元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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さて、23話になります。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


23話 猫又さんは縄張り意識が高い

 

 

「うーん...」

 

 

軽く唸り声を口から漏らしながら歩く。メイド長からおつかいを頼まれ、迷いの竹林へと足を運んでひと悶着あり、永遠亭でお世話になったのが昨日のこと

 

 

「えーっと...」

 

 

一晩を明かし、永遠亭の皆さんにお礼と別れの挨拶をした後、竹林の案内人である妹紅さんに出口までご一緒してもらい、別れたのが二時間程前。あれ、ここさっきも通ったような...?

 

 

「あれぇ...」

 

 

なんの連絡もなく、丸一日帰れていないこともあり急いで帰路についた私...だったんですが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、どこですか...?」

 

 

...道に迷いました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん...どうしたものでしょう」

 

 

森の木々の合間を抜けながら、メイド長から貰った手書きの簡素な地図とにらめっこする。むー...分かんない

 

そう、元来地図というものは、自分の今いる現在地が分からなければ役に立たない只の紙くず同然の代物。気づいた時にはもう竹林まで戻る道さえも分からずに、森の中をさ迷っていたので...

 

 

「...はぁ」

 

 

せめてこうやって歩いていれば誰か、心の優しいどなたかに会える...かも、と思い歩を進めているんですが、一向にそんな気配はなく...初対面ではない大きな枯れ木を見て、思わずため息が出てしまう

 

肩を落とし、またいらない心配を掛けてしまうなぁ...なんて考えながら歩いていると、ふと視界の端に何かが映る。あれは...

 

 

「...建物?」

 

 

木々の合間から顔を覗かせたのは古びた家屋が幾つか。もしかして...人里?もしそうだとすれば、おそらく住民の誰かは紅魔館までの道を知っている筈...

 

 

「これは...」

 

 

急ぎ足でその建造物の一団へと向かう。雑木林を抜け、少し拓いた所へと出ると、その正体が分かった

 

 

「廃墟...いえ、廃村?でしょうか...」

 

 

古びた家屋達は近くでみると殆ど穴が空いていたり襖が破れていたりと、人々の営みがそこにあったとは思えない程寂れており、人の気配は感じられなかった

 

おそらく、人がいなくなってから数十年位は経過しているような...と、周りを見渡しながら歩いていると、この廃村跡に住民の姿を見つけた。見つけたんですが...

 

 

「ネコ...?」

 

「なーお」

 

 

ボロボロになった家屋の縁側。ひなたぼっこでもしていたのか、欠伸にも聞こえる鳴き声を漏らすと、こちらに気づいたのかとことこと私に近付き、足にすり寄ってきた

 

 

「わっ...ここはあなたのお家なんですか...?」

 

「なー、ごろごろ」

 

 

屈み込んで、猫の頭やら喉の辺りを撫でながらそんなことを聞いていると、少し視線を感じた。落としていた視線を上へ、家屋の屋根の方へと向ける...あぁ

 

 

「あなたたち、でしたか」

 

「なーお」

 

 

そこにはざっと数えて...十数匹のネコがこちらを興味ありげに覗き込んでいる姿があった。どうやら、人がいなくなってからは野良ネコが住み着くようになったみたいですかね...

 

さて、猫と戯れるのもやぶさかでは無いですが、早いところ紅魔館へ帰らないと...再び屈み込み、ネコを撫でる

 

 

「ごめんね。遊んであげたいけれど、今は「うりゃーっ!」...へ?って、ふぎゅっ?!」

 

 

猫との別れを惜しんでいると、上...屋根の方からそんな声が突然辺りに響く。何事かと振り向く間もなく、背中に衝撃が走り、前のめりに倒れ込んでしまう。その何者かはそのまま私の背に馬乗りになり抑え込んでくる

 

 

「いたた...な、何が「ウチの子たちに何してるのよ!」...え?」

 

 

もう一度聞こえたのはそんな少女の可愛らしい声。おそらくはネコのこと、でしょうけれど。私は只、撫でていただけなんですが...

 

弁明のため、首だけを後ろに向け言葉を発しようとする口が一度止まる。理由は明白だった

 

 

「ね...ネコみみ?」

 

「羽根...貴女、妖精ね?」

 

「...なーお?」

 

 

そう言う彼女の頭部にはぴこぴこと動くネコみみがあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...妖精がここに迷い混むなんて珍しい。最近は人間でさえこの辺りでは見かけることも減っていたし...元来妖精という種族は道に迷わせる側。それなのに...ううん

 

 

「それで、ウチの子たちに何してたのよ!」

 

 

それはそこまで関係のないこと。私がお昼ご飯の魚を捕りにいってる隙に、私の式神候補のネコたちに手を出していたことの方が問題よ!馬乗りのまま、ぐいっと少し力を込める

 

 

「ぐえっ...あ、あの、私は只道に迷ってしまって、それで...」

 

「しらばっくれてもダメよ、妖精はイタズラ好きだって相場が決まってるんだから!」

 

 

そう、今までも妖精たちには沢山酷い目にあわされてきたもの...今思い出しても腹が立つ

 

 

「なー!なーおっ!」

 

「へ?ちょ、急にどうしたの?」

 

 

そのまま抑え込んでいると、襲われていた一匹のネコが話し掛けてきた。うん...うん......えっ、じゃあホントに...いや、でも...ん?

 

 

「!...すん、すん...あっ!この匂いは...」

 

 

そんな証言にうーん...と唸っていると、上空から優しい、包み込んでくれるようないつもの匂い、気配が近付いてくる...これは!

 

 

「よっ、と。橙、今日も修行は欠かしていないか?」

 

「藍しゃま!!」

 

 

やっぱり藍さまだ!ここ、迷い家に時々訪れては私の様子を見てくださったり、修行をつけてくださる...私の主

 

 

「はい!藍さまの式として恥ずかしくないよう、鍛練の日々です!」

 

「うんうん、良い心掛けだな...ん?...橙、その下に敷いてるのは...」

 

「うっ...ら、藍さん...ですか?」

 

「って、もしかして妖精長か!?ちょ、橙!退いてやりなさい!」

 

「えっ。藍さまのお知り合い?」

 

「なーお...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、すまなかったな、ウチの橙が...悪気は無かったと思うんだが」

 

「ご、ごめんなさい...」

 

「いえ、私も勝手にこの集落に入ってしまったので...警戒されても仕方ないですし...」

 

 

突然現れた藍さんのお陰で、馬乗り状態から解放された私。どうやらここは藍さんの式神である...橙さん、の住まいだったらしい

 

頭部から生えるネコみみから分かる通り、橙さんは妖怪のようだ。ネコってことは、猫又?だろうか。今はお互いに謝りあっているところです

 

 

「いや、ここは迷い家と言ってな、道に迷うといずれこの場所に着いてしまうという性質が有るんだ」

 

「迷い家...ですか。ここが...」

 

 

迷い家...確か、少し前に大図書館で漁った文献で見た記憶がある。文献では、今藍さんが言った通りの内容だった...

 

 

「それにしても...何かあったのか?妖精長」

 

「あ、実は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~少女説明中~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだったのか...なら、館まで私が送ろうか?」

 

「え、でも...」

 

 

一通り説明したところ、なんと藍さんが紅魔館まで連れていってくれる、とのこと。ですが、また人に迷惑を掛けてしまうとなると...

 

 

「なに、迷惑だなんて思っていないさ。宴会でも世話になったからな」

 

「藍さん...」

 

 

やっぱり優しい方です...ここの住人の方たちは皆こうなんだろうか。そうですね...ここはお言葉に甘えて「ぐきゅるるる~」...ん?

 

 

「!!?...いやっ!違っ...うぅ...///」

 

「...ふふっ。妖精長、その前にお昼でもどうだ?ご馳走しよう」

 

「ふふっ...そうですね、いただきます」

 

 

腹が減ってはなんとやら、ですもんね。ふふっ

 

 




難産でした...ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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