元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます 作:微 不利袖
「そ、そっくり...?」
きらきらとした笑顔から放たれた言葉に困惑し、堪らずおうむ返ししてしまった。眼前まで近寄られ、流石に少し後退りをする。そ、そっくり...と言われても...
ざっと上から下まで、その方の容姿を確認する。身長は、勇儀さん程ではないけれど女性にしては高い。背中には二対の黒い羽根にマントを羽織っていて、お顔も似ている...訳ではない。そして、何故か右腕に着いている謎の六角柱...うーん
「あの...特に似「あ、こいし様ー!折角帰って来たんだからお庭で遊びましょー!」へ...?え、ちょ」
「いいよー、フランも一緒に行こー!」
「おー!」
「あ、ちょっと!......行っちゃいました」
疑問をぶつけようとしたところで、突然急旋回。こいしさんとフラン様を連れて玄関から出て行くのには10秒も掛かっていなかった。いや、えぇ...?
「相変わらず元気ね、お空...だったかしら?」
「えぇ、合ってますよ。こいしも最近は帰っていなかったですし、よっぽど遊びたかったんでしょう」
「あははー、昨日もあたいに会うたんびに、こいし様見なかったー!?って言ってましたからね」
お名前はお空さん、と言うらしい。それは良いとして、さっきの言葉は一体...
「余り深く考えなくても大丈夫ですよ。ああやって、よく分からないことを口走ったりするのはいつものことですから」
「さとりさん...そうなんですね」
うむむ、と頭を悩ませていると、不意にそう耳打ちされる。なんというか...お空さんとは初対面ですが、奔放で掴み所がない方、というか...
「因みに私も気になってどういう意図か見てみたんですけど...」
「...ですけど?」
「私にそっくりだ、ということしか分かりませんでしたね。そういう子なんですよ、お空は」
成る程...素直な方に悪い方はいませんからね。まだ少し気にはなりますけど、さとりさんが分からないならこの疑問も迷宮入りですかね
「さて、レミリアさん。いつも通り昼食を摂ってから夕方前にはご帰宅...それで大丈夫ですか?」
「えぇ、そのつもりよ。遅くなると咲夜が心配するだろうから」
未解決事件が一つ増えたところで、お二人がそうお話を...ふむ、どうやらこの後の予定は大体決まってるみたいですかね。懐中時計を見ると、丁度11時を過ぎた辺り。そうですね...うん
「さとりさん。昼食の準備、お手伝いしましょうか?」
「ふむ...従者と言えど、客人にそういったことは...」
そういうことなら手伝える...と思ったんですが、さとりさんお優しいですね。私としては、何かお仕事があった方がいつも通りで落ち着くんですが...
「あら、妖精長の料理のウデは保証するわよ?」
「へー、妖精さん料理上手なんだねぇ。あたいちょっと食べてみたいかも」
「お燐、貴女ねぇ...分かりました。レミリアさんがそう言うなら...お手伝い、お願いしますね」
「はい、お任せ下さい」
なんとかお二人の援護もあり、お手伝い成立ですね。さて、遅くても12時過ぎにはご用意したいですし、厨房は...
「お燐、お茶汲みのついでに彼、じゃなかった...彼女の案内お願いするわね」
「?...はーい。そんじゃ行こっか、妖精さん」
「...お、お願いします」
こ、怖かったぁ...さとりさん、次から気をつけて貰えると助かります......
「む...妖精長!」
「?...はい、なんでしょうか」
胸を撫で下ろし、お燐さんに同行しようとしたところ、お嬢様から呼び止められる。どうかしたんでしょうか...?
「頭上に気をつけなさい。さ、私たちも行きましょう」
「...頭上、ですか?」
そう言い残してさとりさんと奥の部屋へと歩いていかれた。何とはなしに天井を見上げる。...?特に何も変わった様子は...
「おーい、妖精さーん。早く早くー」
「あ、はーい!ただいまー!」
お燐さんの呼ぶ声に目線を戻す。既に一つ奥の曲がり角から半分身体を出し、手招きをしている。これがホントの...いえ、なんでも無いです!さて、お手伝いと行きましょう
「また、何か見えたんですか?」
「ん?そうね...まぁ抗えるかは、あの子の気の持ちよう次第...かしらね」
「あの、お燐さん」
「んー、なんだい?」
建物の中を進みながら、何の気なしに話し掛ける。まぁ、道中少しだけ気になった事があったから、ですが...
「ここ、動物が沢山いるんですね...」
「そ!みーんな、さとり様のペットだね」
そう、動物...ペットの数がとても多かったのだ。犬や猫、珍しいところならハシビロコウやカピバラなんかまで...放し飼いにしているのか、各々自由気ままに館の中を歩き回っている様子だった
「メイドさん...従者さんは、お燐さんやお空さんだけなんですか?」
「ん?いや、まぁ......んー、なんて言ったらいいのかな。あたいやお空もペット、と言うか...実は...」
お燐さんやお空さんもペット、ですか...お茶汲みとかを頼まれていたのを見るに、従者さんかと思ってたんですが...
「ま、そういう訳なんだ」
「へー...そうだったんですね」
お話を聞くと、お燐さんやお空さんも、妖怪ではあったものの、人型を得たのは最近らしい。まぁ、妖怪さんの物差しなので余りあてにはなりませんが...
そして、普通の動物も妖怪になることがあり、動物から動物姿の妖怪、動物姿の妖怪から人型を持った妖怪に少しずつ成長?していくらしい。それで、人型を得た方々が他のペットのお世話役や、従者としての雑務をしている...みたいですね
「とは言え、人型に成ったヤツも少ないからねー。あたいら含めて...3人、かな?」
「え、その人数でこの...皆さんを?」
「そうなんだよねー...それでさぁ...」
歩きながらも話は続く。うーん...やっぱり従者さんはどんなところでも大変らしい。紅魔館はメイド長と門番さん、小悪魔さんも合わせて13人。...ここのペットさんが早く人型になれるのを祈ってます...
「お、着いた着いた...ここが厨房だよ。お紅茶お紅茶~」
「ありがとうございます。えっと...ん?」
そんなこんなでお喋りを弾ませていると、目的の厨房まで着いたらしい...お燐さんはもう一つの役目である、お茶の用意に取り掛かっている。ひとまず厨房を見渡して...みたところ、こちらに背を向けている誰かが居た。あの方は...
「ふんふふ~ん...あ、ゆーが」
「ん、お燐...お茶汲み?」
鼻歌混じりティーセットを取り出しながら、お燐さんが話し掛ける...ユウガさん、ですかね。黒スーツを着込み、白髪の...所謂デキる女性感が滲み出ている中で異質なのは、大きな白い動物由来のお耳ともふもふ尻尾が生えていること
...多分ですが、お燐さん、お空さん、ユウガさんの3人が、ここで人型になれる大事な人材さんですね
「そ、レミリアさんたち着いたからさ...それとほら、あの妖精さん。お昼ご飯のお手伝いしてくれるから、って。その案内」
「妖精...その子が?」
「はい、微力ながらお手伝いさせていただきます」
「......」
ご挨拶を、と側まで近寄りぺこりと一礼する。ユウガさんはなんだか、珍しいモノを見るような目で此方を覗きこんでいる。地底の妖怪さんは女性でも背が高いんですね...
「なぁ、お燐。地上の妖精ってこんなに行儀良いのか?考えられないんだが...」
「ね、地底とは大違い...やっぱり育ち出るんだねー」
「?...あの」
少ししてからユウガさんがお燐さんに耳打ちをする...ん?何か変なところありましたかね...?
「あぁ、悪いね、こっちの話こっちの話......とは言え、手伝ってくれるなら歓迎だよ。よろしく、えっと...」
「あ、周りからは妖精長と呼ばれてます」
「そうか。お...私は、周りからはユウガって呼ばれてる。よろしく、妖精長」
「よろしくお願いします、ユウガさん」
そうしてユウガさんが出してくれた手を握り、自己紹介を済ます。よし、それじゃあお昼の献立はどうしましょうか......
オリキャラが増えた。とは言え、地底編?が終われば多分出ないんだよなぁ...まぁ何故出たのか、予想してみて下さいな。次回もがんばって来週の日曜日に更新予定です。ここまで読んでいただいて感謝です。それでは、また
シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。
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