とあるオタク女の受難(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか編)。 作:SUN'S
∃月∨日
二つ名というモノを貰うことになった。
リリルカは「お母さん、いつのまにレベル・アップしてたんですか!?」と突っ込んできた。怪我させないように受け止めつつ、レベル・アップしたような記憶は無いんだがな?そんなことを考えているとヘスティアが「酔った勢いで話しちゃったぜ」と告げてきた。
ヘスティアの友人だろうか?お喋りなヤツは好きではないんだが、そう言えばハローワークではレベル・アップの話を聞いていなかったな。今夜はパーティ仕様の場所へ向かうとは聞いている。
ヘスティアのために用意した淡い紫色のドレスを手渡せば「ありがとう、感激だよ!!僕の自慢の眷属のために酷いヤツは回避してみせる!!」と叫んでいた。ヘスティアを見送りつつ、ダンジョンへ行ってしまったベルの帰りを待つことになった。
リリルカは「人越拳"ねじり貫手"」を会得するため、その身を削るほど努力している。人越拳を会得するのは容易ではないが、リリルカの強さを引き出すためには必要な材料を提供することにした。
そう、リリルカは人越拳の奥義の一つを教えることを条件とした過酷な修行を行うことを受諾した。
∃月Ε日
私の二つ名は「拳人」となった。
ただ、私は梁山泊の金銭的な苦労を減らすために稼いでいるだけなんだがな?そんなことを考えながらドラゴン擬きの首をへし折り、大きな石を引っ張り出しているとドラゴン擬きが増殖するように増えてきた。
左手を下段へ下ろし、右手を上段へ上げる。天地上下の構えを取りつつ、間合いを詰めるように迫ってくるドラゴン擬きを蹴りつけ、硬い鱗に覆われた瞼を殴り付けて眼球と眼底を粉砕する。
一撃目は眼底を砕くために、二撃目はドラゴン擬きの脳髄を粉砕するために打ち込み。動かなくなったドラゴン擬きの首をへし折り、同胞の死ぬ様を見て激昂しているドラゴン擬きの振るう尻尾を上段へと弾き上げ、胴体を突き飛ばすように「渦廻斬輪蹴」を放つ。
蹴りの衝撃を吸収し切れなかったドラゴン擬きの腹部には円状の空洞が出来ており、ゴポゴポと薄汚い紫色の液体を噴き出しながら倒れ伏した。
呼吸を整えるために身体を動かし、深く深く息を吐き出しながらドラゴン擬きの裏側に隠れていた蜥蜴人間を睨み付ける。目視できる数は二十匹だが、草の擦れる音や息遣いの数を聞けば五十匹以上はいることが分かった。
∃月Ζ日
ハローワークにて蜥蜴人間やドラゴン擬きが異常増殖していることを告げつつ、持って帰れる分だけ持ってきた石を渡せばドン引きされた。一番、大きそうな石を二十五個ほど持ってきただけなんだがな?
ヘスティア達の待っている教会に帰ろうとしているところを厳つい男に通せん坊するように邪魔された。身の丈以上の大剣を背負っており、この他の者とは逸脱した威圧感を放つ男は達人級の闘士だ。
しかし、私の邪魔を行う理由は分からない。臨戦態勢を崩さない男を見上げつつ、ハローワークの出入り口にて向かい合っていると「オッタル、もういいわ」という身体を蝕むような声が聴こえてきた。
成る程、お前の主人の命令ということか。
あのオッタルと呼ばれた男は踵を返し、付き従うように女の後ろを歩んでいる。私はオッタルよりパワーでは劣っているだろうが、テクニックやスピードでは勝っている。
なによりオッタルと呼ばれた男は「緒方一神斎」のような危うさを瞳の奥に隠していた。あの女は抑止力ということか?
そんなことを考えながら歩いていると半壊している出店や街並みが見えた。よく見ればリリルカが植物のような化け物を殴り飛ばし、僅かに傾いた植物の化け物をアイズが切り刻んでいた。
おお、連携技とは仲良くなってるな。