能督
後ろ髪が未だべたべたで気持ち悪い。
大淀
また提督が逃げないか少し心配。
夕立
新しい提督と前の提督の髪、同じ味らしい。
長門
提督絶対捕まえるウーマン。
1月28日 11:40 歓迎会会場中庭
「えーでは新任提督、自己紹介と乾杯の音頭をお願いします」
司会を務める大淀の背中を舞台裏で眺める。
嫌だぁ、あんなに沢山の
でもなぁ、今し方長門姉が
「いいか、夕立。提督が逃げ出そうとしたら飛び掛かれ。私が良しと言ったらこの提督は夕立の好きにしてくれて構わん」
とかわざわざ俺に聞こえるように言ってたし。
夕立、目ぇキラキラさせてこっち向いてたいし。そんな事言われちゃあ間違っても逃げないよ。
大きく溜息をつくとビッグ7の鋭い視線が背中に突き刺さる。視線、鋭すぎて貫通しそうだよ。
諦めて割れんばかりの拍手に包まれながら階段を上る。
一応マイクの電源が入っているか確認する。
おk、ついてるね。
「え、えーと...あ、あのー...こ、この度は、新しく提督になった、ジャナカッタ。任命されt...されました、能悩提督...皆には略して能督って呼ばれてます...あ、えっとぉ宜しくお願いしましゅ...」
また噛んだ。吃った。仕方ないじゃん!今まで友達なんて居なかったしコミュ障舐めんなよ!
え?元帥には偉そうな態度取ってたって?そりゃ身内だからねェ!
100人近くの美女、美少女に見られながら自己紹介とかどんな拷問だよ。
噛んだし、もうこれ公開処刑だよ。
嗚呼・・・帰りたい、逃げたい、夕日に向かって走り出したい(まだ昼だけど)
でもなぁ、逃げたりでもしたら夕立の
”髪の毛はむはむの刑” だしな。
てか、自己紹介終わったよ!大淀早く次のプログラム行ってよ!
アイコンタクトで大淀姉にヘルプを求める。
「提督、乾杯の音頭もお願いします」
そうだった!忘れてた!ハズい!顔熱い!
「で、では皆さん...かんp...」
「あ!あれ見てッ!」
何あの娘?確か吹雪ちゃんとかいったっけ。
乾杯の邪魔をする様な娘じゃない筈だけど。
仕方無い、ちょっとだけ付き合ってあげますか。
「えー?どれどr...」
わざとらしくゆっくりと振り向くとなんか黒い飛行物体が俺目掛けて勢い良く飛んで来ている。
・・・ヤバい。
何か本能の様な物が俺に全力で逃げろと叫ぶ。だが、足が動かない。漫画やアニメで逃げない奴とか居たけどやっとそんな奴の気持ちが理解出来た。
そして理解したくなかった。
この黒い飛行物体、病室のベッドで榛名から教わった気がする。確か深海棲艦とやらの艦載機?だったけか。
まぁ詰まる所、敵らしい。あれに当たればパンピーの俺は恐らく、いや確実に
死ぬ
まだ見てない漫画やアニメ、プレイしてないゲームだって山ほど有るのに。突然提督にされて無理やり鎮守府に連れてこられて1週間経つ前に敵機の襲撃で死亡。なんて詰まらない人生なんだろう。
いや、死んでたまるか。
「アクアスペーーース!!!」
勘弁しろよ、ダラダラと生きていたい俺にとって
「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔.....ッ邪魔ァァァアアア!!!」
全身全霊で拳を叩き込む。
A.スペースの渾身のラッシュを喰らい、ぐちゃぐちゃになった飛行物体は俺に辿り着く前に黒煙を上げ舞台脇へ墜落する。
そうだ、俺には
「フゥ...」
無傷で敵機を撃墜し安堵に胸をなで下ろす。
あ!そーいや艦娘達は!?
「「「・・・」」」
背景にシーン...とでも書かれたように静まり返えり、皆ポカンと口を開けて棒立ちしている。
夕立が棒立...フフッ
「あ、あのー...皆さん?お、お怪我は無い...ですか?」
俺の気遣いに誰も反応してくれない。なんか凹む。
時間が止まったように静かな会場で俺に限り限り聞こえる声量で榛名がぽつりと呟く。
「提督...い、今のって...あくあすぺーすって...え?」
おっとぉ、
なるべく俺TUEEEEみたいな感じにはしたくないです。ハイ。