「神戸様!お嬢様がお呼びです。」
「今度は何しに行くかな〜!」
遅くまで寝ようと決意した休日。目の前の黒服さんたちのご登場によりそれはきれいさっぱり奪われていく。
「どうやらスカイダイビングをしたいと。」
「ちなみに拒否権は?」
「ないです。」
「よっしゃ行こうか!」
ん?スカイダイビングって......
「あの飛行機から飛ぶやつ?」
しまった。拒否権なしに注目してとんでもないことに付き合わせることを全然把握してなかった...
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「それでこうなってるんだねー」
「神戸くんも大変だよね...」
奥沢と松原が俺を見て会話している。そしてその目は憐れみの目をしている。
ちなみに奥沢の口調が変わっているのはミッシェルに変身しているから。てかこのまま飛ぶのかよ。
そしてその俺はと言うと...
「こ、怖いよ......ぜ、絶対離れないでね北沢...」
「大丈夫だよカイくん!」
内心平気そうに見えて外見は子鹿のようにガクブル。
今絶賛北沢と手を繋いでいます。そして恥ずかしいという感情はもう死んでいた。
「しっかし神戸くんが高いところが苦手だとわ。」
「きょ、極端なのが嫌いっす。」
「口調変わってるよー」
高いところは苦手だけど全部が全部じゃない。
とても高い建物、例えば観覧車やスカイツリーなどの高さはダメ。
逆に学校や球場の応援スペースは平気だ。多分高層マンションやホテルは倒れるかもしれん。
そんな苦手なら断れば良かったんじゃないって?
今はもう飛行機の中ですから無理だよ。
そもそも断れるなら断りたいわ。高いところは苦手だから無理だと弦巻に言っても、
「みんなで飛べば怖くないわ!すっごい楽しいわよ!」
って言って無理やり飛ばされるだろう。
スカイダイビングを避ける運命はハロハピと関わるか関わらないかで決まっていたのだろう。
『皆さま。間もなくポイントに到着します。スカイダイビングの準備をして下さい。』
機長の黒服さんが合図を出してくれる。
「うぅぅ...嫌だよぉ......」
「はぐみと一緒に飛ぼ?だから泣かないで。」
もう既に弦巻はスタンバイしている。
クソっ!もうどうにでもなれ!!
弦巻が先に飛んで、瀬田は「儚い...」と言って飛んで行き、松原と奥沢(ミッシェル)は一緒に飛んだ。
「き、北沢...321で飛ぼ...ね?」
「行っくよ〜カイくん!!それ!!」
「人の話を聞けー!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」
断末魔も虚しく重力に従って落ちていく。
「怖いよ助けて!!!」
「神戸くんが極限状態になっている...」
「ねぇ薫くんが笑顔のまま気絶してるよ!!」
ある意味器用だなおい。そして文字通り儚いになるな。
「それにしてもなんで急にスカイダイビングしようと思ったのー」
「それはお空でライブしたら楽しいと思ったからよ。」
アホなのこの子?確かに発想はいいけど実行に移そうなんて普通思わないから。
「でも楽曲なんてないよ。」
北沢は飛行機みたいに飛んでいる。慣れるの早すぎ!てか俺まで巻き添い食らっているから出来ればこのままにして欲しいなー
「大丈夫よ。ミッシェル、リュックの紐引いて!」
「え?これかな?」
するとリュックの中からみんなの楽曲が飛び出てきた。
「あー俺のトランペット!!」
本気でここでライブするつもりだ。
間一髪でトランペットを掴むことができた。
「じゃあ行くわよ!えがおのオーケストラっ!」
ところでこんなところでトランペット吹いても大丈夫なのか?まぁ体に異変が起きたらやめればいいか。
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結論から言って今までで一番酷いトランペットだったかもしれない。
力が入らなさすぎて屁みたいな音しか出なかった。
そして1曲終わった頃には地面が見えてきた。
こう見えて落下速度は半端ないのだ。
「楽しい時間はあっという間ね。みんなリュックの紐を引いてパラシュート出すわよ!」
全然楽しくないですがね。
ところでリュックの紐って...あぁこれか。
ギュッと引くとカラフルなパラシュートが勢いよく出る。そのおかげで落下速度が少し遅くなる。
「なんかピンクの物体が下にあるんだけど。」
ハロハピは全員いるよな?隣に北沢だろ?松原に瀬田に弦巻に奥沢もといミッシェルが......あっ…(察し)
「奥沢わぁぁぁぁぁ!!!!!」
「何言ってるのカイくん?みーくんは今日いないよ?」
そうだった忘れてた。
「「ミッシェルぅぅぅぅ!!!!!」」
って茶番している場合じゃない。
何らかのアクシデントでパラシュートが開けないのか。こう考えるうちにピンク色の物体はどんどん小さくなっていく。
「ミッシェルが危ないわね。」
あなたは危機感持っているんですかね?
「...儚い」
シャレになってないすよ瀬田さん。勝手に殺さないでください。
「ふぇぇ...美咲ちゃん!!」
松原が涙目になっている。
いくら着ぐるみでもこんな高さから落下したらひとたまりもない。
ただ真面目組は忘れてた。
ミ ッ シェ ル は 弦 巻 家 の 物 と いうことを。
「飛べ!ミッシェル!!」
弦巻が手をあげると、ミッシェルの足から火が吹き始めた。
「うわーロケットみたいなジェットエンジンだー」
そのままロケットの打ち上げを逆再生しているような感じでミッシェルは着陸した。
そして遅れて俺たちは無事地球に帰還した。地球は青かったね、うん。
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「死ぬかと思った。」
奥沢がぐったりとした表情でつぶやく。
まぁ実際弦巻家が関与してなかったらあなた死んでましたからね。そもそも弦巻が関与してなかったらスカイダイビングすらしてないか。
「それにしてもこのミッシェルはすごいね。」
聞くとミッシェルは弦巻家特製ではなく、元々は商店街のマスコットだったそう。
奥沢はミッシェルを来てティッシュを配るバイトに応募して働くつもりだったらしいが、初日に弦巻たちと出会い、ハロハピの一員となった。(黒服さんが買収した?)
「と言うことはミッシェルは魔改造されたわけだ。」
今頃BGMにモンタギュー家とキャピュレット家が流れるぞ。(分かる人には分かるネタ)
さてぐったり奥沢は置いといて、俺は絶賛腰を抜かしているところだ。
「カイくん大丈夫?」
「これが大丈夫だと思うのか君は。」
いまだに空を飛んでいる感覚が残っているからね。
そして瀬田は着陸した瞬間倒れてしまった。まぁ良い奴だったよ。
「色々あったけど楽しかったね!」
「その感情が羨ましく感じるよ。」
「またやろうね!」
「ぜっっったいにやりません!!!」