ちなみに今日はまど2でワルプルギスを三回引いた。仕事に間に合わないので、450Gほど残して帰宅…つらたん
佐倉杏子は街をブラブラと歩く。
時折、見慣れた景色を見ては過去を思い出しながら歩いていた。彼女は過去にこの街で巴マミと一緒に魔法少女として活動していた時期がある。
結局のところ、意見の違い、在り方の違い等で袂を別つこととなる。当時も現在も未来でさえもその考え方は変わらないと本人は思っている。アーティスト等がソロ活動するときに使う台詞と似ていると考えてほしい。
『音楽性の違い』というやつだ。佐倉杏子は自分の理由も、アーティストの理由も同じだと考えていた。
時間は無情にも過ぎていく。あっという間に夕方になると、ふとお腹が減っていることに気付く。少しばかりのお小遣いをほむらから貰っていた杏子は、デパートで買い食いをしようと思い付く。
「たまには美味いもんでも食べたいよな」
思い立ったら即行動に移すため、デパートに向かって歩き出すのであった。
場面は変わり、放課後の学校へと移る。
鹿目まどかと美樹さやかの二人は学校帰りにあるデパートに立ち寄ろうとしていた。デパートには色んな店が多々あり、よく帰りにファーストフード系の飲食店等でガールズトークに励んでいたりもする。昨今ではインスタ映えするということで、某コーヒー店でクリーム盛り盛りのキャラメル等がふんだんに使われているコーヒーを頼んで、仲良し三人組で写メをアップしていたりもする。仲良し三人組とは、鹿目まどかと美樹さやかと志筑仁美の三人である。
今回の目的は残念ながらインスタ撮影ではなかったのと、志筑仁美が習い事で来れなかったこともあり、まどかと二人で買い物がメインとなっていた。
さやかの目的は幼馴染みの見舞品で、まどかはその付き添いみたいなものであった。
「まどかゴメン!先にCDショップに行っててくれない?」
「さやかちゃん、どうしたの?」
「ちょっとお花を摘みに~って、最後まで言わせないでよ!」
さやかは先にまどかを目的の店に行かせることに成功した。さやかは学校から少しずつトイレに行きたい欲が増しており、デパートに来た時には既に臨界点に達していた。慌ててトイレへとダッシュで駆け込むさやか。この時の行動は今までの行動には無かった展開である。
ようやくトイレにて用を済ませたさやかは、携帯をポチポチしながら歩きスマホをしながらトイレから出てくる。その時、運悪く角を曲がった際に人にぶつかってしまったのだ。
「きゃ!」
「おわっ!てめぇ!どこ見て歩いてんだよ!」
不幸なことにぶつかった相手は柄の悪そうな女の子であった。見滝原には不良やヤンキーといった類いは少ない。だが必ずしもいない訳ではないのだ。相手の少女はどうやら持っていたアイスクリームを落としてしまったみたいで、更に運が悪いことにさやかのスカートにベッタリと付いてしまったようだ。それを見た相手の少女は落ちたアイスクリームを哀しそうな眼で見ていた。ちなみにこのアイスクリームは、某有名アイスクリーム屋さんで三段に盛られた期間限定のアイスだった。以前それをインスタ用に購入したことがあるので知っていたのである。
「あぁぁぁ……あたしのアイスがぁぁぁ」
罪悪感に駆られたさやかは、哀しそうな眼をした少女に咄嗟に話し掛ける。
「悪りぃ。私のスカートがアイスを喰っちまった」
某海軍大佐の名言を口にすると、さやかは財布からお金を取り出して少女へと渡す。少女はポカンとした顔でお金を受け取ると、少し何かを考え出した顔をし始める。そこで絡まれたら負けと思ったさやかは追撃の手を緩めない。
「これで新しいアイスでも買いにいこっ。ほら、早く早く!」
「ちょ、ちょ、おま!」
さやかに強引に引っ張られて某有名アイスクリーム屋さんへと移動する二人。無事に買い終わるとベンチにて二人は腰をかけることになる。この後どうしよっかな~等と呑気なことをさやかが考えていると、少女がアイスを舐めながらこちらに話し掛けてきた。
「…アンタ、食いもんを粗末にするのかと思ってたんだけど、あんな返しをするなんてな。意外と根性座ってんじゃん」
さやかはこの少女が不良なのを確信した。
今時の女子中学生ぐらいの女の子が根性とか気合いとか夜露死苦とか言うのは不良ぐらいだ。更にこの時間帯に私服で歩いてることもあり、不良なのは確定であった。さやかの男前発言が功を奏したのだが、まだこの少女の出方がわからないので気が抜けない。
「どう落とし前つけるか考えてたけど、アンタ気に入ったよ。名前は何てんだい?」
「私の名前は美樹さやか。さやかちゃんって呼んでよ。」
自分から名乗れよとは思ったさやかであったが、そんなことは言えるはずもなく素直に自己紹介をするさやかであった。
その後、少女の名前が佐倉杏子という事が判明。色々と話をすることになり、まどかに遅れる旨のメールを送ると、『トイレ長いね。さやかちゃん、頑張って!』とだけ返信がきた。誤解されているがこの際、仕方ないだろうと割り切ることにした。そして杏子との話はデパートに何故来たのかへと変わる。
幼馴染みの少年が入院していること、その見舞品を買いにきたこと、少年がクラシック音楽が好きでバイオリンの名手だったこと、事故により今はバイオリンが弾けないこと等を話していた。
初対面の杏子に対してどこか相性が合うことでもあったのだろうか?個人情報をペラペラと話すさやかは、見滝原のスピーカーと呼ばれる日が近いのかもしれないと思った。
「ふぅん。その男はアンタのコレかい?」
下品に親指を立てて見せた杏子に顔を赤らめるさやか。ちょっと否定しつつも好意はあると思わせる態度を見て、杏子は少し焦れったい想いを感じながらも少しアドバイスすることにした。
杏子曰く、CDだけじゃ飽きんじゃね?ということで、二人は近くのテナントにある本屋さんへと足を運ぶことになった。
確かにここ最近はCDばかりを買っていた気がする。既に幼馴染みの少年の病室には、クレー射撃の大会ができそうなくらいに山積みされたCDがあった。まどかもそれを見たときはドン引きしていたものだ。
本屋さんへと入ると、早速二人は目的の漫画コーナーへと移動する。杏子曰く、男は漫画かエロ本なら元気が出るらしい。自分の好きな男がそんな下品なと考えないこともないが、クラスメイトの中沢君などを見ているとそういうものなのかな?とも思ってしまう。
結局、数冊の漫画を購入したあと二人は本屋を逃げるように出てくることになる。店員さんにエロ本の購入を咎められてしまい、恥ずかしさのあまり咄嗟にお父さんから頼まれたと嘘をついて難を逃れたからだ。この悪ガキするような経験が、二人の絆をぐっと強めた瞬間であった。
「ふぅ、焦ったよぉ~。まさか未成年が買えないなんて…」
「貴重な体験だったな…さやか」
杏子は魔法少女になってから様々な修羅場を潜ってきたと自負している。その杏子を恐怖させる体験は実に貴重な経験であるといえる。
二人は暫くして落ち着きを取り戻すと、ニカッと笑い合い、どちらからともなく握手を交わすのだった。
「さやか、アンタみたいなのはそういないよ」
「杏子、私もアンタみたいなのは初めてだよ」
笑って別れる二人。
さながら映画のワンシーンのように、逆方向へと歩き出す。別にもう会えない訳ではない。生きていれば、同じ空の下また出会えるさと。現代JCのように薄っぺらい関係ではない。連絡先を聞いたり次の約束を交わした訳ではない。だが、二人にはまた会えるという確信があった。今はそれで充分だった。
杏子と別れ、まどかの元へと急いで駆けていく。ようやっとCDショップの近くまで来ると、遠目で確認できる距離にまどかを発見した。まどかはショップから出たようで、どこかへと急に駆け出した。気になったさやかは、トイレに自分を探しに行ったのかもしれないと焦り、まどかを追い掛ける形となった。
まどかに追い付きかけた時には、人の気配があまりしない改装区画のような場所まできていた。さやかは周囲の薄気味悪さを感じながら、まどかの焦る表情に何かしらの意図を感じ取っていた。
「誰かの声が…助けを呼んでるの!」
天然ここに極まれり。
いや、最早電波さんだと言われても仕方のない発言だ。その時のさやかは杏子との掛け合いの余韻が残っていたので、まどかのキテレツ発言に対して男前な対応をとることができた。しかしさやかも元々はそんなに頭がいい子ではない。友達として考えるならば何か事情があったと考えるのが筋だろうか?あぁ!考えれば考えるほどワケガワカラナイヨ…
「あたしって…ほんとバカ」
さやかは独り呟くと、駆けていくまどかに黙って着いていく。二人は薄暗い区画を進んでいくと、うっすらと何か白い何かが地面に横たわっているのを発見する。慌てて駆け寄るまどか。よく見ればその生物は傷だらけで、至るところから出血していた。まどかはその白い生き物?を腕に抱くと、動物病院へと行こうと提案する。
二人が来た道を引き返そうとすると、暗がりから一人の少女が姿を現す。そしてまどかにこう告げた。
「そいつをこちらに寄越しなさい」
その少女は、どこかコスプレじみた衣装を着ていたのだが、二人には見覚えがある。件の転校生、暁美ほむらであった。