とあるオタク女の受難(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編)。   作:SUN'S

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第15話

∨月&日

 

オラリオ外壁の塀の上を全力疾走するベートを追い掛けていき、前へ前へと突き出す足の下に向かってレンガを滑り込ませる。一歩間違えば転落する危険を伴う修行を行っているが、ベートはアイズを越えることを望んでいる。

 

ベルは梁山泊にて直列千枚瓦を正拳のみで打ち砕く修練を続けている。この修行は連動する関節の動きの正確さを測るに適しているため、積み重ねた努力の成果を確かめるには持ってこいだ。

 

リリルカの身体の七割は赤筋と白筋を兼ね備えたピンク筋で構築されており、そろそろ「滅掌雷轟貫手」を覚えるには十分なモノへ変わってきた。

 

最初の頃なんて初心者コースの修行だけで逃げ出そうとするほど軟弱だったのに、気付けば弟弟子を庇いながら戦えるほど成長している。

 

アイズは弟子のために用意したマシーンを持ち帰ろうとする癖を直せば良い子なんだが、彼女の強さを求める執念は三人よりずば抜けている。

 

しかし、そろそろ漫画やアニメに見たくなってきた。なんとしても日本へ帰らないとダメだな。いっそのこと日本の梁山泊を持ってくれば良いのではないだろうか?

 

∨月*日

 

あるモノを作るための買い物の途中、蛮刀を振るう剣士を見付けた。逆鬼の言っていた蛮刀使いとは使い方が違っているが、刀身を叩き折れば戦う術など持ち合わせていないだろう。

 

もっともアイズは武器を折ろうと無手の戦い方を仕込んでいるため、その場で使えるモノは髪の毛だろうと使って戦おうとしてくる。

 

馬鹿な蛮刀使いなんて警察に任せるとして、梁山泊の開発室でテレビを作るとしよう。この地方には電化製品は一つも売っていないため、配線から液晶まで作らなくてはダメだ。

 

私は岬越寺秋雨のような芸術品の達人ではないからな。どれだけ頑張ろうとブラウン管を作るので限界だった。私には科学の才能は欠片も無いため、頑張れば岬越寺の作ったモノの劣化品ならば作ることは出来る程度だ。

 

そんなことを考えながら歩いているとヴェルフとベル達がダンジョンへ向かうのが見えた。そう言えば今日から三日間ほどダンジョンへ潜ることをヘスティアが許可していたな。寂しがり屋なのに三日も潜ることを許可するなんてヘスティアも成長したな。

 

今日は頑張っているヘスティアのために北京ダックを作ってやるか。オラリオの商店街にある肉店は豊富な品揃えで有名だからな。

 

∨月♭日

 

なんとか電波を受信したブラウン管の前を陣取ろうとするヘスティアを膝の上に乗せ、今月の再放送中だった「タイガーマスク」を観ることは出来た。

 

しかし、私は電線もないのに受信したブラウン管の凄さに驚いている。やはり、岬越寺の言い付け通りに作れば凄いモノが出来るな。しかし、ベル達は二日目なのに装備の修繕を行うために戻ってこない。

 

いつもは慎重派のリリルカのおかげで無茶な行動を起こさず戻ってくるのにだ。アパチャイや香坂の言葉を借りるなら「嫌な感じ」だ。ヘスティアを膝の上から畳へ降ろし、ハローワークへ向かっている途中のことだ。ヘスティアの友人が血相を変えてハローワークへ向かって走っていた。

 

なにか事件でも起こったのだろうか?

 

彼の事情を聞くために呼び止め、おおよその話を聞くことは出来た。ダンジョンにて三人組の冒険者を逃げるための囮として利用したと言われた。ハローワークへ行けば分かることだが、ベル達だった場合は貴様らに相応の報いを受けてもらう。

 

受付嬢にベル達の帰還報告を聞けば「まだ、帰ってきてません」と言われた。そうか、ヘスティアにはお前が報告してこい。

 

自分の弟子の失態を謝らぬ師はクズだ。

 

 

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