とあるオタク女の受難(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編)。   作:SUN'S

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第22話

㌔月ο日

 

私の身体を舐め回すように見詰める変態から「ボクシングを教えてほしい」と言われた。

 

ボロボロの仮面を被りながら行き交う人々を掻き分け、オラリオ"ジュニア・ミドル級"チャンピオンとなったガネーシャを見掛けたため、この変態の真意を聞いてみた。

 

ガネーシャの話を要約して簡単に言ってしまえば「私とベルに惚れてしまった」変態らしい。男も女も好きになるなんて変態だな。しかし、友好的な関係を築いてアタックしようと考えているのか。変態はキツくても辛くても指導を受けると言い放ってきた。

 

ハローワークの管理している「オラリオ拳闘同盟組合」へと連れて行くことになった。あの細腕を鍛えるのは疲れそうだな。

 

そんなことを考えながらモルドの持つミットの中心を的確な角度と速度で殴り、スウェーバックとバックステップだけでモルドのフックやアッパーを回避するヘルメスを変態に見せる。

 

ジム内を見渡している変態には「最初の課題としてヘルメスを倒してみせろ」と言えば「ふっ、愛のために君を倒そう!!」とビシッとキモいポージングをジムの全員に見せてきた。

 

㌔月Ρ日

 

生粋の変態ことアポロンはダイエットためにジムへ通っている女子や心身を鍛えるために集まった男子を口説こうとすることが多い。

 

ヘルメスは「う~ん、彼は変態だからね」と諦めたような表情を浮かべていた。

 

ヘルメスはフットワークを重視しており、すべてを見透かしているような「カウンター」で対戦相手を倒している。先日、ヘルメスの所属する階級にて器用貧乏な選手がランキング入りした。

 

たしかラウル・ノールドだったか?あの手のタイプは相手のリズムを壊すことに長けている。ヘルメスとは最悪の相性だが、勝てる自信しかないと言われた。

 

変態は「ふっ、どうかな?」とヘロッとしたジャブを見せてきた。まだ、宙へ向かって投げたモノを一つも掴めていない変態の進歩の無さに呆れる。

 

ガラガラと音を立てながらジムのドアを開けて入ってきたヘスティアの友人であるミアハと専属セコンドとして彼に付き添うナァーザ・エリスイスを手招きで呼び寄せ、変態の進歩の無さについて相談する。

 

ナァーザがミアハ様の試合について相談してきた。それならば話し合いは終えている。ミアハにはソーマ・ファミリアのチャンドラ・イヒトと対戦することになった。

 

そして、試合は二ヶ月後だ。

 

ミアハは「ナァーザ、アップを始めよう」と普段の優しそうな風貌は消え去り、餓えた狼のような勇ましさを感じさせる雰囲気へ変貌していた。ナァーザは恍惚とした表情を浮かべながらミアハの裸体を見るのはやめろ。

 

㌔月Χ日

 

ミアハの事情は知っている。

 

それでも八百長やイカサマを行うつもりはない。なによりナァーザは惚れた男の勝つ瞬間を間近で見るためにセコンドを務めている。

 

ミアハの特徴は教科書のような立ち回り、変則的な動きだろうと対応してしまう適応力、自身の体調管理を完璧完全に行ってしまう医術の知識、この三つを備え持つミアハはオラリオ"ライト級"ボクサーとして最高位だ。

 

そして、その優しさゆえに追撃することを躊躇うことがある。それを補うためにナァーザのセコンド入りを許しているし、彼の闘志を燃やす材料を提供している。

 

ミアハは「ナァーザ」のために戦っており、ナァーザは「ミアハ」のために尽くしている。数ヵ月ほど二人の信頼関係を見てきた、簡単に言ってしまえば「早く結婚しねえかな」である。

 

汗を流せばタオルで拭ってやり、息を切らせば水筒を手渡し、座れば筋肉痛を無くすためにマッサージを施している。

 

もはや、夫婦の領域だ。

 

ナァーザはスクワットを始めようとするミアハの背中へよじ登り、全身の体重を掛けるように絡み付いている。一心同体というべきバランスの良さだ。

 

グローブを外しながら近付いてくるヘルメスの「ありゃあ、気付いてないね」という小言を聞き、あんなに好き好きオーラ放ってるのに気づかないのか?とミアハの鈍感さに哀れみすら感じてしまう。

 

 

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