元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


8話 宴会と書いて〝たたかい〟と読む#1

 

 

時刻はもうすぐ夕暮れ。今日は宴会当日、そろそろお嬢様とフラン様も起き出す頃ですかね。私は銀の時計を懐に仕舞い、トコトコと廊下を一人歩く

 

今回同行しない妖精メイド達には、メイド長が朝から休暇を与えている。残っているのは私ときーちゃん、そして何故かあーちゃんとしーちゃん

 

さて、件の宴会なんだけれど開かれるのは夜からということもあり、館の仕事は昼に全部済ませておいた。あーちゃんが少し不機嫌だったけど、まあ気にしない

 

聞くところによると、参加者はほとんどが人成らざる者、らしい...これはアレですね、驚きすぎてどうすればいいか分からないパターンですね...

 

 

「すっかり慣れたと思ってたけどなぁ...」

 

 

吸血鬼に妖精、妖怪やら魔法使いとこの館ですら私からすると十分に魔境なんですけど...流石に亡霊や鬼、神様とまでなると流石にキャパオーバーである

 

そんな話を聞いたのはメイド長から。何故か亡霊について話すときの顔色が優れなかったけど......案外お化けとか苦手なんですかね、メイド長

 

 

「忘れられた者達の楽園...かぁ」

 

 

そんな規格外のお方達がいらっしゃるとなると、説得力があるなぁ...なんて思う。お伽噺の中だけの世界だと思ってたけれど、案外身近なのかな

 

少し前に、大図書館でこの場所についての文献を漁ってみた。疎らに穴の空いた記憶がどうにか補填できないか、と。特に思い出すことは無かったけれど、結構色々なことを知ることができた

 

幻想郷。神様や妖怪、そして人が共に生きる最後の楽園...まだ夢の中の話ではないかと疑ってしまう

 

ただ、私がここにいる理由は何も分からなかった。結局のところ、人の私、そして妖精の私、どっちが本当の私なんだろ...

 

 

「やっほー、妖精長...どしたの?そんな難しい顔なんかして」

 

「ん、あーちゃん...ちょっと考え事をね。お仕事は大丈夫でしたか?」

 

「ばっちり!」

 

 

声をかけてきたのはあーちゃん。頼んでいた仕事について訊ねると、自信満々にサムズアップ。まあ、大丈夫みたいですね

 

 

「それにしても、妹様の支度っていつもメイド長か妖精長がやってなかったっけ?」

 

「...いや、ね。ちょっとメイド長に別の用を頼まれちゃって」

 

「ふーん...ま、いっか」

 

 

勘弁してほしい。あの一件から、フラン様の朝の支度は運良くメイド長のいる時だけだったから良かったけれど、今日はメイド長がお嬢様の、私がフラン様の支度をするように指示されたのだ

 

...これからもあーちゃんに頼もう、うん。精神衛生上それが良い

 

 

「それより、お嬢様の支度が済み次第出発ですから、ちゃんと準備してくださいね」

 

「分かったー!しーちゃんも連れてくねー!」

 

 

さてと、フラン様の支度が終わったとなると、後はお嬢様だけ。神社に向かう準備をするように、あーちゃんに言っておく。まあ、きーちゃんは食堂だろうし、しーちゃんのことはあーちゃんに任せて私も準備をしようか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お嬢様の身支度を終え、今は館の戸締まりのチェックをしているところ。それにしても、今日は大丈夫かしら...

 

珍しく、館の者全員で参加することになった宴会。規模が大きいということもあり、一部の妖精メイドも連れて行くことになった

 

まずは妖精長。言うこと無し、元から連れて行きたいと思っていたしね。そして黄色い子。妖精長曰く、力になる、とのこと。あの子の推薦なら文句ないわね

 

不安なのは残りの二人。白い子はまだ良いけれど、問題は赤。妖精メイドの中でも一二を争うトラブルメーカー...胃薬は多めに持って行こうかしら

 

 

「あ、咲夜ー、おはよー!」

 

「妹様、おはようございます」

 

「いよいよだねー、宴会。私すっごく楽しみー!」

 

 

ちょうど戸締まりの確認が終わったところで、妹様に声をかけられた。宴会という催しが久しぶりなのもあり、とても楽しそうなのがひしひしと伝わってくる

 

ふと、窓に目をやる。夕日はほとんどその身体を山の向こうへと隠し、辺りも少し暗くなり始めているようだった

 

 

「もうすぐ出発ですね。玄関まで一緒に行きましょう、妹様」

 

「はーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、皆集まったようね」

 

 

そう確認をするのはお嬢様。玄関前のホールには、館に住む面々が勢揃い。妖精メイドが全員はいないけれど、皆さんがこうして一同に介しているのを見たのは始めてかもしれない

 

 

「お嬢様、準備のほうは概ね済みましたので、直ぐにでも出発できますわ」

 

「そう、ありがと咲夜。それじゃあ皆、行くわよ!」

 

「宴会なんていつぶりかしらね...ねぇ、こぁ」

 

「そうですね、前の宴会は確か...」

 

「良かったねー!美鈴、今日は一緒に行けるよー!」

 

「そうですね妹様。いやぁ、最近の宴会は留守番ばっかりでしたから...」

 

「宴会かぁ...あーちゃん凄い楽しみ!」

「たのしみー」

 

「二人とも~、今日はお手伝いですからね~」

 

 

思い思いに発せられた言葉達には違いは有れど、楽しみである、という感情はしっかり込もっていた。...あーちゃんは相変わらずのようだ。...まあ

 

 

「楽しみだなぁ...」

 

 

ちょっとだけ、あーちゃんに賛成...かな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...はぁ」

 

「ん?どーしたんだ霊夢、ため息なんてついて。只でさえお前にとって幸せなんて無いようなモンなんだから、大事にしとけよ?」

 

 

お酒の入った箱を降ろし、ため息を一つつく。横から軽口を叩いてくる魔理沙...うっさいわね

 

 

「それにしても、いったい何人呼んだのよアンタ」

 

「んー?目についた知り合い全員」

 

 

既に賑わいを見せている境内を見渡してそう聞く。...ホントに幻想郷中、魑魅魍魎のオールスターになりそうね。ま、皆がお酒やら食材やら色々持ってきてくれるみたいだし、お金は気にしなくて良いわね

 

 

「全員、お賽銭入れてくれないかしら...」

 

「おいおい、銭ゲバ巫女がはみ出てるぞー」

 

 

ホントにああ言えばこう言うわね...。そんな魔理沙が突然思い出したみたいに、ああ、そうだ、と切り出した

 

 

「そうそう、昨日買い出し帰りの妖夢にばったり会ってさ。一応声掛けといたぞ」

 

「げぇ」

 

 

さらっと、言い放った言葉に変な声が漏れてしまった。妖夢、ってことはアイツも来るじゃない。はぁ、今日も大変そうねぇ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宴会なんて久しぶりね~、ね、妖夢」

 

「...そうですね、幽々子様」

 

 





あーちゃん

赤いメイド服の妖精メイド。基本的にはサボり気質で、よくメイド長に怒られている。ただ、能力自体はそれなり。元気がよくお菓子好き

ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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