元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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まだシリアス続きます。誤字報告ありがとうございます。見返しが甘くて申し訳ないです。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


※37話 同僚達は奔放で個性豊か

 

 

「それが貴方がここ、幻想郷に招かれた理由...その全て」

 

「な......」

 

 

それ以上、言葉が出なかった。息が詰まり、動悸が速まるのをひしひしと感じる。目の前には、全ての元凶が真実を吐き出し終え...静かに悲哀を帯びた目で、こちらを見透かすようにして...ただ、佇んでいた

 

 

「ま、待って...待って下さい...」

 

「...はい」

 

 

絞り出すように口を動かす。聞きたいこと...疑問や想いが溢れだしてくる。分かっていた...なんとなく理解していた。でも...でも!!......でも...分かりたくなんて、無かった...

 

 

「私は...元ホテルマンです」

 

「...えぇ」

 

 

私とさとりさん...そして目の前の紫さんしか知り得ない言葉を放つ。それは真実、違えようの無い真実...一体、それがどれだけ残酷なことか

 

 

「なんでですか...なんで私は、元ホテルマンなんですか...?」

 

「...」

 

 

疑問符が付く。...違えようの無い真実に。だから...だからこそ、問い質す。沈黙に憤りを覚えてしまう。どうして...どうして!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして...私は私なんですか...?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖精メイドの子達にも、人と同じように自我があります...きーちゃんやむーちゃん、他の子達もそうです...」

 

「......」

 

「なら、この子は...青い妖精メイドさんは、何処にいるんですか...?」

 

 

この身体には、私しかいない。元ホテルマンで妖精長である私しか...

 

 

「...貴方の才能を妖精メイドに受け継がせること自体は成功しました。ですが...」

 

 

顔を附せ、少し間を空けて続ける

 

 

「ですが、意図せずして貴方の魂の欠片が...妖精メイドの自我を侵食してしまったんです...」

 

「侵食...」

 

「その身体にはもう、妖精メイドの自我はほとんど残っていません...」

 

 

残っていない...その言葉が心を抉る。自分勝手な理由だなんて言えない。紫さんにとって、幻想郷の未来はそれほど...何かを犠牲にしようとも、守らなければならないものだろうから...

 

それでも...それでも!!......どうして、私が...この子が...

 

 

ぐらり

 

 

「...あ、え?」

 

 

突如として視界が90゜向きを変える。浮遊感が身体を襲い、ぽすんとそのままベッドに横たわる。何も聞こえない...瞼が閉じて行き、意識が遠退く。最後に慌てた様子の紫さんが見えた気がした...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...あれ」

 

 

気がつくと、真っ白な場所にいた。いや、正確には真っ白な場所の椅子に腰掛けていたのだ。どこか見覚えのあるテーブルを挟んで対面するように椅子がもう一つ...あ

 

 

「これ、テラスの...」

 

 

既視感の正体。紅魔館のテラスに置いてあるテーブル...そして椅子だった。いや、それよりもここは一体...?

 

 

「あ、起きたんだね」

 

 

声のした方を見る。理由は二つ、まずこんな場所で...見知らぬ場所で声なんかしたらそっちが気になるのは道理、だろうから...大事なのは二つ目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声が一緒だった。私と一緒だった...聞き覚えがある、なんて生易しいものではない。目が覚めたあの日、言葉を発して酷く驚いたのを思い出す...その声の主は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは...ん?今は...こんばんは、かな」

 

「あ...わ、たし...?」

 

 

目が覚めたあの日、鏡で見た...青い妖精の少女の姿をしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、貴女は...」

 

「ごめんね、突然呼んじゃって。しょっ、と」

 

 

私と瓜二つの彼女は、手に持っていた見覚えのあるティーセットをテーブルに乗せ、空いていたもう一つの椅子へと腰掛ける。本当に鏡を見ているような気分だ。とても柔らかな、彼女の表情を除けば...

 

 

「色々と話したいこともあるし、聞きたいこともある...でしょ?」

 

「え、あ...はい」

 

「うん。じゃ、お先にどうぞ」

 

 

一日にこう何度も、言葉が詰まったり、疑問符が湧いて出たりするのは初めてだろうか。彼女に促されるように、私は話す

 

 

「貴女は誰ですか...?」

 

「紅魔館で働く、仕事の出来ない青い妖精メイド...だったよ」

 

 

予想通り...彼女はこの子だった。この身体の、元の持ち主。おそらくほとんどが無くなってしまった、残りわずかな自我...それが今、目の前にいる彼女...青い妖精メイドである彼女

 

 

「ここは何処ですか...?」

 

「私の...あ、今は貴方の頭の中、かな」

 

 

頭の中...だからなんだろう。テーブルなんかに見覚えがあったのも

 

 

「なんで、私を呼んだんですか...?」

 

「伝えたかったから」

 

「あ...」

 

 

先ほどの調子と少し変わり、真っ直ぐな目でそう返される。ふわふわとした雰囲気は無く、それでも柔らかな表情は崩さずに...

 

 

「私が望んだの。お仕事が出来るようになりたいって」

 

「え...?」

 

「あの妖怪さんが館に来て、そんな話をして...そしたら、出来るって...」

 

 

彼女は語る。ただ、言葉を紡ぐ

 

 

「もしかしたら、貴女が貴女じゃ...ううん、私が私じゃ無くなるかもしれないって、危ないかもしれないって、ちゃんと言われたよ」

 

「じゃあ、なんでそんな...」

 

「苦しかったの」

 

 

その言葉がまた、私の心を抉る

 

 

「何も出来ない私が、嫌だった...だから私は良いよって、そう言ったの。それにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いよって言ったのは、私だけじゃなかったから」

 

 

 




ここまで読んでいただき感謝です。それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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