とあるオタク女の受難(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編)。   作:SUN'S

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第14話

$月⊂日

 

ヘスティアの護衛として「神の宴」というモノへ同行することになった。行動の読めないヘスティアの友達を見るのも悪くはないことだ。

 

そんなことを考えながら漫画やアニメに登場するようなパーティー会場の迫力に驚きつつ、ヘスティアの友人らしき和服姿の男を見掛けた。

 

ほう、この地方で見るのは初めての特A級の達人級だな。歩き方は剣術のモノだが、僅かに空手や柔術の動きも見えてくる。恐らくは日本独自の古流武術を習得している。武人として拳を交えてみたいが、ヘスティアの友人と戦うのはダメだな。

 

あの鍛え上げた豪腕より振るうのは如何なる技なのだろうか?あの締め上げた剛脚より繰り出すのは如何なる術なのだろうか?身体の奥を冷やすほどゾクゾクする感覚に身体を支配される。私から仕掛けるのは自由だが、彼が承諾するとは思えない。

 

洋酒は好かないため、窓際にてヘスティア達の喧嘩を眺めていると気色悪い視線を向けてくる女を見付けた。ヘスティアと風呂屋へ行った時の視線と同じものだと断定することは難しいが、あの女の視線には少しだけ似ていた。

 

$月∀日

 

あのフレイヤという女は異質な気配を放っていた。それこそ逆鬼のような「動の者」の放出している気当たりに類似するモノだった。

 

不覚にも気圧されそうになった。

 

しかし、フレイヤの後ろに控えていたオッタルという男の値踏みするような視線の理由はなんだ?彼とも武人として拳を交えてみたいが、あのような価値を見定めるような目を向けられたのは初めてだ。

 

梁山泊の門を見るとチンピ、ベートが門を蹴破ろうとしていた。人の家を破壊するのは違法行為だと知らないのか?ベートが蹴りを放つ前に足を払って倒し、母屋へと引きずりながら連れていき、スルメ踊りを行っているベルの前に放り投げる。

 

地面に擦れた頭を押さえながら立ち上がったベートは目の前の修行の内容が分からないのか、ドン引きしたような表情を浮かべながら「お前、なにしてんだ?」とベルに言い放った。

 

突然の訪問について問えば「アイズの奴が強くなった理由を教えろ」とストレートな言葉を返してきた。しかし、アイズは基礎的修行を続けていただけだ。彼女は「妙手」へ到達していたからな。ベルやリリルカより強くなるのは当然のことだ。

 

いっそのことアイズに聞けば良いんじゃないか?そう伝えると「聞いても『やだ』って返ってくんだよ」と言われ、人望の無さに哀れみを覚えてしまう。ポンッと肩を叩いてやれば「おい、同情すんな!?」と怒鳴り、アイズへ行った修行をつけろと言ってきた。

 

$月Κ日

 

ベート・ローガ、剛脚より繰り出す蹴りにて化け物を倒すことを得意とする典型的な「動の者」であり、才能のみで戦う我流ゆえに武術家として「妙手」の位階へ辿り着いているアイズとは最悪の相性なのだが、勝利に対する執念は異常だ。

 

ベルは「大切な人を守れるぐらい強くなりたい」と言っているが、コソコソと「アイズの写真を貰えないか」と聞いてくることが増えている。ベートは「俺はアイズより強くねぇとダメなんだよ…」と言っている。

 

彼らの言葉を要約すれば「好きな女の子のために頑張ってる」ということだ。ベートは荷物を担いだリリルカを背負って、ベルはヘスティアを背負ってオラリオを五週することになった。

 

そして、リリルカの修行は不安定な場所でも呼吸を整えることを覚え、周囲の建物や景色の違和感を見抜けるようになることだ。そのために商店街の人々には変装や衣替えをしてもらっている。

 

所謂、人徳ゆえに出来る修行だ。

 

ヘスティアはベルの根性を引き出すために甘い言葉を囁くように指示している。ベルはヘスティアのことを心の底から信頼しており、これもベルを精神的に鍛えるために必要な修行だ。

 

ベートに関しては才能のみで弟子級以上妙手未満の不安定は場所を行き交っているため、ヘタな刺激を行えば「動の気」を抑えることが出来なくなり、それこそ緒方一神斎のようになってしまう可能性を秘めている。

 

四人が梁山泊より出立してから七時間ほど経過した頃だろうか?滝のように汗を流すベルとベートが梁山泊の門を押し開け、フラフラとした足取りで戻ってきた。

 

まだまだ、達人への道は遠いな。

 

 

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