞いてみな。

 自分の情報を出し渋ったのが運の尽きだ。バハトが強化系だと、アタシらが知らないとでも思ったか』

 かかった、口を滑らせやがった。笑いを必死にこらえる。

 俺は強化・変化の重複系統。自分で言うのもなんだが、極めてレアな系統だ。だから対外的には水見式で表に出る強化系という事にしているし、それを知っているのもゴンとキルア、ユアとポンズ、ついでにズシだけ。ウイングは重複系統と知っているから、そこまで言い切ればウイングから情報を得ていたのだろうが、そうでない事も確定。

 情報源は、おそらくキルア。あいつは系統を隠す重要性をよく知っている。そして俺を仲間だと思ってくれているならば、俺の系統も隠してくれるはず。つまり逆にパクノダの「何を隠しているか?」の問いで俺の系統の情報まで奪われてしまうのだ。

 そこは織り込み済みの話で、だからこそ強化系と確信を持って言うマチの失策。普通の話だが、能力を使えば系統は分かりやすくバレる、だがしかし、俺が表に出している能力は煌々とした氷塊(ブライトブロック)であり、変化系。そうでないという確信が、向こうがどこまで手を伸ばしているかの確認になる。

 何もしなくても殺しに来るのだ、向こうの手の長さを知れただけで上々。少なくとも相手が幻影旅団(クモ)と取引をできる立場であると確認できただけで、かなり良し。

「だったら?」

『覚えておけ。アタシはお前を殺す。

 ――必ずだ』

 まるで地獄の底から響くような声を聞きつつ、交信(コンタクト)が途切れた。

 収穫は十分。

「――っ、……」

 バインダー越しの殺気に当てられて、絶句しているニッケス。

 地獄の底まで追いかけても、殺しに来そうなあの殺意を感じ取ればむべなるかな。だがまあ、俺としては想定外の事は何一つない。

 バインダーからカードを1枚出して、固まるニッケスに声をかける。

「悪くない収穫が得られた、また良い取引ができる事を期待しておくよ。

 再来(リターン)使用(オン)、アイアイ!」

 その場に彼を残し、拠点へと戻るべくスペルを唱えるのだった。

 

 そして時間が経つ。経過はあまり順調とは言えないが、作成している拠点も気休めにしかならないと。マチとの会話で薄々感づいてはいたので、逆に焦りはしなかった。

 吹っ切れたともいえる心境で、俺は自分の修行に全力を注ぐ。

 変化が現れたのは、約1ヶ月後。

 ポンズが指示を出し、労働力たちがノロノロと動き、そして俺は自分を鍛える。洞窟の中で作業しているだろう奴らを尻目に、俺とポンズは外で太陽の光を存分に浴びていた。ちなみにポンズは薬の調合中。

 そんな変わらない日々の中で唐突に、遠くからキィィィンという甲高い音が響く。プレイヤーの移動音が聞こえたと思ったら、一条の光が洞窟の手前に着地した。これはスペルによる移動だが――

「お。当たり引いたぜ」

 ――フィンクス!? 何故、どうして!?

 いや、分かる。衝突(コリジョン)に俺かポンズが運悪く当たってしまったのだろう。そして幻影旅団(クモ)が少なくともキルアから情報を引き出している事も確実。つまり――

「テメェがノブナガを殺ったバハトとかいう情報ハンターだな?

 会いたかったぜ…!」

 殺意と興奮と冷静さを併せ持つ表情で、爆発的にオーラを高めるフィンクス。

 これは、ヤバイ。

 強い。フィンクスは、強い。少なく見積もっても俺より弱いという事はあるまい。瞬時に臨戦態勢を取る。

『――マスター、俺がやるか?』

 霊体化しているクーフーリンの問いに、一瞬の熟考。

 結論は、否。スペルカードがある以上、サーヴァントの姿だけ見られて撤退されるという可能性もある。そしてその撤退先はどう考えても同じ旅団の仲間だろう。ならば、追う事もできない。

 死の直前まで、サーヴァントは晒せない。

『ランサーはポンズについていてくれ。手を出すのは、死にかけた時のみだ』

『それはマスターと、ポンズの嬢ちゃんも含んでいいんだな?』

『ああ』

 この期に及んでポンズを見殺す選択肢を俺が選べる筈もない。ポンズの命とサーヴァントの秘匿を天秤にかけて、俺は迷いなくポンズの命を取った。

 ポンズは大きく下がり、バインダーを出してフィンクスを警戒する。そうだ、それでいい。いくら何でもポンズにフィンクスは荷が重い。俺とフィンクスの戦いに割り込むことさえできないだろう。

 敵を睨み、全力で、堅。そんな俺を見てフィンクスがニィと笑う。

「いいぜ、楽しませてくれやぁ!!」

 間合いが一気に詰まる。

 フィンクスの蹴りを、右腕でガード。ビリビリと痺れが奔るが――戦闘続行に影響なし。

 八極拳独特の動きで左腕による拳打。フィンクスは上半身を後ろに逸らす事でかわし、置き土産に右アッパー。俺の攻撃した左腕を強かに叩いた。

「っ!」

「次ぃ!」

 痛みで一瞬動きが止まった俺を見逃さず、左ストレートのコンビネーション。円歩と呼ばれる歩法でスルリと回避しつつ、その懐に入り込む。

 フィンクスにとっては不可解な動きをしたであろう俺に彼は目を見開き、両腕を使った発勁をその胴体に叩き込む。

「破っ!!」

 攻撃が命中する。直前、オーラによる防御が間に合ってしまう。

 ――流が速すぎる! 反射よりも更に速いと、そう感じてしまう速度。

(このバケモンがっ!)

 内心で愚痴を吐きつつ、それでも発勁が決まった事には違いない。押し出す力には逆らえず、フィンクスは洞窟の方へ吹っ飛んでいく。

 こんな連中と正面からやりあってられるか。俺は全力で後ろに下がり、ポンズへ目配せをする。

 彼女は直接戦闘についてこれるレベルではないが、戦いにはついて来れてはいた。可能性の一つとして考えておかなくては反応できない速度で、バインダーからカードを取り出す。

同行(アカンパニー)使用(オン)

 良し、俺はポンズの半径20メートルに入った。

 フィンクスは大したダメージが受けた様子なく発勁の勢いを殺してこちらを睨むが、もう遅い。

「マサドラへ!」

 瞬間、俺とポンズは光に包まれて浮遊感と共に高速移動を開始する。

 脱出成功の安堵の息を一つ吐き、そんな僅かな間でマサドラへ辿り着く。

「……今の奴は、なに?」

 敵が眼前から消えたからか、ポンズがへなへなと脱力してしまうが。

 ちょっと気を抜くのが早い。フィンクスに磁力(マグネティックフォース)があれば即座に追いかけてくるだろう。

 こうなればなりふり構ってはいられない。ポンズやゴン、キルアは役に立たないだろうがビスケならば話は別。

「幻影旅団だ! ひとまず、ここを離れるぞ!!」

「わ、分かったわ!」

 マサドラから南へ向かう。岩石地帯で、ビスケがゴンとキルアに修行を施しているはず。

 ポンズにとっては目的なき逃走に思えるだろうが、直前にフィンクスの猛威を目にして冷静な判断ができていないらしい。南へ走る俺に、全力で着いてきた。

 ――もしも、幻影旅団が集団で襲ってくるならば。

『その時は頼むぞ、ランサー』

『へっ。楽しくなってきやがった』

 こちらも全力で殺してやるよ、旅団(クモ)

 

 ◇

 

 光に包まれて消えるバハトと女を、フィンクスは忌々しく睨みつけていた。

「ブック」

 確かに一回は逃がした。が、グリードアイランドならば追うのも容易。磁力(マグネティックフォース)をバインダーにセットして、リストを見ていく。

 奴は間違いなくバハトだろうが、仲間の名前も把握しておいて損はない。バハトを連れて逃げた女の名前を確認しておく必要があった。

「名前はポンっ!?」

 ポンズの名前を確認したその近くに、フィンクスは有り得ない名前を見てしまった。

 クロロ=ルシルフル。鎖野郎に念を封じられた筈の団長の名前が、念を使わなくては入れないグリードアイランドのリストに載っている。

(どういうこった? 団長は除念を終わらせたのか? だが俺たちに一切連絡を取らず、グリードアイランドに参加している訳は?)

 思考を回すフィンクス。彼は決して愚かではない、この場がゲームマスターによって仕組まれた舞台の上だという事は理解している。

 つまりある意味他人の土俵に立っているのだ。ここでホイホイとこのクロロ=ルシルフルに接近する愚は犯さない。最悪、ゲームマスターがA級賞金首である自分たちを狩る為の罠でないとも限らないのだ。

 ともかく、バハトとかいう雑魚は後回しだ。確かに奴は弱くはなかったが、少なくとも脅威ではない。堅は一流、体術も申し分ない。だがしかし、決定的に殺意が足りない。死んでもいいというつもりで攻撃はしているが、殺してやるという気迫が足りない。そんな奴など、怖くもない。

 幽霊(ゴースト)とやらは複数いて、記憶を奪う操作系か特質系がいることが濃厚。パクノダのように生きている相手からしか情報を引き出せないのであれば、あのバトルスタイルにも納得がいく。とはいえ、ノブナガを殺せる奴が敵側に少なくとも一人はいる。ここは仕切り直すのが最善で、再開はこのクロロ=ルシルフルを調べてからでもいい。

 フィンクスは愚かではないが、頭脳戦が得意という訳でもない。特に戦闘職であれば、コンマ1秒の無駄な思考が命取りになりかねないのでどうしても感覚派になってしまうのだ。

 こういう事は考えるのが得意な仲間に頼るに限る。

磁力(マグネティックフォース)使用(オン)。シャルナーク」

 フィンクスも光に包まれて、その場を後にする。

 残されたのは洞窟から戦闘音を聞きつけて、恐々と様子を見ていた労働力の4人だけ。

 しかし彼らは知らない、もうバハトがここに戻って来る気がない事を。

 そしてマサドラに辿り着くのが精いっぱいな彼らは、この場からアイアイに生きて辿り着くことが不可能であろうこともまだ知らない。

 死を振りまく脅威が去った事に安堵しているが、もう彼らに生き延びる道がないと今はまだ気が付いていないのだった。

 

 ◇

 

 

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