元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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お待たせしました...29話、番外含めて30話目ですね。早いものですね。ここまで続けられたのも読んで下さる皆様のお陰です。本当にありがとうございます。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


29話 さとられさとり

 

 

見下ろされながら、目を覚ましたばかりの私の疑問、口に出していない考えに答えるのは...さとりさん。手元には私が寝ている間扇いでくれていたのか、団扇を携えている...って、あ!

 

 

「す、すみません!直ぐ...退き......あぅ」

 

 

現状を直ぐ様理解し飛び起きようとするものの、ぐらりと軽く揺れる視界に頭痛。ぽすん、と音を立てさとりさんの膝の上へ頭を預けてしまう。うぅ...いたた...

 

 

「はぁ...今の今まで気を失ってたんですから、無理するのはオススメしませんよ...?」

 

「...すみません...」

 

 

促されるままに、大人しくさとりさんの膝の上で寝そべり、天井を見上げる。いつの間にか、備え付けの浴衣に自分の装いが変わっていることに気が付く...着替えまで...

 

夢見心地のまま、ゆったりと時間が流れていく。倒れた場所が、施設の端の方だったからなのか、付近には殆ど人の往来はない。...ここまで運んでくれたのもさとりさんなんだろうか...

 

 

「フランさんが運んで下さったんですよ。とても心配してましたからね...」

 

 

フラン様...従者ながら、主人にご迷惑をお掛けしてしまうなんて...申し訳ない、どころじゃないですね。あ、そういえば皆さんは...

 

 

「三人には、この温泉を堪能してもらってます...折角、足を運んで下さったんですから」

 

 

そう、ですか...あはは。なんだか...少し不思議な感覚です、心を読まれるって。ちょっと面白いかもしれませんね...なんて

 

 

「ふふっ...変わってますね。...私と同じくらい」

 

 

また少し、沈黙が流れる。思考も段々とクリアになって行き、頭痛も治まり始めた...そんな中、またさとりさんが口を開く

 

 

「...貴方が、何か邪な考えを持っていたら...直ぐにでもレミリアさんに真実を伝えるつもりでした」

 

 

はい...至極当然なお考え、ですね...きーちゃんやあーちゃんたちにお別れ、出来なかったなぁ。そんな思考が頭の中に過る

 

 

「...でも、それも杞憂だったみたいですね...」

 

「...へ?」

 

「あ、よーちゃん!」

 

 

むくりと起き上がり、続けて紡がれた言葉に間の抜けた声で返す。しかし、その真意を聞く前に、また、元気な声が私を呼ぶ

 

 

「あ、フランさごふっ!?」

 

「もう起きて大丈夫なのね!?...良かったー...心配したんだよ...?」

 

「けほっ、けほっ...はい、ご迷惑おかけしました...」

 

 

声のする方へ向くや否や、腹部に鈍い衝撃、半ば突進された形で抱き付かれる。思わず言葉は途切れ、肺の中の空気がくぐもった音になって吐き出される。ふ、フラン様...一応、病み上がりなんですが...けほっ

 

 

「フラン、大丈夫ー?それトドメになってないー?」

 

「え?...あっ、ごめんね!大丈夫...?」

 

「は、はい...けほっ」

 

 

呼吸のリズムが整わない内に、こいしさんのツッコミが入る。正直、少し有難い...咳を一つして、深く息を吸い込む...すー、はー...よし、大丈夫

 

 

「起きたみたいね...全く、そんなんじゃ咲夜の代わりは務まらないわよ?」

 

「お嬢様...はい、面目ありません...」

 

 

呼吸が整って直ぐ、お嬢様からは厳しいお言葉を投げ掛けられる。返す言葉も無い、ですね...メイド長から、お二人のことを頼まれたというのに...

 

 

「あー!そんなこと言ってー。お姉さまだってよーちゃんが倒れた時大慌てだったくせにー」

 

「え」

 

「なっ!?...そ、そんなことは...」

 

 

突然のフラン様のカミングアウトに動揺の色を隠せないお嬢様...え、ということは...

 

 

「お姉ちゃん、アレホントー?」

 

「ちょっ、こいし!アンタは見て...あっ」

 

 

動揺をそのままに、その現場に居たこいしさんの掛けたカマに引っ掛かる。ここまで綺麗な墓穴は、私も掘ったことないですね...

 

 

「ふふっ...レミリアさんは心優しいご主人様、ですね」

 

 

そして、さとりさんから無情にも放たれたトドメの一撃。あー...これは

 

 

「──ッ!...フラン、こいし...?」

 

「あっ...お洋服、お洗濯終わったかな~...なんて」

 

「そ、そうだねー。私も汚れてたから洗ってたんだよね~...てへ」

 

「待ちなさい!二人とも!」

 

「「逃っげろー!」」

 

「あっ、ちょ!...行っちゃいました」

 

 

怒り...いや、恥ずかしさ、ですかね?が沸点に達したお嬢様に追いかけられ、そのまま私とさとりさんを残して、再び静寂が戻ってくる。た、台風みたいでしたね...びっくりしました

 

 

「言いましたよね。杞憂だった、って」

 

「えっ...じゃあ」

 

「別にそんなこと、考えてなかったでしょう?全部不可抗力だー、って」

 

 

良い意味でも、悪い意味でも、さとりさんには全部お見通しらしい...そう、再確認する

 

 

「それに、あの二人にあんなに信頼されてるなら...大丈夫ですね」

 

「!...ありがとうございます...こんな無理な頼みを「但し!」ふぇ!?...は、はい...」

 

「お互いに、秘密は秘密のまま...お願いしますね?」

 

「...あはは...はい、お安いご用です」

 

 

地底という、けして近くはない場所。そんな場所で出来た秘密を共有し合う...ご友人って、言って良いんですかね?...あっ「ふふっ...構いませんよ?」...あ、あはは...ですよね

 

和やかな停戦協定が締結し、かぽーん、なんて銭湯で有りがちな音が聞こえ、嗚呼、温泉に来たなぁ...と物思いに耽る

 

耳に入ってくるのはそんな、湯の滴る音やお知り合い同士の他愛無い喋り声...それにどたんばたんと人が走り回る音に、他のお客さんの戸惑いを含んだ悲鳴。ぱりーん、なんてガラスの割れるような音まで...って、ちょ

 

 

「いや、お嬢様!?フランさまー!?」

 

「ちょ、こいし!?」

 

 

 




またまた短くなってしまって申し訳ない...切りが良い、なんて言い訳ですね。更新頻度ですが、もうこれくらいになりそうです。ここまで書けなくなるとは...ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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