生涯独身の予定。性欲は殆ど無い。
能督
艦娘に対しては年上系には少しムラってなる、年下系は庇護対象。
蝋督
艦娘ってか女好き。
2月24日 09:59 能督鎮守府 正門
「あ、えっと・・・は、初めましてェ。こないだ、じゃあなかった。先日この鎮守府に着任させていt...」
「能督だろ、資料で大体の事は把握している。二泊三日とあるがお前に幾つかの質問をしたら帰る、期日になったら迎えを寄越す」
能督の後ろには榛名、高雄、時雨、青葉、長門、香取が。
俺の後ろには天龍、龍田、妙高、那智、若葉、あきつ丸が肩を並べ整列している。
元帥からの指令書には恐督鎮守府の六人を恐督と共に能督鎮守府へ二泊三日の間留学。
それと入れ替わりで能督鎮守府の六人を恐督鎮守府へ留学、恐督不在の間はスタンドを持たない一般提督、俺が恐督鎮守府に来る前に提督をしていた前任が臨時で派遣されると記載してあった。だが、
「俺は他の提督と馴れ合うつもりは無い、質問はすぐ終わる。まず一つ目の質問だが...」
「せ、折角ですし俺の・・・自分の執務室に行って話しませんかァ?ここ寒いですし、お茶くらいだしますよ?」
話を遮るとはこれ如何にとは思ったが流石に失礼過ぎたかと反省だ、茶くらいは世話になるとするか。車の運転手に駐車場へ行く様指示し艦娘達は鎮守府内ホールへ、俺と能督は執務室へ向かった。
〜ほぼ同時刻 能督執務室〜
「え〜っと、それで質問ってェのは何ですか?」
「質問の前に能督のスタンド、A.スペースとやらを見せて欲しい、疑う様で悪いが念の為確認しておきたい」
能督は分かりました、と能督の座っているソファの後ろに青を基調とした魚人型スタンドを出して見せた。
意図が分からないのか彼の頭の上には ”?” が浮かんで見えたが、こちらも見せるのが礼儀だ、同じく俺の後ろにスタンド、
取り敢えずの緊張がほぐれたのか能督は珈琲を一口啜った。
「あ、あのー。それで質問ってのはァ...」
「幾つかあるが一つずつ聞こうまず一つ目。何故此処に、何故鎮守府に連れてこられた?スタンドを使えるからか?元帥の孫だからか?それとも自ら志願したからか?」
「どれもォ・・・どれも違います、厳密に言うと分からないんです」
分からないだと?よりにもよってなぜ自分がここに居るのか分からないだと?
「分からないは無いd...」
「本当にィ、ガチで分からないんです。何で俺なんかがここに居るのかァ...元帥はなんで俺を選んだのか教えてはくれませんでしたし、なんで能督って呼ばれてるかも知りません」
能督はちじこまって小さく呟いた。
俯いて表情は分からないが嘘を言っているようには見えない、少なくとも俺はそう感じた。
「か、勘弁してください。それより他の質問は無いんですか」
呆れる回答が帰ってきたがこれ以上は何も得られないだろう。二つ目の質問、何故能督と呼ばれているのか?という質問の答えまで帰ってきたのは意外だったが。
「では次だ。元帥についてどう思う?今回の交換留学についてもだ」
「元帥は・・・嫌いです。昇格したからといってこの鎮守府を置いて出ていき、無責任にも自分の孫に押し付けて前線から引く。見舞いに来いとは言いませんが俺が脚を無くしてから来た連絡はこの件の指令書のみ、控えめに言って頭がおかしいと思います」
またもや意外な回答が帰ってきた、祖父である元帥を嫌い、無責任、冷血、頭がおかしいと侮辱の嵐。
確かに俺や一部の海兵も少なからず元帥の考えには疑念を抱いていたが、こんなにもハッキリと否定意見を言ったのは能督が初めてだった。
祖父だからという点を除いても有り余る暴言の数々、そういえば能督の資料で元帥に暴行(未遂)を働いたとも書いてあった。
という事はこの発言も嘘では無いという事か。
「他はなんか無いですか?」
「いや聞きたいことは聞けたから俺は帰る、報告書には適当に書いておいてくれ」
は、はぁ...と納得した様な、してない様な声を能督はもらし執務室の扉を開けてくれた、こういう所に気を使える点では多少マシな人間かもしれん。
廊下に出ると丁度留学組の十二名の艦娘がこちらに歩いて来ていた。
「長居し過ぎた、
能督はウィッスと軽く会釈し艦に説明を始めた、これといった収穫は無かったが詳しい事はその内分かるだろう、それまでお互いに生きていたらの話だが。
俺は車に乗るまでの間、能督の義足が頭から離れなかった。
◆ ◇ ◇
2月24日 10:34 能督鎮守府 正門
「アキくん、暫くの間離れ離れになりますけど帰ったら・・・分かってますよね」
「ア、ハイ。イッテラッシャイ、キヲツケテネ」
いつになっても榛名姉の目が笑ってない笑顔は怖い、怖すぎる。これからもこの恐怖に慣れることはないだろう。
「では恐督、2泊3日の間よろしくお願いします」
「・・・あぁ」
榛名姉の挨拶に対して恐督は考え事をしていたのか、ぼんやりと相槌を打ち車へと向かって行った。
「アキくんも気を付けてね・・・」頼もしくもちょっと怖い榛名姉。
「身の回りの事は妹たちに任せてますからね」悪い人では無いのだが真面目過ぎる高雄。
「山風たちに手を出したら許さないからね」駆逐艦の中では監視の目が強い時雨、
「司令官が私を選ぶ事はなんとなく分かってましたけど・・・」盗撮といえばこの艦、青葉。
「私が帰ったらみっちりお勉強しましょうね」教鞭の鬼、香取。
「能督、私達の帰投後は・・・覚悟しておけよ」
鬼、長門。
六名を見送りながら我思う・・・人選ミスった!!
絶対ミスった。ミスた・・・はい!セックス・ピストルズー!!
駄目だァ、気を確かに持とうとするが・・・無理。この六人のセリフを聞いて三日後の事を考えると胃に穴が開きそう。今しがた口から鮮血が流れる様な感じがした、俺人生で初めて吐血した、気がした。
「提督、これから3日間世話になるぜ」
龍の角を彷彿とさせる独特の頭部装備、厨二・・・男心を
「あぁ自己紹介が遅れたな、オレの名は天龍。そして左から龍田、妙高、那智、若葉、あきつ丸だ。若輩者だがよろしくなぁ」
待て待て待て待て、そんなに早く言われても分からんし覚えられねェってば!だが仮にも俺は提督、それにただの提督では無い。
閑話休題。
さて此処で ”はぁ俺、名前覚えられなぁ〜い” とか言った日にゃ、俺が担当している鎮守府だけじゃあなく恐督の鎮守府に在籍する艦娘まで俺が無能だとバレてしまう。由々しき事態だ、堂々と提督らしくしなくてはッ!
「あ、あぁ。恐督の資料を読んだよォ。俺は提督だが・・・ま、まぁ肩の力を抜き気軽に接してくれて構わぬンっ」
台無し、最後の最後で 台無し。いや途中まではめっちゃ凛々しく対応出来てた筈なのにィ、もったいねェ。あ〜^ハッズ!顔熱ッ!もぅいいや、さっさと建物内に案内しよう。さみィし。
や、やめろ!天龍ちゃん、そんな目で俺を見るな!・・・でも、なんか違和感。まぁ、気の所為か。
「さ、寒いっスねェ。鎮守府案内する
天龍ちゃんを含む六人は軽く相槌を打ち俺を三歩後ろを歩いた、無言で。
カシャッ、カシャッと
いや、こんなときフツーは ”この能督って人は○○だね〜” とか ”ウチの恐督はね〜” とか女の子らしい(?)会話をしながら着いてくるもんじゃあないの?
ずっと無言、ずっと静かで・・・静か過ぎて怖いんですけど!恐督を見送って正門から鎮守府玄関に向かうまでが すっごい遠くに感じたんだけど!永遠に感じたんだけど!時間を遅くしたりする新手のスタンド使いの攻撃なの!?(違います)
「し、資料を見る限り恐督鎮守府も
沈黙が怖い!正確に言うと ”はい...” とか ”分かりました...” とかは言うんだけどそれ以外が無口も無口!世間話とか井戸端会議(?)とかは君達の辞書には無いの!?
「提督は・・・能督はどうしてそんなにも自分みたいな兵器に必要以上の会話、接触をするのでありますか?」
漆黒の学帽、学ラン、ブリーツスカート。顔色は異常に青白い彼女は・・・あ、あ〜...あにつ丸だ!(あきつ丸です)
あ
活気・・・いや、性格だ。
目が死んでる訳ではない、闘志が無い訳でもな様だ。
艦一隻一隻・・・いや、一人一人の性格が極限まで削られている?減らされている?奪われている?
とにかく中身の、魂の色がほぼ全員一緒なのかもしれない。
これは俺の単なる憶測だが、もしも、万が一この天龍、龍田、妙高、那智、若葉、あきつ丸の六人がスタンド使いになれば、ほぼ同じ様なスタンドが発現すると思う。
そう思わせるほど意思が無い、少ない。
その時に俺の頭によぎる一人の人間、恐督。
冨樫侑斗という人間、この男に洗脳されてる等と考える俺は異常だろうか?
さァて、陰キャボッチ特有である自問自答の時間だ。
この子達はあの恐督に洗脳されているとか考える俺は偽善者だろうか?
YES。あくまで俺自身の価値観に過ぎない。実質
次、2泊3日の間はこの子達と積極的に関わろうとするのはお節介だろうか?
これもYESだ。少なくとも彼女達は艦娘、そしてココにも沢山の艦娘がいる、俺一人がどうこうするモノでもなかろう。
最後、こんな事を考えるのは余計なお世話だろうか?
無論YESだ。2泊3日の交換留学中であろうが無情にも仕事は提督の俺に降り掛かる、恐督が帰った事を誤魔化・・・オブラートに包んで報告書を書かにゃならん。
結果、
「俺がァ・・・俺が提督で君たちが一人の女の子だからだよ」
俺が考えて考えてひり出した答えを聞いた彼女の・・・彼女たちの肩は震え、瞳は潤んでいた。
◇ ◆ ◇
2月28日 10:08 蝋督鎮守府
「変ッッッ態ッ!!!!!」
思わず
「えっへへ〜スキンシップが激しいおんにゃの子だネ、空督?」
スキンシップが激しいのはアンタの方ですよ、蝋督...巫山戯るのもいい加減にして下さい。会って10分も経たずに・・・いやこの際時間は関係ありません、女性のお、おしr...臀部を揉みしだくなんて・・・
「変態ッ!不潔ッ!非常識ッッ!!」
かつてスタンドを使う深海棲艦 エルトを撃破したG.マシーン act2の空槍を受け、壁ごと吹き飛ばされても蝋督中将には傷一つたりともついていなかった。
「僕のスタンド、リビング・エンド。自分や触れた物を蝋燭にする能力サ、かっこい〜デショ?」
私の空槍を受ける前に蝋督自身をドロドロに蝋化しダメージを無効化したとみて間違いないでしょう。
「良いじゃかヨ、お尻を揉むくらいサ。減るもんでもないしサ!」
なななななな、何を言っているのでひょうかかか!!この男はッ!!
あああああ、ありえない。ありませんッ!悪びれることなく、あろう事か減るもんでもないから良いですっててて?
ぜっっっっっっっ対ありえない!こんな変態が中将クラスの提督だなんて!!
「今のは・・・いえ今のも、いつも、今日も、明日も明後日も蝋督が悪いです。2億%蝋督が悪いです、フローリングに頭を擦りつけ土下座して下さい」
黄色いスカーフ付きの半袖セーラー服にグレーのプリーツスカート、白手袋をつけた銀髪の艦娘は緑の便所スリッパで蝋督の頭をスパーンッ!!と軍帽が吹っ飛ぶほど強く叩きつけ毒を吐く艦娘。
陽炎型駆逐艦十三番艦 浜風。
資料ではもっと温厚というか柔和というか・・・艦娘にもある程度個人差があるみたいです。ハイ。
「も〜、便所スリッパはないでショ?は・ま・か・ぜ〜?後輩の提督からは吹っ飛ばされ、スリッパで叩かれた僕の心はボロボロだヨ〜。だからサ、はまかぜ〜・・・おっぱい揉ませてヨ〜!」
「指の骨全部折られても同じ事言えますか?蝋督?」
えっへへ〜コレは参ったと後頭部をポリポリとかき、蝋督は軍帽を被り直す。
元帥はどうしてこんな変態の所に私を向かわせたのでしょう・・・
「で〜、はまかぜ〜。今日の仕事終わった〜?」
「現在、浦風、磯風、谷風で執務中です」
何と言うことでしょう、この
そして艦娘たちもそのパワハラに対抗、報告する事も無く受け入れ、この変態の指示に従っているとは。
由々しき事態です、今すぐ大本営に報告し、どうにかしないと。
・・・2泊3日。この間、蝋督の鎮守府に寝泊まりと考えると全身に鳥肌が立ってしまう。
艦娘寮にお世話になるといっても、この蝋督の事です。夜這い等、想像に固くありません。
「帰りたい...」
紛れもなく本音で、どうしようにも出来ない事実でした。
◇ ◇ ◆
3月4日 05:16 恐督鎮守府 中庭
「意外だな」
「ソレハオ互イ様ダロ」
スタンドを操る深海棲艦、アリューの休戦宣言通り
アリューは予め鎮守府の内部構造の情報をどうにかして入手したのだろう、一切の迷い無く俺の寝室、三階から階段をおり中庭へと向かった。
「ジャア休戦宣言ヲ撤回スルゾ」
「愚問だ」
態々質問してくるアリューに対し一言返す、話し合いで解決するならそれに越したことは無い。が、そんなに甘い連中では無いだろう。ならば力で解決するしかない、会話は無用。俺の返答が一言なのはなるべくしての事だ。
俺からアリューまで約10メートル。俺のスタンド、
その証拠にアリューは
さっきまで強かった風がぴたッ...と止んだ。
「S.マイナァァアアッッ!!!」
「T.ム━━ンッッッ!!!」
お互いの距離は3メートルも無かった。
ガンッ!と普通、拳からは出ないような鈍い音が中庭の静寂を崩す。
スタンドは基本、何か一つ特殊能力を持つ。
能督は閉ざされた空間に液体を充たす能力、
爆督は手榴弾を降らせる雲を出す能力、
空督は空気を自在に操り武器にする能力、
元帥は触れた物を任意の方角に飛ばす能力。
もちろん俺も例外ではない。
S.マイナー、殴った所に溶岩が吹き出る間欠泉を生成する能力。
スタンド使い同士の戦いは情報戦でもある、相手の能力を知っておけば能力を考慮した立ち回りが出来る。
逆に知らなければ正面から突っ込んでも能力で返り討ちに会うだけだ。と元帥に言われた。
・・・だが、俺はそんな細かい事は出来ねぇんだよッッッ!!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」
相手が動かねぇなら先手必勝ッ!
女だろうが容赦はしない、
S.マイナーが本気を出せば、車に穴を開け大岩を砕き鉄塔をへし折るのも、そう難しい事じゃあない。
「アッハハハハハハッ!無駄ダヨ、無駄ッ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!」
ドゴッッ!!と鈍い音と同時に俺の体が後ろに仰け反る・・・なに?俺の体が仰け反る?単純な力比べでS.マイナーが押し負けだとッ!?
T.ムーンは今、何かの能力を使ったのか!?
いや、使ったに違いない。そうでなければS.マイナーが単にパワー負けする筈が無いッ!
「オ前ヨリ、ドノ位
ノ ”スタンドパワー” ガ強イカ、チョイト試シテミタガ・・・マ、試ス程デモ無カッタナ」
野郎、随分と言ってくれるじゃあないか。
S.マイナーの能力は溶岩が出る間欠泉を作る事だ、だが条件がある。まずそこが無機物である事、次に殴った無機物にヒビを入れる、もしくは砕く必要がある。溶岩は出来たヒビ(間欠泉)から吹き出す、つまりヒビの大きさが溶岩の
中庭の地面は砂、S.マイナーのパワーでヒビどころか砕き割る事も容易・・・つまりッ!!
「スティタス・マイナーッッ!!」
後方に跳びながら地面を数発殴り
グツグツと音を立て間もなく・・・ゴォォォォッと火山の如く溶岩がアリュー目掛け覆い被さるように吹き出る。
「ナ、ナニィィィイイイ!!??」
アリューの悲鳴が聞こえ終わる頃には間欠泉から出る溶岩は止まっていた。
溶岩から噴出する黒煙が晴れるとそこには、
割れた地面、冷え固まった溶岩、そして無傷の深海棲艦。
「ナンテナ、ダカラ言ッタダロウ。無駄ダト」
スタンドで防いだのか?防御型のスタンドなのか?こちらの
さてどうするか、どう探るか。
「無駄ダガ教エテヤルヨ、T.ムーンの能力ヲ。横流シ、横流シダ。私ノ身二起キタ現象ヲ触レテイル”モノ”に横流シニシタ訳ダ。」
聞いても無い事をべらべらと話すアリューは得意気だ、俺を格下に見て油断している証拠だ。
「オ前ノラッシュハ、ソノママ オ前に横流シタ。溶岩ノ攻撃デ負ッタ火傷ハ触レテイタ地面二横流シタ。T.ムーンノ前デハ全テガ、全テノ攻撃ガ無駄ナンダ」
アリューは一頻り種明かしが終わるとフリルの着いた袖をひらひらと煽るように揺らし、ふんぞり返った。
だが、とても助かった。能力が分からない内は勝てるかどうか五分五分という所だったが・・・今は10:0で勝てる、勝機が見える。いや、もうコイツには勝った。コイツはもう倒した。
俺とS.マイナーはコイツを・・・