弱チェ200乗せそこからの倍を叩き出す。
穢れ放出まで追っかけてたら負けてた。不思議。
結果的に恭介の腕を治したというより、直したという感じで物語はハッピーエンドを迎える…はずだった。
何事も無かったかのよーに恭介をベッドに寝かせ、さぁ帰ろうと病院を出たところで転校生にバッタリ遭遇。もしかしてお見舞いかと思い、今日はもう面会時間が過ぎてることを教えてあげる。
全く違う用件のようで、丁度いいから着いてきてほしいと引っ張られていく。転校生が病院に来る理由を考えてみたら、確か心臓に病を抱えていた設定を思い出してつい同情の視線を送ってしまう。
「何よ、その不快な視線は…安心なさい。貴女の予想は外れているから」
杏子と予想当てっこクイズをヒソヒソ話しながら着いていくと、病院の裏手に回っていくではないか。
まさかイジメっ子からの呼び出しか?はたまたインターンの研修生との恋か?裏口からの侵入で自分のカルテを盗み見るつもりとか?先生、本当のことを教えて下さい。私はあと何ヵ月生きられるんですか?とか。
バカ騒ぎをしていたら感じるものがあった。
…これは魔女の気配だ。
壁にはグリーフシードが埋め込まれていた。もう術をかけるには遅いようだ。
「私はこの魔女を狩りに来たのよ。貴女達にも手伝ってもらうわ」
「わかりやすい用件なこった。丁度いい、さやか!アタシが戦っていーんだよな?」
「もっちろん!私に後衛は任せてよ」
パーティーの一番後ろに颯爽と移動すると、3人でグリーフシードの前で待機した。
(後衛?美樹さやかは剣を使う前衛だったはず。冗談かしら?)
ほむらの思案を遮るように、グリーフシードから魔女の結界が展開していき、周囲がメルヘンな空間に覆われた。
転校生は周囲を見て誰も居ないことを確認すると、ホッと安心したかのような表情を浮かべた。誰か居るとまずかったのだろうか?
3人はてくてくと進んでいく。
途中で杏子がコッソリ何かの獣魔を呼んでたようだが、特に何も出て来なかったので練習でもしてたのだろう。奥まで辿り着くと、お菓子だらけの空間に足の異様に長い椅子に座った生き物を発見する。そこでほむらからアレが魔女だと告げられた。魔女を見ながら、杏子は自分の獲物だと主張することを忘れない。
「先制攻撃はいただくぜ!いでよ、走鱗!」
杏子は走鱗に乗ると高速で椅子に近付いていく。それを驚きながら見ているほむら。なんじゃこりゃー!という声が聴こえてきそうな顔をしていた。
「佐倉杏子の名において命ずる!いでよ、土爪!」
足の長い椅子を土爪でバラバラにすると、上に座っていた魔女が落ちてくる。それを驚愕しながら見ているほむら。漫画なら目玉が飛び出てそうな顔をしていた。
「佐倉杏子の名において命ずる!いでよ、石絲(シースー)!」
何かの生物らしきものから針付きケーブルみたいなのが飛び出す。それが魔女に当たると、哀れ魔女は石化していったのだ。それを驚嘆しながら見ているほむら。何故か悟ったような顔をしていた。賢者タイムというやつだろうか?
「一丁あがりぃ!」
魔女は粉々に砕けると、空間は元の景色へと戻っていった。そしてその場所には1つのグリーフシードが遺されていた。まさに秒殺であった。
杏子は自分の獲物だと主張をし、嬉しそうにグリーフシードをポッケにしまっていた。ほむらにサンキュなと言って、さやかとハイタッチしていた。そのハイタッチを少し羨ましそうに眺めると、色々と聞きたかったことを質問する。
「佐倉杏子、さっきのは何よ!」
転校生はやっぱり驚いていたようで良かったと思うさやか。
「さっきのは獣魔術っていうのさ。細かいことはわかんねーから、アタシよりさやかに聞いてよ」
あ、これワシに質問くるパターンや。
さやかは観念して説明することにした。
これらは獣魔術といって、体内にある精(ジン)を使い獣魔を使役する術である。獣魔は必ず何かしらに特化しており、用途に合わせた使い方ができるのだと説明してあげた。
ちなみに魔法少女であろうとも使えば一発か二発くらいで体内の精が尽きてしまう。魔力といったものではないからだ。ちなみに精が尽きると死んでしまうから要注意だ。
実質、不老不死の杏子専用みたいなもんである。
「何よそれ、反則じゃない…!」
ほむらは不満を漏らすが、獣魔術も万能ではない。死んだ者を生き返らせることは出来ないし、時間だって戻せない。攻撃や回復、補助といったことしか出来ない。それならばある程度は現代兵器と変わらないだろう。獣魔術はその身1つで出来るのと弾数に制限がないので遥かに便利だが。
転校生はまだ何か言いたそうにしていたが、今日は色々とあって疲れたから帰りたいと言うと、何があったのか聞かれる。魔女との戦いでは実際何もしてなかったからだ。
事情を話しておいたほうが何かあった時にフォローしてくれるかもと思い、恭介の件を共有しておいた。
思いっきり呆れられた。転校生は卍メンブレと呟くと帰っていった。いいじゃん、魔法なんていうフワッとしたモノじゃない。コッチはちゃんと理に叶った術なんだから。
なにはともあれ、二人は帰って夕飯を食べて寝た。
余談だが、魔女の結界が展開していた時、病院でも同じように数人の人が取り込まれていた。使い魔はこちらの方に来ていたらしく、病院側の人達は逃げていた。幸運なことにバラバラにならずに動けていただけ良かったかもしれない。
しかし行き止まりに追い詰められてしまった。皆がもーダメだぁ!ってなった時に、恭介の右腕が変化し、使い魔達を一掃した。
ご存知、杏子の召喚である。
九死に一生を得た医師や患者たちは喜んでいたが、恭介だけは元に戻らない手を見て困惑していた。結界が解けた後は元に戻っていたが、すっかり元通りになった自分の手を恭介は特別な力があると勘違いする。
後に退院した恭介は、復学して数日の間は、俺の右腕の封印が解ける!等の痛い発言をしていたという。中沢くんだけのってあげてたそうだ。