あれから何日か経過した。
自分が存在を気にしてないように、あっちも自分の存在なんて忘れているだろう。
そして休日の午後。俺は時間まで暇だったので、屋外のカフェスペースでコーヒーを飲んでいる。
「綺麗で落ち着きやすい場所だな...」
もともと女子向けの場所だからな。当然といえば当然だけど...
「なんでクマの石像があるんだ?」
今の女子はわからん。あれが人気なのか?
しかも軽く見て3m以上はあるぞこれ。
そして気になるコーヒーの味は...
「普通だね。」
本格的な喫茶店ではないから最上級の味は求めても仕方ない。これが低価格で飲めるだけでもありがたい。
「あ!トランペットの人だ!」
どっかから声が聞こえる。トランペットなんて珍しいものを持って来てるものだ。自分もそうだけど。
「ねぇ!無視しないでよ!」
そいつ最低だな。反応してやれよ。
「ねぇ、てば!」
うるさいなぁ全く...って
「俺のことか?」
「他に誰もいないでしょ!」
振り向くと今会いたくない相手ベスト3に含む、あのオレンジ髪の子がいた。
「それでなんの用だ?」
「あの、この前はごめんなさい!」
「あれなら気にすんな。俺もかっかしていたからな。」
機嫌を損ねた第一原因は撮影の邪魔をされたからだ。そして自分の音について言われたから、火に油を注ぐ感じでイライラの最頂点に到達したわけだ。
「それではぐみかこころだっけ?なんでここにいるの?」
「はぐみだよ。北沢はぐみ!」
「そっか。それでなんでいるの?」
「なんでってバンド練習があるからだよ?」
はぐみという少女は?を浮かべたような表情をする。
「俺もそれぐらいは知ってるさ。じゃなくて、お前らとの時間をズラして来たのになんでここにいるのって聞いているの。」
「え!?はぐみたち避けてたのひどい!」
しまった...
はぐみを避けていたのは嘘ではない。
しかし面と向かって言うものではないな。
誤魔化すか...
「撮影の時は集中したいからな。だからお前たちに限った話じゃない。」
「そ、そいうことか。よかった〜」
案外チョロいぞ。それともお馬鹿なだけ?
「でもなんで今日は早いんだ?」
「君に会うためまりなさんに聞いたんだ。そしたらこの時間に来るよって教えてくれた。」
まりなってあの月島か?あいつ個人情報までペラペラ喋ってんのか!
「それで君の名前は?」
「なんで言う必要あるの?」
「だってわたしだって教えたよ?」
いや聞いてねーし!あんまり名乗りたくないんだけど...
「どうしてもか?」
「どうしても!」
しょうがねぇな...
「神戸快知だ。」
「じゃあカイくんだね!」
「はぁ!?」
この人いきなりあだ名で呼んだぞ!
「なんだカイくんって!?」
「ホントはかーくんがいいんだけど被っちゃうんだよね〜」
知らんよそんなこと。てか他の男にもそう呼んでいるのかよ!?
「馴れ馴れしいにも程があるわ!」
「いや...だった?」
あーもう!そんな目で見るな!俺がまた悪者になるだろ!
「............勝手にしろ!」
「わーい!ありがとうカイくん!」
別にコミュ力の高い女子は悪くない。ただ俺個人では苦手なだけだ。
自分のペースで会話をさせてくれないのが嫌なんだ。
「それで1つ聞いていい?」
「なんだ?」
「なんでトランペットが好きじゃないの?」
こいつさっきの謝罪はなんの意味で謝ったんだ?
「......お前に教える意味はない。」
「なんで!?はぐみは心配しているんだよ!力になりたいよ。」
「なんで会って数日の人に心配されなきゃならないんだ。」
「だって、あの時のカイくん楽しそうじゃなかったもん!」
仮面付ける前から見とったというわけか。別にいつから見られても関係ないんだけどな。
「言いたくない。」
「なんで!教えてよ!!」
「お前は人の嫌なことを無理やり聞き出したいのか?それは人の傷をえぐるのと同じさ。」
「それは......そうだけど...」
「ならやめだこの話。」
「だけど話したら楽になる時だって、」
「それは信頼出来るやつならだろ?あいにく俺はまだお前への信頼は0だ。」
「そんな〜」
逆に短い日数でそこまでの関係を築くことなんて普通出来ない。コミュ力高いこいつは知らんけど。
「まぁ気が向いたら話してやる。」
「ホント?約束だよ!」
「あぁいつかな。」
恐らく...いやそんなことは絶対ないだろ。だって何年間もこの話を人にしたことないんだから。
「じゃあお前はなんでバンドなんてしてる?ただの趣味か?」
「それは世界を笑顔にするためだよ!」
「ふーん。世界を笑顔にか。結構壮大なスケールだな。」
「そんなことないよ!やれば出来るよ!」
「ポジティブなことで何よりですな。」
その時別の少女の声が聞こえてきた。
「あ、かーくんが呼んでる!じゃあ行くね。」
「はいはい。頑張ってな。」
はぐみはダッシュで入り口方面に行った。
それにしても世界を笑顔にね〜
そもそも目の前の人間が笑顔にならないんだからもう無理ゲーなんじゃない?
「ま、せいぜい活気があるうちは頑張ることだな。」
あの少女の声は大きい。ここまで会話が聞こえてくる。
そして俺はあることに気づいた。
「かーくんって女子なの?」
コミュ力高い女子はホントついていけない...
グイグイ来る人の相手ってしにくい時ありますよね?
え、ないの...俺がコミュ障なだけ?
自分はそんなことないと思うから気にしない気にしない(謎のポジティブ思想)
それでは次回もお楽しみに