ヒントは駅名です。
「き、北沢!?」
なんでまぁこんな遭遇率高いんだよ...
「なんだ知り合いでもいたのか?」
「知り合いというか天敵。」
高輪が何言ってんのこいつという顔をしている。事実だからしょうがねーだろ。
別に特別見たいわけじゃないのに、北沢の方に目線が行ってしまう。
「しまった...目があった......」
「これは恋の予感ですかの〜」
「はっ倒すぞてめぇ。」
「マジで天敵なんだな...」
しかもあっちも俺の存在気づいてウィンクしてきやがったし...
さて、バンドというものは3曲ぐらいやって次のバンドと交代をするものです。
ハロー、ハッピーワールド!もおそらくそれぐらいやりました。でも記憶にございません。
何故かって?
終わったあと北沢からの逃亡計画を一生懸命練っていたからなのです。
間違いなく会場出たあと捕まります。
「神戸〜おい神戸!」
「ん?どうした高輪?」
「ライブ終わったけど、どうだった?」
しまったもう終わっていたのか...
「来てよかった。でも後悔もした。」
「なんで!?あんな余韻浸っていたのに?」
考えごとしてただけです。
とにかく早く帰らないと。
高輪もそのことを察したらしく、「ねーちゃんのところ寄ってくから」と言って楽屋の方に行った。
逃げやすい環境を整えてくれたら、あとは素早く退散するだけだ!
それでは撤しゅu...
「あ、カイくんいたー!」
神戸快知の逃亡計画。これにて終了。結果失敗。
「あなたカイチって言うのねー!」
「神戸くん。うちのこころとはぐみがすみません。」
「もういいよ。あはは...」
あのあと北沢に会い(強制捕獲)、楽屋に案内(強制連行)された。
高輪にはどんまいという視線を貰っている。
すまん高輪!お前の気づかい無駄にしちまって...
「カイくんカイくん!コロッケあるよ食べて!」
「どっかの誰かさんのせいで胃もたれになったんだよ。いらね。」
「パンあるけど食べます?」
「いくら払えばいい?」
「差し入れだから無料だよ...」
「なんでサーヤのパンは食べてはぐみのコロッケ食べてくれないの!?」
同じ腹が満たすものなら油っこいコロッケなんて普通選ばないだろ。
「にしてもあんたもバンドやってたんだ。えっと...」
「山吹沙綾です。あなたは?」
「神戸快知だ。よろしく。」
すると北沢は頬を膨らませてむぅ〜と唸る。
「何してんの?」
「なんでさーやと仲いいの?はぐみが先に出会ったのに!」
そんなことで嫉妬してたのか?
自覚ないと思うけど山吹の方が話しやすいし接しやすいからな。お前だと疲れるんじゃ。
「それではぐみのベースはどうだった?」
「まぁよかったんじゃね?」
「もうちょっとなんか言ってよ〜!」
「いやだってお前がベースというイメージすらなかったから。」
じゃあなんのイメージがあったの?と聞かれると、北沢が似合う楽器なんてイメージが出来なかった。
だから有名吹奏楽部の演奏でやるパフォーマンス隊って言ったら叩かれた。痛い。
「神戸くんは何かやってることありますか?」
「俺?俺は特に...」
何もやってないと言えば誤魔化せるだろ。
しかし甘かった。ここにトランペットのこと知ってる奴が...。
「カイくんはトランペットをやってるんだよ!」
「お、おい北沢!」
完全に爆弾だ...こんなこと言うと。
「へぇ〜意外です。今度聞かせて貰ってもいいですか?」
こうなる。
そしてそれは伝染し始め、俺の存在なんて知らなかった人まで「すごい」とか言い出す始末。
俺はこんな空気嫌いなのに。余計なこと言いやがって!
「どうしてくれるんだ北沢。」
「でもカイくんの演奏聞きたいって言ってるよ?いい事なんじゃ...」
「何がいいことなんだよ。」
イライラする。山吹はまだしも他の少女がバカみたいに食いついてくる。
気持ち悪い...
「帰る。高輪、また月曜な。」
「え、あ、うん...」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
俺は楽屋から出て出口に行こうとすると、北沢が腕を掴んで離さない。
「離せよ。邪魔だ。」
「ごめん。またカイくんのこと傷つけちゃった?」
「なんで怒らないと分からないんだよ?あの時のごめんは表面上の謝罪か?」
「そんなつもりは...」
「言い訳なんていらん。そのかわり二度と近づくな。そして気安くカイくんなんて呼ぶな。」
呆然としている北沢を振り解いて俺は帰る。
おそらく楽屋の少女たちから非難されるだろう。まぁ女子をこんな扱いすりゃ当然だけどな。
おかげ様でCircleに近づきにくくなったのはまたいい迷惑だった。
メットライフのライブに当たったのはいいが、自粛ムードで専門家の要らぬ水差しで中止にならないことを祈るばかりです。
まぁ同じ埼玉のイベントは強行開催したらしいですが...
それでは次回もお楽しみに