殺し合いで始まる異世界転生   作:117

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062話 交渉戦・4

 

複製(クローン)使用(オン)、ビスケット!」

 ツェズゲラの手に持たれたカードが白い煙をあげながら変化する。そして手元に現れたカードを見て満足げに頷き、彼はそのカードをバインダーにしまいこんだ。

 一坪の海岸線のイベントはクリアされた。ゴンはレイザーと真っ向から戦い、そしてジンの仲間である男に認められたのだ。

 その試合の際、外野に行った後の展開で俺が気になったのは2点。

 1つはヒソカが伸縮自在の愛(バンジーガム)を使い、レイザーがレシーブしたボールを回収したこと。ほんの1秒程度の隙。しかも、俺よりも威力があるボールをゴンが撃ちだしたことに加え、レイザーがそれを完全にいなしたという衝撃的展開の直後である。

 俺だけはその光景を予見していたからこそ何にも意外と思わなかったが、他の者は違う。誰も彼もが唖然と、または勝敗の決定に弛緩していた。その中でただ一人、ヒソカだけが己の念能力を使い、敵陣中空にあったボールを回収できたのだ。

 それを見て改めて俺が思い知ったのは転生に備わる贈り物(リバースデイプレゼント)の使い勝手の難しさだ。百を超える発を使える俺にとって、そのボールを回収できる念能力は幾つも存在する。だが、ほんの数個しかないそれを瞬間的に判別して使用する。その実行力があるかといえば、否と答えるしかない。多すぎる選択肢というのは、それだけで行動に重しがついてしまうのだ。

 その点、自分が誇りに思う己だけの念能力者というのはぶれない。可能不可能を素早く選択でき、そして好機には戸惑い無く躊躇いなく動ける。状況が推移し続ける戦闘において、単純さというのは武器になる。その点転生に備わる贈り物(リバースデイプレゼント)は複雑過ぎるというのは議論の余地はないだろう。使いこなすには、まだまだ時間と頭を使う必要があるということだ。

 もう1つは、レイザーが変化球を投げた時のゴンの怒りだ。

 え、そこキレる? と思い、思わずユアと顔を合わせてしまった。レイザーは別になんの反則もしていない。念獣が合体する方が余程理不尽だと思ったくらいだ。

 俺とユアはそう思ったが、ゴンはまた違う感想を持ったということに、首を傾げざるを得ない。まあ怒りの物差しなんてずれて当たり前だが、ゴンが何で腹立たしいのかよく理解できないのだ。相手の上手を褒めて、発奮し、気合いが入るのならば分かるのだが。

 キルアが危険に晒されたこともこのイベントに参加している、もっと言うならグリードアイランドをプレイしている時点でそれは言うまでもない事の筈なのに。

 ……改めて何度考えてもよく分からん、ゴンの怒りのポイントが。ここを見極めないと、後々絶対に響くと思うのだが。

(分からんものは仕方ないよなぁ)

「けど、いいの? 俺たちが2枚貰っちゃって」

 ゴンがツェズゲラに問う。それに苦笑して返事をするツェズゲラ。

「構わん。今回のイベントで君たちは確かにその実力を示した。

 こちらは複製(クローン)で手に入れた1枚で十分だ」

 俺たちゴン組はかなり大所帯になっている。俺とゴレイヌを含めて6人であり、ゲームのクリア報酬が指定ポケットカード3枚であることを鑑みれば、想定されている人数の倍の集団である。まあ、そのこと自体は別に構わない。ツェズゲラ組も4人であり、3人を超えているのだから。

 だが6人組と4人組で3枚のカードを分け合うとなると、どちらが2枚持つか。また、オリジナルはどこに配分されるかということで揉めても不思議はない。だが、その揉め事は起こらなかった。他ならぬツェズゲラが自分の割り振りを最低限にしたからだ。

 それはイベントの内容を見れば分かるというもの。一坪の海岸線イベントはつまるところレイザーに勝てるか否かが争点であり、その点でいうと前半は俺が活躍して後半はゴンとキルアにヒソカがレイザーを撃破した。一方のツェズゲラといえば、腕の骨にヒビを入れられてあっさりと退場してしまったのだ。これでは中々に報酬を吹っ掛けにくい。

 更に言えばツェズゲラ組として問題がないというのも大きい。ゲームクリアにオリジナルのカードである必要はなく、また同じ指定ポケットカードは2枚も必要ない。ならばこそ、複製(クローン)で作られた1枚で十分であるとも考えていい。

「さて、これでひとまずイベントはクリアし、全種類のカードはプレイヤーに配られた。これからは対プレイヤーに焦点を絞らなくてはならないが――」

「その前にいいかな♠」

 ツェズゲラが話を進めようとするが、ヒソカが止める。

「ボクとしてはイベントが終わったし、そろそろ報酬が欲しいんだけど?」

「ああ、約束は守る。他に漏らせる情報でもないし、ちょっと場所を変えるぞ」

「♥」

 ヒソカを促して場所を移す。とはいえ、別に大きく離れる訳でもないし、仲間の視界から外れる訳でもない。ただ声が聞こえないくらいには離れればいいだけで――

『マスター!!』

「っ!?」

 ディルムッドの警告に従い、咄嗟に屈みこむ。直後、俺の頭上を何かが通過した。

「狙撃っ!?」

 右手は海。左手は山。直感的に山を見れば、そこにはもはや隠す事無くオーラを現した一人の男がいた。

 距離としては1キロ以上離れている木の枝に立ち、狙撃銃を担いだその黒髪の男。

「あいつ――」

「幻影旅団の、ミドリ!!」

 ゴンとキルアが叫ぶ。しかし今はタイミングが悪い。レイザー戦の直後で、誰も彼もが疲弊している。それは俺も例外ではない。強いて言えばビスケは戦えるだろうが、彼女は教え子を守っても俺は守ってくれないだろう。もちろん、それに文句を言う気もないが。これは俺が売った喧嘩であり、ビスケに助けを乞うならば対価が必要だ。

 となれば。

(使うか?)

 サーヴァントを。絶対にして最強の手札、それを晒すか?

 フィンクスとシャルナークにはバレている情報だ、もちろんミドリも情報共有はされているだろう。今更、幻影旅団に隠す意味はない。

 だが。ヒソカとビスケもいるし、ゴンにキルアにユア。ゴレイヌにツェズゲラたちだって見ている。バレる相手が多すぎる。しかもヒソカが痛い、こいつにだけはサーヴァントを晒したくない。

 横目でヒソカを確認するが、その表情には少しの怒りがこもっていた。考えてみれば当然だ、除念師の情報を得る前に俺が狙撃されたのである。クロロと戦えるというご馳走を食べるのに邪魔が入ったに等しい。

 そんなこちらの状況を確認したミドリは、舌を大きく出して右の親指を立て、そしてそれを地面に向ける。こちらをバカにした後、バインダーからカードを出して、あっさりとその場から消えていった。

「幻影旅団の暗殺者、か」

 それがミドリの立ち位置である。戦闘員でありながら特化したのは隠密と暗殺。アサンが手に入れた能力である殺意ある鋭き者の攻撃(ストライク・ダム)の本来の持ち主。

 今のは危なかった。俺が油断していたのも差し引いて、キロ単位で離れた位置からオーラの篭った銃撃をしてくるのである。サーヴァントを召喚していなければ、それに気が付けたとは思えない。

 俺はクロロとシャルナークを恐れているが、やはり幻影旅団はそれだけで済む相手ではない。背中に流れる冷や汗を感じながら、それを再認識する。

「ま、分かっていたことだ」

「そういうことだね♦」

 ヒソカとしてはタイミングが悪かったことが怒りに触れただけで、幻影旅団が俺を襲うことに思うことがある訳がない。この男に他人への配慮を期待する方が間違っている。

 そして何事もなかったかのように移動を再開し、仲間たちの声が届かない場所まで向かう。

 バインダーから2枚のカードを出す。交信(コンタクト)再来(リターン)だ。幻影旅団との連絡手段と、マサドラまでの片道切符。このくらいの交通費を払うくらいのサービス精神はある。

「除念師の名前はアベンガネ。

 俺の名前を出せば融通を利かせてくれる筈だ」

「了解♥」

「もう一つの条件を忘れるなよ、クロロの命だ」

「そっちももちろん間違いなく♣

 今回は楽しい時間と戦いをありがとう♠

 再来(リターン)使用(オン)、マサドラ♦」

 そうしてあっさりとヒソカはその場から消えていった。正直、ちょっとだけ肩の荷が下りたというのもある。

 そのまま仲間の下に戻った俺を、特にユアが心配してくれるが。問題がないのは見ての通りである。

 話はゲームクリアのやり方に戻る。

「マチ=コマチネ」

 ツェズゲラがその名前を出した。

「本人がプレイヤーキラーでありながら、他のプレイヤーキラーを排除してそのカードを奪い取った。その戦闘力は折り紙付きだ。

 また『一坪の密林』を入手して、独占していない。ソロプレイヤーには間違いないだろうな。

 奴から奪わなくてはいけないカードは2種。今言った『一坪の密林』と、独占している『闇のヒスイ』」

 ゴンがちらりと俺を見る。マチが仲間であることを言わなくていいのか、という確認だ。

 その視線を俺は否定する。何故ならば、俺たちにはまだ選択肢があるからだ。ツェズゲラを裏切り、その独占カードを奪ってマチと合流。そのままクリアするという選択肢が。

 選ぶ確率は低いとはいえ、選べるという状況を捨てる意味もまた無い。もう少しの譲歩を、ツェズゲラがしてくれなければ俺はそれを選択するつもりだった。

「マチのカードを手に入れるのは前提だ。しかし俺は奴の事を()()()()()()()

「ほう」

 俺の言葉にツェズゲラが意外そうに相槌をうった。

「マチは恐らく、いや間違いなく堅牢(プリズン)を使って『一坪の密林』を守っている。

 そう考えて然るべきだし、そう考えないのは愚かが過ぎる」

「それは当然の考えだな。つまり呪文(スペル)で『一坪の密林』を奪うのは絶望的だ」

 闇のヒスイはともかくな。そう付け加えるツェズゲラに、頷くことで返事をする。

「だが、俺は奴と交渉すればカードを譲って貰える自信がある」

「……信じられんな」

 あっさりと否定するツェズゲラ。ゴレイヌも表情から察するに懐疑的だ。

「一応聞くが、その方法を教えてくれはしないのだろう?」

「こっちの条件を1つ呑んでくれれば喜んで」

 俺の言葉に、ピクリと眉を動かすツェズゲラ。

「言ってみろ」

「ゲームをクリアする権利を俺にくれ」

「却下だ」

 即答だった。

「お前はバッテラ氏が雇ったプレイヤーではない。契約にも縛られていない以上、クリア報酬を奪ってそのまま逃走しかねない」

「なるほど、確かにそうだ。マネーハンターであるならば当然の発想だな。

 ではゴンならどうだ?」

「む」

 俺としてはこちらが本題。これが通れば何の文句もない。

 一瞬だけ考えたツェズゲラは、しかしやはり首を横に振る。

「契約だけで考えれば文句はない。しかし、やはり否だ。

 報酬の85%を受け取る権利は我々にあり、それを鑑みればクリアをするのは我々。その原則は譲れない」

「……そうか」

 残念ではあるが落胆はしない。何故ならばツェズゲラの言う事の方が理屈が通っているからだ。

 そんな俺の様子を見て、ツェズゲラも残念そうな表情をする。

「そう言うということは、お前は我々を信じられていないのだろうな。現実世界に戻った後、払うべき報酬を支払わない事を警戒している。

 だが信じて欲しい。俺はマネーハンター、金に関する信用を裏切る事は絶対にしない」

「いや違う。単に出し抜こうとしているだけだ、色々とな」

 ぶっちゃけた俺に、ツェズゲラたちもゴレイヌも驚きの表情を浮かべる。

 それを無視して懐から手紙を取り出す。全力で警戒をするツェズゲラだが、俺に悪意も敵意もない。取り出したそれを、ツェズゲラへ向ける。

「読んでくれ」

「……?」

 訝しそうに受け取ったツェズゲラは、俺やゴンたち、果てはゴレイヌまで警戒しながら俺が渡した手紙を開く。

 そしてその内容を読んだツェズゲラは驚愕をその顔に張り付けた。

「バカな」

 彼が身に付けた道具袋から何かに金属片を取り出し、手紙に当てる。

 バッテラから聞いている。それ間違いなくバッテラからの手紙だと確認する作法なのだと。

 間違いなくバッテラからの手紙だと確認したツェズゲラは、改めて呆然とした表情で声を出す。

「……バカ、な」

「ツェズゲラ、どうしたんだよ?」

「バッテラ氏から何が?」

 仲間たちの言葉に、信じられない現実を口にする。

「バッテラ氏からの注文だ。ゲームクリアはゴン=フリークスに任せてくれと。

 仮にクリア報酬が持ち逃げされても、我々に報酬を満額払うと」

 人は驚きすぎると声が出なくなる。俺とツェズゲラ以外、まさにそんな様子だった。

 先に情報を吟味できたツェズゲラはまだ冷静で、俺の事を睨みつける。

「……貴様、バッテラ氏に何をした?」

「お前はマネーハンターで、俺は情報ハンターだったってことさ」

「何をした?」

 絶対に引かぬという様子のツェズゲラに、俺は肩をすくめた。

「どうしてバッテラはクリア報酬を求めたか。そういう訳だ」

「私はマネーハンターだ。雇い主の探られたくない腹は探らん」

「そして俺は情報ハンターだ。バッテラの露見させたくない真意を抜いた」

 口にするのはバッテラがグリードアイランドクリア報酬を求めたその理由。

 何のことはない、恋人が事故で昏睡状態に陥ったのを助ける為。

「現代医学で治せない植物状態でも、グリードアイランドのクリア報酬ならばもしかしたら。バッテラはそう考えたのだろうな。

 そしてまた、その手段がグリードアイランドクリア報酬のみとも限らない」

「…………」

「俺は俺の伝手を最大に動員し、それを為した」

 全員がまたも驚きに目を見開いた。

「他にも色々とやり合ったのは、まあ認める。だが結果として、俺はバッテラからいくつかの権利をもぎ取った。

 グリードアイランドのゲームクリア報酬を受け取るのもその1つだ」

「それで」

 ツェズゲラは厳しい表情のまま、俺を睨みつける。

「このタイミングなのは何故だ?」

「…………」

「最初に会った時点でそれを言えば、我々は当然お前に協力しただろう。

 マチを攻略した訳でもない、このタイミングなのは何故だ?」

「言っただろう、マチは敵じゃない。些末な差だ」

「欲しかったのは金か? 信頼か?」

「…………」

 ずばり言い当てたツェズゲラに俺は沈黙するしかない。

 信頼こそを俺は最も欲した。グリードアイランドの上位プレイヤー、その信頼が欲しかった。

 俺は情報ハンターとして活躍しているが、その大半が百貌のハサンによる情報収集の成果なのは否定しない。だがしかし、それによって得た人脈を上手く回すというのは俺の手腕によって為されたこと。俺が元日本人であったスキルを扱ったその仕事は、世間にはあまり評価されずとも俺のプライドだった。

 故に俺は人脈に固執してしまうのだ。

「? それの何が悪いの?

 バハトは情報ハンターでしょ?」

 割り込んだのはゴン。無垢な表情と声で、彼はあっさりと俺を肯定する。

 この少年は、俺が俺の利益の為に裏で動いていた事を否定しない。むしろ良しとする。それに、どれだけ、俺が救われているか――。

(ああ、本当に)

 ゴンはどこまでも(やさし)い少年である。キルアがゴンに惹かれるのも分かる。そして、眩し過ぎるというのも。

 そんなゴンに毒気を抜かれたのか、ツェズゲラは先ほどよりもやや表情を柔らかくして言葉を紡ぐ。

「私が最も信じるのは金だ。それは動かん。

 そして金を得るのに信頼も大事であり、それも否定しない。

 さて、その上でお前を信頼するかと言えば――」

 ほんの少しだけ溜めたツェズゲラはにやりと笑う。

「――次の機会によく考えよう」

 この状況を仕組んだ俺の手腕は否定しないらしい。落第とはいわずとも、合格でもない結果だろう。

 しかしツェズゲラはマネーハンターであり、そしてバッテラは大富豪だ。バッテラを手中に収めている以上、仕事を依頼する機会は十分にある。

「納得いかねぇな」

 次に声をあげたのはゴレイヌである。

「お前さんがその手札を持っていたのなら、ツェズゲラの言う通りにもっと上手く立ち回れた筈だ。

 だがそれをしなかった結果、お前の勝手な利益、ツェズゲラの信頼を買う代償に得られる金が減った」

「バッテラの懐柔は俺個人が得た手札だ。仲間の為に提供する筋はない」

「理解はする。だが、納得は無理だ。

 信頼は理解で結ばれねぇ、納得で結ばれるもんだろ? お前さんがそれを理解してないとは思えないが」

 厳しい目で俺を睨むゴレイヌに、俺は薄く笑いかける。

「――バッテラの今取り組んでいる仕事に関わる推薦権を俺が持っている。ゴレイヌ、次の仕事は決まっているか?」

「そうこなくっちゃな」

 固い表情から一転、ゴレイヌは破顔した。

 彼は本気で文句を言っていた訳ではない。だが、俺から更に利益をもぎ取れると踏んだのだろう。故にゴネたのだ。

 そしてその流れは俺の望むところでもある。実力もあり信頼もできる人材を一人確保できた。笑い合う俺たちは握手をかわす。

「それで」

 仕切り直すようにツェズゲラが言う。

「マチ=コマチネからカードを獲得できる方法とはなんだ?

 いい加減に言ってもいいだろう。もしも出来なければ、奴と戦う作戦を練らなくてはならん」

「心配するな、必勝さ。カード一枚でなんとでもなる。

 って、あ。交信(コンタクト)切らしちまった。キルア、くれ」

「ほい」

「サンキュ。

 交信(コンタクト)使用(オン)、マチ=コマチネ!」

 バインダーを通じて通話状態になる。

『誰だい?』

「この世で最も許されない者」

『自惚れた指揮者(コンダクター)

 その手段は?』

「彼女の両手」

『バハト、どうした?』

「ツェズゲラとの折り合いがついた。合流してくれ」

『了解。

 同行(アカンパニー)使用(オン)、バハト!』

 僅かな時間の空白で周りを見渡せば、呆気に取られたツェズゲラたちとゴレイヌ。その間に必要がなくなった交信(コンタクト)を切断しておく。

 やがて飛行音と共に光が俺たちの側に着地し、周囲の状況を確認するその女性。

「ソウフラビ…ってことは『一坪の海岸線』を手に入れたんだね」

「当たり前じゃん」

「ハ。相変わらず生意気なガキだこと」

 キルアとマチが笑い合う。

 それが示す事実はただ一つ。

「――お前ら、繋がっていたのか」

「ま、そういうこと。ぶっちゃけると『一坪の密林』をクリアしたのも、ゲンスルー組を撃破したのも俺だ」

「ゲンスルー組を倒したのは俺たち、だろ?」

「あの経過でそう言えるキルアの顔厚いわー」

「そうだな、お前は捕虜になったしな」

「あ?」

「あ?」

 ユアとキルアがメンチを切り合う。お前ら、ホント仲がいいな。

「く、詳しい説明を要求するぜ! そもそもマチはプレイヤーキラーの筈だ!」

 ツェズゲラの仲間のうちの一人が声を上げる。まあ、尤もな主張だ。

 とはいえ、全てを正直に言う必要もない。かつてマチが他の人間に操作されて悪行をさせられた真実は告げるが、今現在俺が操作していることは言わなくていいだろう。

 彼らを納得させるべく、俺は嘘と真実(ホント)を嘯く為に口を開くのだった。

 

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