「で、夏祭りに行くことになったからお兄ちゃんの好みを教えてほしいと?」
「そうです…」
翔さんと出かける約束はどうにか出来たのですが…せっかく良い印象を与えるチャンスであるのに好みがわからないのは良くないはずです…。
「夏祭りなんだよね?」「はい。」
「浴衣来てけばいいじゃん。」
「ひゃい?!」
浴衣!?ゆ、ゆかたは…、ど、どうしましょう。
「浴衣は恥ずかしいです…」
「まさかだけどさ、浴衣着るときは下着着ないものだと思ってたりしない?」
「えっ?違うんですか?」
「違うよ?」
そういうものだと思っていました……。それなら浴衣で間違いありません。ん?あれ。そういえば。
「杏さん。私浴衣持ってません。」
「私のはー…、着れないよな。」
「申し訳ありませんがさすがに……」
杏さんのサイズの浴衣を着てしまったら翔さんがアブノーマルな趣味の持ち主であると思われてしまいます。それは避けなければ…!
「今から空いてますか?浴衣を買いにいきたいです!」
「いいよー。行こうか。」
杏さんと浴衣を買いに行くことになりました。至れり尽くせりですね…。
「文香はどういう柄の浴衣がほしいの?」
「翔さんが好みそうなものがいいです…。」
「なるほどねー。」
翔さんの好みはどのようなものでしょうか。深い青か、明るい緑かもしれません。いや、もしくは……
「おーい。ついたよー。」
「あ、すみません。」
私たちはショッピングモール内の専門店に着きました。やはり、このように実物を見るときらびやかで、どれも魅力的です。
「じゃ、好きなの選びなー。」
「えっ?」
あれ。約束と違いますね。聞き間違いでしょうか?
「私は隣のゲーセンいるよー。」
あれれ?いったい何が起きているんでしょうか?
「あ、お客様、お綺麗ですね。今日はどのような柄のものもお探しですか?」
「あ、えーと……」
結局店員さんと色々な浴衣を合わせて一番気に入った薄い紫色の浴衣を買いました。しかし、翔さんの好みになっているでしょうか…
「杏さん!どうでしょうか?」
「お、いーんじゃない?」
杏さんは笑顔でにへらと笑い、そう答えました。しかし私はどうしても気になります。
「…翔さんが気に入ってくれそうですか?」
「まだ気にしてたのー?あのね、あいつはね。」
「文香さんが着てる服ならなんでも気に入ってくれると思うよ?」
「えっ。」
それはどういう意味でしょうか…!?まさか、翔さんも私のことを……!?
「お兄ちゃんはファッションセンスないから良い悪いとかわからないよ。どやあ。」
「…」
期待してしまった私が馬鹿でした。まあ、それなら気を遣わなくていいでしょう。
「…んなわけないじゃん。」
「何かおっしゃいましたか?」
「いや?なんもー。」
「…?。浴衣を買いましたし、帰りましょうか。」
「りょうかーい。」
あの後は何事もなく、互いに家に帰りました。
…両親にはなんと説明しましょうか。
ーーーーー
「ただいまー。っていないのか。」
お兄ちゃんは部活動の合宿で今日1日いない。いつもいる人がいないとやっぱり寂しいな。
「まあ、いいや。ごはん食べるかー…」
久しぶりに独りで食べた。アイドルになる前はゲームしながらひとりでカロリーメイトを齧る生活がけっこうあったはずなのに、なんだか今は味気ないや。
「まあ、いいや。寝よ。」
寝る子は育つからね!でも、寂しいなー。やっぱり一人だからか。…お兄ちゃんがいないからってわかってるんだけどね。なんかあいつを頼るのは悔しいからね。まあ、明日休日だしいいや。ゲームしちゃえ。
「んっ…。あれ?もう朝?」
完全に寝落ちした。ん?なんだこの毛布。
「おはよう。次はちゃんと布団で寝ろよ?」
…やっぱりお兄ちゃんがいなきゃだな。
主人公が出てこないのもたまにはいいですね。
私事ですが、高校1年生になったので、学校開始したら投稿ペースが遅れると思います。また、自分も卓球部を考えていますので、それを加味すると尚更かなと。夏祭り回はいつになるやら。