能督
バレンタインチョコの最高記録は4つ。小学校6年生の時。友達はいなかったが何故か女子グループから貰えた。
爆督
最高記録は50以上。提督業2年目。それ以降、爆督鎮守府では義理チョコは廃止したらしい。
空督
まずあげたことも無い。義理チョコ何それ。
2月14日 06:23 工廠
「ど、どう?気を遣わず正直な感想を下さい・・・ね?」
「うーん、割としっくり来るけど・・・まだ松葉は居るねぇ...ごめんねぇ、無理させちゃって。・・・あ、でもめちゃ嬉しいよ!」
2日前に村雨と工廠へ来てメロンちゃんに無茶とは思いつつも 一刻も早く脚が欲しいと言ったら2徹して俺の代わりの脚、義足を急拵えしてくれた。
簡素な物といえど車椅子に頼らず自分の脚で立ち上がる事が出来るようになった事は感動以外の何物でもなかった。
「うぅ〜、やっぱり難しいですね〜」
確かに一刻も早くとは言ったが、ここまで奮闘してくれるとは思いもしなかった。そして2徹してまで作ってくれた彼女を残念な気持ちにさせたくなかった。
「・・・よっ!....ほっ!・・・・・・よしっ!見てみ!メロンちゃん!松葉使わなくても立てたよ!ノガミが立った!ノガミが立った!・・・ぅおっ!」
危うく転倒しそうになったが、メロンちゃんが支えてくれたお陰で地面にキスせずに済んだ。
「危ないですって、提督!歩きたい気持ちも分かりますが、やっぱりもう少しは安静にしてて下さい!」
歩きたい?何を仰るメロンさん。俺は歩きたいんじゃあなくて走りたいんだぜ?
なーんて言おうとしたが、またメロンちゃんの負担を増やしてしまいそうなので、そっと飲み込んだ。
「メロンちゃん、今日は何の日か知ってるかい?」
2日前の村雨と同じ様に目を丸くさせる。可愛い。
「えーと、2月の14日だから・・・あ!ヴァレンタイン!ごめんなさい提督!私、チョコを用意するの忘れてて.....」
この義足がバレンタインのチョコの代わりじゃあないの?だからバレンタインに間に合わせてくれたんじゃあ.......
「えぇ?」
「えっ?」
◆ ◇ ◇
2月14日 08:49 鎮守府 酒保前渡り廊下
あ、クソ提督。
松葉杖を手にフラフラとはしているものの、2本の脚で新品の革靴を履き・・・・・・あれは酒保に向かっているのかしら。
新しく着た海防艦の娘を庇って両脚を失ったって聞いてたけど、秘書艦も付けずに散歩だなんて元気も元気じゃあないの。
あれだけ ”ヤダヤダ” と駄々を捏ねていたからちょっとは見返したんだけどな。
「なーんだ、元気じゃあない。クソ提督」
軽く肩をトンッと叩いてみた。
艦娘とはいえ艤装を展開してないなら普通の女の子。そこまで強くは無かった筈。
カタカタン、カシャーン.....
積み木を崩す様に、ジェンガタワーが倒れる様にいとも簡単に提督は倒れてしまった。
「いっててぇ....あ、えーと・・・ゴメンね、そこの杖取ってくれなぁい?」
よく見ると靴は左右逆だった。片っぽの靴は脱げ、人の脚というには余りにも無骨過ぎる鋼鉄がズボンの裾から伸びていた。
松葉杖は少し遠くへ転がり、提督はそれを指差し薄ら笑いを浮かべていた。
このクソ提督は未だに艦娘の名前も覚えてないらしい。あ、えーと・・・と言葉に詰まったのが、その証拠だ。
「私は特型駆逐艦 ”曙” よ、ほら杖。って、こっち見んな!このクソ提督!」
あぁ、めんごめんご と手をヒラヒラさせ鎮守府の壁と松葉杖を頼りに立ち上がろうとしていた。
生まれたての子鹿に辛く当ってしm.....
小鹿じゃあない、提督。
「ほら、クソ提督。肩貸すからしっかりしなさい。車椅子はどこよ」
提督の動きがピタっと止まった、別に変な事言ってないのに。
「はーっはっはっは!」
高らかな笑い声を上げ、さっきの魂が抜けたような目に火が灯もる。
「えーっと!?曙ちゃんとか言ったかね!車椅子?あんなのはもう二度と勘弁願いたいねェ!」
確かに周りに車椅子も秘書艦も見当たらない。
「車椅子使うぐらいだったら地べたを這い泥水を啜ってでも生き延びてやるかんな!」
真っ白な軍服を泥塗れにし、獣の様な目をしていたソイツは糞というには勿体ない人間だった。・・・少なくとも私はそう思ってしまった。
◇ ◆ ◇
2月14日 09:05 鎮守府 1階廊下
「ぼーのしゃん、俺さっき決め
溜息をつきながらも松葉杖を持ってくれているという事は少なくとも嫌われてない・・・と思いたい。
「知らn....って、ぼーのしゃんってないよ。ぼーのしゃんって」
曙ちゃん→曙さん→ぼーのさん→ぼーのしゃん、って・・・
「まぁいいや・・・ねぇ、陸奥姉。これ頭おかしくなるくらい恥ずいんだけど。俺、1人で歩けるんですけど」
脇に抱えた俺を流し目で見、口に手を当てふふふっと笑ってみせた。
46kgのヒョロガリを持ち上げるなど容易らしい。
うん、自分で言ってて腹立ってきた。
「あらあら、まあまあ。提督ったら歩けないのに強がるなんて駄目じゃあない。それに提督を逃がしちゃったなんて榛名にバレたらこの鎮守府、どうなるか分かんないわよ?」
え?榛名姉、そんなにブチ切れてるの?
こないだ、あのパツキンパーマブス《空督》に鎮守府の壁、2カ所も風穴開けられたんだけど。
深海棲艦より身内の破壊活動が目立つってどういう事よ、マジふざけんなよ。誰が報告書書くと思ってんだよ、どうせ俺だろ?勘弁しろよォ。
「そういえばクs....提督。なんで酒保に行こうとしてたの?」
フッフッフ......俺の崇高な計画part-
見破られない嘘つくコツを知ってるか?
何だ...
知らんのか?
本当の事と嘘を織りまぜる事だ!
・・・・・・閑話休題。
「へぇ〜、夕立ちゃん対策でスタイリング剤ねぇ〜」
「だからといって明石さんを直接尋ねる必要ある?しかも秘密裏に・・・」
「そーでもしないとスタイリング剤と称してピーナッツバタークリーム用意されるかもしれんからね」
だからなんで一々目を丸くするんだよ。
変な事言ってないでしょ?ヘアセット剤とピーナッツバタークリームをすり替えられるなんてよくあるじゃん?
・・・そして陸奥姉は早く下ろして。
◇ ◇ ◆
2月14日 09:12 能督自室
「アキくん、おかえりなさい。どこ行ってたのですか?」
アキくんは恥ずかしから・・・なんて言えない。言える筈もない。
榛名姉の顔が笑ってない。
そして榛名姉の左には仁王立ちした山風、そして右に積まれた色とりどりの可愛い小箱。恐らく、いや間違いなくヴァレンタインチョコレートだ。
もうやだ。
なんだよ、この量。
これが嫌だから酒保に行ってたんだよ。
ふっざけんなよ。
こんな量、一人で運べるわけねぇだろ。
すこーし見た目が良いだけでチョコ貰えて良い御身分だな?
加藤龍介さんよォ?えぇ?
爆督だけじゃあないだろうね。
この量からして前任、現元帥。クソジジィ宛もあるだろう。
「はぁぁぁぁあああ(クソデカ溜息)」
「一個も残しちゃだめですよ?」
言われなくても、ちゃんと一個も残らず
「ハイハイ、明日どーにかするから今日は仕事しよ?ね?・・・・・・あ、今日の秘書艦は陸奥姉だったね、どの書類から片す?」
「「「「はぁ......」」」」
なんだよなんだよなんだよ。四人揃って溜息ついてよォ〜。
「提督はもっと.....乙女心を勉強した方がいい・・・」
なんだよ、なんだよ、3人揃ってウンウンって頷いてんじゃあないよ。
・・・・・・おk、此処にも俺の味方が居ない事が分かた。
日常回はこまごました感じで進めます。