改めて自分が無能と思い知らされる。普通に凹む。
高雄
愛宕と交代で能督を看病。こうなったのは自分の性だと思ってる
愛宕
高尾と交代で能督を看病。このまま目を覚まさないかと、とても心配。
爆督
声は五月蝿いが基本的に病人には優しい。
2月3日 10:09 医務室
ピコン...ピコン...ピコン...心拍音と同じリズムの電子音が聞こえる。
身体を動かそうにも力が出ない。
なんとか息は出来ている。
ゆっくりと瞼を持ち上げる。
いつか見たこの白い天井。
どうやら例の戦いに敗北し重巡姉妹に逃がされ生き残ってしまったらしい。
段々と意識がハッキリとしてくる。少しづつ身体を起こそうとすると左手には点滴のチューブ、右手には血圧計、口には酸素マスク、負傷箇所にはギプス。先の戦いで確かに負傷はしたが、ここまで大事だとは予想だにしなかった。
「此処にナースコールは無いのかなぁ...」
なんて詰まらないギャグをこぼすと薄水色のカーテンから慌てた様に金髪ロングのナイスバディ美女が駆け寄る。
「良かったぁぁ.....このまま目覚めないかと思っちゃったよぉぉぉ......」
「愛宕姉、まだ痛いから抱き着かないで.....」
もう1人黒髪ショートのナイスバディ美女がマグカップを持って現れる。
「愛宕、目覚めないとか縁起でもない事言わないの!!あと、提督はまだ完治してないんだからはサッサと離れる!!」
愛宕姉は、はーい...と不貞腐れた様に頬を膨らませ、ベッドから降りパンパンと服のシワを伸ばす。
「2人共無事で良かったけどォ・・・アレから何が変わった事あった?」
高尾姉はフフフッと笑みを浮かべる。可愛い。
「心配して下さるのは光栄ですが、提督はもっと自分の事を大事にして下さい」
マニラからは逃げられても高雄姉の小言からは逃げられないらしい。
さて、傷が癒えるまでゆっくりスマホでも弄りながら時間を潰しますかねぇ.....
そんな甘い幻想は1分と持たず音を立てて崩れてゆく。
「情けないぞッ!!!それでも漢かッ!!!!」
扉が壊れるかと思わせる位の勢いで医務室のドアが開き、提督服の上からでも分かるほどの筋肉を誇る男が入ってくる。
歓迎会の時の様に本能が全力で警報を鳴らす。コイツとは関わっちゃ駄目だ。
「おい!!聞いてるのかッ!!!!!」
美女2人の制止を振り切り病人(♂)に向かって来るとか、もうヤベぇとしか言い様が無いでしょ。
「....スゥ.....スゥ.....」
こんな重傷じゃあ逃げるなんて選択肢は無い。ならばどうする?答えは簡単。
寝たフリだ。
「どなたか存じ上げませんが、見ての通り提督は重傷です。また日を改めて頂けませんか?」
薄目を開け高雄姉の顔色を伺うとパッと見、笑顔だが目が笑ってない。その上、言葉には高雄姉の強い意志がこもっている。
「俺は加藤龍介ッ!階級中将ッ!二つ名は爆督だッ!あと、お前!俺が奴を倒して、もう既に24時間以上経過してるのだぞ!!!いい加減に起きんかッ!!!!」
中将って事は俺の上司って事か。二つ名を持った提督と会うのは初めてだな。
待て、コイツ今何と言った。
俺が奴を倒した?
まさかコイツあのマニラとかいう奴を倒したというのか?・・・まっさかぁ、コイツの能力は知らんけど無傷で倒すとかないやろぉ....
・・・マジで?
「さっさと次の仕事に移れ!!歩けないなら車椅子を使ってでもなッ!!!」
無茶言うな。お前は傷1つ負って無いからそんな事言えるんだよ。
「おいお前、実は起きてるだろ.....」
目は閉じてるが分かる。
コイツめっちゃ顔近づけてる!
コイツの鼻息、俺の顔に当たってるもん!
無理に身体を揺すったりしない所を見ると存外悪い奴では無いのだろうとは感じる。
でもコレは近ぇ!
「・・・このまま起きなかったらチューするぞ....」
「おはよーございまぁぁぁぁああああッス!!!!」
コイツの鼓膜が破れる様に全力で叫ぶ。
「ハーハッハッハ!!!元気じゃあねぇか!!やはり漢はこうでなくてはな!!!」
チッ、鼓膜までタフな奴だな。
「突然だが今日から此処の鎮守府でお世話になる山風だ。ほら山風、挨拶しな」
人が変わった様に優しい声で医務室のドアに隠れてる少女に挨拶を促す。
上体を起こそうとしたら愛宕姉がベッドに取り付けられていたリモコンを使いベッドを起こす。
コレは介護ベッドだったのか。(違います)
腰程まである緑髪をハーフアップにした碧眼の幼気な少女は、もじもじしながら小さく口を開く。
「えっと、あたし・・・白露型駆逐艦・・・・・・その八番艦。山風。」
照れてるのか人とのコミュニケーションを嫌ってるのか少女の挨拶はどことなく無愛想というかつっけんどんだった。
「じゃあまた明日来るからな!!それ迄に準備しておけよッ!!!!」
喧しいったらこの上ないよ、俺怪我人だよ?全く勘弁してよ。てか、なんの準備だよ。
◆ ◇ ◇
2月1日 22:19 工場地帯
「大人しく投降してくれんか!!俺のスタンドは手加減が難しいのでなッ!!!!」
元帥から貰った資料を見ると目の前に居る銀髪赤眼の人間(厳密に言うと人間ではない)が、何人もの人を誘拐しコ◽︎している極悪人だという事が分かる。
「貴方 ガ タヒンダラ 考エテ アゲルー!!」
お互いそこそこの距離を挟んでる故、必然と声量は大きくなる。
だが、これでいい。
この距離がいい。
何故なら俺のスタンド ”ヴーレ・ヴー” は近距離パワー型にして中距離、遠距離も対応可能な万能スタンドだからな。
「じゃあ仕方無いな...」
大きく息を吸い込む、全力で叫ぶ為に。
「
雄叫びに合わせV.ヴーから黄色い煙が勢いよく噴出する。噴出した煙は瞬く間に雲になり工業地帯を囲む。
「俺は手加減がッ!!!出来ねぇんだよぉぉぉぉおおお!!!!」
ポツポツと黄雲から降ってくる。
だが、雨ではない。
m84スタングレネード。
フラッシュバングレネードともいう。
マニラを中心にスタングレネードが豪雨の如く降り注ぐ。
グレネード等は基本的に安全ピンを抜きレバーを外してから漸く起爆する。
だが、V.ヴーが降らせる手榴弾は既にピンもレバーも外れていた。
「チョッ...待ッt....」
言葉を遮る様に閃光手榴弾の爆音が鳴り響く。幾ら離れているといっても数多の閃光と爆音は脳を揺らす。
だがこの俺 ”爆督” には効かねぇ。
V.ヴーを纏い防御出来る。ここがV.ヴーの強みだ。
為す術も無く敗れ、伸びきったマニラに近づく。白目を剥き耳、鼻から出血し血涙も流している。鼓膜は破れ暫く起きる事は無いだろう。持って来ておいた麻縄で手足を縛り口に猿轡としてピンだけ抜いた閃光手榴弾を咥えこませる。口を開いたら バンッ!!だ。
尤も起きる頃には大本営の地下牢に囚われているだろうがな。車に向かうとトテトテと茶色い長髪をアップヘーアにして束ねた金眼の少女が近付いてくる。
暁型駆逐艦4番艦 電、俺の秘書艦だ。
その幼気な少女は似合わない大きなヘッドセットを外し
「お疲れ様なのです!えっと....その方は例の ”たーげっと” さんですね?トランクをお開けします!」
念には念をという事でスタングレネードの爆音から守る為にヘッドセットを付ける事を指示しておいた。マニラをトランクへ放り込み、ふとこんな事が頭を過ぎる。
こんな所、警察に見られでもしたら.....
まぁ大本営がどうにかてくれるだろう。
思わず溜息が出る。
「こんな奴にあの新人は負けたのかよ.....どんな下手糞な戦い方をしたらこんな雑魚に負けるんだよ」
伝令で新人提督とターゲットが接敵、新人提督がコテンパンにされた事は知らされていた。
「提督、ちょっと落ち着いて下さいなのです....」
カリカリした俺を助手席の電が
「大丈夫だ、電。
電の綻ぶ顔を見ると任務の疲れも癒されるものだな。そんな他愛無い話をしながら大本営の帰路に着くのであった。
後日、真夜中の工業地帯に響いた謎の爆音がニュースになったのは言うまでも無い。
現在V.ヴーが生成可能な手榴弾
m67 破片手榴弾(フラグ) 爆雨
m84 閃光手榴弾(スタン)雷雨
m18 煙幕手榴弾(スモーク)煙雨
試作型 電波欺瞞手榴弾(チャフ)銀雨
火炎手榴弾(モロトフ)焼雨
麻酔手榴弾(スリープ)眠雨