とあるオタク女の受難(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編)。 作:SUN'S
*月゜日
漸く傷の癒えたベルの本格的な「技」の修行へ開始するため、準備しているところをヘスティアに見付かった。ヘスティアは「傷の後遺症を調べていない」と言っている。私の調べでは肋骨骨折や内臓損傷、打ち身や打撲などは完治している。
数日は過激な動きを控えつつ、反射速度や硬くなっている身体を揉み解す柔軟体操を行うつもりだと伝えると「僕がベル君の身体を揉み解す!!」と言いながら出ていってしまった。私はリリルカとアイズの二人と組手することしよう。
アイズは細い木剣を構えており、リリルカは前羽の構えで間合いを測りながら近付いてくる。アイズの鋭さを重視した刺突を受け流し、リリルカの足刀蹴りを膝で受け止め、そのままリリルカを蹴り飛ばし、アイズは吹っ飛んできたリリルカを避け、私の中心線を狙う正確な五連続の斬撃を放ってくる。
綺麗な技ほど受け止めやすい。
左手の甲を木剣へ叩き付け、軌道を変えれば身体のバランスを崩してしまう。リリルカは支柱を踏み台代わりに飛び掛かるように「ねじり貫手」を放ってくるが、同じ技を使う者には無駄なことだ。
リリルカのねじり貫手に更なる回転を加えてやれば自滅するように壁へ向かって横回転しながら吹っ飛ぶことになる。
アイズは「あねでし、死んだ?」と言いながら木剣の先端でリリルカを突っついている。そう、簡単に死ぬような鍛え方はしていない。
*月㍉日
ロキの同伴者、ベルのことを貶していたチンピラの名前を聞くことになった。チンピラの名前はベート・ローガというらしく、アイズの先輩とのことだ。やっぱり、アイズの教育には悪影響を与えそうなヤツだな。
先ずはロキに向かって「アイズの基礎訓練を終えたところだ」と伝えれば「ホンマか!?アイズたん、やぁっと帰ってくるんやな!?」と詰め寄ってきた。アイズには無手組の技を教えるより武器組の技を教えるべきだ。
そして、なによりジャガ丸君を山のように買ってくるヤツを押さえるのは疲れた。ロキは「すまんなぁ、すまんなぁ」と謝り、チンピラは同情の視線を向けてくる。私はお前なんぞに同情されるほど弱っていない。
アイズは「あねでし、じゃあね」と言いながら帰ろうとしているが、私の作成した「制空圏強化マシーン"オウルヒット君Ⅶ世"」を持ち帰ろうとしていたため、引き留めて持ち帰るのは止めるように言えば「ししょう、オウルヒット君ちょうだい」と言いながら「あいず」と書かれた一体のオウルヒット君を抱き締めていた。
リリルカやベルだって使ってないんだ。それを持って帰られるのは困ってしまうんだ。うん、そんな「私の名前書いた、だから私の」と言われてもな。
ロキは「アイズたん、人のもんを持って帰るんはアカンで?置いて帰ろ、な?」とアイズをオウルヒット君から引き剥がそうとしている。
はあ、それは持って帰ればいい。
壊しても返却しようとは考えるなよ?
*月ヶ日
ベルの本格的な「技」の修行を開始するため、用意したモノはポラロイドカメラで撮影したアイズの写真である。この無垢そうな少年、ハーレム願望の強さはエロ親父の馬剣聖並みだと判明している。
ベルの背中へ括り付けた釣竿の先にはアイズの汗を拭う写真を貼りつけ、走れば走るほど加速する「マグボルト君Ⅲ世」にて脚力強化を図りつつ、リリルカは御褒美として滅掌雷轟貫手を会得するために必要な「人越拳"霞獄"」を習得させている。
人越拳は那覇手と首里手の二つを極めねば使うことは出来ないモノであり、今のリリルカには首里手を極めるように誘導している。ヘスティアは「ヴァレン某を引っ張らなくていいのか」と残念そうに木の棒を持っている。
ヘスティアには「お前はベルの癒し担当だ」と言えば「ふっ、ふふっ、任せたまえよ!!」と胸を張ってベルの元へ向かっていき、嬉しそうに「マグボルト君」の回転速度をあげている。
そろそろダンジョンへ赴いても良さそうな身体にはなってきたな。リリルカ達には明日よりダンジョンにて対武器訓練を行ってもらう。
あとはベルの防具を買い直さないとダメそうだな。ヴェルフのところへ行くように告げる。ベルは「ヴぇ、る?ぶおぉおおお!!?」と言いながら「マグボルト君」の中で転げ回っている。
ベルよ、修行中なのに気を抜くのはダメだぞ?