言い忘れていましたが、年齢は原作とは違います。まず杏が中学生の時点で違います。ごめんなさい。
「やべえ。」
高校一年双葉翔。最初の定期テストに追われている。
「翔くんは勉強できるの?」
今話しかけてきた人は奏。最初会ったときは先生がふざけて生徒のふりをしてると思っていた。
「なんか失礼なこと考えてない?」「いや?」
あと、妙に勘が鋭い。下手に考え事できない。
「で、勉強はできるの?翔くん。」
「んー。初めての高校のテストだからわからない。」
「なるほどね。」
「…やべー。」
テストの成績をみて焦った。学年一桁の順位だったからだ。奏にバレたらすごい嫌な奴だと思われる…いや、本当に中学の頃はほんとにど真ん中の順位だったのに。多分、上位のやつは外部の高校に受検したからその分繰り上がったのだろう。というかなんでいい成績なのに喜べないんだよ…
「どうだった?翔くん。」
噂をしたらなんとやらだ。
「奏は?」「一位。」「は?」
…上には上がいた。
あの後奏とは勉強という接点から仲良くなり、ラインを交換した。現在俺のラインにはアイドルの連絡先が4つもある。…夜道には気を付けることにするか。
「ただいまー。」
「おかえりー。」「お帰りなさい。」
今日も文香さんが家にいたのか。…ついにラノベに手を出してしまったか。って、前からか。って、
「杏ー。どうした?漱石なんか読んで。」
「私がお薦めしたんです。良さを共有したいなと思いまして…」
なるほど。そういうことか。
「文香さん。」「?どうしましたか。」
「俺もなんか一冊読んでみていいですか?」
普通に所謂小説となる作品は読んだことがないから興味がある。
「…!いいですよ。何がいいですか?」
「何かお薦めがあればそれを。」
「えー、夏目漱石はもちろんお薦めですね。坊っちゃん、我が猫、こころ。名作揃いです!他にも藤村とかどうでしょう?短編集もあるので読み始めやすいと思いますあと、これとかこれとか…」
本のことになると急に饒舌になるな。って、近い。普段の距離感はどこへ?ってまだ近づくのか?さすがに近いって。服の中見えちゃうって!というか、いい匂いだな。じゃなくて。
「…文香さん、少し落ち着いてください。さすがに恥ずかしいです。」
「え?っ!!ご、ごめんなさい…つい熱が入ってしまって。」
「じゃあ、これ借りますね。」
「…!はい!どうぞ。」
結局夏目漱石のをひとつ借りた。一番薄い坊っちゃんにした。
時計の針は6時を回り、もう外は真っ暗になっていた。
「私もうそろそろ帰りますね。」「わかったー。」
こんな暗い夜道に女性一人は危ないだろう。夜道は気をつけなければならないし。
「家まで送りましょうか?」
「…!お願いします。」「…じゃ、またねー。」
ん?杏が寂しそうだな。なんでだろ。ま、いっか。
「翔さんは、彼女とかいらっしゃるんですか?」
帰り道の途中。文香さんは突然聞いてきた。
「いませんよ。こんな奴を好きになる人はいませんから。」
「意外です。いると思っていました。」
「そうですか?」
「はい。」
そうなのか。文香さんみたいな人にそう言われるのはお世辞だとしても嬉しい。
「逆に文香さんはいらっしゃるんですか?」
「…?彼女はいませんよ?」
「違います。彼氏です。」
「いません!いませんよ。好きな人はいますが。」
「そうなんですね。まあ、文香さんみたいな素敵な人ならすぐお相手さんが見つかりますよ。」
文香さんも好きな人がいるのか。どういう人なんだろう。
「翔さん。」「はい?」
「今夜の月は綺麗ですね。」
文香さんはそう言って家へと入ってしまった。どういう意味だ?まあ。なんかのラノベの言葉だろう。そう結論づけ、自分の家へ夜道を歩いた。
文香さんを軸に話を書くとやっぱり話がきれいになりがちになります。頭悪い作品を書きたいのに、そのために頭を使わなければならない矛盾。