武昭とライカが
「うん、だいぶ動きが良くなってきたな……」
「ありがとうございます、武昭先輩」
2人はトレーニングを終えて帰宅していた。
「そう言えば、前に蘭豹先生から聞いたんですけど……先輩って1年生の時は強襲科にいたんですよね?なんで、探偵科に?」
「あぁ、俺には
「そうだったんですか……それと今血は繋がってないって……」
「俺は赤ん坊の頃に捨てられていてな、そこを俺の兄弟の遠山キンジの父親が保護してくれたんだ、それでユキとは小さい頃からの付き合いなんだ」
「すみません、変な事を聞いたりして……フェッ!?せ、先輩!?」
ライカは武昭に謝罪したが頭を撫でられて頬を染めた。
「別に良いよ、いつかは話す事だし……それに悪い事をしたなら、ちゃんと謝ってくれる……そんなライカは優しいから、つい」
「えっと、あの、その……恥ずかしいんですけど……」
「あっ、ごめんな、よくユキにやってるから……癖で」
「い、いえ……武昭先輩は……悪くありません……(けど、武昭先輩に撫でられると……何か嬉しいな……)」
ライカは顔を赤くして微笑んでいた。
そうして歩いていると親子連れの男の子が持っていたボールを落としてライカの足元に来たので拾うとそのまま渡した。
「はい、危ないから道路で遊ばないんだよ?」
「うん、わかったよ、お姉ちゃん!」
男の子にお礼を言われたライカが頭を撫でた時だった。
猛スピードの乗用車が信号無視をして向かって来るのが見えた。
「なっ!?危ない!!」
ライカが男の子を連れて離れようとしたが横断歩道の中央部だったのでどちらの歩道からも距離があった。
(せめて、この子だけでも!)
ライカは男の子を守ろうと自分の体で庇おうと抱き締めた時だった……
「おい……俺の大切な
「えっ!?武昭さん!!……嘘……」
武昭が車が来る方向に立ち塞がると、そのまま向かって来た車を受け止めた。
「ふぅ……大丈夫か?ライカ」
「あ……は、はい大丈夫です……それよりも武昭さんは!!」
「別にこれくらい何とも無いよ……ライカ、無理をするのは良いけど、1人で出来る事なんかそう多くは無いんだから人を頼れ……」
武昭は優しい笑顔でライカの頭を撫でた。
その後、運転手は道交法違反で現行犯逮捕され武昭とライカは調書を取って帰路についた。
「武昭さんて……本当に凄いんですね……」
「ハハハ、大切な奴を守る為ならな。じゃあなライカ、また明日」
「はい!今日はありがとうございました!!」
女子寮に着いたのでライカが入ろうとした時に頭を撫でてもらったので笑顔で喜んでいた。