両親がチョコ好きだった為それを受け継ぐようにチョコ好きに。
鹿島
生チョコとかチョコクランチとか作れる。食べるのも作るのも好き。
2月14日16:14 執務室
「う、嘘...信じられない。そんなはずない、だって司令官さんは・・・択捉を庇って...」
ふっふっふ〜俺の直立姿に驚いてるなァ。
ついこの間、脚を失った提督が直立不動で立っている事実を受け止められない、信じられいのだろう。まさかメロンちゃんが二種類も義足を用意してくれていたなんて俺でも信じられなかったぜ。
補助はあるがこうやって立って歩いている事は紛れもない事実だ。
そーいや医務室に鳥海姉は来てなかったな。
「鳥海姉どうしたんだい・・・ん?俺の脚がどうしたってェ〜?そんなに気になるのかァい?仕方ないなァ鳥海姉にだけ特別に見せてあげよう、俺の脚を。チラッ...とだぞ」
右足の裾を少し巻くって鋼鉄の脚を覗かせる。さァ目の前で
「どジャアア〜〜ン!メロンちゃんに造って貰ったのだァ!ハッハッハー!我が鎮守府の科学工学は世界一ィィィ!」
キマったァ...。
あまりふんぞり返ると倒れてしまうから程々に胸を張る。ここまで綺麗に決め台詞を言えるなんてスゲーッ爽やかな気分だぜ、新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ〜ッ!
「ハイハイ、カッコイイですから早く提督の自室行きますよ。また榛名に
いや陸奥姉、俺の扱い酷いな!確かに榛名の
「そうだ、鳥海姉も一緒に来てよ。俺の自室でまだ、せにゃならん事があるからね。」
「あ、はい。良いですけど何するんですか?」
◆ ◇ ◇
2月13日07:04 爆督執務室
「爆督、能督のトコに行く機会とか無いんですか?」
なッ、なんだとおッ!?
・・・はッ!なんて事だ、俺とした事が鹿島の何気ない質問に呆気を取られてしまった。漢らしく堂々としなければ。素早く、簡潔に、勇ましくッに!
「無いッッ!!!」
しまった、焦る余り言葉選びを間違った。
ガッカリした鹿島の顔・・・捨てられた子犬の様ではないか。罪悪感でいっぱいだ。
何とかフォローしなければ...
「だが正当な理由があれば機会を用意出来るかもしれんぞ!!」
鹿島の顔がぱぁと晴れ上がる。良かった、フォローの仕方は間違えなかった。
自分で言っといて何だが、艦娘が他鎮守府へ行く正当な理由ってあるか?
「本当ですか!?良かった・・・では爆督、こんなのはどうでしょう?」
なに!?パッと言われて直ぐに思いつくモノじゃあないだろ。予め用意していたという事か...鹿島はどんだけあの
「先ずはこちらの資料をご覧下さい」
そう言っておもむろに紙束を取り出す。
なんだなんだ、何か始まったぞ?
「えー、私が能督に...じゃあなかった。我々爆督鎮守府と能督鎮守府との親交親睦を深める為の交換留学及びレクリエーション計画の概要について説明させて頂きます。初めに計画を考案した経緯ですが・・・・・・」
それから長々と鹿島があのチビに会う為の計画鎮守府の親睦を深める重要性を説明された、所々能督への恋心が垣間見えてたけどな。
「分かった!大本営へ申請してみよう!何か連絡があったら鹿島に直接伝える!」
「ありがとうございます、爆督♡」
そう告げ香取型練習巡洋艦特有の朗らかな微笑みを浮かべた。確かに香取も他提督達に人気だが、その数倍鹿島も人気らしい。噂では鹿島のファンクラブが有るとか...
もしもそのファンクラブの奴らに ”みんなのアイドル鹿島は一人の提督にお熱だ” なんて知られた日には能督の運命は・・・ははっ!そんな訳なッ!
「爆督?そんな真剣な顔をしてどうされたのですか?私何か変な事言いました?それとも計画に不備が有りましたか?」
そうだ、聞いてみるか...
「鹿島、お前あのチビのどこが好きなんだ?」
「ふぇっ!!あ、えっと...その...」
ぼふんっ!と頭から湯気が出たようだった。顔は紅潮というより真っ赤と言った方が正しい程、・・・なんという顔だ。
仕事を完璧にこなし意図せずとも男を誘惑しているあの鹿島がここまでだとは。
「あの、じゃあなくて、爆督!申請が通るとしたらいつでしょうか・・・出来れば早くというか、明日とかって...」
「いや、早くても数週間後だな!」
さっきの顔だ、捨てられた子犬
でも、なんで明日なんだ?・・・あ、分かった。明日は2月14日、聖ヴァレンタインだ。
「数週間後ですか...もし良ければ明日とかって・・・無理、ですよね...」
左腕をさすりながら溢す言葉は少しずつ小さくなる。左手を動かす度にカシャカシャ、ウィンウィンと機械が動く音が鳴る、いつもは手袋で見えないが義手・・・らしい。此処に着任した時には既に義手だった。表情も硬く・・・いや無いに等しかった、それが公開演習でガラッと変わった。変わってくれた、
今から出発すれば何とか明日には着くかもしれない。だが俺は明日大本営へ行かねばならんだ、空督もおらんしな。
だからと言ってこの機会を逃せばまた着任当初の鹿島に戻ってしまうやもしれん、うちの重巡に運転してもらい鹿島、鈴谷、熊野の3人で行ってもらうか。
「分かった鹿島、鈴谷と熊野を付ける。3人でヤツの所に行ってこい、コレは特例だ。そしてそれとは別に交換留学の件を大本営へ申請しておく。」
「ほ、本当ですか!ありがとうございますッ!」
一抹の不安は残るが俺は大本営へ向かう準備を進めるのだった。
◇ ◆ ◇
2月14日 16:24 能督執務室
「失礼します!爆督鎮守府所属、香取型練習巡洋艦二番館 鹿島参りました!」
「え、キミ誰?」
やべ、やらかしたかも。言葉選び間違ったかも。榛名、山風、陸奥、曙、鳥海の視線が刺さる。痛てぇよ、視線が痛てぇよ。
「あらあら能督?それ本気で言ってるのかしら?」
陸奥姉が口元を隠しながら笑って・・・いやコレは嘲笑うが正しいな。
「そ、そうですよね演習で一回会っただけで覚えて貰える訳無い・・・ですよね...」
緩いパーマのかかった銀髪をツインテールにした青色の綺麗な瞳の少女は哀しそうな表情を浮かべ、小袋を腕に通し手袋を外した。
「・・・思い出した、その
何せ
「能督...それは無いと、思うよ...」
「流石、クソ提督ね」
「アキくん、鹿島が来る事については事前に報告書で連絡しておきましたよ。まさか見てない訳じゃあ無いですよね?」
「司令官、彼女の小袋を見てもそんな事言えるんですか?」
山風ちゃん、曙ちゃん、榛名姉、鳥海姉の指摘の嵐により俺の心は
「鹿島、能督はああ見えてっていうか見ての通りおバカさんだから、ちゃんと言わないと能督向けのチョコって気付かないわよ?ほら、このチョコの山も
陸奥姉が鹿島ちゃんに何か耳打ちしてる、全部は聞こえなかったけど ”馬鹿” って言葉は聞こえたからな。
「の、能督!こ、コレ!ヴァレンタインのチョコ...です....よかったら・・・食べてくださぃ...」
ほえー!この俺にチョコとはな!俺の記憶が正しかったら小学校6年生以来だから・・・7年振り?だがこういう場合の受け取り方は把握している。伊達にラノベを読みまくった俺ではない。
・しっかりと声を出し、
・相手の顔を見て、
・ボディランゲージを意識して、
・貰って直ぐに、
・ありがとう+一言。
握手の為に手を差し出しながら
「ありがとう鹿島ちゃん、忘れててゴメンね。大切に頂くよ」
良しッ!完璧!ねっとりボイスでもニチャアっとした笑顔でも無かったはず!
鹿島はうつむきながらも握手してくれたし。
元ぼっち現提督として正しい返答だった・・・と思う。
「今年もチョコ0個と思ってたからコレは嬉しいな。」
・・・・・・艦娘からのチョコを爆督宛と勘違いしてた事は榛名姉からどちゃくそ怒られました。ハイ、ごめんなさい。
◇ ◇ ◆
2月14日 17:51 能督執務室
「やっと全員分終わったぁ、これもう晩御飯いらんぜェ」
アレから俺は鎮守府の艦娘、全員分のチョコを食べ味の特徴や感想、お返しのお菓子を何にするかなどを全てメモした。榛名姉達も協力してくれてなんとかどの艦娘がどのチョコを用意したのか判明した。
「あのー・・・能督?本当に私のチョコが最初で良かったのですか?」
まぁ鹿島ちゃんより早く持って来た艦娘は文字通り山程居た(らしい)が直接俺に渡してきた艦娘は鹿島ちゃんが一番だったし。
まぁ俺がほっつき歩いてたのが悪いんだけどサ。
「勿論良かったんだけどさぁ・・・あんまり口外して欲しくないっス...良き?」
大本営にて耳に挟んだ鹿島ファンクラブとやらに恨まれたくない為という俺の少し失礼な質問に対し鹿島ちゃんは笑顔で頷いてくれた。うん、可愛い。
それはともかく珈琲を啜りながら味わうチョコは格別で、どのチョコも完成度が高くお返しをかなり頑張らなくてはと思わせる程だった。そうだ、もう1つ脚無しネタ思い付いた。
「こんなにチョコ食べたら太っちゃうから走って運動しなきゃだね。あぁしまった、俺脚無くしちゃったんだったぁ!」
言わずもがな部屋の空気が凍る。やっぱりアクア・スペース・ザ・ワールドに進化したでしょ。
(進化して)ないです。
一旦は自室に行きましたが、他の仕事があると嘘ついて艦娘を避けるようにほっつき歩き午後になりました。ハイ、能督です。鈴谷と熊野は執務室に行ったので能督とは会ってないです。