珈琲というかカフェラテとかの方が好き。
恐督
珈琲は断然ブラック派。
2月22日 11:39 能督執務室
「猫ォ・・・お猫さまァ...ネコに会いたい...嗚呼、にゃんこ...にゃんこ子にゃんこ孫にゃんこォ!!」
実家の猫に会いたすぎて早口で叫んでしまった。スマホのアルバムを開き家で飼っていた2匹の
「能督、それは多摩に対する当て付けかにゃ?」
本人は否定してるが猫らしいタマという名前、語尾が〇〇にゃ。にゃんこを擬人化したような艦娘。
球磨型軽巡洋艦 2番艦 多摩。
今日の秘書艦の1人。
「多摩も能督もお喋りしてないで仕事するクマ」
名前は熊・・・じゃあなかった、球磨、語尾は〇〇クマ。今度は熊の化身の様な艦娘。
球磨型軽巡洋艦 1番艦 球磨。
もう1人の今日の秘書艦、なんか分からんが秘書艦が増やされてしまった。サボらないように監視体制を強化したって事かァ...ん、待てよ、何だこの書類はよォ。元帥の印鑑が押してあるじゃあねぇかよォ!!
「能督、顔が”ぐにゃあ”って歪んでるにゃ」
そりゃあ顔の1つや2つや3つも歪むっつーの、なんだこの ”提督、鎮守府間の親交を深める為の交換留学及びレクリエーション” だとォォオオ!!!
「どれどれ・・・ふむふむ、交換留学&レクリエーションかクマぁ。面白そうクマ!」
いや何この面倒臭い事この上無いような行事、こんな
こんな楽しく仲良しごっことかしてる暇ないでしょうに。
「あ、提督の顔が戻ったにゃ。ところで交換留学なら誰を行かせて誰が来るのかにゃ?」
確かにそれは気になる、えーっと資料を読み進めると・・・能督鎮守府から六名を選出、恐督鎮守府から六名を選出後か。恐督って誰だ?いやそんな事はどうでもいい。
コレよく考えたらチャンスじゃあないのか、俺がサボる。あ、コレ倒置法です。
俺への監視体制が強い六人をこの恐督?とやらの所に派遣すれば交換留学の間、時間にして3泊4日の間はサボれるのでは?
となれば人選は重要だ、ここで人選を誤れば折角の3泊4日が業務漬けになるやもしれん。それは勘弁だ、そして3泊4日の間の秘書艦をまだ親交が浅い娘たちから選べば俺の逃げ場所、逃げ道を知らないハズ。恐督の所に送る六人、秘書艦に選ぶ四人、これを正しく選べば暫くの間悠々自適に書類や時間に縛られることなく過ごせるのでは!?
「あ、今度は提督が悪い顔をしてるにゃ」
さぁて考えろ俺、誰を送る。先ずは俺への理解が深い榛名姉は確実だ、そして何かと当たりが強い山風・・・はダメだろうな
良しこれで四人あと二人、誰を選ぶか、大抵の駆逐艦、海防艦や潜水艦の娘達はこの鋼鉄の脚で逃げ切れる事も出来る様になった、練習リハビリ頑張った俺。
となると軽巡、重巡、空母、戦艦。おっと忘れるトコだった長門姉。あと一人...
大淀姉は・・・なんだかんだ言って業務を手伝ってくれるし明石姉とメロンちゃんは論外、金剛姉は比叡姉がなんとかしてくれるだろう、霧島姉は俺の隠れ場所を知らない。ガッサちゃんはそこまで俺に固執しないだろ、多分。香取姉だ!香取姉が居ないだけでかなり変わってくる!なぜ今まで忘れていたのだろう!!
よぅし派遣するのは榛名姉、高雄姉、時雨ちゃん、青葉、長門姉、香取姉の六人だな。
これで一応派遣要員は決定した、一応俺提督だし決定で良い・・・よね?なんか心配になってきた。取り敢えず書類に榛名姉達の名前を書こう。秘書艦は・・・まぁ後でいいか。
「よし決まった、クマちゃん、多摩ちゃんコノ書類と残りの書類終わったから後
「なんかヨロシクのイントネーションが変だったクマ、それに駆逐艦の子達が”ちゃん”を付けて呼ばれると恥ずかしいとか距離を感じるとか言ってたクマ。呼び捨てか
そっかーと適当に返事し愛猫が居ない寂しさを埋める為に、葉巻で心の穴を埋める為に自室へと向かった。あぁ愛しのニャンコ達・・・
◆◇ ◇
2月22日 09:43 恐督執務室
「次の書類」
提督同士は勿論、艦娘達とも最低限の接触、親交迄で留めておく俺のポリシーに理解を持っている艦は多くはない。だからこそ扶桑の様な理解ある、最低限の会話で済む艦を秘書艦として選んでいる訳だが・・・そんな俺のポリシー、信念を打ち砕く様に提案、命令された交換留学の件、反対でしかない。こんな事している暇は無いだろうしコレで仲良くなった艦娘や提督が死んだら精神的負担になる事はコーラを飲むとゲップが出るという事より明らかだ。だが珍しく元帥の印が押してある・・・滅多に無いことだ、殆どの書類は提督の印が押された後に元帥の所へ行く。それが逆になっているという事は俺が反対することが目に見えているぞと、言うとこだな。元帥も無策でこんな事を許可する人でも無いだろう。
六人で3泊4日の交換留学・・・はっきりいって誰でもいい、だが交換相手である能督、野上彰成とやらは信用して良い者だろうか。
「恐督、能督の資料です」
俺が言わなくても動いてくれる扶桑、この子といる時間が長くなり過ぎた。その証拠に喋らずとも意思が疎通できるほどになってしまった。暫く扶桑とは時間と距離を置いた方がいいかもしれない。そして俺は扶桑を筆頭に計六名を書類に記し能督の資料に目をやった。
新しく入った提督、2つ名は能督。野上の概要が大まかに記された書類に一通り目を通したが不可解な点が幾つも有った。
一つ目、スタンドが使えるからと言って士官学校を飛ばして提督になれたのか。
二つ目、爆督、空督、恐督、列督、測督と能督以前の提督は具体的な2つ名なのに対し能督だけ無能、no,noとか
三つ目、スタンドを使う深海棲艦を初めて観測したのにも関わらずそれに対する尋問が行われなかったのか、何故彼が最初だったのか。
実際に会ってみないと分からない・・・いや、会っても分からない事の方が多い。そういや他の提督と交流する機会が有ったな、不服だが。ここの資料がこの程度というのなら、必要最低限の情報共有は必要だな。交換留学、俺もこれに着いて行き直接問い質す事ぐらいしてやろう。取り敢えず目の前の書類を片すか。
「扶桑、次の書類だ。」
◇ ◆ ◇
2月22日 15:19 能督鎮守府 一階廊下
「ご、五百円だと...」
榛名姉を交換留学に送り出す事をおやつタイムに明かすとなんというか、案の定というかめっちゃ怒られた・・・?いや責められたが正しいかもしれん。
慌てて二階の部屋から飛び出し自慢の
目の前に光るは紛うことなき五百円玉、誰かの落し物だろう。別に貰っても・・・ダメか、ダメだよな。落としたと言うことはうっかりさん、おっちょこちょい、ドジっ子といった娘だろう。生憎そういった
となると必然的に軽巡・・・の娘たちもないかな?じゃあ駆逐艦、海防艦、潜水艦の子達か。いくら落ちてたとはいえ流石にあの子達の落としたお金を貰うのは忍びない、これが仮に十円玉や五十円玉ならしれぇ〜っとポッケに入れるかもしれんが。(擬音と司令を掛けた激ウマギャグ)
五百円があれば酒保の駄菓子コーナーで底々の贅沢というか大人買いが出来なくもない。
だが誰が落としていったのか皆目見当がつかない。艦娘の誰かに渡して数珠繋ぎ方式でいくのは・・・不確実だし途中で誰かが使うかもしれん、なら俺が使いたい。大淀姉を信じるのは・・・ダメだ、そっから榛名姉達に居場所がバレる。そうだ酒保の妖精さん達に渡そう、まぁ色々と不安な点は残るがそれが一番良いかもしれん、たかが五百円如きでうだうだ考えるのも面倒いし。
つまりメロンちゃんと明石のこだわりの逸品なのだ、だからこそ二階から飛び降りてもこうして無傷な訳だが・・・ホント2人には感謝やで、ホンマに。
さてさて、カシャっと音を立てながら膝をつき五百円玉を拾おうかすると。
「てやんでーい!提督じゃあねーか!こんなトコでなにしてんのさー!」
あ、あっぶねェ。驚きの余り口から心臓が飛び出るかと思った。しまった、うっかり五百円玉を拾ってうっかりポッケに突っ込んでしまった。うっかりだ、うっかり、うっかりなのだ。ていうか、この青髪の少女・・・
「えーと、君は・・・?」
「今ポッケに何かー・・・ってまーいっか!あたいは涼風だよ!まだ覚えてなかったのかよ!」
このThe江戸っ子みたいな濃い青髪の碧眼少女は涼風ちゃ...ちっちゃい娘たちは呼び捨てか渾名だっけ。
「す、涼風はなしてここに?」
や、やべぇ動揺したのバレたかも。とか思ったがそれは杞憂だった。
「お!提督、ついにあたい達のことちゃんと呼んでくれるようになったのか!かー!嬉しいねぇ!あ、そうだった!あたいがここに来た理由だったね、そりゃ勿論・・・」
なんだ、やっぱり榛名姉たちの命令で俺の捜索に来たのか?ならば速攻逃げなければ。
軽く重心を落としいつでも走り出せる準備をする。涼風の返答によっては・・・
「五月雨の落としモノを探しにきたんだけどよー!小銭を落としたらしいんだ!提督知らないか?」
小銭?あ、この五百円玉の事か。落とし主は五月雨ちゃ...五月雨だったか、分かって良かった。ここで知らんぷりをしてネコババするような男ではない、決して。ポッケに突っ込んだ五百円玉を取り出しちゃあんと涼風にこれだろ?と渡す。
「あ、提督、榛名さんたちが探してましたよー・・・って涼風!ここにいたの!」
透明感のある青髪のロングヘアに涼風とは対照的で丁寧な口調、しかしながら涼風と同じ制服。この娘は・・・
「五月雨!五月雨が落としたお金、提督が見つけてくれたんだぜ!」
まるで自分で見つけたようにドヤ顔で五百円玉を五月雨の方に放り投げる、そーゆートコで性格出るよな。五月雨はおっとっとと落としそうになるもキャッチ・・・出来なかった。チャリンと鎮守府のフローリングでバウンドし鋼鉄の脚に当たる。五百円玉と義足がぶつかり金属音が鳴る事で改めて脚を失った事実を突きつけられる。人間のトラウマというか恐怖や後悔は意外な所から訪れるものだな、もう克服したつもりだったが。
再びカシャっと音と共に膝をつき五百円玉を拾い上げる
「ほい、五月雨ちゃ...五月雨。今度は無くさんようにねェ」
「はい!あ、今から酒保に行くのですが提督も御一緒しませんか?」
あぁ眩しィ、この純粋無垢な笑顔が眩しいよォ。俺が榛名姉たちから逃げてるなんて状況じゃあなかったら一緒に楽しくお買い物〜なんて思ってたがァ・・・
「ゴメンね五月雨ェ、俺ちょっと用事があるからァ。また誘っt...」
「府内放送です、またもや能督が脱走しました。重要な会議があります、能督は速やかに会議室へいらしてください。また、能督を見つけ次第、戦艦級 空母級 重巡級の艦に報告、可能であれば拘束して下さい。繰り返します・・・」
大淀姉の物騒な放送が流れ終わる前に全力で地面を蹴り出した。
◇ ◇ ◆
3月4日 05:16 恐督自室
「誰だ」
朝と言うには早く、夜と言うには遅いこの時間にドアが開く音によって目が覚めた。コッ...コッっという固いものがフローリングに当たる音が次第に近づいてくる。足音からして艤装を履いた艦娘か、全く違う生き物か。はたまた生き物でもないか・・・
「全ク、モー・・・イキナリ布団ヲ投ゲツケルナンテ、私マダ何モシテナイジャアナイノ」
声色からして女か、そして女が布団を放り投げる頃には目が暗闇に対し完全に適応し女の全体像が見えた。腰にまで達する程の白髪のロングヘアーでサイドはロールだが前髪はパッツン、二本の湾曲した角がヘッドドレスから生えている。白を基調としたクラシカルロリータ風ドレスに負けず劣らずの肌の白さ。
冷静に観察してみると深海棲艦のリコリス棲姫に酷似している、何より不気味なのが女の身長が俺の
「チョット私トオ話シシナイ?」
勝手に俺の部屋に入り自分の正体を示すことなく近付いて来る奴と会話する気など毛頭ない。
「私ハ ”アリュー” 深海棲艦ダヨ、恐督アンタニ頼ミ事ガアッテ来タンダケド「断る」
このアリューとか言う奴の言葉を遮り本音を吐いた、名前と正体を明かしたらとは思ったが、よりにもよって深海棲艦とは。その ”頼み事” の内容によっては此処での応戦も視野に入れなければならない、軽く拳を握り込む。
「ソンナ事言ウナヨー、チョット私ニ付イテ来ルダケダカr「断る」
食い気味の拒否に対してアリューの沈黙、その間僅か数秒ながらもかなりの時間が流れたような錯覚を覚えた。それはアリューの能力では無くアリューから放たれる異常な殺意と闘争意欲、オーラによるものだった。
「・・・ソレジャア チカラズクニナルケド、ソレデモイインダナ?私ハ、カーナーリ強イゾ。下手シタラオ前、死ヌカモヨ」
力ずくとは分かりやすくて結構、分かりやすくて良い。なんぞ考えているとアリューの背後から人型スタンドが現れる。背中から幾つもの・・・正確には八本の赤い腕を生やした不気味なスタンド。態々本人が直々に俺の寝込みを襲ってきたという事はアリューのスタンドも近距離パワー型と見て間違いないだろう。
「私ノスタンド、
ここまで丁寧に自己紹介されたら此方も名乗るのが礼儀だ、其れが日本男児だ。例えそれが全日本国民の敵であろうがな、では此方もスタンドを出そう
「スタンド、ステイタス・マイナー。そして俺の名は冨樫侑斗。
コレは一種の賭けだ。
「室内ガ一番良イガ...間ヲ取ッテ中庭ダ、中庭ニ出ロ」
「ジャア決マリダナ、中庭ニ着クマデ休戦ダ」
そういうとアリューは踵を返しドアを開け廊下を歩いていった。スタンドは出したままだったが、俺の不意打ちを考慮してだろう。それにしても不用心過ぎないか、仮にも敵の俺に背を向けるとは。だがその自信が俺の警戒心を
stand name:黄昏ノ月:トワイライト・ムーン(T.ムーン)
stand master:アリュー
stand spec
パワー:A
スピード:A
射程距離:D
持続力:A
精密動作性:B
成長性:D
背中に八本の赤い腕を生やした近距離パワー型の人型。スタンド能力は・・・
因みに能督の義足Mk.Ⅰは炭素繊維製のブレード型義足。
義足Mk.Ⅱは膝内部を空圧、油圧式にしたマイコン制御の義足。
能督の義足Mk-IIIは靴を履かずに生活して自室では自室用の義足、Mk-llで生活してます。