無能提督の苦悩   作:EGOGAMI

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能督
夜戦が始まる頃には爆督用指揮室に向かっていた。

爆督
夜戦が始まる頃、今日の晩御飯を何にするか考えていた。

空督
夜戦が始まる頃、めちゃくちゃ焦っていた。



#14 空気が読めない提督と空気を操る提督

2月6日 10:52 演習会場 爆督用指揮室

 

「それマジッ!?ナイス榛名姉!空督さんよォ・・・アンタんトコの旗艦、大破判定だってよォ.....」

 

ギザ歯を覗かせニヤニヤと笑み浮かべるその姿は悪魔そのものだ。

 

「・・・嘘よ」

 

きっと私を動揺させる為の嘘に決まってる。

 

「よーくやった!みんな!後は逃げながら余裕があったら威嚇射撃でもしてくれ!」

 

あの娘たちが負ける筈がない。

・・・だから私も負ける訳にはいかない。

 

「うわぁぁああ!!!」

 

完全に圧縮しきっていない空気弾をやたらめったらに放つ。

 

「女の子がそんな大声出すもんじゃあないよ」

 

コイツはもうガードすらしない。

圧縮しきっていない空気弾は当たりはすれどかすり傷程度。

万策尽きた。

憎悪の対象、能督がコツコツとゆっくり歩み寄ってくる。

 

「来ないで....」

 

「やァだね」

 

もう視界がぐにゃぐにゃでコイツのにくたらしい顔も見れない。

 

「アンt...空督さん、目から汗が出てますよ」

 

「うるさい....」

 

思わず座り込んでしまった。もう立つ気力すらない。

 

五月蝿(うるさ)いって、そんな大声出してねぇじゃんかよォ。あの筋肉ダルマ(爆督)じゃああるまいし。ホレ、コレで涙拭いとき」

 

座り込む私の前にティッシュ箱が置かれた。

 

ビーーーーーッ!!!

 

泣き崩れた提督に無慈悲な演習終了の合図であるブザーが鳴った。

 

◆ ◇ ◇

 

2月6日 11:00 演習会場 爆督用指揮室

 

「よーやく終わったねェ、演習」

 

いやー改めて見るとやべぇな、この空間。

白目剥いた筋肉モリモリマッチョマン提督。

大号泣してる金髪パーマショート女提督。

般若面と溶接ゴーグルを付けた血塗れ提督。

混沌(カオス)としか言い様がないね。

だが、俺の勝ちだ。

相手旗艦は大破。

ウチの艦は5艦小破。

そして ”相手の提督を攻撃してはいけない” という文は公開演習の資料に載っていなかった。10回は読み直した。読み過ぎてほぼ暗記した。だが、書いては無かった。

え?屁理屈だって?フフフ、最終的に勝てば良かろうなのだァァァァ!!!!

 

「では結果を発表します。」

 

さぁ!俺の勝利を高々と叫べ!アナウンスよ!俺の勝利を讃えよ!

 

「爆督、空督の戦術的勝利です!」

 

「よっsh....待て今なんつった?」

 

ガッツポーズを取ろうとしたが・・・どゆこと?

 

「え?わ、私の勝ち...?」

 

なんでだよ?確かに榛名姉から相手旗艦 ”大和” を大破させたと報告があった。

 

「おい!何言ってんだ!コイツの旗艦 ”大和” は大破してただろ!」

 

審判員の無線へ周波数を合わせ怒鳴りつける。

 

「ウチの旗艦は電だよ?」

 

え?

 

「まって、アンタの旗艦って大和じゃあ...」

 

赤く腫らした目を拭いながら...

 

「電だよ」

 

ぬぅわぁぁぁああああ!!!!!

やらかしたぁぁぁあああああ!!!!

 

◇ ◆ ◇

 

2月6日 18:33 大本営 大食堂

 

「ガーハッハッハ!!お前ホント馬鹿だな!!相手の旗艦間違えるとか馬鹿だろ!!」

 

爆督がビールジョッキを片手に俺の肩をバシバシと叩く。痛ぇよ。

 

「うっさい。ウザい。暑苦しい。酒臭い。離れろ。しかもお前鼓膜破れたんじゃあないのか」

 

俺の肩にまわされた爆督の手を払いながら素朴な疑問も投げる。

 

「ハーハッハッハ!!あんなの目覚ましにもならんわ!!スタンドで防御したから無傷だ!!!」

 

頭おかしいだろ、コイツ。

俺、爆督、空督、榛名、時雨、山風、愛宕、千歳、日向、大和、翔鶴、瑞鶴、鹿島、雷、電の15人で大本営の食堂の端っこを借り公開演習の打ち上げをしていた。

 

「え、じゃあなんで起きなかったんですか?」

 

「お前の慌てふためく様が面白くって寝たフリしてたんだよ!!!!」

 

空督はこれまた大きな溜息をついた。

全く趣味の悪い野郎だよ、ホント。

 

「提督さん、ちょっといいですか?」

 

「なんだ!鹿島ッ!」

「どうしました?」

 

ココには提督が2人いるからな、そりゃハモるわ。

 

「あ、ややこしかったですね。あのー、能督さんその身体は大丈夫なのですか?」

 

「おれェ?」

 

2人じゃあなくて3人だった、てかまさかの俺かよ。

 

「提t...能督さん、空督の空気弾を受けて全身血塗れで医務室に運ばれたみたいでしたけど....」

 

傷を治す時、重要となるのは血液だ。

血液中の血小板が固まり、止血する。

だが大きな傷の場合、血小板で止血する前に出血加多で気絶、ないしはタヒ亡してしまう。

傷口を押さえ血”液”で満たせば出血加多に至る前に止血出来る。傷口を手で抑えれば ”閉ざされた空間” が出来る。

応急処置ではあるが医務室に運ばれる頃にはある程度出血は止まっていた。全身血塗れだった故、医療班は大慌てだったが。

 

「へぇ本当に便利ですね。スタンドって」

 

「「「そんな事はない」」」

 

今度は能督、爆督、空督、3人共にハモった。

 

「俺のスタンドは手加減は出来んし治療も出来んからな!!!」

「私のスタンドも非力すぎて能督をコ□せませんでした」

「そうだね〜俺のスタンドも...って待って空督(歩美ちゃん)、俺の事コ□そうとしてたの!?」

 

爆督は笑ってたけど艦娘全員苦笑いで顔引きつってたよ?本当に散々な演習だったよ、全く。だが、これだけは言える。

 

もうこんな事は二度としない。

 





公開演習編終了です。

イラスト書いてくれたリア友まじ感謝やで。
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