元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます 作:微 不利袖
妖精さんに連れられて館の中を歩いて行く。何というか...赤い。唯ひたすらに赤、赤、赤。踏みしめる絨毯に綺麗に飾られた花、様々なインテリアが赤一色で統一されている。...ちょっと目がチカチカするなぁ。
3分程歩き、如何にもな両開きの扉の前で妖精さんの足が止まる。ここも勿論赤...なんて考えていると、内側から音を立てて扉が開く。
「此方です。どうぞお入り下さい」
「え!?あ、ひゃいっ!...って、うわぁ...!」
おもっくそ返事を噛み散らかした私の目の前に広がっていたのは...アニメや映画、所謂作り話に出てくるような、綺麗で、立派な食卓...って言っちゃって良いのかな...だった。って、あ"...こういう時の作法とか、どうしよ...分かんない...
「ええと、本日の昼食は...」
あー、なんだっけ...たしかナイフとフォークが、内側?いや違う、外...?な、ナプキンって畳んだり畳まなかったり...お、おおお終わったら揃えて置けば良かったんだっけぇ...?ナイフエーンドフォーク?
「さばの味噌煮メインの和食ですね」
「はい~。わしょく、練習中です~」
「お箸っ!?」
結論...大変美味しゅうございました!あー...やっぱり日の丸背負ってんなら米よ米。鯖味噌は勿論、その他副菜の数々もお金取れる味だったなー
「お口に合いましたでしょうか?」
「あ、はい!とっても美味しかったです、ご馳走さまでした」
「いえいえ~、良かったです~」
どうやらシェフはこの黄色いお洋服の妖精さんらしい...凄いなぁ。
それにしても、温かい料理かぁ...いつ振りだろ。レンチンのお弁当とか、インスタントじゃない、誰かの手作り食べたのって...
『×××、美味しかった?』
「ッ!......そっか。...そっ、か...」
「...大丈夫ですか?」
「え、あ、あぁ...大丈夫、です。...多分」
明るく振る舞おうとしてたんだけどな。泣いて、悲しんでばっかじゃ、あの人に心配掛けちゃうだろうから...
「昼食の方はお済みでしょうか?」
「あ、えっと...」
後方から声が掛かる。凛とした声...振り返ると、そこには妖精さんとは違う、美しい女性が立っていた。メイド服を身に纏い、扉の近くに佇んでいる。
「メイド長、はい、もうお召し上がりになられました。体調も大丈夫そうですし、食欲も問題無いようです」
「そう、分かったわ」
ごはん、おかわりしちゃいました。てへ。
「それじゃあ妖精長、後はお願いね」
「分かりました。お客様、此方です」
「へ?は、はーい」
「...という訳でして、貴女のような外界から来られた方にはここ、幻想郷からお帰り頂くことになるんです」
「ほぇー......やっぱり...」
青色の妖精メイドさん...たしか、妖精長さん?って呼ばれてた気がする...彼女の後に着いて行き、広い館の廊下を歩く。ホントに広いなー、ここ。
道中、紫さんから聞かされたことと同じようなお話をして貰った。話の限り、その...外来人?は結構居るらしく、私もそんな中の一人だそうな。
「...?〝やっぱり〟?」
「えっ?...あっ!?い、いやっ、やっぱり目がチカチカしちゃうくらい赤一色だなーっ!...と、思って...」
突然聞き返されて勢いで誤魔化す。いや、なんでか知らないけど、紫さん、妖精さん達から見つからないようにしてたし...庇う訳じゃないけど。ご、誤魔化せた...?
「......あはは、確かにそうですね。私も慣れるまで掛かりました」
「デ、デスヨネー...アハハー」
乗り切った...ナイス言い訳術。社会の荒波に揉まれ、身に付いたパッシブスキルに感謝...なーんて、内心、勝手に一喜一憂しながら歩みを進める。
「って、わぁ......広ーい」
「ここが玄関ホールです。運ばれて来た時は気を失われてましたので、見るのは初めてですかね」
長い廊下を歩いていると、開けた場所に出る。相変わらず赤一色の装飾が散りばめられた玄関ホール。凄い...なんか、よく分かんないけど高そうな抽象画...?さぞ有名な方が描いたんだろうなぁ...
「妖精さん、あの絵は...」
「お嬢様の描いた絵ですね。テーマは〝紅魔館の皆〟です」
......ん?どれが眼でどれが鼻で...って、腕3本生えてるような?
「死後評価されるタイプの...?」
「吸血鬼は長生きですからね」
「吸けっ!?」
...まぁ、妖精さんが居れば吸血鬼さんも居ますよねぇ...はっ!一宿一飯の代償に血を!?
「...B型って美味しいんですかね?」
「あんまり変わんないよー?」
「はえー...って、どっひゃあ!?」
味に関しての疑問を口にする私に、返ってくる言葉はとても無邪気で可愛らしくて...って、へ!?どなた!?
「ぱ、パツキン美少女!?」
「ぱ...?貴女がお外から来た人ー?」
声のする方を見ると、なんとビックリ金髪ロリータ。口から飛び出た俗世的な単語が似合わないような、各所から溢れ出る別世界の住人感......漫画やアニメから飛び出てきたんじゃ...?いや、私が飛び込んだのか?そういえば銀髪のメイドさんもドが付く美人さんだったような...もっと拝んどくんだった。
「はい、フラン様。これから博麗神社にお送りするんですが...フラン様も何かご予定が?」
「そ!今日は魔理沙と遊びに行くんだー」
快活で明るい雰囲気の女の子、フランちゃんは...飛んでる。うん、ふわふわしてる。羽根っぽいのもある、うん...というか、よく考えたら妖精のメイドさんたちもぱたぱたしてた気がする...まぁ、羽根があるなら飛ぶよね、うん......頑張ったら私、飛べたりしない?ふぬー!...ダメか。
「そうでしたか、暗くなる前に帰って来て下さいね。それでは、私たちはこれで...」
「よーちゃんも!気をつけてねー!バイバイ、お外の変な人ー!」
「変なっ!?」
無駄に念じている私が変な人認定を喰らったところで、フランちゃんは、ばひゅん!と飛んでいってしまった。変な人...変な...変......
「ふふっ...それでは行きましょうか」
「...私って変ですかね?」
「......普通ですよ」
いや、間!!
「ん、おーい!おせぇぞー、フランー!」
「ごめーん!ちょっとお話ししてたー!」
木々の合間を抜け、湖の畔、待ち合わせ場所のいつもの樹の下へと急ぐ。こっちに気付くや否や催促の声。もー、まだ約束の時間は......えへへー、過ぎてるや。よーちゃんとお外の人とお話しして遅くなっちゃった。
「ったく、ちょっとは待つ身にもなれよなー」
「ごめんってばー。あ、それでそれで!今日はどこ行くのー?」
わざとらしく不機嫌そうにする魔理沙に合わせて軽く謝り、今日の予定を聞く。最近はお天気悪くて館で籠ってたからなー、どこでも楽しみ!
「そうさなぁ...今日は霊夢も留守だしなー」
「?...霊夢、今日居ないの?」
「ん?あぁ、人里で仕事なんだとよ。なんでも、スキマ妖怪から直々に依頼されたとかなんとか」
「そーなんだ...あれ、じゃあ「あ、そーだ!確かアリスが、今日はケーキ焼くって言ってたな。行ってみるか?」ケーキ!?行こー!」
やったー!ケーキ楽しみだなー♪
はい、書き方忘れちゃってますね、これ...。妖精長ときーちゃんは頭の中でよく喋ってくれるんですが...書かないとダメですね、やっぱり。次回は一ヶ月くらいで出す予定です。ほのぼの書かないと...それでは、また
シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。
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