無能提督の苦悩   作:EGOGAMI

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能督
美容学校にいた為、身だしなみには少し気を使っている。

空督
長い間、士官学校に居たのでお洒落?何それ美味しいの状態。

エルト
お洒落しても、ほぼ意味なし。



#19 フィラデルフィアのエルドリッジ

2月10日 13:26 鎮守府 埠頭

 

や、やっと敵の艦載機全て撃ち落とした。

 

能督が択捉を庇った後、艤装を展開した艦娘達が援護に来てくれた。足を無くした能督は気絶していたが、艦娘達に医務室へと運ばれていった。

あの笑顔は憎たらしい事この上なかったが、もう見れなくなると思うと・・・

 

「意外ト時間カカッタジャアナイノ」

 

聞き慣れない声のする方を見ると地面につきそうな程長い黒髪が特徴の女性がゆらりゆらりと歩み寄ってきた。

裸足に黒のワンピース、血色の無い肌と鮮血の様に真っ赤な瞳。先端に赤みを帯びた二対の角が頭部に一組、胸元に二組。

人間ではない。

そして味方でもない。

 

「アラ、コウイウ時ハ自己紹介ヲスルノヨネ、私ハ ”エルト” ト申シマス。以後オ見知リ置キヲ・・・アッ、イケナイ。貴女二 ”以後” ハ無イノデシタワ」

 

お嬢様言葉でマウントを取ってくる、私の一番嫌いなタイプだ。そしてこの見た目、この喋り方、間違い無く深海棲艦だ。

 

「相手ガ自己紹介シタラ自分モ名乗ルノガ常識デハナクテ?」

 

深海棲艦に常識を説かれるとは夢にも思わなかった。

 

「分かりました、私の名は須藤歩美。貴女を倒す女提督です」

 

エルトと名乗る女は高らかに嬌声を上げる。

 

「アハハハッ! アーハハハッ!私 ヲ 倒ストハ コレマタ 大キク出タジャアナイノ!・・・マァ、私ノ無敵ノスタンドニハ 手モ足モ 出ナイデショウケドネ」

 

彼女の口角は上がっているが目は笑っていない。剥き出しの殺意で身体が鯱張る。

 

「サァ、私ヲ倒シテミナサイヨッ!」

 

猪突猛進という言葉はこの為にあるのだろうと思わせる程の勢いで殴りかかってきた。

私のスタンドは遠距離型。そして既に先程撃ち放った空気弾は生成出来ており、十発撃てる状況だ。

 

「グレイ・マシーンッ!」

 

「チュミミィイイン」

 

ドシュン!ドシュン!ドシュン!

先ずは3発ッ!

空気を切り裂く音を発しながら空気弾を突っ込んでくるエルトに発射する。

 

「コンナノ余裕デスワ」

 

私の空気弾は確かに命中した、だけどエルトにダメージは無い。無傷だ。

代わりに3発分の裂傷がエルトのワンピースに見られる。

 

「先ズハ一発カシラッ!」

 

対応しきれていない私の顔面にエルトの拳が突き刺さる。焼けるような激しい痛みと共に鎮守府玄関前までふき飛ばされた。

飛びそうな意識を何とか取り戻しエルトに空気弾の照準を定める。

出鱈目に撃ってもさっきの様に躱されるだけ。ならばどうやってダメージを与える?

 

「ドウシタノカシラ? モウ、ギブアップデスノ?」

 

「そんな訳無いでしょ!」

 

どうする私。筋肉ダルマ(爆督)だったらどうする?薄ら笑いチビ(能督)だったらどうする?

客観的に物事を見れば自ずと答えは浮かび上がってくる....筈だ。

エルトは再び地面を抉るように蹴りこちらに飛びかかる。

 

「ジャア次ハ鳩尾ニデモシマショウカッ!」

 

「うぉあああうああ!!!」

 

ドシュン!ドシュン! 今度は2発ッ!

 

「ダカラ当タラナイワヨ」

 

先刻と同様、ワンピースにダメージを与えられても本体は無傷。ドスッと重い一撃が腹部を襲う

 

「・・・かはッ...うぇ....はぁ、はぁ.....」

 

内蔵が口から出そうになる程の重い一撃だったが、何とか堪えた。良く耐えた私。

 

「為ス術ガ無イトハ、正ニ コノ事ネ」

 

2発食らって分かった事がある。

エルトに被弾する直前、一瞬だけ周りの空気が揺れ陽炎の様な ”歪み” が見える。

そして躱した後、僅かに低姿勢になる。

恐らくエルトのスタンドは一瞬だけ物体をすり抜ける事が出来る能力。僅かに低姿勢になるのは着ているワンピースもすり抜ける為。

 

「アラアラ、今ニモ タヒニソウナ顔シテマスワヨ、貴女」

 

スタンドの能力を暴いてもダメージが与えられなけれ意味が無い。

ひとまず鎮守府内に逃げ込む。幸か不幸か周囲に艦娘の姿はない。能督の報告書によるとスタンドを視認出来ないのは艦娘も同じらしい。

つまりコイツは私一人で対処しなければならない。

 

「今度ハ隠レンボデスノ?少々オ戯レガ過ギルノデハナクテ?」

 

知った事じゃあない。こちとらあんたのスタンドをどう攻略するか脳を回転させてるんだ。

ゆっくりとドアが開く。

エルトの肩には黒い魚の様な人形、いやスタンドが乗っていた。

 

「へ、へぇ.....それが無敵のスタンドねぇ・・・随分弱そうじゃあない....ですか・・・ハァ、ハァ....」

 

手を顎に当て再び嬌声を上げる。

 

「フフ・・・フフフッ....貴女ノスタンドコソボロ雑巾トイウ言葉ガオ似合イヨ」

 

胴長犬の様な私のスタンド、グレイ・マシーンに物理的攻撃力は無い。

 

「貴女ノ能力ハ ソノ指鉄砲ダケ・・・?ソレトモ他ノ能力ガアルノニ隠シテイルノカシラ・・・」

 

ひたひたと裸足で廊下を歩く音が私の恐怖心を助長する。

もっと・・・もっと情報がいる。コイツを再起不能にする為の情報がいる。

私の体はコイツの拳を後3発も耐えられない。

・・・お前の空気弾は連発出来ないんだから早く生成する技術を磨くか、一発あたりの質を上げろ。

一発あたりの質...

当たらなければ意味は無いと思っていた。威力が弱かろうが強かろうが当たらなければ無意味。じゃあ低威力の空気弾を集め1つの強い空気弾にする。

質=威力と思い込んでいた。

躱されるなら意味が無い。

ならば一瞬では消えない長く撃てる1つの空気弾を撃てばいい。

指一本に圧縮出来る空気は限られている。

指が駄目なら腕に!

いつの間にかG.スペースの(ヴィジョン)は首の長いコウモリのような形になっていた。

 





stand name:グレイ・マシーンact2
stand master:須藤歩美(准将)
stand spec:
パワー D
スピード D
射程距離 D
持続力 B
精密動作性 C
成長性 A

首が長いコウモリの様なスタンド。
白いモフモフの毛で覆われており空督が空槍を準備する時、G.マシーンact2は空気を吸い込み長い喉を真ん丸く膨らませる。
空槍を準備し終わるとチュミミィイインという音を出す。

act2になってもスタンド自体に攻撃能力は無く、空督自身が戦うスタンス。

以下ネタバレ
















エルト戦にて周囲の空気の流れを読む能力も会得。見えない敵や背後の敵の動向にも対応可能に。
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