元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

3 / 47
今日のお昼に気づいて急いで書きました。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


番外編 5月10日

 

 

これはとある日の朝のこと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふあぁ...むにゃ......」

 

 

今日も今日とて、私は門の前に立ち自分の仕事をこなしている。それにしても、天気の良い日だなぁ...春の陽気が心地よい......って、ダメだって!今日は咲夜さんが館を空けてるとは言えそんな...

 

 

「めーいりん!」

 

「うっひゃあ!!?!ね、ねね寝てませんよ?!!」

 

「うわっ?!...急にどしたの?美鈴」

 

「へ?あれ...妹様?」

 

 

突然の呼び掛ける声にとてつもなく驚いてしまう。いや、あの...そんな後ろめたい事があった訳じゃなくてですね...って、よくよく見てみると声の主は妹様だった。...はー、良かったー。ん?でも、こんな時間に何か用だろうか...

 

 

「す、すみません...ちょっとビックリしちゃって」

 

「こっちもビックリしちゃったよ、もう」

 

「それで、何か御用ですか?こんな朝から...」

 

「あ、そうそう!」

 

 

いやぁ、心臓に悪いですよ妹様...と、やっぱり何か用があるらしい。まだお昼にもなっていないし、いったいなんだろう...

 

 

「お姉様から、館の皆私のお部屋に集合、だって!」

 

「お嬢様の部屋に?館の全員で、ですか?」

 

「そ!さ、美鈴も行こ行こー!」

 

「え、あちょっと、妹様!?」

 

 

お嬢様からの指示で...しかも咲夜さんがいないとは言え、住民総出で?って、ああ、そんなに引っ張らないで下さいよ、妹様ー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉様ー、連れて来たよー!」

 

「ちょ、妹様!もう離してもらっても大丈夫ですから!」

 

「ん、来たのね。ふぅ、これで全員揃ったわね...」

 

 

騒がしい我が妹が扉を開き、最後の住民を連れてくる。よし、これで全員ね。さて、とりあえずはここに皆を集めた経緯でも話そうかしらね...

 

 

「...レミィ、なんの説明も無かったのだけど、どうして私たちはここに集められたのかしら?」

 

「そうですね...あれ、咲夜さんと妖精メイドさんたちがまだみたいですけど...」

 

 

あら、話の芯になる部分全部聞いてくれるのね。流石は図書館組、知らないことを知らないままに出来ないのは、ある種の美徳ね...

 

 

「貴女たち、今日が何月何日か、分かるかしら?」

 

「えーっと、ちょっと待ってくださいね...ひぃ、ふぅ、みぃ...」

 

「...こぁ、分かるかしら?」

 

「えーと...多分、冬ではないのは確かですけど...」

 

「分かんなーい!」

 

 

なんだこの館、馬鹿と出不精と愛すべき馬鹿しかいないのかしら。まったく、咲夜がいないとホントにダメね...

 

 

「はぁ...今日は5月の10日よ、なんで皆して分からないのかしら」

 

「...質問の答えにはなってないわよ。どうして集められたのかしら?」

 

「そうですよ!まだ集まってない人もいますし...」

 

「あー、わかったわよ。ちゃんと一から話すわ」

 

 

ガンガン来るわね図書館組は...ま、いつまでも引っ張っておもしろいものでもないしね。それに時間も少し怪しいし...

 

 

「外の世界ではね、5月10日は『メイドの日』として広まってるらしいのよ」

 

「へー、そうなんだー」

「へー、そうなんですねー」

 

 

馬鹿が共鳴してるわね...ま、まぁ、素直なのもまた美徳、というか...ね

 

 

「と、言うことで...」

 

「ことでー?」

「ことで?」

「...はぁ。...ことで?」

「......え、あ!わ、私ですか?!...こ、ことで?」

 

 

ノリが良くて助かるわね...そう、

 

 

「今日くらいは、いつも頑張ってくれてる我が館のメイドたちを、私たちで労ってあげようっ!ってことよ!」

 

「いぇーいっ!」

 

「...そう、だから咲夜と妖精たちの姿はないのね...合点がいったわ」

 

「...美鈴さん、私たちって...」

 

「んー...まぁ、メイドではないですねぇ...」

 

ふふん!メイドたちのことを想えるのも、また一つのカリスマの完成形よね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、具体的にはどうするの?」

 

「あら、意外に乗り気なのね、パチェ」

 

「...まぁ、普段からお世話にはなっているし、そういう機会も余りないから」

 

 

そう、咲夜は勿論のこと、妖精たちにもかなり世話を焼いてもらっているのは事実。正直、こんな機会を提示してくれたのは好都合ってところかしらね...

 

 

「まぁ、今、咲夜には私から買い出しを頼んでいるわ。まぁ、帰りは夕方くらいになるでしょうね...」

 

「そう、時間はあと...」

 

 

柱時計の針はお昼前、だいたい10時...あと5~6時間と見積もって大丈夫そうかしら。そしてわざわざ咲夜を外出させた、ということは...

 

 

「そうそう、妖精たちは館にいるけれど、今回はサプライズよ!パーティーの準備はバレないようにすることね!」

 

「やったー!サプライズ大好きー!」

 

「妖精メイドさんはともかく、咲夜さんは喜んでくれますかね...」

 

 

やっぱりね...フランは乗り気だけれど、パーティーの準備となると...

 

 

「ところでレミィ」

 

「んー?どうしたの?」

 

「今まで紅魔館でやってきたパーティーの準備、誰がやってくれてたのかしら?」

 

「それは勿論......あっ」

 

 

やっと気づいたみたいね...そう

 

 

「準備って何すれば良いのかしら...?」

 

 

...はぁ、親友やめようかしら...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいはーい!ケーキは外せないよ!」

 

「あとはお料理と...飾り付けとかもですかね」

 

「フラン、美鈴ナイスね!後は......」

 

「あ、はいはい!何かプレゼントとかもあると良いかもしれません」

 

「やるわね!小悪魔!採用!」

 

「...はぁ」

 

「ほら、パチェも何かアイディア出しなさいよ!」

 

 

やることが分からないままでは何も進まないと言うことで、今はパーティーについての会議中ね。...私、部屋に戻っても良いかしら...

 

 

「んー...まぁ、このくらいかしらね。よし!それじゃあ早速動くわよ!」

 

「はーい!私、ケーキ作るー!」

 

「私も行きますよ、妹様!お料理も作らないと行けませんしね!あ、あと飾り付け...」

 

「むー...何渡すと喜んでくれますかね、皆さん...」

 

 

...どうしたものかしら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日はメイド長が館を留守にしているので、また私が指示を出す形になっている。まぁ、だいたい指示も終わって自分の持ち場に向かっているところですね。えーっとまずは厨房、と...ん?

 

 

「あれ?パチュリー様?」

 

「あら、妖精長。厨房に何か用かしら?」

 

 

厨房の出入り口の脇に、パチュリー様が本を片手に佇んでいた。珍しいですね...それにしても、どうしてこんなところに?

 

 

「はい、お仕事で少し...パチュリー様はどうしてこんなところに?」

 

「そう...それならごめんなさいね、厨房は今ちょっと使ってるところなのよ。他のところでお仕事してもらえるかしら?」

 

「え、厨房を?...どうし」

 

 

轟音、そして激しい炎の奔流が出入り口から飛び出し、私の言葉が遮られる。えっ?何ですか、今の?

 

 

「んー難しいねー、また焦げちゃったや」

 

「ちょ、妹様?!とりあえずレーヴァテインは仕舞いましょう!!ね!?」

 

「......」

 

「あ、あの...パチュリー様?」

 

「ほ、ほら...せ、洗濯、洗濯とかどうかしら?今日は天気も良いし」

 

 

どこか言葉がぎこちないパチュリー様。というか今中から誰かの声が...?

 

 

「んー...あ!じゃあ」

「百人力とはいかないけど」

「四人力なら」

「行けるでしょ!」

 

「なんでですか!?意味分かんないですよ?!ちょ、妹様ー!!」

 

 

...またも轟音、だいたい四倍の規模で。これって...

 

 

「さ、お洗濯、お願いするわね...」

 

「え、でも「ね?」いや、あの「ね?」...分かりました」

 

 

まぁ、洗濯も元々あった仕事だから良いかな。踵を返し、そのまま洗濯をしに行く。そんな中でも背後からは時折、轟音が耳を掠める...大丈夫ですかね?ホントに...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、これでいいですかね...」

 

 

洗濯物を詰め込んだ籠を手に持ち、干すために外へ向かおうと廊下を歩く。さて、外はこの先のホールを通ってすぐ...ってあれ?

 

 

「パ、パチュリー様?」

 

「はぁ...あ、あら、また会ったわね」

 

 

またもパチュリー様がホールの出入り口の脇にいらっしゃった。なんだか、お顔に疲労の色が見えるのだけれど...

 

 

「ごめんなさいね、今、ホールは使ってて...通るなら少し迂回してくれないかしら...」

 

「え、またですか?...いったい何をされ」

 

 

またも轟音、出入り口からは弾幕のようなものが少し漏れ出ている。えっと...これは?

 

 

「もー!ぜったいこっちの飾り付けの方が良いのに!お姉様のバカ!」

 

「ふん!いーや、ぜったいにこっちだ!付き合いの長い私が言うんだから違いない!」

 

「たった5年の差じゃない!この年増!」

 

「な?!この...引きこもり!」

 

「なっ、言ったわねっ!」

 

「言ったわよっ!」

 

「「ぐぬぬぬぬ~!」」

 

「ちょ、お嬢様!妹様!!やめて下さいって、危なっ?!」

 

「......」

 

「あ、あのパチュリーさ「ね?」いや、あの「ねっ?」...は、はいぃ...」

 

 

私は迂回して外へ出ることにした...パチュリー様、怖かったなぁ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、お嬢様から言いつけられたお使いも終わり、今は帰路についているところ。それにしても、わざわざこんな風に頼まれるなんて少し珍しいわね...

 

まぁ、留守にするのは妖精長もいることだし、構わないのだけれど...今はもう帰って館が滅茶苦茶になっている、なんてことは無くなったからホントに良かったわね

 

 

「ん、あら...美鈴が居ないわね...」

 

 

そうこうしている内に館まで辿り着いた。が、門の前に美鈴が居ない...もう、お嬢様たちが起き出しているのかしら...ま、そうじゃなければナイフが飛ぶだけなのだけれど...

 

そのまま玄関の前に立ち、扉に手をかけそのまま開け放つ

 

 

「ただいま戻りまし」

 

「だー!早くしないと咲夜帰って来ちゃうよ!?」

 

「分かってるわよ!そもそも、フランが意固地にならなきゃこんなことには...」

 

「うぅ、酷いですよ、お嬢様...妹様ぁ...」

 

「...このバカ姉妹は...はぁ......」

 

「プレゼント、用意できましたよー...って、何ですか!?この有り様は?!」

 

 

阿鼻叫喚。この現状の為にあるかのように錯覚してしまう程に、それが全てを表している。口論するお嬢様たち、ボロボロの美鈴、酷く疲れた顔をしているパチュリー様、この惨状に驚きを隠せない小悪魔...そして滅茶苦茶になった館

 

 

「...お嬢様」

 

「って、咲夜!?ちょ、早すぎない!?」

 

「お嬢様」

 

「え、あ...ち、違うのよ、これは...」

 

「まだ、まだ怒りませんから...ね?お嬢様...?」

 

「...ごめんなさぃ...ぐすん」

 

((((あ、スッゴい怒ってる...))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんっ...私が館に居ながら、こんな...」

 

「え、ち、違うの!フランたちが勝手に...」

 

 

そう言って頭を下げる妖精長。...まぁ、おそらくはこの子のせい、なんてことはないでしょうけど...

 

 

「それで、お嬢様...どうしてこんなことに?」

 

「うぅ...外の世界では今日がメイドの日だって、聞いたから...」

 

「はい...それで?」

 

「普段、皆お世話になってるから...お返ししようとして...」

 

「...はい」

 

「皆でパーティーの準備してたんだけど...うまくいかなくて...」

 

「......」

 

 

ふと、テーブルの上に目が動く。そこには、不恰好ながら、焦げてしまいながらも、形を保っているケーキのようなものがあった

 

 

「あ、それ...フランが作ったんだけど...難しくて、焦げちゃって...」

 

「......」ぱくっ

 

「え、咲夜、やめといた方が良いよ?お腹壊しちゃう...」

 

「...妖精長、貴女も食べるかしら?」

 

「!...はい...」ぱくっ

 

「ちょっ、二人とも?」

 

 

苦い、焦げ臭いし、何故か生クリームがしょっぱい...こんなものをケーキと呼ぶなんて、パティシエに失礼でしょうね...

 

 

でも、あたたかい...どこか優しい味がする...

 

 

「...妖精長、皆のこと、呼んできてくれるわね?」

 

「...はい、後できーちゃんと厨房に合流しますね」

 

 

...そう、この子にはお見通しみたいね...さて

 

 

「こんなに美味しいケーキをいただいてしまったら、ちゃんとお返ししないといけませんね、お嬢様」

 

「え?...さ、咲夜?」

 

「今夜はメイドたちが雇い主に送るパーティーになりますわ。直ぐに準備致しますね、お嬢様」

 

 

その気持ちだけで、貴女に仕えていて良かった...そう思えましたから。お返しさせて下さいな、お嬢様

 

 

「ぐすっ...え、えぇ、貴女に任せるわ、咲夜!」

 

「はい、お任せください、お嬢様」

 

 

今日は楽しいパーティーになりそうね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティーの喧騒の中、私は窓辺で少し休んでいた。お嬢様やフラン様たちの好意はとても一生懸命で純粋で、そして一途で...とてもうれしかった

 

 

「隣、良いかしら?」

 

「あ、メイド長...どうぞ」

 

 

声をかけてきてくれたのはメイド長、両手にはワイングラスが握られている。あ、ありがとうございます...と、片方は私の分だったらしい

 

 

「...皆さん、お優しいんですね...」

 

「そうね...」

 

 

静かに、会話が流れて行く...ほとんど呟きのような小さな声だけれど、慈愛に溢れた、美しい言葉が紡がれていく...

 

 

「...いつもありがとうね、妖精長」

 

「...こちらこそ、ですよ。メイド長」

 

「ふふっ...まぁそういうことにしておきましょうかしら...ん」

 

「!...そうですね」

 

 

グラス同士が触れあう音は、静かな夜に響き、人知れず消えていった...

 

 

 




はー、筆が乗りました!メイドの日、なんてあるんですね...間に合って良かったぁ...。そして、申し訳ありませんが、次の更新は次の日曜日、そしてこれからは毎週日曜日の更新となります。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

  • 読んでる
  • 読んでない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。