元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます 作:微 不利袖
「なっ!?」
考えていたことを口に出す前に返答され、さらには名乗ってもいない名前を呼ばれ、驚きを隠せぬままに仰天が口から漏れる...ぜ、全部筒抜け、ってことですか...?
「ええ、全部が全部...という訳でも無いですが...まぁ、貴女が考えてることは大抵分かります」
や...ヤバいのでは...?こ、ここここんな場所で、万が一でもバレたら!?...それに、ここには他の女性客の方は勿論、お嬢様やフラン様もいらっしゃ「へっ!?」...ん?
色々と思案する中で、隣から聞こえてきた随分と間の抜けた声の主へと視線を向ける
「...?どうかしまし「れ、レミリアさん!?温泉来てるんですか!?」わぷっ!?...へ?」
何かあったのかと声を掛けようとしたところ、ざぱぁっ、と飛沫が立つ程の勢い、そして剣幕でそう迫られる。いや、来てはいますけど...え?
「た、確かにこんな場所で地上の妖精なんかが居るのおかしいと思ったんです!レミリアさん、もう地底まで来てるなんて...ああーっ!!このさとり、一生の不覚です...ちゃんと入り口でお出迎えする予定だったのにぃ...」
「え...あの「はっ!?...温泉?...レミリアさん...入浴......!?は、ははははだっはだっ!?...」...」
突如として早口になり、背を向け、頭をわしゃわしゃとしながら一人で悶絶し始めたこの...さとりさん、とか言う...いや、あの...初対面でこう言うのもアレなんですが、ヤバいお方
こんな...いえ、このような独創性溢れる方ともご友人とは...少し、お嬢様の人脈が気になってしまいますね。主に心配寄りな意味で
「......貴女」
「ひいっ!?な、なんですか...?」
急にだんまりになったと思えば、恐らく長湯以外の理由で真っ赤っかになった顔が突然、こちらへと迫ってくる。肩をガッ、と掴まれてしまい悲鳴に近い声が口を突いて出てしまう
「レミリアさんの従者なら、どこに居るか分かりますよね?案内して下さい」
「えっ、ちょ...」
いや、マズい。この方を会わせるのもマズいし、私が会うのもマズい...ましてや、アレがバレるなんて事があったら...
「?......!?...貴女...いえ、貴方...元、人間...?」
「へ!?な、なんのことですか...?」
ば、バレた!?肩を掴む手は離され、すぐに胸元を隠すようにタオルで前を覆いに掛かる...
いや、マズい...どれくらいマズいかと言うと館に来たばかりの時に、そーちゃんが作ってくれた黒一色のスクランブルエッグより遥かにマズい...
「し、しかも貴方...おと「あー!よーちゃん居たー!」え?」
「ん?おねーちゃんもいるー!」
「こら、二人とも走ったら危ないわよ...って、さとり?」
核心を突く言葉を遮り、聞き慣れた溌剌とした声で名前を呼ばれる。立ち込める白い湯けむりではっきりとは見えないけれど...間違いない、フラン様だ
付近に見える残りの影に声...お嬢様にこいしさんもご一緒のようです。こちらまで来られるとさとりさんは恐らく全部バラすでしょう......こうなってしまっては、やむを得ません
「!?っちょ、何「さとりさん、取引しましょう」...は...?」
さとりさんの手を引き寄せ、声のする方を背に向けてそう囁きかける。ぺたぺたと、こちらに近付いてくるフラン様の足音...時間はもう残り少ない
「私のこと...一切を黙っていてはくれませんか?」
「貴方...そんなこと、出来る訳が「先程、お嬢様の裸体をご想像して、ご興奮なされていたこと...お話しすることも出来ます」なっ!?」
交渉材料として、どうかと思いましたが...この口を突いて出た動揺。これなら...
「ぐぅ...そ、それでも「お嬢様ー、こちらのさとりさんが先ほもがぁ」わーっ!?わーっ!!分かりましたっ!!...黙っておきます...」
決めあぐねているさとりさんに口を覆われてしまう、もがもが...よし、かなり強引ではありましたが、なんとか危機は去ったみたいで「あー。おねーちゃんってば、もうよーちゃんと仲良くなってるー!」うぇ?
「ホントだー、私も混ぜてー!それっ!!」
「え、あっちょフラン様!?わ、わわわっ!?」
ざっぱーん
「んー♪気持ちいーね、よーちゃん!」
「は、はい...うぅ」
「あははー、よーちゃんのぼせちゃったの?顔真っ赤っかだよー?」
えー...この温泉施設における危機の第一波、身バレはなんとか回避したものの、続く第二波を至近距離でモロに喰らいながら顔を俯けている私、ですが...
「?...さとり、顔怖いわよ?」
「いえ、そんなことありませんよ?レミリアさん......」
全てお見通しのさとりさんから、軽蔑の目線がグサグサ刺さる刺さる。ふ、不可抗力なんですってば!
そう、現在私は不可抗力によって両隣をフラン様、こいしさんにガッチリ固められてしまい、身動きが取れず、なんなら目のやり場にも困り続けている...真下が唯一の救いですねこれは...
「んー...それにしても、良いお湯ね...さとりはいっつもこんな贅沢してるなんて、羨ましいわ」
「ねー、さとりんズルーい!」
「ズルーい!」
「ちょ、こいしは違うでしょ...」
...いつもなら、微笑のひとつやふたつ、漏れてしまっても可笑しくないやり取りにも、顔を俯けて無反応。状況が状況で頭も上手く回らないです...うぅ...
「あ、そーだ!よーちゃん、洗いっこしましょ!」
「あっ」
満身創痍な精神に、トドメの一撃である第三波がクリーンヒットしてしまう。ぐわんぐわん、とホントに脳が揺れている気が、して......あ...れ...?
「へ、よーちゃん!?」
「妖精長?ちょっ!」
ざぱん
ぱたぱたと聞こえる音...送られてくる心地よい風に気がつき、目が覚める。開かれた瞳には、電灯からの光が少し眩しい...あれ、私って、なんで寝て...?
「湯船で逆上せて、気を失ったんですよ」
「へ?...ッ!?」
聞こえて来た声に驚いた...のは勿論ですが、更に私を驚かせたのはその状況。声がしたのは私の頭上。温泉のベンチにしては、柔らかな感触...つまり
「ええ、膝枕ですよ...ヘンタイさん?」
「あ...さとり、さん...?」
少し短いですが、キリの良い所で。ここまで読んで頂き感謝です。それでは、また
シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。
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