元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます   作:微 不利袖

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タイトルの通りです。それでは、ゆっくり読んでいってね...なんてね


※38話 メイド長は感情の起伏が激しい 終

 

 

「あ...」

 

 

全てが腑に落ちた。紫さんから語られた真実と、彼女のその言葉で納得がいった...いってしまった

 

呆気にとられた私を余所に、彼女はどこか拙い手つきで紅茶をカップへと注ぐ。ふわりとその香りが辺りに広がった

 

 

「どうぞ」

 

「え...あ、はい...」

 

 

目の前へと用意されたティーカップ...頭が上手く回らない。半ば反射的にカップを手にして、口元へ運ぶ

 

 

「どうですか?」

 

「...美味しいです」

 

「うそつき」

 

 

言葉に詰まる。所謂図星...よかれと思って吐いたお世辞はすぐにバレてしまう。実際味は薄く、ぬるい...とても、美味しいと言える代物では無かった

 

 

「でも、優しいです...とっても」

 

 

微笑みながら、彼女の言葉は続く

 

 

「お茶汲みだけじゃない...お料理、お掃除にお洗濯も...何もできなかったんです、私たち」

 

「...やっぱり他の...皆もなんですね」

 

 

こくりと、どこか悲しげに頷く。皆...妖精メイドの皆も、私と同じように...ぽつりぽつりと彼女は言葉を紡ぐ

 

 

「小悪魔さんは中々本を片付ける場所が覚えられない私に何度も教えてくれた...」

 

 

彼女の微笑みが揺れた

 

 

「パチュリー様は私が知らないようなことをたくさん教えてくれた...」

 

 

彼女は俯いた

 

 

「門番さんは、私がちょっとサボっちゃった時...一緒に怒られてくれた...」

 

 

彼女の肩が震えた

 

 

「妹様は...とっても楽しそうに、私と...遊んでくれた...」

 

 

彼女の言葉が途切れ途切れになった

 

 

「お嬢様は...私を...見放さずに、雇ってくれた...」

 

 

彼女の手が目元を拭った

 

 

「メイド長は...こんな使えない私を...めげずに叱ってくれた...」

 

 

彼女の頬を何かが伝った

 

 

「そんな皆さんのために...出来るように...なりたかった......でも、私には出来なかった...」

 

「あ...」

 

 

彼女は泣いていた

 

 

「...ね、よーちゃん」

 

「...はい、妖精メイドさん」

 

 

彼女はごしごしと涙を拭いた...そして

 

 

「迷惑で、大変で、突拍子もなくて...それでも私として、妖精メイドとして頑張ってくれて...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

くしゃしくゃな顔で笑っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ん」

 

 

身体を揺すられて目が覚める。ぼやけた視界には、どこか焦ったような顔をした紫さんが、まだ起きたばかりの私の脇に立っていた

 

 

「目が、覚めたんですね...良かった」

 

「私は......ん」

 

 

起床を安堵されるのは...いや、初めてではないですね。むくりと身体を起こす...すると、頬を何かが伝った。...涙...?......あ

 

 

「紫さん、私は...」

 

「突然、何故か気を失って...」

 

 

...どうやら、本当に彼女が...この子が呼んだみたいですかね。確かに、紫さんは動揺してましたし...

 

 

「そうですか...大丈夫です」

 

「一体、どうして...」

 

 

ふと今の時刻が気になり、借りている懐中時計を取り出す。今は...6時前、ですか。二度寝はともかく、三度寝は必要無さそうですかね

 

 

「いえ、少しこの子とおはなししてただけですから」

 

「!...そう、だったんですね...」

 

 

胸に手を当て、そう返す。少し驚いたような表情を覗かせるも、すぐにその顔に影が落ちる

 

 

「...答えを、聞いてもよろしいですか...?」

 

「ん、んーっ!...ふぅ。そう、ですね...」

 

 

ぐぐっ、と伸びをして頭を起こす。さて、と

 

 

「私は────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...ん、んぅ...」

 

 

小鳥のさえずりに閉じていた意識が開かれる。しばらく身体を起こすこともなく、ただぼんやりと天井を眺めていた...

 

 

「...!今って...」

 

 

ふと我に帰り脇に置いてあった懐中時計を手にし、時刻を確認する。今は...

 

 

「8時......急がないと」

 

 

とうに朝だった。最近の疲れからか、いつものように起きれなかったようね...いや、それも言い訳かしら。急ぎ、ベッドから跳ね起きていつもの服に着替える

 

妖精メイドたちは...まだ動いてないでしょうね。私がこんな時間まで眠ってしまったし、それに妖精長はまだ...やめましょう、それよりも早く行かないと

 

いつものように指示を出しにと自室の扉、そのドアノブに手を掛ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんこん

 

 

「...え」

 

 

今まさに回そうとしたその時、扉が叩かれる。そして...声がした

 

 

「メイド長、起きてますか?」

 

 

考える間もなく、弾かれるように扉を開ける。部屋の前に...そこに居たのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妖精、長...?」

 

「わっ!?あ、おはようございます、メイド長」

 

 

彼女だった

 

 

「すみません、しばらくしても起きてこられなかったので少し心配で...あ、いつも通り他の皆にはもう指示を出し終わって、わっ!?」

 

 

考えが纏まる前に...抱き締めた。ただ...ただ強く...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと...メイド長...?」

 

「貴方は本当に!...心配、ばっかりさせて!...もう...」

 

「!...ご心配、お掛けしました...」

 

 

こんなに、心配させてしまったんですね...まだまだ、未熟みたいですね。私は...

 

でも、なんだか懐かしい...初めてここで目が覚めた日も...メイド長、泣いてましたもんね。ん...?

 

 

「咲夜さーん!今日もお医者さん...が......」

 

「あ、おはようございます門番さん」

 

「そうね...もう大丈夫そうだから、お茶でも出して寛いでもらいましょうかしらね」

 

「え、あ...記憶が!?...あ!私、皆さんにお伝えしてきます!!」

 

 

声の主は...門番さんですね。私を見るなりそのままどこかへ走って行ってしまった...って、あ

 

 

「妖精長...良いかしら」

 

「はい、お客人の案内、ですね?」

 

 

これは久しぶりに忙しくなりそうですね...腕が鳴ります!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は元ホテルマンで妖精長です...これまでも、そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからも

 

 




少し長くなりますがあとがきです。良ければ読んでいって下さい

ひとまず、ここまで読んでいただき感謝です。「元ホテルマンですが妖精メイドに転生してメイド長に一目置かれてます」は、終とあるようにここで一区切り、となります

これはシリアスパートに限り、ここでおしまい、ということですね。今までにあったように、一話で誰かと出会い、その誰かと交流するような形式の日常を描いたおはなしは続いていく予定です

この作品ですがひとまず完結、とさせていただく予定です

さて、これ以上は長くなりますので...後語りは活動報告の方にでもと思います。興味がありましたらどうぞ

それでは、また

シリアスパートですが、読まなくてもある程度お話に支障が出ないように書いているつもりです。因みに、そのシリアスな部分は読まれているでしょうか。

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