元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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がっつりシリアス、そしてちょっと短めです。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


※36話 記憶のスキマ

 

 

「え...誰、ですか......?いつの間にこの部屋に...」

 

 

お久しぶり、と再会を祝す言葉を掛けられる。でも私にはその方に会った覚えは、って...記憶喪失なら無くて当然でしたね...

 

 

「すみません...どうやら、私は...」

 

「記憶が無い、でしょう?」

 

 

もし、記憶が合った時のお知り合いなら...と、始めた現状の説明は直ぐに遮られる

 

 

「!...館の方にお聞きになったんですか...?」

 

「...えぇ、貴方の主から聞いてますよ。さて...」

 

「...?」

 

 

主...確か、レミリアさん、だっただろうか。恐らくお見舞いのようなものでしょうけど...その方は不気味な空間を閉じ、傍らに合った椅子へと腰掛ける。そして、勿体ぶるようにして放たれた言葉は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方にはこれまでの全てを知り、これからを選ぶ権利があります」

 

 

私には理解が及ばなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...どういう、ことですか...?」

 

 

そう返すしか無かった。まず、その言葉の意味が全くと言って良いほど分からなかった。記憶の有る無しに関係無く、理解が出来なかった...

 

 

「そうですね。まずは...」

 

 

すっくと立ち上がり、私の側へと女性が近づく。徐に私の額に手を当...て......

 

 

「...これでどうですか。妖精長、さん?」

 

「...はい」

 

 

妖精長と、いつも通りに名を呼ばれていつも通りに応答する。...思い出した、この館で目が覚めた日のことも、メイド長に一目置かれたのも、妖精メイドの同僚に四苦八苦したことも...フラン様にお嬢様、門番さんやパチュリー様に小悪魔さん...これまで会ってきた皆さんとのことも...全部を...

 

 

「お話し、続けても?」

 

「一つ、聞いても良いですか...?」

 

「えぇ...貴方が納得するまで、何度でも」

 

「貴女はいったい誰なんですか?」

 

 

記憶が戻っても、目の前にいる女性が誰なのか分からない。ただ、どこかで会っているような気がする...でも、それも確証には至らない、なんとも言えない既視感のような何か

 

気持ちの悪いそれから逃れたい...ただその一心でそう問う。返される言葉には...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...私は八雲紫。この幻想郷を創った妖怪の賢者であり...貴方をここ、幻想郷へと招いた者...と言えばいいのかしら」

 

 

私以外知り得ない言葉を引っ提げていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...いったい、どういう「元ホテルマンさん、と言えば分かりますか?」...はい」

 

 

疑問は口を出終わる前に遮られる。そして、私と...さとりさんくらいしか知らない、元ホテルマンという言葉で突拍子もない話たちの説明がついた

 

 

「他に何か、聞きたいことは...?」

 

「...これまでの全て、を教えてください」

 

「...分かりました」

 

 

他の質問は、と促されるものの...これ以上聞きたいことは、紫さんの話すべきことだろう。その為に、紫さんはここに来たんだろうから

 

 

「幻想郷...ここは私の造り上げた神秘の生きる楽園。それらの神秘が生きるには、人...人間の存在も必要です。神は人の信仰を、妖怪は人の畏を糧に存在を保っています」

 

「...はい」

 

「人が滅べば、神は力を失い、妖怪は滅ぶ。共存する人と妖怪の力は均衡を保たねばなりません。しかし妖怪は強く、人は弱い...」

 

「...」

 

「そんな人間の代表...妖怪に対抗できる存在が博麗の巫女。その存在のお陰で、この幻想郷の人と妖怪は上手く共存できているの...」

 

 

ある程度、ですが...なんとはなしに理解はできた。元々、大図書館にある文献を読んだこともあり、内容に何か矛盾なども感じない...ただ

 

 

「私が招かれた...今のお話には、それとどういう関係があるんですか...?」

 

「...博麗の巫女の素質...産まれた時からその才能がある人間はそう居ないものです。そして今の代の博麗の巫女...霊夢は今までで最も、その才に溢れている。歴代の巫女で一番...でも...」

 

 

私の質問も意に介せず...そのまま続きを聞いて欲しい、と言わんばかりに話は続く

 

 

「人の命は短い...年々強さを増す妖怪たちに対抗できる才を持つ人材。それを直ぐに探せるとは限らないの...だから」

 

 

声に力が無くなって行く。そうやって真実を語る紫さんの表情は少し、暗さを帯びていた...そして

 

 

「だから私は...その才能を、次の代へと受け継がせることができないか、そう思い立ったの。都合良く、私にはそれができるような能力(ちから)があったから」

 

 

長く続いた話はようやくその根幹の近くへと辿り着いた

 

 

「才能を、受け継がせる...?」

 

「そう。魂の一部分である才能...それを受け継ぐことができるなら、才のある人材を探す必要もないもの」

 

「ちょっと待って下さい...だから、その話と私のこと...いったい何が、どう関係してるんですか!!」

 

「...能力(ちから)があるとはいえ、魂というモノは不安定過ぎるの。その上初めての試みになる。何の準備も...何の確証も前例も無いまま、一歩間違えれば命に関わるようなことは出来なかった。...だから」

 

 

思わず言葉が怒気を帯びる。正直な話...合点がいっていた気もする。それ以上言葉を聞かなくても、何故私が妖精メイドとして、この幻想郷...この館にいるのか...分かってしまった。だからこそ、声を荒げた。そのまま紫さんが放った真実は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...だから私は試したの。仕事ができる、という貴方達の才能と...仕事のできない妖精メイドを使って」

 

 

嫌に予想通りだった

 

 




ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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