他作品を読んでいたから仕方ない。
鹿目家にて、まどかが行方不明となった頃。
さやか達魔法少女達はほむら宅に集まっていた。
そして一緒にもう一体いた。
その名は、キュウべえである。
「まだ吐かないの?まどかは何処にいるの?早く出しなさい」
転校生はどこから用意したのかわからない拷問道具でキュウべえを拷問…尋問していた。殺すと逃げられてしまうので、殺さずがポイントだそうだ。
犬や猫などを殺したりする事件は、この現代社会が生んだ闇と言えるだろう。やがてエスカレートしていき、小動物から少しずつ変わっていき、最後は人殺しに手を染める。そんな物語も少なくはない。それが今、さやか達の目の前にいた。
「何のことだかサッパリだよ。どうして僕は尋問されているんだい?」
「もう喋らなくてもいいわ。お前達の体に聞くんだもの。せいぜい良い声で鳴いて、私を楽しませてちょうだい」
目の前にいるこいつは誰だ?こいつだけは怒らせてはいけない!皆の気持ちは今一つになった。
当初の目的を思い出させるために、誰か転校生に話しかけないといけない。皆が、お前がいけよと目線を送ってくる。さやかは良くも悪くもリーダーなのだ。
ひとまず転校生を落ち着けることに成功。
情報は一つだけ。キュウべえも把握してないらしい。転校生は正直に話したら解放してやるといい、質問を変えていた。
「お前以外の個体なら知っているんでしょ?お前ら獣は嘘はつかないけれど、細かい問い掛けじゃなければ嘘ともとれない答えしか出さないものね」
「それは…!」
新たに出された情報で分かったことは、まどかはお祖父さんのところにいるらしい。そしてお祖父さんと豪勢な建物にいるらしいが、それより先には進めなかったようだ。結界のよなものがあったらしく、侵入を試みるがキュウべえが消し炭になってしまうほど強力なものだそうな。幾つかの個体を犠牲にして得られた情報はそこまで。
「もういいだろう?共有した情報は全て話した。僕を解放してくれないかい?」
「ええ、そうね。ありがとう」
「全く、君はまどかの事になると異常な反応を示すね。この星で言う、レ○ビアンというやつかい?」
「…おい、額でタバコを吸うコツ、教えてやろうか?」
転校生はそう言うと、まぁ予想通りにキュウべえの眉間をぶち抜いた。今後まどかネタでいじるのは止めておこう。
別の個体が湧いてきて、前のキュウべえを咀嚼している間に拘束して、例のお祖父さんの家へと案内させることになった。転校生のぶっ飛んだやりとりで忘れそうになるが、お祖父さんは最低でも結界を張る程度には力があると思っておこう。バトルになるかはその時の状況次第になる。
飞腭に乗って移動すると、少し山に入ったところに豪邸があった。前に訓練に来たときに遠目から見えてたけど、まさかまどかのお祖父さんの家だったとは。まどかの家は金持ちではない。持ち家だが、ローンもまだまだ残っているはずだ。
ちなみに美樹家は貧乏だ。お父さんがロマンの人だからしょうがないけど、暖かい家庭である。ワガママは一度だけ言ったことがある。まどかに弟が出来た時に、自分も弟が欲しいと言った。その日はお父さんとお母さんに早めに寝かし付けられたのを覚えている。
「見えてきたわね。警備が厳しいわね…これは潜入任務になるわ。アルファ、ブラボー、チャーリー、準備はいい?」
急に巴先輩が仕切りだした。この人の痛いもの好きも困ったものだ。今回は織莉子の予知によると、頭を撫でられてるまどかが映ったらしい。転校生が羨ましい!と、憤慨していたがスルーだ。
近くに降りて、正面から普通にインターホンを押した。大きな門の横に詰所みたいなのがあり、そこからサングラスに黒服のボディーガードみたいなのが現れて、何の用だ?と尋ねてきたので、まどかに会いにきたと告げる。
「ここは子供が来ていい場所じゃない。大人しく帰りなさい」
門前払いされてしまった。
仕方なく裏手から入るかと思い振り返ると、ロケットランチャーを構えた転校生がいた。まさかと思った次の瞬間には門が吹き飛ばされて、敵襲ー!と言う声と共にたくさんの黒服さんに囲まれてしまっていた。
「お前ら何者だ?ここに何をしに来たのかは知らないが、もう冗談ではすまないぞお前ら!」
「言ったはずよ。まどかに会いに来たと。出す気がないなら押し入るまでよ」
一触即発の状態になってきた。みんなヤレヤレといった顔をして戦闘態勢になっていた。転校生はやる気マンマンだ。確かにカタギでは無いが、相手は一般人である。どうしたものかと頭を悩ませていたら、お腹がデップリとしたお爺ちゃんが現れた。
「お前達、これは何の騒ぎだ?」
「はっ、子供が派手に暴れてまして…」
「愚か者め!レディ相手に手荒にするなといつも言っておるじゃろうが!」
お爺ちゃんは私たちにニッコリ微笑みながら、まどかの友達じゃな?的な感じで案内してくれた。門の警備の人に悪いことしたなーと思いつつ、着いて行った。お爺ちゃんの名前は、ショーン=コネリーと言うらしい。
地下に入って行き、広い空間に出ると魔女の結界に入ったような感覚があった。お爺ちゃんがここは亜空間になってるから広くなっていると説明してくれた。
どうやらまどかはこの場所で修練をしていたらしく、お爺ちゃんは教えてくれた。まもなく着くらしく、お爺ちゃんはそこで私達に振り返るとまどかに会う前に話を聞いて欲しいと言った。
「儂は5,000年生きた妖魔の端くれでな、昔に仕えた方より力を学んでな。最高の魔道士などと言われておったが、幾つも後悔することが多かった人生じゃった」
お爺ちゃんの話によれば、戦う力を教えた娘がいたらしい。その子に力を残したばかりに後悔する結末を迎えたことがあったと。それからの人生では、女に力を残していくことは無かったそうだ。
だが、ここに来てまた同じことになるんじゃないのかと悩んでいるらしい。お爺ちゃんは私を見て片膝をつき、主に仕える従者のような格好をする。
「三只眼様、此度は不出来な我が娘のためにありがとうございます。三只眼様のお側にいて、力が無いことはいずれ後悔に繋がりましょう…」
「…私のこと知ってたんだね」
あのときお爺ちゃんは騒ぎを聞き付けて来たのではなく、ただならぬ大きい妖気を感知してやってきたらしい。
お爺ちゃんの昔の名前は、ベム=マドゥライという。知らない者はいないほどの有名人だ。もう知ってる人は皆いなくなっちゃったけど。
元々は三只眼に仕えていたので(正確には違う)、このような態度なのだろう。ならば、彼には真摯に応えなければならない。
「マドゥライさん、私はね、創られた三只眼なんだ。疑似的な鬼眼王(カイヤンワン)だと言ってもいい。三只眼の歴史を、力を、知識を全て持っている存在なんだ」
さやかは語った。今まで供述してきたとおり、さやかには三只眼としての強大な力や豊富な知識がある。それは過去から現在までの、全ての三只眼が人化の法により歴代の鬼眼王へと引き継がれるものと同一である。唯一の違いは鬼眼王のように、他者の意識や悪意等といった不純物のない、純粋な知識と記憶と力だけである。
インキュベーターによる願いを叶えるシステムでは、人の悪意や意識といったものを転写することは出来なかった。それが功を奏した形となったのだ。
つまり、さやかは普通の三只眼ではない。
創られた三只眼だと、そう言いたかったのだ。
「貴女様は特別ということですね。私の眼は節穴ではありませぬ。我が主の仕えた方も、そうであったなら…失礼しました。もう終わってしまった過去の話でございます」
マドゥライさんには認めてもらえているようだ。それなら私が俯いていても失礼だ。
さやかは一言、ありがとうと伝えると、マドゥライさんも笑顔で頷いてくれた。
そこから更に歩くと、何やら修行しているような音が響いてきた。ドカーンとか、ボンッといった擬音が聞こえてくる。音のする場所に近付くと、そこには修行衣装のような物を着たまどかがいた。見つけた瞬間、皆で声を掛けて駆け寄っていた。
「まどか!心配したのよ?どうして何も言ってくれないのよ!」
訂正、転校生だけ一足早くたどり着いて抱き締めていた。姿が見えなかったから、たぶん時間を止めて近付いてるよ。心なしか、まどかの衣服がさっきと少し違って見えた。所々で着衣に乱れがある気がした。まさかね?
まどかは力を求めて、今は修行中だという。この中は外とは時間の流れが少し違うらしく、もう3ヶ月ほどいるそうだ。言われてみれば顔付きが少し変わったかな?キリッとしてる気がする。
半年の日程らしく、あと3ヶ月はいるそうだ。家族が心配してるから連絡をするように伝えるが、今はそれは出来ないと突っぱねられた。
それなら私達もと提案すると、魔力を回復する手段が手に入らないからという理由で断念した。それなら決行日までグリーフシードを集めるそうだ。帰ろうとしたところで、マドゥライさんから提案された。
私と杏子はソウルジェムを使わないし、穢れないでしょう?と、マドゥライさんに言われて、ここで少し鍛えていきませんか?と誘われた。
今のままよりは強い方がいいに決まってる。まぁ杏子の訓練が主になってくるけど。まだ契約出来てない獣魔の卵もあるし、丁度良かったかもしれない。
そして3ヶ月が経った。
新しく力を得た、杏子とまどかを連れてマドゥライさんに別れを告げた。マドゥライさんにこの後の事を伝えようとしたら、もう知っているそうだ。闇の存在である者は、古来より魔女の存在を認知していたらしい。その成り立ちもだ。無差別に人を襲う魔女は闇の住人にとっても脅威だという。強いとかではなく、迷惑という意味だそうな。
対策もとってあるようなので、私達は安心するとマドゥライさんの屋敷をあとにした。